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WHY@DOLL Part8 [無断転載禁止]©2ch.net

1 :ファンクラブ会員番号774:2017/01/27(金) 23:58:13.08 ID:k4DaTqn4
北海道札幌出身で現在は関東を中心に活動するオーガニックガールズユニットWHY@DOLLを応援するスレです
■公式サイト
http://www.versionmusic.net/whydoll/
■メンバー
青木千春
ニックネーム:ちはるん
生年月日:1993年1月21日
公式ブログ:http://ameblo.jp/chihapon-0121/
twitterアカウント:@aokichiharu

浦谷はるな
ニックネーム:はーちゃん
生年月日:1995年4月1日
公式ブログ:http://ameblo.jp/hum-hum-mofy/
twitterアカウント:@humhum0401
■スタッフtwitterアカウント
@WHYDOLL2014
■showroom 
https://www.showroom-live.com/WHYDOLL
■WHY@DOLL(ホワイドール) 日々これ日常(CDでーた連載)
https://www.cddata-mag.com/whydoll/
前スレ
WHY@DOLL Part7
http://karma.2ch.net/test/read.cgi/idol/1481639071/

2 :ファンクラブ会員番号774:2017/01/28(土) 00:08:55.49 ID:u1N/5DjW
>>1


3 :ファンクラブ会員番号774:2017/01/28(土) 00:18:26.43 ID:ARdUna4H
>>1
重複ですので
最初に立ったこちらを利用してください
【北海道札幌出身】WHY@DOLL Part8【ほわどる】
http://karma.2ch.net/test/read.cgi/idol/1483958323/

4 :ファンクラブ会員番号774:2017/01/28(土) 00:25:29.79 ID:KQNgODh6
こ、これは>>1乙じゃなくて
桜通線なんだから
変な勘違いしないでよね!

         久
     名  屋
     古  大
     _屋__通__
   /:○: : : ○ : : : :ヽ 名古屋⇔徳重
    ̄ 今池フ ○ : /     35分
       /: : : :/
 御器所/: :○: :/
     /: : : : : /
    ,': : : : : :/   鳴  相  神  徳
新瑞橋: ○ : { 野 子  生
    {: : : : : :丶並__北_山_沢_重
     '.: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ
     \: : : : :○: :□: : :□: : □: : :□ )
       \ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :ノ
          ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

5 :ファンクラブ会員番号774:2017/01/28(土) 00:48:46.64 ID:LNxlfTJV


6 :ファンクラブ会員番号774:2017/01/28(土) 01:17:23.09 ID:0qYjVEeK
重複です
移動してください


http://karma.2ch.net/test/read.cgi/idol/1483987951/

7 :ファンクラブ会員番号774:2017/01/28(土) 02:02:44.70 ID:OVez503m
俺は人類最強の新聞配達員というコピーに引かれ
人類最強になるためにはどうすればよいのか考えた
人類最強なのだからどんなこともできる
手始めに全裸でバイクにまたがり朝もやの立ちこもる町を走り出す
新聞を取り出し、天声人語を精読し、署名を自分の名前に書き換える
ゴミ収集車のおじさんが呆然としながら見ているが人類最強なので気にしない
村田兆治の生霊が乗り移ったかのようなフォームでポストに新聞を次々と投げ入れて行く
おじさんはマサカリ投法に感動して収集車に乗り走り去る
だがまだ最強には不十分
次は女性会社員(23)に「アサヒがサンサン、アサヒがサンサン」と叫びながら近づく
女性会社員(23)は帰宅の途中だったが人類最強なので無視
バイクの上に全裸で逆立ちをしながら
「中国に配慮しろ!!韓国に補償しろ!!」と絶叫
女性会社員(23)は大泣きで退散
確実に人類最強に近づく
冷えて来たのでとりあえず下着だけ身につけ帰宅
見事な自分の仕事ぶりに満足し、日課のグアバ茶を一気飲みする
ふと外を見るとをパトカーの大群を発見
女性会社員(23)の通報を受けた警官達を発見
俺は泣いた

8 :ファンクラブ会員番号774:2017/01/28(土) 02:44:54.46 ID:wBzAImBM
日本最初の天皇神武帝は八百万の神々の住む高天原の主神アマテラス(天照大神)の直系の子孫である。
  
神武帝は即位前の45歳のときに天孫降臨の地タカチホから日本統一を目指してヤマトへ出立した(神武東征)が、5年の歳月を経て奈良盆地に入ろうといたとき先住民の豪族ナガスネヒコの抵抗にあって敗退した。

これは日の神の皇子が太陽(東上)に向かって進軍したためだと反省,海路で熊野川河口に下り、太陽を背にして北上することにした。

この十津川進軍は難航したが、高天原から様子を見ていたアマテラスは八咫烏(ヤタガラス)を遣わして道案内をさせて進軍を支援、奈良盆地到着後は再びナガスネヒコと対峙した。

しかし、神武帝の弓にアマテラスが遣わした黄金色のトビ(金鵄)がとまって眩惑(上写真)したためナガスネヒコの軍は背走、BC660年2月11日ヤマトを平定した神武帝(51歳)は橿原神宮で天皇に即位したといわれる。

ところで神武帝を道案内した八咫烏は太陽の化身とされる三本足の烏で、現在はサッカー日本代表のエンブレム(写真@)として使用されている。又、金鵄は旧憲法下で軍功のあった軍人のみに授与された金鵄勲章で知られるが、戦後は無論廃止されている。

以上は古事記・日本書紀の神話に基づく伝承であるが,両書は8世紀初頭に天武帝によって編纂(創作)された天皇由来記である。

ちなみに、645年の大化改新以前にはアマテラス(天照大神)の記述は無く、天孫降臨の神話は日本と関係深い朝鮮南部の伽耶(任那日本府所在地)の建国神話と酷似していることから、神武東征も大陸から渡来した天皇族がヤマトを平定して建国したという説もある。

一方、BC660年の根拠は干支で記された日本書紀の神武帝即位年「辛酉年春正月」を明治6年(1873年)にグレゴリオ暦採用後算出したもので、2月11日の紀元節(建国記念日)も同年から始まったものである。

したがって江戸時代までは天皇やその宗教である神社神道への関心は薄く、天皇が神聖化され国家神道が国教とされたのはいずれも1867年の明治維新(王政復古)後のことで、、日本最初の皇居とされる橿原神宮(写真A)が建立されたのは明治23年(1890年)である。

9 :ファンクラブ会員番号774:2017/01/28(土) 03:52:30.20 ID:cyR0wi5V
                

   
       ,ィ´ ̄ ̄`i 、
       i .|    .:|::|
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       .| `ー-一´:::|
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         |   .....::::::::|-‐´_      `、
         .| .....:::::::::: ::::| ̄  `ヽ、,::::....  ヽ
         | : ...::::::.....::::|:::::    ヾ:::::::...  `、
     _-─‐-_| ..:::::::::::::::::..:|:::     ヾ::::::::   ヽ
    ./    :::|:...   ...::: :|::.      i::::::  ...:::|
    |     :::| :::::::::::::::  :|::       ヾ:: ..::::::/
   .,イ     ::::|       :|:        |::.::::::::/
  / |      ::::|       :|:        |:::::::::/
  i  :|      ::リ       :ト、         :/
 .|  |:::::::...    :::::::::::    |        :::: .::|
  |:::. |:::::::::    ::::::::::::    ;;::::::::     ::;;;:::::::|
  |::::  ::::::::::   :::::::::::::::   :::::::::::::.......,,,;;;;;;;;;;:::::イ
  .|:::  ::::::::::::.......:::::::::::::::::.. :::::::::::;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:::::`ヽ、

10 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/04(土) 16:59:50.36 ID:FnJBduAB
新曲ってもう披露されたのですか?

11 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/04(土) 17:04:07.53 ID:Trl33Y+2
>>10
まだ披露されてません

なおここは重複スレですので
最初に立ったこちらを利用してください
【北海道札幌出身】WHY@DOLL Part8【ほわどる】
http://karma.2ch.net/test/read.cgi/idol/1483958323/

12 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/04(土) 18:48:20.75 ID:QHHc/6GQ
>>11
そのスレはワッチョイID付きなので行きません

13 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/04(土) 18:57:21.10 ID:/5ijsBI/
やましいところがあるから
ワッチョイダメなんでしょうな
兎に角ここは重複なんで書き込まないように

14 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/04(土) 18:58:08.01 ID:/5ijsBI/
ここは重複スレですので
最初に立ったこちらを利用してください
【北海道札幌出身】WHY@DOLL Part8【ほわどる】
http://karma.2ch.net/test/read.cgi/idol/1483958323/

15 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/04(土) 19:36:09.66 ID:X7uS7sz1
 
1 名前:ファンクラブ会員番号774 転載ダメ©2ch.net (ワッチョイ df71-8xKb [219.111.164.217])[] 投稿日:2017/01/09(月) 19:38:43.96 ID:IFPP3s2a0
北海道札幌出身で現在は関東を中心に活動するオーガニックガールズユニットWHY@DOLLを応援するスレです


102 名前:ファンクラブ会員番号774 (ワッチョイ df71-8xKb [111.216.91.254])[] 投稿日:2017/01/04(水) 21:28:44.76 ID:P1WwTPja0
麻里ちゃんのうんこ食べたい



IP変わっててもワッチョイ一緒(^Д^)ギャハ
そのスレ変体が立てた変体スレじゃん

16 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/04(土) 20:14:39.48 ID:/5ijsBI/
ここは重複スレですので
最初に立ったこちらを利用してください
【北海道札幌出身】WHY@DOLL Part8【ほわどる】
http://karma.2ch.net/test/read.cgi/idol/1483958323/

17 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/04(土) 20:14:51.36 ID:/5ijsBI/
ここは重複スレですので
最初に立ったこちらを利用してください
【北海道札幌出身】WHY@DOLL Part8【ほわどる】
http://karma.2ch.net/test/read.cgi/idol/1483958323/

18 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/04(土) 21:12:49.42 ID:z+EwIfFz
どこが本スレだか分からなかったけど荒らされてるからここが本スレですね

19 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/04(土) 21:47:33.57 ID:/5ijsBI/
ここは重複スレですので
最初に立ったこちらを利用してください
【北海道札幌出身】WHY@DOLL Part8【ほわどる】
http://karma.2ch.net/test/read.cgi/idol/1483958323/

20 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/04(土) 21:57:57.93 ID:lD6Rp6r2
そのスレって2人しか書き込んでないじゃん

って思ったが1人じゃんかw

たぶん自分の立てたスレを使わせようとしてこのスレ荒らしてるんだろなぁ〜

21 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/04(土) 21:59:01.64 ID:/5ijsBI/
ここは重複スレですので
最初に立ったこちらを利用してください
【北海道札幌出身】WHY@DOLL Part8【ほわどる】
http://karma.2ch.net/test/read.cgi/idol/1483958323/

22 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/04(土) 21:59:16.01 ID:/5ijsBI/
ここは重複スレですので
最初に立ったこちらを利用してください
【北海道札幌出身】WHY@DOLL Part8【ほわどる】
http://karma.2ch.net/test/read.cgi/idol/1483958323/

23 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/04(土) 21:59:23.67 ID:/5ijsBI/
ここは重複スレですので
最初に立ったこちらを利用してください
【北海道札幌出身】WHY@DOLL Part8【ほわどる】
http://karma.2ch.net/test/read.cgi/idol/1483958323/

24 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/04(土) 22:00:01.46 ID:/5ijsBI/
普通に規約違反だぞ

25 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/04(土) 22:00:10.07 ID:/5ijsBI/
ここは重複スレですので
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【北海道札幌出身】WHY@DOLL Part8【ほわどる】
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26 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/04(土) 22:01:00.21 ID:/5ijsBI/
ここは重複スレですので
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27 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/04(土) 22:01:07.77 ID:/5ijsBI/
ここは重複スレですので
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28 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/04(土) 22:01:35.08 ID:/5ijsBI/
ここは重複スレですので
最初に立ったこちらを利用してください
【北海道札幌出身】WHY@DOLL Part8【ほわどる】
http://karma.2ch.net/test/read.cgi/idol/1483958323/

29 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/04(土) 22:01:42.48 ID:/5ijsBI/
ここは重複スレですので
最初に立ったこちらを利用してください
【北海道札幌出身】WHY@DOLL Part8【ほわどる】
http://karma.2ch.net/test/read.cgi/idol/1483958323/

30 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/04(土) 22:03:36.98 ID:/5ijsBI/
ここは重複スレですので
最初に立ったこちらを利用してください
【北海道札幌出身】WHY@DOLL Part8【ほわどる】
http://karma.2ch.net/test/read.cgi/idol/1483958323/

31 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/04(土) 22:04:59.62 ID:/5ijsBI/
重複スレですので
最初に立ったこちらを利用してください
【北海道札幌出身】WHY@DOLL Part8【ほわどる】
http://karma.2ch.net/test/read.cgi/idol/1483958323/

素直にIPとワッチョイ受け入れろ

32 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/04(土) 22:05:47.97 ID:/5ijsBI/
重複スレですので
最初に立ったこちらを利用してください
【北海道札幌出身】WHY@DOLL Part8【ほわどる】
http://karma.2ch.net/test/read.cgi/idol/1483958323/

素直にIPとワッチョイ受け入れろ

33 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/04(土) 22:06:06.60 ID:/5ijsBI/
重複スレですので
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【北海道札幌出身】WHY@DOLL Part8【ほわどる】
http://karma.2ch.net/test/read.cgi/idol/1483958323/

素直にIPとワッチョイ受け入れろ

34 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/04(土) 22:08:43.71 ID:/5ijsBI/
重複スレですので
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【北海道札幌出身】WHY@DOLL Part8【ほわどる】
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素直にIPとワッチョイ受け入れろ

35 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/04(土) 22:08:53.50 ID:/5ijsBI/
重複スレですので
最初に立ったこちらを利用してください
【北海道札幌出身】WHY@DOLL Part8【ほわどる】
http://karma.2ch.net/test/read.cgi/idol/1483958323/

素直にIPとワッチョイ受け入れろ

36 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/04(土) 22:10:41.37 ID:/5ijsBI/
重複スレです
最初に立ったこちらを利用してください
【北海道札幌出身】WHY@DOLL Part8【ほわどる】
http://karma.2ch.net/test/read.cgi/idol/1483958323/

37 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/04(土) 22:11:09.55 ID:/5ijsBI/
重複スレです
最初に立ったこちらを利用してください
【北海道札幌出身】WHY@DOLL Part8【ほわどる】
http://karma.2ch.net/test/read.cgi/idol/1483958323/

38 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/04(土) 22:14:59.87 ID:/5ijsBI/
重複スレです
最初に立ったこちらを利用してください
【北海道札幌出身】WHY@DOLL Part8【ほわどる】
http://karma.2ch.net/test/read.cgi/idol/1483958323/

39 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/04(土) 22:16:14.38 ID:/5ijsBI/
重複スレです
最初に立ったこちらを利用してください
【北海道札幌出身】WHY@DOLL Part8【ほわどる】
http://karma.2ch.net/test/read.cgi/idol/1483958323/

40 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/04(土) 22:18:30.60 ID:/5ijsBI/
重複スレです
最初に立ったこちらを利用してください
【北海道札幌出身】WHY@DOLL Part8【ほわどる】
http://karma.2ch.net/test/read.cgi/idol/1483958323/

41 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/04(土) 22:19:05.39 ID:/5ijsBI/
こちらが本スレです
【北海道札幌出身】WHY@DOLL Part8【ほわどる】
http://karma.2ch.net/test/read.cgi/idol/1483958323/

42 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/04(土) 22:21:52.10 ID:/5ijsBI/
こちらが本スレです
【北海道札幌出身】WHY@DOLL Part8【ほわどる】
http://karma.2ch.net/test/read.cgi/idol/1483958323/

43 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/04(土) 22:21:58.59 ID:/5ijsBI/
こちらが本スレです
【北海道札幌出身】WHY@DOLL Part8【ほわどる】
http://karma.2ch.net/test/read.cgi/idol/1483958323/

44 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/04(土) 22:25:54.41 ID:/5ijsBI/
こちらが本スレです
【北海道札幌出身】WHY@DOLL Part8【ほわどる】
http://karma.2ch.net/test/read.cgi/idol/1483958323/

45 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/04(土) 22:30:23.73 ID:/5ijsBI/
こちらが本スレです
【北海道札幌出身】WHY@DOLL Part8【ほわどる】
http://karma.2ch.net/test/read.cgi/idol/1483958323/

46 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/04(土) 22:30:54.38 ID:/5ijsBI/
こちらが本スレです
【北海道札幌出身】WHY@DOLL Part8【ほわどる】
http://karma.2ch.net/test/read.cgi/idol/1483958323/

47 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/04(土) 22:39:07.68 ID:OynwGEpj
>>15
これは酷いwwwww

48 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/04(土) 22:41:40.43 ID:/5ijsBI/
こちらが本スレです
【北海道札幌出身】WHY@DOLL Part8【ほわどる】
http://karma.2ch.net/test/read.cgi/idol/1483958323/

49 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/04(土) 22:43:32.00 ID:/5ijsBI/
こちらが本スレです
【北海道札幌出身】WHY@DOLL Part8【ほわどる】
http://karma.2ch.net/test/read.cgi/idol/1483958323/

50 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/04(土) 22:52:49.37 ID:/5ijsBI/
こちらが本スレです
【北海道札幌出身】WHY@DOLL Part8【ほわどる】
http://karma.2ch.net/test/read.cgi/idol/1483958323/

51 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/04(土) 23:01:57.59 ID:NWtMY2Ze
 
1 名前:ファンクラブ会員番号774 転載ダメ©2ch.net (ワッチョイ df71-8xKb [219.111.164.217])[] 投稿日:2017/01/09(月) 19:38:43.96 ID:IFPP3s2a0
北海道札幌出身で現在は関東を中心に活動するオーガニックガールズユニットWHY@DOLLを応援するスレです


102 名前:ファンクラブ会員番号774 (ワッチョイ df71-8xKb [111.216.91.254])[] 投稿日:2017/01/04(水) 21:28:44.76 ID:P1WwTPja0
麻里ちゃんのうんこ食べたい

52 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/04(土) 23:16:41.52 ID:OynwGEpj
>>51


IPアドレス 219.111.164.217
ホスト名 pdb6fa4d9.sitmnt01.ap.so-net.ne.jp
IPアドレス割当てエリア
国 日本
都道府県(CF値) 埼玉 ( 95 )
市区町村(CF値) さいたま市 ( 55 )




IPアドレス 111.216.91.254
ホスト名 p6fd85bfe.sitmnt01.ap.so-net.ne.jp
IPアドレス割当てエリア
国 日本
都道府県(CF値) 埼玉 ( 95 )
市区町村(CF値) さいたま市 ( 55 )



ワッチョイ df71-8xKbは同じ

53 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/04(土) 23:20:58.70 ID:GKZO5Pan
変態が建てたにしろ
あっちのほうが先に立ってるから
ワッチョイスレ使えよ

54 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/04(土) 23:26:12.64 ID:ImdzqZwP
こっちのスレも荒らしが建てたんだよな
荒らしvs.スカトロマニアの闘いやな

55 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/04(土) 23:27:29.84 ID:ImdzqZwP
 直譯なるもの及び之れと密接の關係ある不完全なる和譯英字書の譯語を其儘に用うるの弊害世に知られて、
英學界の呪詛となりたれども、單に代名詞、助動詞等の譯し振りを變じたるのみにして、種々の事情より此弊未だ一掃せられず、
此形式的譯法は原文の意義を發揮するに於て甚だ不完全のみならず、諸子一度此習癖に染まば修學上の害測り知るべからざるものあらん。
又之れと全く反對の自由なる意譯法は、單に譯文として見る時は兎に角、諸子が修學の助けとして遺憾甚だ多し。著者等は原文の成句成文を單位として其意義を十分に譯出し、
邦語の語法の許す限りは原文の一語をも忽かせにせざらんことを努め、且つ譯文中に屡々原文を
(「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2-13-28)入して譯文との關係を示し、又其※(「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2-13-28)
の原文は直ちに和文英譯の參考たらんことに意を用ゐたり。盖し是れ至難の業、茲には著者等の意のある所を一言し、如何に之れに成功したるかは諸子の判斷に委せんとす。
 最後に諸子の注意を促さんに、原文と譯文とを對照して其意義を解したるのみに放擲せば、諸子の惱中に留まるは恐らく譯文にして原文にあらざらん、
是れ英文を讀むと稱するも其實邦文を讀みたるものなり。著者等は諸子に切言す、相對照して其意義を明かにしたる後更に原文のみを數回音讀して其印象を得られんことを、
且つ譯文によりて和文英譯を試みられなば頗る有益の練習となり、著者等が此微々たる盡力を最大に利益に應用するものと云ふべし。
譯註者識

        ――――――
          注意
 譯解の都合上原書の一パラグラフを幾段にも分つの必要を生ぜり、但し段落の初行を一字劃右に寄せたるが原書に於けるパラグラフの始めと知るべし。
[#改丁]

本篇緒言

 譯者は本叢書第六篇『無人島日記』の緒言に於て、『ロビンソン、クルーソー漂流記』は冐險的、商業的、實際的なるアングロサキソンの特性を具體にしたるものなることを云へり。
然れども是等の特色は未だ以て偉大なる國民を形成するに足らず、更に個人の品性を堅實にし、國民の理想を高遠ならしむる、道徳的、靈性的勢力の大なるものあるを要す。譯者は茲に本篇『アーサー王物語』に於て、
アングロサキソン人種をして眞に偉大なる國民たらしめたる、更に重要にして根本的なる其性格理想の幾分を諸子に紹介するの機を得たるを悦ぶ。
 アーサー王圓卓士の物語は、五世紀の半

56 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/04(土) 23:27:45.47 ID:ImdzqZwP
 直譯なるもの及び之れと密接の關係ある不完全なる和譯英字書の譯語を其儘に用うるの弊害世に知られて、
英學界の呪詛となりたれども、單に代名詞、助動詞等の譯し振りを變じたるのみにして、種々の事情より此弊未だ一掃せられず、
此形式的譯法は原文の意義を發揮するに於て甚だ不完全のみならず、諸子一度此習癖に染まば修學上の害測り知るべからざるものあらん。
又之れと全く反對の自由なる意譯法は、單に譯文として見る時は兎に角、諸子が修學の助けとして遺憾甚だ多し。著者等は原文の成句成文を單位として其意義を十分に譯出し、
邦語の語法の許す限りは原文の一語をも忽かせにせざらんことを努め、且つ譯文中に屡々原文を
(「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2-13-28)入して譯文との關係を示し、又其※(「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2-13-28)
の原文は直ちに和文英譯の參考たらんことに意を用ゐたり。盖し是れ至難の業、茲には著者等の意のある所を一言し、如何に之れに成功したるかは諸子の判斷に委せんとす。
 最後に諸子の注意を促さんに、原文と譯文とを對照して其意義を解したるのみに放擲せば、諸子の惱中に留まるは恐らく譯文にして原文にあらざらん、
是れ英文を讀むと稱するも其實邦文を讀みたるものなり。著者等は諸子に切言す、相對照して其意義を明かにしたる後更に原文のみを數回音讀して其印象を得られんことを、
且つ譯文によりて和文英譯を試みられなば頗る有益の練習となり、著者等が此微々たる盡力を最大に利益に應用するものと云ふべし。
譯註者識

        ――――――
          注意
 譯解の都合上原書の一パラグラフを幾段にも分つの必要を生ぜり、但し段落の初行を一字劃右に寄せたるが原書に於けるパラグラフの始めと知るべし。
[#改丁]

本篇緒言

 譯者は本叢書第六篇『無人島日記』の緒言に於て、『ロビンソン、クルーソー漂流記』は冐險的、商業的、實際的なるアングロサキソンの特性を具體にしたるものなることを云へり。
然れども是等の特色は未だ以て偉大なる國民を形成するに足らず、更に個人の品性を堅實にし、國民の理想を高遠ならしむる、道徳的、靈性的勢力の大なるものあるを要す。譯者は茲に本篇『アーサー王物語』に於て、
アングロサキソン人種をして眞に偉大なる國民たらしめたる、更に重要にして根本的なる其性格理想の幾分を諸子に紹介するの機を得たるを悦ぶ。
 アーサー王圓卓士の物語は、五世紀の半

57 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/04(土) 23:29:45.66 ID:uOOtfi9m
前スレでID赤くして一人で埋め立てしてたのは埼玉野郎だったのか
気に入らない書き込みは埋め立てでスレを流す
人間クズとし言いようがない

58 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/04(土) 23:38:27.10 ID:ImdzqZwP
 直譯なるもの及び之れと密接の關係ある不完全なる和譯英字書の譯語を其儘に用うるの弊害世に知られて、
英學界の呪詛となりたれども、單に代名詞、助動詞等の譯し振りを變じたるのみにして、種々の事情より此弊未だ一掃せられず、
此形式的譯法は原文の意義を發揮するに於て甚だ不完全のみならず、諸子一度此習癖に染まば修學上の害測り知るべからざるものあらん。
又之れと全く反對の自由なる意譯法は、單に譯文として見る時は兎に角、諸子が修學の助けとして遺憾甚だ多し。著者等は原文の成句成文を單位として其意義を十分に譯出し、
邦語の語法の許す限りは原文の一語をも忽かせにせざらんことを努め、且つ譯文中に屡々原文を
(「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2-13-28)入して譯文との關係を示し、又其※(「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2-13-28)
の原文は直ちに和文英譯の參考たらんことに意を用ゐたり。盖し是れ至難の業、茲には著者等の意のある所を一言し、如何に之れに成功したるかは諸子の判斷に委せんとす。
 最後に諸子の注意を促さんに、原文と譯文とを對照して其意義を解したるのみに放擲せば、諸子の惱中に留まるは恐らく譯文にして原文にあらざらん、
是れ英文を讀むと稱するも其實邦文を讀みたるものなり。著者等は諸子に切言す、相對照して其意義を明かにしたる後更に原文のみを數回音讀して其印象を得られんことを、
且つ譯文によりて和文英譯を試みられなば頗る有益の練習となり、著者等が此微々たる盡力を最大に利益に應用するものと云ふべし。
譯註者識

        ――――――
          注意
 譯解の都合上原書の一パラグラフを幾段にも分つの必要を生ぜり、但し段落の初行を一字劃右に寄せたるが原書に於けるパラグラフの始めと知るべし。
[#改丁]

本篇緒言

 譯者は本叢書第六篇『無人島日記』の緒言に於て、『ロビンソン、クルーソー漂流記』は冐險的、商業的、實際的なるアングロサキソンの特性を具體にしたるものなることを云へり。
然れども是等の特色は未だ以て偉大なる國民を形成するに足らず、更に個人の品性を堅實にし、國民の理想を高遠ならしむる、道徳的、靈性的勢力の大なるものあるを要す。譯者は茲に本篇『アーサー王物語』に於て、
アングロサキソン人種をして眞に偉大なる國民たらしめたる、更に重要にして根本的なる其性格理想の幾分を諸子に紹介するの機を得たるを悦ぶ。
 アーサー王圓卓士の物語は、五世紀の半

59 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/04(土) 23:38:49.55 ID:ImdzqZwP
 直譯なるもの及び之れと密接の關係ある不完全なる和譯英字書の譯語を其儘に用うるの弊害世に知られて、
英學界の呪詛となりたれども、單に代名詞、助動詞等の譯し振りを變じたるのみにして、種々の事情より此弊未だ一掃せられず、
此形式的譯法は原文の意義を發揮するに於て甚だ不完全のみならず、諸子一度此習癖に染まば修學上の害測り知るべからざるものあらん。
又之れと全く反對の自由なる意譯法は、單に譯文として見る時は兎に角、諸子が修學の助けとして遺憾甚だ多し。著者等は原文の成句成文を單位として其意義を十分に譯出し、
邦語の語法の許す限りは原文の一語をも忽かせにせざらんことを努め、且つ譯文中に屡々原文を
(「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2-13-28)入して譯文との關係を示し、又其※(「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2-13-28)
の原文は直ちに和文英譯の參考たらんことに意を用ゐたり。盖し是れ至難の業、茲には著者等の意のある所を一言し、如何に之れに成功したるかは諸子の判斷に委せんとす。
 最後に諸子の注意を促さんに、原文と譯文とを對照して其意義を解したるのみに放擲せば、諸子の惱中に留まるは恐らく譯文にして原文にあらざらん、
是れ英文を讀むと稱するも其實邦文を讀みたるものなり。著者等は諸子に切言す、相對照して其意義を明かにしたる後更に原文のみを數回音讀して其印象を得られんことを、
且つ譯文によりて和文英譯を試みられなば頗る有益の練習となり、著者等が此微々たる盡力を最大に利益に應用するものと云ふべし。
譯註者識

        ――――――
          注意
 譯解の都合上原書の一パラグラフを幾段にも分つの必要を生ぜり、但し段落の初行を一字劃右に寄せたるが原書に於けるパラグラフの始めと知るべし。
[#改丁]

本篇緒言

 譯者は本叢書第六篇『無人島日記』の緒言に於て、『ロビンソン、クルーソー漂流記』は冐險的、商業的、實際的なるアングロサキソンの特性を具體にしたるものなることを云へり。
然れども是等の特色は未だ以て偉大なる國民を形成するに足らず、更に個人の品性を堅實にし、國民の理想を高遠ならしむる、道徳的、靈性的勢力の大なるものあるを要す。譯者は茲に本篇『アーサー王物語』に於て、
アングロサキソン人種をして眞に偉大なる國民たらしめたる、更に重要にして根本的なる其性格理想の幾分を諸子に紹介するの機を得たるを悦ぶ。
 アーサー王圓卓士の物語は、五世紀の半

60 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/04(土) 23:39:10.19 ID:ImdzqZwP
 直譯なるもの及び之れと密接の關係ある不完全なる和譯英字書の譯語を其儘に用うるの弊害世に知られて、
英學界の呪詛となりたれども、單に代名詞、助動詞等の譯し振りを變じたるのみにして、種々の事情より此弊未だ一掃せられず、
此形式的譯法は原文の意義を發揮するに於て甚だ不完全のみならず、諸子一度此習癖に染まば修學上の害測り知るべからざるものあらん。
又之れと全く反對の自由なる意譯法は、單に譯文として見る時は兎に角、諸子が修學の助けとして遺憾甚だ多し。著者等は原文の成句成文を單位として其意義を十分に譯出し、
邦語の語法の許す限りは原文の一語をも忽かせにせざらんことを努め、且つ譯文中に屡々原文を
(「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2-13-28)入して譯文との關係を示し、又其※(「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2-13-28)
の原文は直ちに和文英譯の參考たらんことに意を用ゐたり。盖し是れ至難の業、茲には著者等の意のある所を一言し、如何に之れに成功したるかは諸子の判斷に委せんとす。
 最後に諸子の注意を促さんに、原文と譯文とを對照して其意義を解したるのみに放擲せば、諸子の惱中に留まるは恐らく譯文にして原文にあらざらん、
是れ英文を讀むと稱するも其實邦文を讀みたるものなり。著者等は諸子に切言す、相對照して其意義を明かにしたる後更に原文のみを數回音讀して其印象を得られんことを、
且つ譯文によりて和文英譯を試みられなば頗る有益の練習となり、著者等が此微々たる盡力を最大に利益に應用するものと云ふべし。
譯註者識

        ――――――
          注意
 譯解の都合上原書の一パラグラフを幾段にも分つの必要を生ぜり、但し段落の初行を一字劃右に寄せたるが原書に於けるパラグラフの始めと知るべし。
[#改丁]

本篇緒言

 譯者は本叢書第六篇『無人島日記』の緒言に於て、『ロビンソン、クルーソー漂流記』は冐險的、商業的、實際的なるアングロサキソンの特性を具體にしたるものなることを云へり。
然れども是等の特色は未だ以て偉大なる國民を形成するに足らず、更に個人の品性を堅實にし、國民の理想を高遠ならしむる、道徳的、靈性的勢力の大なるものあるを要す。譯者は茲に本篇『アーサー王物語』に於て、
アングロサキソン人種をして眞に偉大なる國民たらしめたる、更に重要にして根本的なる其性格理想の幾分を諸子に紹介するの機を得たるを悦ぶ。
 アーサー王圓卓士の物語は、五世紀の半

61 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/04(土) 23:49:09.63 ID:9fvkNIA7
>>57
散々くだらない荒らしし続けてよくいうわw

62 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/04(土) 23:55:06.68 ID:faERVspQ
般若心経は始め「仏説」からはじまるんですよ
正しくはこうなるハズ
 仏説摩訶般若波羅蜜多心経
観自在菩薩 行深般若波羅蜜多時 照見五蘊皆空 
度一切苦厄 舎利子 色不異空 空不異色 色即是空 
空即是色 受想行識亦復如是 舎利子 是諸法空相 
不生不滅 不垢不浄 不増不減 是故空中 
無色 無受想行識 無眼耳鼻舌身意 無色声香味触法 
無眼界 乃至無意識界 無無明亦 無無明尽 
乃至無老死 亦無老死尽 無苦集滅道 無智亦無得 
以無所得故 菩提薩埵 依般若波羅蜜多故 
心無罣礙 無罣礙故 無有恐怖 遠離一切顛倒夢想 
究竟涅槃 三世諸仏 依般若波羅蜜多故 
得阿耨多羅三藐三菩提 故知般若波羅蜜多 
是大神呪 是大明呪 是無上呪 是無等等呪 
能除一切苦 真実不虚 故説般若波羅蜜多呪 
即説呪日 羯諦 羯諦 波羅羯諦 波羅僧羯諦 
菩提薩婆訶 般若心経 

63 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/04(土) 23:55:45.14 ID:faERVspQ
般若心経は始め「仏説」からはじまるんですよ
正しくはこうなるハズ
 仏説摩訶般若波羅蜜多心経
観自在菩薩 行深般若波羅蜜多時 照見五蘊皆空 
度一切苦厄 舎利子 色不異空 空不異色 色即是空 
空即是色 受想行識亦復如是 舎利子 是諸法空相 
不生不滅 不垢不浄 不増不減 是故空中 
無色 無受想行識 無眼耳鼻舌身意 無色声香味触法 
無眼界 乃至無意識界 無無明亦 無無明尽 
乃至無老死 亦無老死尽 無苦集滅道 無智亦無得 
以無所得故 菩提薩埵 依般若波羅蜜多故 
心無罣礙 無罣礙故 無有恐怖 遠離一切顛倒夢想 
究竟涅槃 三世諸仏 依般若波羅蜜多故 
得阿耨多羅三藐三菩提 故知般若波羅蜜多 
是大神呪 是大明呪 是無上呪 是無等等呪 
能除一切苦 真実不虚 故説般若波羅蜜多呪 
即説呪日 羯諦 羯諦 波羅羯諦 波羅僧羯諦 
菩提薩婆訶 般若心経 
般若心経は始め「仏説」からはじまるんですよ
正しくはこうなるハズ
 仏説摩訶般若波羅蜜多心経
観自在菩薩 行深般若波羅蜜多時 照見五蘊皆空 
度一切苦厄 舎利子 色不異空 空不異色 色即是空 
空即是色 受想行識亦復如是 舎利子 是諸法空相 
不生不滅 不垢不浄 不増不減 是故空中 
無色 無受想行識 無眼耳鼻舌身意 無色声香味触法 
無眼界 乃至無意識界 無無明亦 無無明尽 
乃至無老死 亦無老死尽 無苦集滅道 無智亦無得 
以無所得故 菩提薩埵 依般若波羅蜜多故 
心無罣礙 無罣礙故 無有恐怖 遠離一切顛倒夢想 
究竟涅槃 三世諸仏 依般若波羅蜜多故 
得阿耨多羅三藐三菩提 故知般若波羅蜜多 
是大神呪 是大明呪 是無上呪 是無等等呪 
能除一切苦 真実不虚 故説般若波羅蜜多呪 
即説呪日 羯諦 羯諦 波羅羯諦 波羅僧羯諦 
菩提薩婆訶 般若心経  👀
Rock54: Caution(BBR-MD5:0be15ced7fbdb9fdb4d0ce1929c1b82f)


64 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 00:00:44.36 ID:BZ51aHsu
 そのころ、東京中の町という町、家という家では、ふたり以上の人が顔をあわせさえすれば、
まるでお天気のあいさつでもするように、怪人「二十面相」のうわさをしていました。
「二十面相」というのは、毎日毎日、新聞記事をにぎわしている、ふしぎな盗賊とうぞくのあだ名です。
その賊は二十のまったくちがった顔を持っているといわれていました。つまり、変装へんそうがとびきりじょうずなのです。
 どんなに明るい場所で、どんなに近よってながめても、少しも変装とはわからない、まるでちがった人に見えるのだそうです。
老人にも若者にも、富豪ふごうにも乞食こじきにも、学者にも無頼漢ぶらいかんにも、いや、女にさえも、まったくその人になりきってしまうことができるといいます。
 では、その賊のほんとうの年はいくつで、どんな顔をしているのかというと、それは、だれひとり見たことがありません。
二十種もの顔を持っているけれど、そのうちの、どれがほんとうの顔なのだか、だれも知らない。いや、賊自身でも、ほんとうの顔をわすれてしまっているのかもしれません。それほど、たえずちがった顔、ちがった姿で、人の前にあらわれるのです。
 そういう変装の天才みたいな賊だものですから、警察でもこまってしまいました。いったい、どの顔を目あてに捜索したらいいのか、まるで見当がつかないからです。
 ただ、せめてものしあわせは、この盗賊は、宝石だとか、美術品だとか、美しくてめずらしくて、ひじょうに高価な品物をぬすむばかりで、現金にはあまり興味を持たないようですし、
それに、人を傷つけたり殺したりする、ざんこくなふるまいは、一度もしたことがありません。血がきらいなのです。
 しかし、いくら血がきらいだからといって、悪いことをするやつのことですから、自分の身があぶないとなれば、それをのがれるためには、何をするかわかったものではありません。
東京中の人が「二十面相」のうわさばかりしているというのも、じつは、こわくてしかたがないからです。
 ことに、日本にいくつという貴重な品物を持っている富豪などは、ふるえあがってこわがっていました。
今までのようすで見ますと、いくら警察へたのんでも、ふせぎようのない、おそろしい賊なのですから。
 この「二十面相」には、一つのみょうなくせがありました。何かこれという貴重な品物をねらいますと、かならず前もって、いついく日にはそれをちょうだいに参上するという、予告状を送ることです。
賊ながらも、不公平なたたかいはしたくないと心がけているのかもしれません。
それともまた、いくら用心しても、ちゃんと取ってみせるぞ、おれの腕まえは、こんなものだと、ほこりたいのかもしれません。
いずれにしても、大胆不敵だいたんふてき、傍若無人ぼうじゃくぶじんの怪盗かいとうといわねばなりません。

65 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 00:01:17.72 ID:BZ51aHsu
 そのころ、東京中の町という町、家という家では、ふたり以上の人が顔をあわせさえすれば、
まるでお天気のあいさつでもするように、怪人「二十面相」のうわさをしていました。
「二十面相」というのは、毎日毎日、新聞記事をにぎわしている、ふしぎな盗賊とうぞくのあだ名です。
その賊は二十のまったくちがった顔を持っているといわれていました。つまり、変装へんそうがとびきりじょうずなのです。
 どんなに明るい場所で、どんなに近よってながめても、少しも変装とはわからない、まるでちがった人に見えるのだそうです。
老人にも若者にも、富豪ふごうにも乞食こじきにも、学者にも無頼漢ぶらいかんにも、いや、女にさえも、まったくその人になりきってしまうことができるといいます。
 では、その賊のほんとうの年はいくつで、どんな顔をしているのかというと、それは、だれひとり見たことがありません。
二十種もの顔を持っているけれど、そのうちの、どれがほんとうの顔なのだか、だれも知らない。いや、賊自身でも、ほんとうの顔をわすれてしまっているのかもしれません。それほど、たえずちがった顔、ちがった姿で、人の前にあらわれるのです。
 そういう変装の天才みたいな賊だものですから、警察でもこまってしまいました。いったい、どの顔を目あてに捜索したらいいのか、まるで見当がつかないからです。
 ただ、せめてものしあわせは、この盗賊は、宝石だとか、美術品だとか、美しくてめずらしくて、ひじょうに高価な品物をぬすむばかりで、現金にはあまり興味を持たないようですし、
それに、人を傷つけたり殺したりする、ざんこくなふるまいは、一度もしたことがありません。血がきらいなのです。
 しかし、いくら血がきらいだからといって、悪いことをするやつのことですから、自分の身があぶないとなれば、それをのがれるためには、何をするかわかったものではありません。
東京中の人が「二十面相」のうわさばかりしているというのも、じつは、こわくてしかたがないからです。
 ことに、日本にいくつという貴重な品物を持っている富豪などは、ふるえあがってこわがっていました。
今までのようすで見ますと、いくら警察へたのんでも、ふせぎようのない、おそろしい賊なのですから。
 この「二十面相」には、一つのみょうなくせがありました。何かこれという貴重な品物をねらいますと、かならず前もって、いついく日にはそれをちょうだいに参上するという、予告状を送ることです。
賊ながらも、不公平なたたかいはしたくないと心がけているのかもしれません。
それともまた、いくら用心しても、ちゃんと取ってみせるぞ、おれの腕まえは、こんなものだと、ほこりたいのかもしれません。
いずれにしても、大胆不敵だいたんふてき、傍若無人ぼうじゃくぶじんの怪盗かいとうといわねばなりません。

66 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 00:03:06.37 ID:BZ51aHsu
 そのころ、東京中の町という町、家という家では、ふたり以上の人が顔をあわせさえすれば、
まるでお天気のあいさつでもするように、怪人「二十面相」のうわさをしていました。
「二十面相」というのは、毎日毎日、新聞記事をにぎわしている、ふしぎな盗賊とうぞくのあだ名です。
その賊は二十のまったくちがった顔を持っているといわれていました。つまり、変装へんそうがとびきりじょうずなのです。
 どんなに明るい場所で、どんなに近よってながめても、少しも変装とはわからない、まるでちがった人に見えるのだそうです。
老人にも若者にも、富豪ふごうにも乞食こじきにも、学者にも無頼漢ぶらいかんにも、いや、女にさえも、まったくその人になりきってしまうことができるといいます。
 では、その賊のほんとうの年はいくつで、どんな顔をしているのかというと、それは、だれひとり見たことがありません。
二十種もの顔を持っているけれど、そのうちの、どれがほんとうの顔なのだか、だれも知らない。いや、賊自身でも、ほんとうの顔をわすれてしまっているのかもしれません。それほど、たえずちがった顔、ちがった姿で、人の前にあらわれるのです。
 そういう変装の天才みたいな賊だものですから、警察でもこまってしまいました。いったい、どの顔を目あてに捜索したらいいのか、まるで見当がつかないからです。
 ただ、せめてものしあわせは、この盗賊は、宝石だとか、美術品だとか、美しくてめずらしくて、ひじょうに高価な品物をぬすむばかりで、現金にはあまり興味を持たないようですし、
それに、人を傷つけたり殺したりする、ざんこくなふるまいは、一度もしたことがありません。血がきらいなのです。
 しかし、いくら血がきらいだからといって、悪いことをするやつのことですから、自分の身があぶないとなれば、それをのがれるためには、何をするかわかったものではありません。
東京中の人が「二十面相」のうわさばかりしているというのも、じつは、こわくてしかたがないからです。
 ことに、日本にいくつという貴重な品物を持っている富豪などは、ふるえあがってこわがっていました。
今までのようすで見ますと、いくら警察へたのんでも、ふせぎようのない、おそろしい賊なのですから。
 この「二十面相」には、一つのみょうなくせがありました。何かこれという貴重な品物をねらいますと、かならず前もって、いついく日にはそれをちょうだいに参上するという、予告状を送ることです。
賊ながらも、不公平なたたかいはしたくないと心がけているのかもしれません。
それともまた、いくら用心しても、ちゃんと取ってみせるぞ、おれの腕まえは、こんなものだと、ほこりたいのかもしれません。
いずれにしても、大胆不敵だいたんふてき、傍若無人ぼうじゃくぶじんの怪盗かいとうといわねばなりません。

67 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 00:03:54.86 ID:BZ51aHsu
 そのころ、東京中の町という町、家という家では、ふたり以上の人が顔をあわせさえすれば、
まるでお天気のあいさつでもするように、怪人「二十面相」のうわさをしていました。
「二十面相」というのは、毎日毎日、新聞記事をにぎわしている、ふしぎな盗賊とうぞくのあだ名です。
その賊は二十のまったくちがった顔を持っているといわれていました。つまり、変装へんそうがとびきりじょうずなのです。
 どんなに明るい場所で、どんなに近よってながめても、少しも変装とはわからない、まるでちがった人に見えるのだそうです。
老人にも若者にも、富豪ふごうにも乞食こじきにも、学者にも無頼漢ぶらいかんにも、いや、女にさえも、まったくその人になりきってしまうことができるといいます。
 では、その賊のほんとうの年はいくつで、どんな顔をしているのかというと、それは、だれひとり見たことがありません。
二十種もの顔を持っているけれど、そのうちの、どれがほんとうの顔なのだか、だれも知らない。いや、賊自身でも、ほんとうの顔をわすれてしまっているのかもしれません。それほど、たえずちがった顔、ちがった姿で、人の前にあらわれるのです。
 そういう変装の天才みたいな賊だものですから、警察でもこまってしまいました。いったい、どの顔を目あてに捜索したらいいのか、まるで見当がつかないからです。
 ただ、せめてものしあわせは、この盗賊は、宝石だとか、美術品だとか、美しくてめずらしくて、ひじょうに高価な品物をぬすむばかりで、現金にはあまり興味を持たないようですし、
それに、人を傷つけたり殺したりする、ざんこくなふるまいは、一度もしたことがありません。血がきらいなのです。
 しかし、いくら血がきらいだからといって、悪いことをするやつのことですから、自分の身があぶないとなれば、それをのがれるためには、何をするかわかったものではありません。
東京中の人が「二十面相」のうわさばかりしているというのも、じつは、こわくてしかたがないからです。
 ことに、日本にいくつという貴重な品物を持っている富豪などは、ふるえあがってこわがっていました。
今までのようすで見ますと、いくら警察へたのんでも、ふせぎようのない、おそろしい賊なのですから。
 この「二十面相」には、一つのみょうなくせがありました。何かこれという貴重な品物をねらいますと、かならず前もって、いついく日にはそれをちょうだいに参上するという、予告状を送ることです。
賊ながらも、不公平なたたかいはしたくないと心がけているのかもしれません。
それともまた、いくら用心しても、ちゃんと取ってみせるぞ、おれの腕まえは、こんなものだと、ほこりたいのかもしれません。
いずれにしても、大胆不敵だいたんふてき、傍若無人ぼうじゃくぶじんの怪盗かいとうといわねばなりません。

68 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 00:04:12.99 ID:BZ51aHsu
 そのころ、東京中の町という町、家という家では、ふたり以上の人が顔をあわせさえすれば、
まるでお天気のあいさつでもするように、怪人「二十面相」のうわさをしていました。
「二十面相」というのは、毎日毎日、新聞記事をにぎわしている、ふしぎな盗賊とうぞくのあだ名です。
その賊は二十のまったくちがった顔を持っているといわれていました。つまり、変装へんそうがとびきりじょうずなのです。
 どんなに明るい場所で、どんなに近よってながめても、少しも変装とはわからない、まるでちがった人に見えるのだそうです。
老人にも若者にも、富豪ふごうにも乞食こじきにも、学者にも無頼漢ぶらいかんにも、いや、女にさえも、まったくその人になりきってしまうことができるといいます。
 では、その賊のほんとうの年はいくつで、どんな顔をしているのかというと、それは、だれひとり見たことがありません。
二十種もの顔を持っているけれど、そのうちの、どれがほんとうの顔なのだか、だれも知らない。いや、賊自身でも、ほんとうの顔をわすれてしまっているのかもしれません。それほど、たえずちがった顔、ちがった姿で、人の前にあらわれるのです。
 そういう変装の天才みたいな賊だものですから、警察でもこまってしまいました。いったい、どの顔を目あてに捜索したらいいのか、まるで見当がつかないからです。
 ただ、せめてものしあわせは、この盗賊は、宝石だとか、美術品だとか、美しくてめずらしくて、ひじょうに高価な品物をぬすむばかりで、現金にはあまり興味を持たないようですし、
それに、人を傷つけたり殺したりする、ざんこくなふるまいは、一度もしたことがありません。血がきらいなのです。
 しかし、いくら血がきらいだからといって、悪いことをするやつのことですから、自分の身があぶないとなれば、それをのがれるためには、何をするかわかったものではありません。
東京中の人が「二十面相」のうわさばかりしているというのも、じつは、こわくてしかたがないからです。
 ことに、日本にいくつという貴重な品物を持っている富豪などは、ふるえあがってこわがっていました。
今までのようすで見ますと、いくら警察へたのんでも、ふせぎようのない、おそろしい賊なのですから。
 この「二十面相」には、一つのみょうなくせがありました。何かこれという貴重な品物をねらいますと、かならず前もって、いついく日にはそれをちょうだいに参上するという、予告状を送ることです。
賊ながらも、不公平なたたかいはしたくないと心がけているのかもしれません。
それともまた、いくら用心しても、ちゃんと取ってみせるぞ、おれの腕まえは、こんなものだと、ほこりたいのかもしれません。
いずれにしても、大胆不敵だいたんふてき、傍若無人ぼうじゃくぶじんの怪盗かいとうといわねばなりません。

69 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 00:04:34.63 ID:/BwAiLDL
 そのころ、東京中の町という町、家という家では、ふたり以上の人が顔をあわせさえすれば、
まるでお天気のあいさつでもするように、怪人「二十面相」のうわさをしていました。
「二十面相」というのは、毎日毎日、新聞記事をにぎわしている、ふしぎな盗賊とうぞくのあだ名です。
その賊は二十のまったくちがった顔を持っているといわれていました。つまり、変装へんそうがとびきりじょうずなのです。
 どんなに明るい場所で、どんなに近よってながめても、少しも変装とはわからない、まるでちがった人に見えるのだそうです。
老人にも若者にも、富豪ふごうにも乞食こじきにも、学者にも無頼漢ぶらいかんにも、いや、女にさえも、まったくその人になりきってしまうことができるといいます。
 では、その賊のほんとうの年はいくつで、どんな顔をしているのかというと、それは、だれひとり見たことがありません。
二十種もの顔を持っているけれど、そのうちの、どれがほんとうの顔なのだか、だれも知らない。いや、賊自身でも、ほんとうの顔をわすれてしまっているのかもしれません。それほど、たえずちがった顔、ちがった姿で、人の前にあらわれるのです。
 そういう変装の天才みたいな賊だものですから、警察でもこまってしまいました。いったい、どの顔を目あてに捜索したらいいのか、まるで見当がつかないからです。
 ただ、せめてものしあわせは、この盗賊は、宝石だとか、美術品だとか、美しくてめずらしくて、ひじょうに高価な品物をぬすむばかりで、現金にはあまり興味を持たないようですし、
それに、人を傷つけたり殺したりする、ざんこくなふるまいは、一度もしたことがありません。血がきらいなのです。
 しかし、いくら血がきらいだからといって、悪いことをするやつのことですから、自分の身があぶないとなれば、それをのがれるためには、何をするかわかったものではありません。
東京中の人が「二十面相」のうわさばかりしているというのも、じつは、こわくてしかたがないからです。
 ことに、日本にいくつという貴重な品物を持っている富豪などは、ふるえあがってこわがっていました。
今までのようすで見ますと、いくら警察へたのんでも、ふせぎようのない、おそろしい賊なのですから。
 この「二十面相」には、一つのみょうなくせがありました。何かこれという貴重な品物をねらいますと、かならず前もって、いついく日にはそれをちょうだいに参上するという、予告状を送ることです。
賊ながらも、不公平なたたかいはしたくないと心がけているのかもしれません。
それともまた、いくら用心しても、ちゃんと取ってみせるぞ、おれの腕まえは、こんなものだと、ほこりたいのかもしれません。
いずれにしても、大胆不敵だいたんふてき、傍若無人ぼうじゃくぶじんの怪盗かいとうといわねばなりません。

70 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 00:05:20.68 ID:/BwAiLDL
 そのころ、東京中の町という町、家という家では、ふたり以上の人が顔をあわせさえすれば、
まるでお天気のあいさつでもするように、怪人「二十面相」のうわさをしていました。
「二十面相」というのは、毎日毎日、新聞記事をにぎわしている、ふしぎな盗賊とうぞくのあだ名です。
その賊は二十のまったくちがった顔を持っているといわれていました。つまり、変装へんそうがとびきりじょうずなのです。
 どんなに明るい場所で、どんなに近よってながめても、少しも変装とはわからない、まるでちがった人に見えるのだそうです。
老人にも若者にも、富豪ふごうにも乞食こじきにも、学者にも無頼漢ぶらいかんにも、いや、女にさえも、まったくその人になりきってしまうことができるといいます。
 では、その賊のほんとうの年はいくつで、どんな顔をしているのかというと、それは、だれひとり見たことがありません。
二十種もの顔を持っているけれど、そのうちの、どれがほんとうの顔なのだか、だれも知らない。いや、賊自身でも、ほんとうの顔をわすれてしまっているのかもしれません。それほど、たえずちがった顔、ちがった姿で、人の前にあらわれるのです。
 そういう変装の天才みたいな賊だものですから、警察でもこまってしまいました。いったい、どの顔を目あてに捜索したらいいのか、まるで見当がつかないからです。
 ただ、せめてものしあわせは、この盗賊は、宝石だとか、美術品だとか、美しくてめずらしくて、ひじょうに高価な品物をぬすむばかりで、現金にはあまり興味を持たないようですし、
それに、人を傷つけたり殺したりする、ざんこくなふるまいは、一度もしたことがありません。血がきらいなのです。
 しかし、いくら血がきらいだからといって、悪いことをするやつのことですから、自分の身があぶないとなれば、それをのがれるためには、何をするかわかったものではありません。
東京中の人が「二十面相」のうわさばかりしているというのも、じつは、こわくてしかたがないからです。
 ことに、日本にいくつという貴重な品物を持っている富豪などは、ふるえあがってこわがっていました。
今までのようすで見ますと、いくら警察へたのんでも、ふせぎようのない、おそろしい賊なのですから。
 この「二十面相」には、一つのみょうなくせがありました。何かこれという貴重な品物をねらいますと、かならず前もって、いついく日にはそれをちょうだいに参上するという、予告状を送ることです。
賊ながらも、不公平なたたかいはしたくないと心がけているのかもしれません。
それともまた、いくら用心しても、ちゃんと取ってみせるぞ、おれの腕まえは、こんなものだと、ほこりたいのかもしれません。
いずれにしても、大胆不敵だいたんふてき、傍若無人ぼうじゃくぶじんの怪盗かいとうといわねばなりません。

71 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 00:08:54.89 ID:/BwAiLDL
 佳子よしこは、毎朝、夫の登庁とうちょうを見送って了しまうと、それはいつも十時を過ぎるのだが、やっと自分のからだになって、洋館の方の、夫と共用の書斎へ、
とじ籠こもるのが例になっていた。そこで、彼女は今、K雑誌のこの夏の増大号にのせる為の、長い創作にとりかかっているのだった。
 美しい閨秀けいしゅう作家としての彼女は、此この頃ごろでは、外務省書記官である夫君の影を薄く思わせる程も、有名になっていた。
彼女の所へは、毎日の様に未知の崇拝者達からの手紙が、幾通となくやって来た。
 今朝けさとても、彼女は、書斎の机の前に坐ると、仕事にとりかかる前に、先まず、それらの未知の人々からの手紙に、目を通さねばならなかった。
 それは何いずれも、極きまり切った様に、つまらぬ文句のものばかりであったが、彼女は、女の優しい心遣こころづかいから、どの様な手紙であろうとも、自分に宛あてられたものは、兎とも角かくも、一通りは読んで見ることにしていた。
 簡単なものから先にして、二通の封書と、一葉のはがきとを見て了うと、あとにはかさ高い原稿らしい一通が残った。
別段通知の手紙は貰もらっていないけれど、そうして、突然原稿を送って来る例は、これまでにしても、よくあることだった。
それは、多くの場合、長々しく退屈極る代物であったけれど、彼女は兎も角も、表題丈だけでも見て置こうと、封を切って、中の紙束を取出して見た。
 それは、思った通り、原稿用紙を綴とじたものであった。が、どうしたことか、表題も署名もなく、突然「奥様」という、呼びかけの言葉で始まっているのだった。
ハテナ、では、やっぱり手紙なのかしら、そう思って、何気なく二行三行と目を走らせて行く内に、
彼女は、そこから、何となく異常な、妙に気味悪いものを予感した。そして、持前もちまえの好奇心が、彼女をして、ぐんぐん、先を読ませて行くのであった。

 奥様、
 奥様の方では、少しも御存じのない男から、突然、此様このような無躾ぶしつけな御手紙を、差上げます罪を、幾重いくえにもお許し下さいませ。
 こんなことを申上げますと、奥様は、さぞかしびっくりなさる事で御座いましょうが、私は今、
あなたの前に、私の犯して来ました、世にも不思議な罪悪を、告白しようとしているのでございます。
 私は数ヶ月の間、全く人間界から姿を隠して、本当に、悪魔の様な生活を続けて参りました。勿論もちろん、広い世界に誰一人、私の所業を知るものはありません。
若もし、何事もなければ、私は、このまま永久に、人間界に立帰ることはなかったかも知れないのでございます。
 ところが、近頃になりまして、私の心にある不思議な変化が起りました。
そして、どうしても、この、私の因果な身の上を、懺悔ざんげしないではいられなくなりました。
ただ、かように申しましたばかりでは、色々御不審ごふしんに思召おぼしめす点もございましょうが、どうか、兎も角も、この手紙を終りまで御読み下さいませ。
そうすれば、何故なぜ、私がそんな気持になったのか。又何故、この告白を、殊更ことさら奥様に聞いて頂かねばならぬのか、それらのことが、悉ことごとく明白になるでございましょう。
 さて、何から書き初めたらいいのか、余りに人間離れのした、奇怪千万な事実なので、こうした、人間世界で使われる、手紙という様な方法では、妙に面おもはゆくて、筆の鈍るのを覚えます。で
でも、迷っていても仕方がございません。兎も角も、事の起りから、順を追って、書いて行くことに致しましょう。
 私は生れつき、世にも醜い容貌の持主でございます。
これをどうか、はっきりと、お覚えなすっていて下さいませ。そうでないと、若し、あなたが、この無躾な願いを容いれて、私にお逢あい下さいました場合、たださえ醜い私の顔が、長い月日の不健康な生活の為ために、二ふた目と見られぬ、
ひどい姿になっているのを、何の予備知識もなしに、あなたに見られるのは、私としては、堪たえ難がたいことでございます。

72 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 00:09:34.75 ID:/BwAiLDL
 佳子よしこは、毎朝、夫の登庁とうちょうを見送って了しまうと、それはいつも十時を過ぎるのだが、やっと自分のからだになって、洋館の方の、夫と共用の書斎へ、
とじ籠こもるのが例になっていた。そこで、彼女は今、K雑誌のこの夏の増大号にのせる為の、長い創作にとりかかっているのだった。
 美しい閨秀けいしゅう作家としての彼女は、此この頃ごろでは、外務省書記官である夫君の影を薄く思わせる程も、有名になっていた。
彼女の所へは、毎日の様に未知の崇拝者達からの手紙が、幾通となくやって来た。
 今朝けさとても、彼女は、書斎の机の前に坐ると、仕事にとりかかる前に、先まず、それらの未知の人々からの手紙に、目を通さねばならなかった。
 それは何いずれも、極きまり切った様に、つまらぬ文句のものばかりであったが、彼女は、女の優しい心遣こころづかいから、どの様な手紙であろうとも、自分に宛あてられたものは、兎とも角かくも、一通りは読んで見ることにしていた。
 簡単なものから先にして、二通の封書と、一葉のはがきとを見て了うと、あとにはかさ高い原稿らしい一通が残った。
別段通知の手紙は貰もらっていないけれど、そうして、突然原稿を送って来る例は、これまでにしても、よくあることだった。
それは、多くの場合、長々しく退屈極る代物であったけれど、彼女は兎も角も、表題丈だけでも見て置こうと、封を切って、中の紙束を取出して見た。
 それは、思った通り、原稿用紙を綴とじたものであった。が、どうしたことか、表題も署名もなく、突然「奥様」という、呼びかけの言葉で始まっているのだった。
ハテナ、では、やっぱり手紙なのかしら、そう思って、何気なく二行三行と目を走らせて行く内に、
彼女は、そこから、何となく異常な、妙に気味悪いものを予感した。そして、持前もちまえの好奇心が、彼女をして、ぐんぐん、先を読ませて行くのであった。

 奥様、
 奥様の方では、少しも御存じのない男から、突然、此様このような無躾ぶしつけな御手紙を、差上げます罪を、幾重いくえにもお許し下さいませ。
 こんなことを申上げますと、奥様は、さぞかしびっくりなさる事で御座いましょうが、私は今、
あなたの前に、私の犯して来ました、世にも不思議な罪悪を、告白しようとしているのでございます。
 私は数ヶ月の間、全く人間界から姿を隠して、本当に、悪魔の様な生活を続けて参りました。勿論もちろん、広い世界に誰一人、私の所業を知るものはありません。
若もし、何事もなければ、私は、このまま永久に、人間界に立帰ることはなかったかも知れないのでございます。
 ところが、近頃になりまして、私の心にある不思議な変化が起りました。
そして、どうしても、この、私の因果な身の上を、懺悔ざんげしないではいられなくなりました。
ただ、かように申しましたばかりでは、色々御不審ごふしんに思召おぼしめす点もございましょうが、どうか、兎も角も、この手紙を終りまで御読み下さいませ。
そうすれば、何故なぜ、私がそんな気持になったのか。又何故、この告白を、殊更ことさら奥様に聞いて頂かねばならぬのか、それらのことが、悉ことごとく明白になるでございましょう。
 さて、何から書き初めたらいいのか、余りに人間離れのした、奇怪千万な事実なので、こうした、人間世界で使われる、手紙という様な方法では、妙に面おもはゆくて、筆の鈍るのを覚えます。で
でも、迷っていても仕方がございません。兎も角も、事の起りから、順を追って、書いて行くことに致しましょう。
 私は生れつき、世にも醜い容貌の持主でございます。
これをどうか、はっきりと、お覚えなすっていて下さいませ。そうでないと、若し、あなたが、この無躾な願いを容いれて、私にお逢あい下さいました場合、たださえ醜い私の顔が、長い月日の不健康な生活の為ために、二ふた目と見られぬ、
ひどい姿になっているのを、何の予備知識もなしに、あなたに見られるのは、私としては、堪たえ難がたいことでございます。

73 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 00:10:17.70 ID:/BwAiLDL
 佳子よしこは、毎朝、夫の登庁とうちょうを見送って了しまうと、それはいつも十時を過ぎるのだが、やっと自分のからだになって、洋館の方の、夫と共用の書斎へ、
とじ籠こもるのが例になっていた。そこで、彼女は今、K雑誌のこの夏の増大号にのせる為の、長い創作にとりかかっているのだった。
 美しい閨秀けいしゅう作家としての彼女は、此この頃ごろでは、外務省書記官である夫君の影を薄く思わせる程も、有名になっていた。
彼女の所へは、毎日の様に未知の崇拝者達からの手紙が、幾通となくやって来た。
 今朝けさとても、彼女は、書斎の机の前に坐ると、仕事にとりかかる前に、先まず、それらの未知の人々からの手紙に、目を通さねばならなかった。
 それは何いずれも、極きまり切った様に、つまらぬ文句のものばかりであったが、彼女は、女の優しい心遣こころづかいから、どの様な手紙であろうとも、自分に宛あてられたものは、兎とも角かくも、一通りは読んで見ることにしていた。
 簡単なものから先にして、二通の封書と、一葉のはがきとを見て了うと、あとにはかさ高い原稿らしい一通が残った。
別段通知の手紙は貰もらっていないけれど、そうして、突然原稿を送って来る例は、これまでにしても、よくあることだった。
それは、多くの場合、長々しく退屈極る代物であったけれど、彼女は兎も角も、表題丈だけでも見て置こうと、封を切って、中の紙束を取出して見た。
 それは、思った通り、原稿用紙を綴とじたものであった。が、どうしたことか、表題も署名もなく、突然「奥様」という、呼びかけの言葉で始まっているのだった。
ハテナ、では、やっぱり手紙なのかしら、そう思って、何気なく二行三行と目を走らせて行く内に、
彼女は、そこから、何となく異常な、妙に気味悪いものを予感した。そして、持前もちまえの好奇心が、彼女をして、ぐんぐん、先を読ませて行くのであった。

 奥様、
 奥様の方では、少しも御存じのない男から、突然、此様このような無躾ぶしつけな御手紙を、差上げます罪を、幾重いくえにもお許し下さいませ。
 こんなことを申上げますと、奥様は、さぞかしびっくりなさる事で御座いましょうが、私は今、
あなたの前に、私の犯して来ました、世にも不思議な罪悪を、告白しようとしているのでございます。
 私は数ヶ月の間、全く人間界から姿を隠して、本当に、悪魔の様な生活を続けて参りました。勿論もちろん、広い世界に誰一人、私の所業を知るものはありません。
若もし、何事もなければ、私は、このまま永久に、人間界に立帰ることはなかったかも知れないのでございます。
 ところが、近頃になりまして、私の心にある不思議な変化が起りました。
そして、どうしても、この、私の因果な身の上を、懺悔ざんげしないではいられなくなりました。
ただ、かように申しましたばかりでは、色々御不審ごふしんに思召おぼしめす点もございましょうが、どうか、兎も角も、この手紙を終りまで御読み下さいませ。
そうすれば、何故なぜ、私がそんな気持になったのか。又何故、この告白を、殊更ことさら奥様に聞いて頂かねばならぬのか、それらのことが、悉ことごとく明白になるでございましょう。
 さて、何から書き初めたらいいのか、余りに人間離れのした、奇怪千万な事実なので、こうした、人間世界で使われる、手紙という様な方法では、妙に面おもはゆくて、筆の鈍るのを覚えます。で
でも、迷っていても仕方がございません。兎も角も、事の起りから、順を追って、書いて行くことに致しましょう。
 私は生れつき、世にも醜い容貌の持主でございます。
これをどうか、はっきりと、お覚えなすっていて下さいませ。そうでないと、若し、あなたが、この無躾な願いを容いれて、私にお逢あい下さいました場合、たださえ醜い私の顔が、長い月日の不健康な生活の為ために、二ふた目と見られぬ、
ひどい姿になっているのを、何の予備知識もなしに、あなたに見られるのは、私としては、堪たえ難がたいことでございます。

74 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 00:11:32.89 ID:/BwAiLDL
 佳子よしこは、毎朝、夫の登庁とうちょうを見送って了しまうと、それはいつも十時を過ぎるのだが、やっと自分のからだになって、洋館の方の、夫と共用の書斎へ、
とじ籠こもるのが例になっていた。そこで、彼女は今、K雑誌のこの夏の増大号にのせる為の、長い創作にとりかかっているのだった。
 美しい閨秀けいしゅう作家としての彼女は、此この頃ごろでは、外務省書記官である夫君の影を薄く思わせる程も、有名になっていた。
彼女の所へは、毎日の様に未知の崇拝者達からの手紙が、幾通となくやって来た。
 今朝けさとても、彼女は、書斎の机の前に坐ると、仕事にとりかかる前に、先まず、それらの未知の人々からの手紙に、目を通さねばならなかった。
 それは何いずれも、極きまり切った様に、つまらぬ文句のものばかりであったが、彼女は、女の優しい心遣こころづかいから、どの様な手紙であろうとも、自分に宛あてられたものは、兎とも角かくも、一通りは読んで見ることにしていた。
 簡単なものから先にして、二通の封書と、一葉のはがきとを見て了うと、あとにはかさ高い原稿らしい一通が残った。
別段通知の手紙は貰もらっていないけれど、そうして、突然原稿を送って来る例は、これまでにしても、よくあることだった。
それは、多くの場合、長々しく退屈極る代物であったけれど、彼女は兎も角も、表題丈だけでも見て置こうと、封を切って、中の紙束を取出して見た。
 それは、思った通り、原稿用紙を綴とじたものであった。が、どうしたことか、表題も署名もなく、突然「奥様」という、呼びかけの言葉で始まっているのだった。
ハテナ、では、やっぱり手紙なのかしら、そう思って、何気なく二行三行と目を走らせて行く内に、
彼女は、そこから、何となく異常な、妙に気味悪いものを予感した。そして、持前もちまえの好奇心が、彼女をして、ぐんぐん、先を読ませて行くのであった。

 奥様、
 奥様の方では、少しも御存じのない男から、突然、此様このような無躾ぶしつけな御手紙を、差上げます罪を、幾重いくえにもお許し下さいませ。
 こんなことを申上げますと、奥様は、さぞかしびっくりなさる事で御座いましょうが、私は今、
あなたの前に、私の犯して来ました、世にも不思議な罪悪を、告白しようとしているのでございます。
 私は数ヶ月の間、全く人間界から姿を隠して、本当に、悪魔の様な生活を続けて参りました。勿論もちろん、広い世界に誰一人、私の所業を知るものはありません。
若もし、何事もなければ、私は、このまま永久に、人間界に立帰ることはなかったかも知れないのでございます。
 ところが、近頃になりまして、私の心にある不思議な変化が起りました。
そして、どうしても、この、私の因果な身の上を、懺悔ざんげしないではいられなくなりました。
ただ、かように申しましたばかりでは、色々御不審ごふしんに思召おぼしめす点もございましょうが、どうか、兎も角も、この手紙を終りまで御読み下さいませ。
そうすれば、何故なぜ、私がそんな気持になったのか。又何故、この告白を、殊更ことさら奥様に聞いて頂かねばならぬのか、それらのことが、悉ことごとく明白になるでございましょう。
 さて、何から書き初めたらいいのか、余りに人間離れのした、奇怪千万な事実なので、こうした、人間世界で使われる、手紙という様な方法では、妙に面おもはゆくて、筆の鈍るのを覚えます。で
でも、迷っていても仕方がございません。兎も角も、事の起りから、順を追って、書いて行くことに致しましょう。
 私は生れつき、世にも醜い容貌の持主でございます。
これをどうか、はっきりと、お覚えなすっていて下さいませ。そうでないと、若し、あなたが、この無躾な願いを容いれて、私にお逢あい下さいました場合、たださえ醜い私の顔が、長い月日の不健康な生活の為ために、二ふた目と見られぬ、
ひどい姿になっているのを、何の予備知識もなしに、あなたに見られるのは、私としては、堪たえ難がたいことでございます。

75 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 00:13:13.77 ID:/BwAiLDL
 佳子よしこは、毎朝、夫の登庁とうちょうを見送って了しまうと、それはいつも十時を過ぎるのだが、やっと自分のからだになって、洋館の方の、夫と共用の書斎へ、
とじ籠こもるのが例になっていた。そこで、彼女は今、K雑誌のこの夏の増大号にのせる為の、長い創作にとりかかっているのだった。
 美しい閨秀けいしゅう作家としての彼女は、此この頃ごろでは、外務省書記官である夫君の影を薄く思わせる程も、有名になっていた。
彼女の所へは、毎日の様に未知の崇拝者達からの手紙が、幾通となくやって来た。
 今朝けさとても、彼女は、書斎の机の前に坐ると、仕事にとりかかる前に、先まず、それらの未知の人々からの手紙に、目を通さねばならなかった。
 それは何いずれも、極きまり切った様に、つまらぬ文句のものばかりであったが、彼女は、女の優しい心遣こころづかいから、どの様な手紙であろうとも、自分に宛あてられたものは、兎とも角かくも、一通りは読んで見ることにしていた。
 簡単なものから先にして、二通の封書と、一葉のはがきとを見て了うと、あとにはかさ高い原稿らしい一通が残った。
別段通知の手紙は貰もらっていないけれど、そうして、突然原稿を送って来る例は、これまでにしても、よくあることだった。
それは、多くの場合、長々しく退屈極る代物であったけれど、彼女は兎も角も、表題丈だけでも見て置こうと、封を切って、中の紙束を取出して見た。
 それは、思った通り、原稿用紙を綴とじたものであった。が、どうしたことか、表題も署名もなく、突然「奥様」という、呼びかけの言葉で始まっているのだった。
ハテナ、では、やっぱり手紙なのかしら、そう思って、何気なく二行三行と目を走らせて行く内に、
彼女は、そこから、何となく異常な、妙に気味悪いものを予感した。そして、持前もちまえの好奇心が、彼女をして、ぐんぐん、先を読ませて行くのであった。

 奥様、
 奥様の方では、少しも御存じのない男から、突然、此様このような無躾ぶしつけな御手紙を、差上げます罪を、幾重いくえにもお許し下さいませ。
 こんなことを申上げますと、奥様は、さぞかしびっくりなさる事で御座いましょうが、私は今、
あなたの前に、私の犯して来ました、世にも不思議な罪悪を、告白しようとしているのでございます。
 私は数ヶ月の間、全く人間界から姿を隠して、本当に、悪魔の様な生活を続けて参りました。勿論もちろん、広い世界に誰一人、私の所業を知るものはありません。
若もし、何事もなければ、私は、このまま永久に、人間界に立帰ることはなかったかも知れないのでございます。
 ところが、近頃になりまして、私の心にある不思議な変化が起りました。
そして、どうしても、この、私の因果な身の上を、懺悔ざんげしないではいられなくなりました。
ただ、かように申しましたばかりでは、色々御不審ごふしんに思召おぼしめす点もございましょうが、どうか、兎も角も、この手紙を終りまで御読み下さいませ。
そうすれば、何故なぜ、私がそんな気持になったのか。又何故、この告白を、殊更ことさら奥様に聞いて頂かねばならぬのか、それらのことが、悉ことごとく明白になるでございましょう。
 さて、何から書き初めたらいいのか、余りに人間離れのした、奇怪千万な事実なので、こうした、人間世界で使われる、手紙という様な方法では、妙に面おもはゆくて、筆の鈍るのを覚えます。で
でも、迷っていても仕方がございません。兎も角も、事の起りから、順を追って、書いて行くことに致しましょう。
 私は生れつき、世にも醜い容貌の持主でございます。
これをどうか、はっきりと、お覚えなすっていて下さいませ。そうでないと、若し、あなたが、この無躾な願いを容いれて、私にお逢あい下さいました場合、たださえ醜い私の顔が、長い月日の不健康な生活の為ために、二ふた目と見られぬ、
ひどい姿になっているのを、何の予備知識もなしに、あなたに見られるのは、私としては、堪たえ難がたいことでございます。

76 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 00:13:52.06 ID:/BwAiLDL
 佳子よしこは、毎朝、夫の登庁とうちょうを見送って了しまうと、それはいつも十時を過ぎるのだが、やっと自分のからだになって、洋館の方の、夫と共用の書斎へ、
とじ籠こもるのが例になっていた。そこで、彼女は今、K雑誌のこの夏の増大号にのせる為の、長い創作にとりかかっているのだった。
 美しい閨秀けいしゅう作家としての彼女は、此この頃ごろでは、外務省書記官である夫君の影を薄く思わせる程も、有名になっていた。
彼女の所へは、毎日の様に未知の崇拝者達からの手紙が、幾通となくやって来た。
 今朝けさとても、彼女は、書斎の机の前に坐ると、仕事にとりかかる前に、先まず、それらの未知の人々からの手紙に、目を通さねばならなかった。
 それは何いずれも、極きまり切った様に、つまらぬ文句のものばかりであったが、彼女は、女の優しい心遣こころづかいから、どの様な手紙であろうとも、自分に宛あてられたものは、兎とも角かくも、一通りは読んで見ることにしていた。
 簡単なものから先にして、二通の封書と、一葉のはがきとを見て了うと、あとにはかさ高い原稿らしい一通が残った。
別段通知の手紙は貰もらっていないけれど、そうして、突然原稿を送って来る例は、これまでにしても、よくあることだった。
それは、多くの場合、長々しく退屈極る代物であったけれど、彼女は兎も角も、表題丈だけでも見て置こうと、封を切って、中の紙束を取出して見た。
 それは、思った通り、原稿用紙を綴とじたものであった。が、どうしたことか、表題も署名もなく、突然「奥様」という、呼びかけの言葉で始まっているのだった。
ハテナ、では、やっぱり手紙なのかしら、そう思って、何気なく二行三行と目を走らせて行く内に、
彼女は、そこから、何となく異常な、妙に気味悪いものを予感した。そして、持前もちまえの好奇心が、彼女をして、ぐんぐん、先を読ませて行くのであった。

 奥様、
 奥様の方では、少しも御存じのない男から、突然、此様このような無躾ぶしつけな御手紙を、差上げます罪を、幾重いくえにもお許し下さいませ。
 こんなことを申上げますと、奥様は、さぞかしびっくりなさる事で御座いましょうが、私は今、
あなたの前に、私の犯して来ました、世にも不思議な罪悪を、告白しようとしているのでございます。
 私は数ヶ月の間、全く人間界から姿を隠して、本当に、悪魔の様な生活を続けて参りました。勿論もちろん、広い世界に誰一人、私の所業を知るものはありません。
若もし、何事もなければ、私は、このまま永久に、人間界に立帰ることはなかったかも知れないのでございます。
 ところが、近頃になりまして、私の心にある不思議な変化が起りました。
そして、どうしても、この、私の因果な身の上を、懺悔ざんげしないではいられなくなりました。
ただ、かように申しましたばかりでは、色々御不審ごふしんに思召おぼしめす点もございましょうが、どうか、兎も角も、この手紙を終りまで御読み下さいませ。
そうすれば、何故なぜ、私がそんな気持になったのか。又何故、この告白を、殊更ことさら奥様に聞いて頂かねばならぬのか、それらのことが、悉ことごとく明白になるでございましょう。
 さて、何から書き初めたらいいのか、余りに人間離れのした、奇怪千万な事実なので、こうした、人間世界で使われる、手紙という様な方法では、妙に面おもはゆくて、筆の鈍るのを覚えます。で
でも、迷っていても仕方がございません。兎も角も、事の起りから、順を追って、書いて行くことに致しましょう。
 私は生れつき、世にも醜い容貌の持主でございます。
これをどうか、はっきりと、お覚えなすっていて下さいませ。そうでないと、若し、あなたが、この無躾な願いを容いれて、私にお逢あい下さいました場合、たださえ醜い私の顔が、長い月日の不健康な生活の為ために、二ふた目と見られぬ、
ひどい姿になっているのを、何の予備知識もなしに、あなたに見られるのは、私としては、堪たえ難がたいことでございます。

77 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 00:14:38.70 ID:/BwAiLDL
 佳子よしこは、毎朝、夫の登庁とうちょうを見送って了しまうと、それはいつも十時を過ぎるのだが、やっと自分のからだになって、洋館の方の、夫と共用の書斎へ、
とじ籠こもるのが例になっていた。そこで、彼女は今、K雑誌のこの夏の増大号にのせる為の、長い創作にとりかかっているのだった。
 美しい閨秀けいしゅう作家としての彼女は、此この頃ごろでは、外務省書記官である夫君の影を薄く思わせる程も、有名になっていた。
彼女の所へは、毎日の様に未知の崇拝者達からの手紙が、幾通となくやって来た。
 今朝けさとても、彼女は、書斎の机の前に坐ると、仕事にとりかかる前に、先まず、それらの未知の人々からの手紙に、目を通さねばならなかった。
 それは何いずれも、極きまり切った様に、つまらぬ文句のものばかりであったが、彼女は、女の優しい心遣こころづかいから、どの様な手紙であろうとも、自分に宛あてられたものは、兎とも角かくも、一通りは読んで見ることにしていた。
 簡単なものから先にして、二通の封書と、一葉のはがきとを見て了うと、あとにはかさ高い原稿らしい一通が残った。
別段通知の手紙は貰もらっていないけれど、そうして、突然原稿を送って来る例は、これまでにしても、よくあることだった。
それは、多くの場合、長々しく退屈極る代物であったけれど、彼女は兎も角も、表題丈だけでも見て置こうと、封を切って、中の紙束を取出して見た。
 それは、思った通り、原稿用紙を綴とじたものであった。が、どうしたことか、表題も署名もなく、突然「奥様」という、呼びかけの言葉で始まっているのだった。
ハテナ、では、やっぱり手紙なのかしら、そう思って、何気なく二行三行と目を走らせて行く内に、
彼女は、そこから、何となく異常な、妙に気味悪いものを予感した。そして、持前もちまえの好奇心が、彼女をして、ぐんぐん、先を読ませて行くのであった。

 奥様、
 奥様の方では、少しも御存じのない男から、突然、此様このような無躾ぶしつけな御手紙を、差上げます罪を、幾重いくえにもお許し下さいませ。
 こんなことを申上げますと、奥様は、さぞかしびっくりなさる事で御座いましょうが、私は今、
あなたの前に、私の犯して来ました、世にも不思議な罪悪を、告白しようとしているのでございます。
 私は数ヶ月の間、全く人間界から姿を隠して、本当に、悪魔の様な生活を続けて参りました。勿論もちろん、広い世界に誰一人、私の所業を知るものはありません。
若もし、何事もなければ、私は、このまま永久に、人間界に立帰ることはなかったかも知れないのでございます。
 ところが、近頃になりまして、私の心にある不思議な変化が起りました。
そして、どうしても、この、私の因果な身の上を、懺悔ざんげしないではいられなくなりました。
ただ、かように申しましたばかりでは、色々御不審ごふしんに思召おぼしめす点もございましょうが、どうか、兎も角も、この手紙を終りまで御読み下さいませ。
そうすれば、何故なぜ、私がそんな気持になったのか。又何故、この告白を、殊更ことさら奥様に聞いて頂かねばならぬのか、それらのことが、悉ことごとく明白になるでございましょう。
 さて、何から書き初めたらいいのか、余りに人間離れのした、奇怪千万な事実なので、こうした、人間世界で使われる、手紙という様な方法では、妙に面おもはゆくて、筆の鈍るのを覚えます。で
でも、迷っていても仕方がございません。兎も角も、事の起りから、順を追って、書いて行くことに致しましょう。
 私は生れつき、世にも醜い容貌の持主でございます。
これをどうか、はっきりと、お覚えなすっていて下さいませ。そうでないと、若し、あなたが、この無躾な願いを容いれて、私にお逢あい下さいました場合、たださえ醜い私の顔が、長い月日の不健康な生活の為ために、二ふた目と見られぬ、
ひどい姿になっているのを、何の予備知識もなしに、あなたに見られるのは、私としては、堪たえ難がたいことでございます。

78 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 00:15:11.31 ID:/BwAiLDL
 佳子よしこは、毎朝、夫の登庁とうちょうを見送って了しまうと、それはいつも十時を過ぎるのだが、やっと自分のからだになって、洋館の方の、夫と共用の書斎へ、
とじ籠こもるのが例になっていた。そこで、彼女は今、K雑誌のこの夏の増大号にのせる為の、長い創作にとりかかっているのだった。
 美しい閨秀けいしゅう作家としての彼女は、此この頃ごろでは、外務省書記官である夫君の影を薄く思わせる程も、有名になっていた。
彼女の所へは、毎日の様に未知の崇拝者達からの手紙が、幾通となくやって来た。
 今朝けさとても、彼女は、書斎の机の前に坐ると、仕事にとりかかる前に、先まず、それらの未知の人々からの手紙に、目を通さねばならなかった。
 それは何いずれも、極きまり切った様に、つまらぬ文句のものばかりであったが、彼女は、女の優しい心遣こころづかいから、どの様な手紙であろうとも、自分に宛あてられたものは、兎とも角かくも、一通りは読んで見ることにしていた。
 簡単なものから先にして、二通の封書と、一葉のはがきとを見て了うと、あとにはかさ高い原稿らしい一通が残った。
別段通知の手紙は貰もらっていないけれど、そうして、突然原稿を送って来る例は、これまでにしても、よくあることだった。
それは、多くの場合、長々しく退屈極る代物であったけれど、彼女は兎も角も、表題丈だけでも見て置こうと、封を切って、中の紙束を取出して見た。
 それは、思った通り、原稿用紙を綴とじたものであった。が、どうしたことか、表題も署名もなく、突然「奥様」という、呼びかけの言葉で始まっているのだった。
ハテナ、では、やっぱり手紙なのかしら、そう思って、何気なく二行三行と目を走らせて行く内に、
彼女は、そこから、何となく異常な、妙に気味悪いものを予感した。そして、持前もちまえの好奇心が、彼女をして、ぐんぐん、先を読ませて行くのであった。

 奥様、
 奥様の方では、少しも御存じのない男から、突然、此様このような無躾ぶしつけな御手紙を、差上げます罪を、幾重いくえにもお許し下さいませ。
 こんなことを申上げますと、奥様は、さぞかしびっくりなさる事で御座いましょうが、私は今、
あなたの前に、私の犯して来ました、世にも不思議な罪悪を、告白しようとしているのでございます。
 私は数ヶ月の間、全く人間界から姿を隠して、本当に、悪魔の様な生活を続けて参りました。勿論もちろん、広い世界に誰一人、私の所業を知るものはありません。
若もし、何事もなければ、私は、このまま永久に、人間界に立帰ることはなかったかも知れないのでございます。
 ところが、近頃になりまして、私の心にある不思議な変化が起りました。
そして、どうしても、この、私の因果な身の上を、懺悔ざんげしないではいられなくなりました。
ただ、かように申しましたばかりでは、色々御不審ごふしんに思召おぼしめす点もございましょうが、どうか、兎も角も、この手紙を終りまで御読み下さいませ。
そうすれば、何故なぜ、私がそんな気持になったのか。又何故、この告白を、殊更ことさら奥様に聞いて頂かねばならぬのか、それらのことが、悉ことごとく明白になるでございましょう。
 さて、何から書き初めたらいいのか、余りに人間離れのした、奇怪千万な事実なので、こうした、人間世界で使われる、手紙という様な方法では、妙に面おもはゆくて、筆の鈍るのを覚えます。で
でも、迷っていても仕方がございません。兎も角も、事の起りから、順を追って、書いて行くことに致しましょう。
 私は生れつき、世にも醜い容貌の持主でございます。
これをどうか、はっきりと、お覚えなすっていて下さいませ。そうでないと、若し、あなたが、この無躾な願いを容いれて、私にお逢あい下さいました場合、たださえ醜い私の顔が、長い月日の不健康な生活の為ために、二ふた目と見られぬ、
ひどい姿になっているのを、何の予備知識もなしに、あなたに見られるのは、私としては、堪たえ難がたいことでございます。

79 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 00:15:41.78 ID:/BwAiLDL
 佳子よしこは、毎朝、夫の登庁とうちょうを見送って了しまうと、それはいつも十時を過ぎるのだが、やっと自分のからだになって、洋館の方の、夫と共用の書斎へ、
とじ籠こもるのが例になっていた。そこで、彼女は今、K雑誌のこの夏の増大号にのせる為の、長い創作にとりかかっているのだった。
 美しい閨秀けいしゅう作家としての彼女は、此この頃ごろでは、外務省書記官である夫君の影を薄く思わせる程も、有名になっていた。
彼女の所へは、毎日の様に未知の崇拝者達からの手紙が、幾通となくやって来た。
 今朝けさとても、彼女は、書斎の机の前に坐ると、仕事にとりかかる前に、先まず、それらの未知の人々からの手紙に、目を通さねばならなかった。
 それは何いずれも、極きまり切った様に、つまらぬ文句のものばかりであったが、彼女は、女の優しい心遣こころづかいから、どの様な手紙であろうとも、自分に宛あてられたものは、兎とも角かくも、一通りは読んで見ることにしていた。
 簡単なものから先にして、二通の封書と、一葉のはがきとを見て了うと、あとにはかさ高い原稿らしい一通が残った。
別段通知の手紙は貰もらっていないけれど、そうして、突然原稿を送って来る例は、これまでにしても、よくあることだった。
それは、多くの場合、長々しく退屈極る代物であったけれど、彼女は兎も角も、表題丈だけでも見て置こうと、封を切って、中の紙束を取出して見た。
 それは、思った通り、原稿用紙を綴とじたものであった。が、どうしたことか、表題も署名もなく、突然「奥様」という、呼びかけの言葉で始まっているのだった。
ハテナ、では、やっぱり手紙なのかしら、そう思って、何気なく二行三行と目を走らせて行く内に、
彼女は、そこから、何となく異常な、妙に気味悪いものを予感した。そして、持前もちまえの好奇心が、彼女をして、ぐんぐん、先を読ませて行くのであった。

 奥様、
 奥様の方では、少しも御存じのない男から、突然、此様このような無躾ぶしつけな御手紙を、差上げます罪を、幾重いくえにもお許し下さいませ。
 こんなことを申上げますと、奥様は、さぞかしびっくりなさる事で御座いましょうが、私は今、
あなたの前に、私の犯して来ました、世にも不思議な罪悪を、告白しようとしているのでございます。
 私は数ヶ月の間、全く人間界から姿を隠して、本当に、悪魔の様な生活を続けて参りました。勿論もちろん、広い世界に誰一人、私の所業を知るものはありません。
若もし、何事もなければ、私は、このまま永久に、人間界に立帰ることはなかったかも知れないのでございます。
 ところが、近頃になりまして、私の心にある不思議な変化が起りました。
そして、どうしても、この、私の因果な身の上を、懺悔ざんげしないではいられなくなりました。
ただ、かように申しましたばかりでは、色々御不審ごふしんに思召おぼしめす点もございましょうが、どうか、兎も角も、この手紙を終りまで御読み下さいませ。
そうすれば、何故なぜ、私がそんな気持になったのか。又何故、この告白を、殊更ことさら奥様に聞いて頂かねばならぬのか、それらのことが、悉ことごとく明白になるでございましょう。
 さて、何から書き初めたらいいのか、余りに人間離れのした、奇怪千万な事実なので、こうした、人間世界で使われる、手紙という様な方法では、妙に面おもはゆくて、筆の鈍るのを覚えます。で
でも、迷っていても仕方がございません。兎も角も、事の起りから、順を追って、書いて行くことに致しましょう。
 私は生れつき、世にも醜い容貌の持主でございます。
これをどうか、はっきりと、お覚えなすっていて下さいませ。そうでないと、若し、あなたが、この無躾な願いを容いれて、私にお逢あい下さいました場合、たださえ醜い私の顔が、長い月日の不健康な生活の為ために、二ふた目と見られぬ、
ひどい姿になっているのを、何の予備知識もなしに、あなたに見られるのは、私としては、堪たえ難がたいことでございます。

80 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 00:16:03.85 ID:dXaEeMVq
 佳子よしこは、毎朝、夫の登庁とうちょうを見送って了しまうと、それはいつも十時を過ぎるのだが、やっと自分のからだになって、洋館の方の、夫と共用の書斎へ、
とじ籠こもるのが例になっていた。そこで、彼女は今、K雑誌のこの夏の増大号にのせる為の、長い創作にとりかかっているのだった。
 美しい閨秀けいしゅう作家としての彼女は、此この頃ごろでは、外務省書記官である夫君の影を薄く思わせる程も、有名になっていた。
彼女の所へは、毎日の様に未知の崇拝者達からの手紙が、幾通となくやって来た。
 今朝けさとても、彼女は、書斎の机の前に坐ると、仕事にとりかかる前に、先まず、それらの未知の人々からの手紙に、目を通さねばならなかった。
 それは何いずれも、極きまり切った様に、つまらぬ文句のものばかりであったが、彼女は、女の優しい心遣こころづかいから、どの様な手紙であろうとも、自分に宛あてられたものは、兎とも角かくも、一通りは読んで見ることにしていた。
 簡単なものから先にして、二通の封書と、一葉のはがきとを見て了うと、あとにはかさ高い原稿らしい一通が残った。
別段通知の手紙は貰もらっていないけれど、そうして、突然原稿を送って来る例は、これまでにしても、よくあることだった。
それは、多くの場合、長々しく退屈極る代物であったけれど、彼女は兎も角も、表題丈だけでも見て置こうと、封を切って、中の紙束を取出して見た。
 それは、思った通り、原稿用紙を綴とじたものであった。が、どうしたことか、表題も署名もなく、突然「奥様」という、呼びかけの言葉で始まっているのだった。
ハテナ、では、やっぱり手紙なのかしら、そう思って、何気なく二行三行と目を走らせて行く内に、
彼女は、そこから、何となく異常な、妙に気味悪いものを予感した。そして、持前もちまえの好奇心が、彼女をして、ぐんぐん、先を読ませて行くのであった。

 奥様、
 奥様の方では、少しも御存じのない男から、突然、此様このような無躾ぶしつけな御手紙を、差上げます罪を、幾重いくえにもお許し下さいませ。
 こんなことを申上げますと、奥様は、さぞかしびっくりなさる事で御座いましょうが、私は今、
あなたの前に、私の犯して来ました、世にも不思議な罪悪を、告白しようとしているのでございます。
 私は数ヶ月の間、全く人間界から姿を隠して、本当に、悪魔の様な生活を続けて参りました。勿論もちろん、広い世界に誰一人、私の所業を知るものはありません。
若もし、何事もなければ、私は、このまま永久に、人間界に立帰ることはなかったかも知れないのでございます。
 ところが、近頃になりまして、私の心にある不思議な変化が起りました。
そして、どうしても、この、私の因果な身の上を、懺悔ざんげしないではいられなくなりました。
ただ、かように申しましたばかりでは、色々御不審ごふしんに思召おぼしめす点もございましょうが、どうか、兎も角も、この手紙を終りまで御読み下さいませ。
そうすれば、何故なぜ、私がそんな気持になったのか。又何故、この告白を、殊更ことさら奥様に聞いて頂かねばならぬのか、それらのことが、悉ことごとく明白になるでございましょう。
 さて、何から書き初めたらいいのか、余りに人間離れのした、奇怪千万な事実なので、こうした、人間世界で使われる、手紙という様な方法では、妙に面おもはゆくて、筆の鈍るのを覚えます。で
でも、迷っていても仕方がございません。兎も角も、事の起りから、順を追って、書いて行くことに致しましょう。
 私は生れつき、世にも醜い容貌の持主でございます。
これをどうか、はっきりと、お覚えなすっていて下さいませ。そうでないと、若し、あなたが、この無躾な願いを容いれて、私にお逢あい下さいました場合、たださえ醜い私の顔が、長い月日の不健康な生活の為ために、二ふた目と見られぬ、
ひどい姿になっているのを、何の予備知識もなしに、あなたに見られるのは、私としては、堪たえ難がたいことでございます。

81 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 00:16:53.45 ID:dXaEeMVq
 佳子よしこは、毎朝、夫の登庁とうちょうを見送って了しまうと、それはいつも十時を過ぎるのだが、やっと自分のからだになって、洋館の方の、夫と共用の書斎へ、
とじ籠こもるのが例になっていた。そこで、彼女は今、K雑誌のこの夏の増大号にのせる為の、長い創作にとりかかっているのだった。
 美しい閨秀けいしゅう作家としての彼女は、此この頃ごろでは、外務省書記官である夫君の影を薄く思わせる程も、有名になっていた。
彼女の所へは、毎日の様に未知の崇拝者達からの手紙が、幾通となくやって来た。
 今朝けさとても、彼女は、書斎の机の前に坐ると、仕事にとりかかる前に、先まず、それらの未知の人々からの手紙に、目を通さねばならなかった。
 それは何いずれも、極きまり切った様に、つまらぬ文句のものばかりであったが、彼女は、女の優しい心遣こころづかいから、どの様な手紙であろうとも、自分に宛あてられたものは、兎とも角かくも、一通りは読んで見ることにしていた。
 簡単なものから先にして、二通の封書と、一葉のはがきとを見て了うと、あとにはかさ高い原稿らしい一通が残った。
別段通知の手紙は貰もらっていないけれど、そうして、突然原稿を送って来る例は、これまでにしても、よくあることだった。
それは、多くの場合、長々しく退屈極る代物であったけれど、彼女は兎も角も、表題丈だけでも見て置こうと、封を切って、中の紙束を取出して見た。
 それは、思った通り、原稿用紙を綴とじたものであった。が、どうしたことか、表題も署名もなく、突然「奥様」という、呼びかけの言葉で始まっているのだった。
ハテナ、では、やっぱり手紙なのかしら、そう思って、何気なく二行三行と目を走らせて行く内に、
彼女は、そこから、何となく異常な、妙に気味悪いものを予感した。そして、持前もちまえの好奇心が、彼女をして、ぐんぐん、先を読ませて行くのであった。

 奥様、
 奥様の方では、少しも御存じのない男から、突然、此様このような無躾ぶしつけな御手紙を、差上げます罪を、幾重いくえにもお許し下さいませ。
 こんなことを申上げますと、奥様は、さぞかしびっくりなさる事で御座いましょうが、私は今、
あなたの前に、私の犯して来ました、世にも不思議な罪悪を、告白しようとしているのでございます。
 私は数ヶ月の間、全く人間界から姿を隠して、本当に、悪魔の様な生活を続けて参りました。勿論もちろん、広い世界に誰一人、私の所業を知るものはありません。
若もし、何事もなければ、私は、このまま永久に、人間界に立帰ることはなかったかも知れないのでございます。
 ところが、近頃になりまして、私の心にある不思議な変化が起りました。
そして、どうしても、この、私の因果な身の上を、懺悔ざんげしないではいられなくなりました。
ただ、かように申しましたばかりでは、色々御不審ごふしんに思召おぼしめす点もございましょうが、どうか、兎も角も、この手紙を終りまで御読み下さいませ。
そうすれば、何故なぜ、私がそんな気持になったのか。又何故、この告白を、殊更ことさら奥様に聞いて頂かねばならぬのか、それらのことが、悉ことごとく明白になるでございましょう。
 さて、何から書き初めたらいいのか、余りに人間離れのした、奇怪千万な事実なので、こうした、人間世界で使われる、手紙という様な方法では、妙に面おもはゆくて、筆の鈍るのを覚えます。で
でも、迷っていても仕方がございません。兎も角も、事の起りから、順を追って、書いて行くことに致しましょう。
 私は生れつき、世にも醜い容貌の持主でございます。
これをどうか、はっきりと、お覚えなすっていて下さいませ。そうでないと、若し、あなたが、この無躾な願いを容いれて、私にお逢あい下さいました場合、たださえ醜い私の顔が、長い月日の不健康な生活の為ために、二ふた目と見られぬ、
ひどい姿になっているのを、何の予備知識もなしに、あなたに見られるのは、私としては、堪たえ難がたいことでございます。

82 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 00:17:17.66 ID:dXaEeMVq
 佳子よしこは、毎朝、夫の登庁とうちょうを見送って了しまうと、それはいつも十時を過ぎるのだが、やっと自分のからだになって、洋館の方の、夫と共用の書斎へ、
とじ籠こもるのが例になっていた。そこで、彼女は今、K雑誌のこの夏の増大号にのせる為の、長い創作にとりかかっているのだった。
 美しい閨秀けいしゅう作家としての彼女は、此この頃ごろでは、外務省書記官である夫君の影を薄く思わせる程も、有名になっていた。
彼女の所へは、毎日の様に未知の崇拝者達からの手紙が、幾通となくやって来た。
 今朝けさとても、彼女は、書斎の机の前に坐ると、仕事にとりかかる前に、先まず、それらの未知の人々からの手紙に、目を通さねばならなかった。
 それは何いずれも、極きまり切った様に、つまらぬ文句のものばかりであったが、彼女は、女の優しい心遣こころづかいから、どの様な手紙であろうとも、自分に宛あてられたものは、兎とも角かくも、一通りは読んで見ることにしていた。
 簡単なものから先にして、二通の封書と、一葉のはがきとを見て了うと、あとにはかさ高い原稿らしい一通が残った。
別段通知の手紙は貰もらっていないけれど、そうして、突然原稿を送って来る例は、これまでにしても、よくあることだった。
それは、多くの場合、長々しく退屈極る代物であったけれど、彼女は兎も角も、表題丈だけでも見て置こうと、封を切って、中の紙束を取出して見た。
 それは、思った通り、原稿用紙を綴とじたものであった。が、どうしたことか、表題も署名もなく、突然「奥様」という、呼びかけの言葉で始まっているのだった。
ハテナ、では、やっぱり手紙なのかしら、そう思って、何気なく二行三行と目を走らせて行く内に、
彼女は、そこから、何となく異常な、妙に気味悪いものを予感した。そして、持前もちまえの好奇心が、彼女をして、ぐんぐん、先を読ませて行くのであった。

 奥様、
 奥様の方では、少しも御存じのない男から、突然、此様このような無躾ぶしつけな御手紙を、差上げます罪を、幾重いくえにもお許し下さいませ。
 こんなことを申上げますと、奥様は、さぞかしびっくりなさる事で御座いましょうが、私は今、
あなたの前に、私の犯して来ました、世にも不思議な罪悪を、告白しようとしているのでございます。
 私は数ヶ月の間、全く人間界から姿を隠して、本当に、悪魔の様な生活を続けて参りました。勿論もちろん、広い世界に誰一人、私の所業を知るものはありません。
若もし、何事もなければ、私は、このまま永久に、人間界に立帰ることはなかったかも知れないのでございます。
 ところが、近頃になりまして、私の心にある不思議な変化が起りました。
そして、どうしても、この、私の因果な身の上を、懺悔ざんげしないではいられなくなりました。
ただ、かように申しましたばかりでは、色々御不審ごふしんに思召おぼしめす点もございましょうが、どうか、兎も角も、この手紙を終りまで御読み下さいませ。
そうすれば、何故なぜ、私がそんな気持になったのか。又何故、この告白を、殊更ことさら奥様に聞いて頂かねばならぬのか、それらのことが、悉ことごとく明白になるでございましょう。
 さて、何から書き初めたらいいのか、余りに人間離れのした、奇怪千万な事実なので、こうした、人間世界で使われる、手紙という様な方法では、妙に面おもはゆくて、筆の鈍るのを覚えます。で
でも、迷っていても仕方がございません。兎も角も、事の起りから、順を追って、書いて行くことに致しましょう。
 私は生れつき、世にも醜い容貌の持主でございます。
これをどうか、はっきりと、お覚えなすっていて下さいませ。そうでないと、若し、あなたが、この無躾な願いを容いれて、私にお逢あい下さいました場合、たださえ醜い私の顔が、長い月日の不健康な生活の為ために、二ふた目と見られぬ、
ひどい姿になっているのを、何の予備知識もなしに、あなたに見られるのは、私としては、堪たえ難がたいことでございます。

83 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 00:17:42.26 ID:dXaEeMVq
 佳子よしこは、毎朝、夫の登庁とうちょうを見送って了しまうと、それはいつも十時を過ぎるのだが、やっと自分のからだになって、洋館の方の、夫と共用の書斎へ、
とじ籠こもるのが例になっていた。そこで、彼女は今、K雑誌のこの夏の増大号にのせる為の、長い創作にとりかかっているのだった。
 美しい閨秀けいしゅう作家としての彼女は、此この頃ごろでは、外務省書記官である夫君の影を薄く思わせる程も、有名になっていた。
彼女の所へは、毎日の様に未知の崇拝者達からの手紙が、幾通となくやって来た。
 今朝けさとても、彼女は、書斎の机の前に坐ると、仕事にとりかかる前に、先まず、それらの未知の人々からの手紙に、目を通さねばならなかった。
 それは何いずれも、極きまり切った様に、つまらぬ文句のものばかりであったが、彼女は、女の優しい心遣こころづかいから、どの様な手紙であろうとも、自分に宛あてられたものは、兎とも角かくも、一通りは読んで見ることにしていた。
 簡単なものから先にして、二通の封書と、一葉のはがきとを見て了うと、あとにはかさ高い原稿らしい一通が残った。
別段通知の手紙は貰もらっていないけれど、そうして、突然原稿を送って来る例は、これまでにしても、よくあることだった。
それは、多くの場合、長々しく退屈極る代物であったけれど、彼女は兎も角も、表題丈だけでも見て置こうと、封を切って、中の紙束を取出して見た。
 それは、思った通り、原稿用紙を綴とじたものであった。が、どうしたことか、表題も署名もなく、突然「奥様」という、呼びかけの言葉で始まっているのだった。
ハテナ、では、やっぱり手紙なのかしら、そう思って、何気なく二行三行と目を走らせて行く内に、
彼女は、そこから、何となく異常な、妙に気味悪いものを予感した。そして、持前もちまえの好奇心が、彼女をして、ぐんぐん、先を読ませて行くのであった。

 奥様、
 奥様の方では、少しも御存じのない男から、突然、此様このような無躾ぶしつけな御手紙を、差上げます罪を、幾重いくえにもお許し下さいませ。
 こんなことを申上げますと、奥様は、さぞかしびっくりなさる事で御座いましょうが、私は今、
あなたの前に、私の犯して来ました、世にも不思議な罪悪を、告白しようとしているのでございます。
 私は数ヶ月の間、全く人間界から姿を隠して、本当に、悪魔の様な生活を続けて参りました。勿論もちろん、広い世界に誰一人、私の所業を知るものはありません。
若もし、何事もなければ、私は、このまま永久に、人間界に立帰ることはなかったかも知れないのでございます。
 ところが、近頃になりまして、私の心にある不思議な変化が起りました。
そして、どうしても、この、私の因果な身の上を、懺悔ざんげしないではいられなくなりました。
ただ、かように申しましたばかりでは、色々御不審ごふしんに思召おぼしめす点もございましょうが、どうか、兎も角も、この手紙を終りまで御読み下さいませ。
そうすれば、何故なぜ、私がそんな気持になったのか。又何故、この告白を、殊更ことさら奥様に聞いて頂かねばならぬのか、それらのことが、悉ことごとく明白になるでございましょう。
 さて、何から書き初めたらいいのか、余りに人間離れのした、奇怪千万な事実なので、こうした、人間世界で使われる、手紙という様な方法では、妙に面おもはゆくて、筆の鈍るのを覚えます。で
でも、迷っていても仕方がございません。兎も角も、事の起りから、順を追って、書いて行くことに致しましょう。
 私は生れつき、世にも醜い容貌の持主でございます。
これをどうか、はっきりと、お覚えなすっていて下さいませ。そうでないと、若し、あなたが、この無躾な願いを容いれて、私にお逢あい下さいました場合、たださえ醜い私の顔が、長い月日の不健康な生活の為ために、二ふた目と見られぬ、
ひどい姿になっているのを、何の予備知識もなしに、あなたに見られるのは、私としては、堪たえ難がたいことでございます。

84 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 00:17:48.96 ID:dXaEeMVq
 佳子よしこは、毎朝、夫の登庁とうちょうを見送って了しまうと、それはいつも十時を過ぎるのだが、やっと自分のからだになって、洋館の方の、夫と共用の書斎へ、
とじ籠こもるのが例になっていた。そこで、彼女は今、K雑誌のこの夏の増大号にのせる為の、長い創作にとりかかっているのだった。
 美しい閨秀けいしゅう作家としての彼女は、此この頃ごろでは、外務省書記官である夫君の影を薄く思わせる程も、有名になっていた。
彼女の所へは、毎日の様に未知の崇拝者達からの手紙が、幾通となくやって来た。
 今朝けさとても、彼女は、書斎の机の前に坐ると、仕事にとりかかる前に、先まず、それらの未知の人々からの手紙に、目を通さねばならなかった。
 それは何いずれも、極きまり切った様に、つまらぬ文句のものばかりであったが、彼女は、女の優しい心遣こころづかいから、どの様な手紙であろうとも、自分に宛あてられたものは、兎とも角かくも、一通りは読んで見ることにしていた。
 簡単なものから先にして、二通の封書と、一葉のはがきとを見て了うと、あとにはかさ高い原稿らしい一通が残った。
別段通知の手紙は貰もらっていないけれど、そうして、突然原稿を送って来る例は、これまでにしても、よくあることだった。
それは、多くの場合、長々しく退屈極る代物であったけれど、彼女は兎も角も、表題丈だけでも見て置こうと、封を切って、中の紙束を取出して見た。
 それは、思った通り、原稿用紙を綴とじたものであった。が、どうしたことか、表題も署名もなく、突然「奥様」という、呼びかけの言葉で始まっているのだった。
ハテナ、では、やっぱり手紙なのかしら、そう思って、何気なく二行三行と目を走らせて行く内に、
彼女は、そこから、何となく異常な、妙に気味悪いものを予感した。そして、持前もちまえの好奇心が、彼女をして、ぐんぐん、先を読ませて行くのであった。

 奥様、
 奥様の方では、少しも御存じのない男から、突然、此様このような無躾ぶしつけな御手紙を、差上げます罪を、幾重いくえにもお許し下さいませ。
 こんなことを申上げますと、奥様は、さぞかしびっくりなさる事で御座いましょうが、私は今、
あなたの前に、私の犯して来ました、世にも不思議な罪悪を、告白しようとしているのでございます。
 私は数ヶ月の間、全く人間界から姿を隠して、本当に、悪魔の様な生活を続けて参りました。勿論もちろん、広い世界に誰一人、私の所業を知るものはありません。
若もし、何事もなければ、私は、このまま永久に、人間界に立帰ることはなかったかも知れないのでございます。
 ところが、近頃になりまして、私の心にある不思議な変化が起りました。
そして、どうしても、この、私の因果な身の上を、懺悔ざんげしないではいられなくなりました。
ただ、かように申しましたばかりでは、色々御不審ごふしんに思召おぼしめす点もございましょうが、どうか、兎も角も、この手紙を終りまで御読み下さいませ。
そうすれば、何故なぜ、私がそんな気持になったのか。又何故、この告白を、殊更ことさら奥様に聞いて頂かねばならぬのか、それらのことが、悉ことごとく明白になるでございましょう。
 さて、何から書き初めたらいいのか、余りに人間離れのした、奇怪千万な事実なので、こうした、人間世界で使われる、手紙という様な方法では、妙に面おもはゆくて、筆の鈍るのを覚えます。で
でも、迷っていても仕方がございません。兎も角も、事の起りから、順を追って、書いて行くことに致しましょう。
 私は生れつき、世にも醜い容貌の持主でございます。
これをどうか、はっきりと、お覚えなすっていて下さいませ。そうでないと、若し、あなたが、この無躾な願いを容いれて、私にお逢あい下さいました場合、たださえ醜い私の顔が、長い月日の不健康な生活の為ために、二ふた目と見られぬ、
ひどい姿になっているのを、何の予備知識もなしに、あなたに見られるのは、私としては、堪たえ難がたいことでございます。

85 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 00:18:46.23 ID:dXaEeMVq
 佳子よしこは、毎朝、夫の登庁とうちょうを見送って了しまうと、それはいつも十時を過ぎるのだが、やっと自分のからだになって、洋館の方の、夫と共用の書斎へ、
とじ籠こもるのが例になっていた。そこで、彼女は今、K雑誌のこの夏の増大号にのせる為の、長い創作にとりかかっているのだった。
 美しい閨秀けいしゅう作家としての彼女は、此この頃ごろでは、外務省書記官である夫君の影を薄く思わせる程も、有名になっていた。
彼女の所へは、毎日の様に未知の崇拝者達からの手紙が、幾通となくやって来た。
 今朝けさとても、彼女は、書斎の机の前に坐ると、仕事にとりかかる前に、先まず、それらの未知の人々からの手紙に、目を通さねばならなかった。
 それは何いずれも、極きまり切った様に、つまらぬ文句のものばかりであったが、彼女は、女の優しい心遣こころづかいから、どの様な手紙であろうとも、自分に宛あてられたものは、兎とも角かくも、一通りは読んで見ることにしていた。
 簡単なものから先にして、二通の封書と、一葉のはがきとを見て了うと、あとにはかさ高い原稿らしい一通が残った。
別段通知の手紙は貰もらっていないけれど、そうして、突然原稿を送って来る例は、これまでにしても、よくあることだった。
それは、多くの場合、長々しく退屈極る代物であったけれど、彼女は兎も角も、表題丈だけでも見て置こうと、封を切って、中の紙束を取出して見た。
 それは、思った通り、原稿用紙を綴とじたものであった。が、どうしたことか、表題も署名もなく、突然「奥様」という、呼びかけの言葉で始まっているのだった。
ハテナ、では、やっぱり手紙なのかしら、そう思って、何気なく二行三行と目を走らせて行く内に、
彼女は、そこから、何となく異常な、妙に気味悪いものを予感した。そして、持前もちまえの好奇心が、彼女をして、ぐんぐん、先を読ませて行くのであった。

 奥様、
 奥様の方では、少しも御存じのない男から、突然、此様このような無躾ぶしつけな御手紙を、差上げます罪を、幾重いくえにもお許し下さいませ。
 こんなことを申上げますと、奥様は、さぞかしびっくりなさる事で御座いましょうが、私は今、
あなたの前に、私の犯して来ました、世にも不思議な罪悪を、告白しようとしているのでございます。
 私は数ヶ月の間、全く人間界から姿を隠して、本当に、悪魔の様な生活を続けて参りました。勿論もちろん、広い世界に誰一人、私の所業を知るものはありません。
若もし、何事もなければ、私は、このまま永久に、人間界に立帰ることはなかったかも知れないのでございます。
 ところが、近頃になりまして、私の心にある不思議な変化が起りました。
そして、どうしても、この、私の因果な身の上を、懺悔ざんげしないではいられなくなりました。
ただ、かように申しましたばかりでは、色々御不審ごふしんに思召おぼしめす点もございましょうが、どうか、兎も角も、この手紙を終りまで御読み下さいませ。
そうすれば、何故なぜ、私がそんな気持になったのか。又何故、この告白を、殊更ことさら奥様に聞いて頂かねばならぬのか、それらのことが、悉ことごとく明白になるでございましょう。
 さて、何から書き初めたらいいのか、余りに人間離れのした、奇怪千万な事実なので、こうした、人間世界で使われる、手紙という様な方法では、妙に面おもはゆくて、筆の鈍るのを覚えます。で
でも、迷っていても仕方がございません。兎も角も、事の起りから、順を追って、書いて行くことに致しましょう。
 私は生れつき、世にも醜い容貌の持主でございます。
これをどうか、はっきりと、お覚えなすっていて下さいませ。そうでないと、若し、あなたが、この無躾な願いを容いれて、私にお逢あい下さいました場合、たださえ醜い私の顔が、長い月日の不健康な生活の為ために、二ふた目と見られぬ、
ひどい姿になっているのを、何の予備知識もなしに、あなたに見られるのは、私としては、堪たえ難がたいことでございます。

86 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 00:19:04.66 ID:dXaEeMVq
 佳子よしこは、毎朝、夫の登庁とうちょうを見送って了しまうと、それはいつも十時を過ぎるのだが、やっと自分のからだになって、洋館の方の、夫と共用の書斎へ、
とじ籠こもるのが例になっていた。そこで、彼女は今、K雑誌のこの夏の増大号にのせる為の、長い創作にとりかかっているのだった。
 美しい閨秀けいしゅう作家としての彼女は、此この頃ごろでは、外務省書記官である夫君の影を薄く思わせる程も、有名になっていた。
彼女の所へは、毎日の様に未知の崇拝者達からの手紙が、幾通となくやって来た。
 今朝けさとても、彼女は、書斎の机の前に坐ると、仕事にとりかかる前に、先まず、それらの未知の人々からの手紙に、目を通さねばならなかった。
 それは何いずれも、極きまり切った様に、つまらぬ文句のものばかりであったが、彼女は、女の優しい心遣こころづかいから、どの様な手紙であろうとも、自分に宛あてられたものは、兎とも角かくも、一通りは読んで見ることにしていた。
 簡単なものから先にして、二通の封書と、一葉のはがきとを見て了うと、あとにはかさ高い原稿らしい一通が残った。
別段通知の手紙は貰もらっていないけれど、そうして、突然原稿を送って来る例は、これまでにしても、よくあることだった。
それは、多くの場合、長々しく退屈極る代物であったけれど、彼女は兎も角も、表題丈だけでも見て置こうと、封を切って、中の紙束を取出して見た。
 それは、思った通り、原稿用紙を綴とじたものであった。が、どうしたことか、表題も署名もなく、突然「奥様」という、呼びかけの言葉で始まっているのだった。
ハテナ、では、やっぱり手紙なのかしら、そう思って、何気なく二行三行と目を走らせて行く内に、
彼女は、そこから、何となく異常な、妙に気味悪いものを予感した。そして、持前もちまえの好奇心が、彼女をして、ぐんぐん、先を読ませて行くのであった。

 奥様、
 奥様の方では、少しも御存じのない男から、突然、此様このような無躾ぶしつけな御手紙を、差上げます罪を、幾重いくえにもお許し下さいませ。
 こんなことを申上げますと、奥様は、さぞかしびっくりなさる事で御座いましょうが、私は今、
あなたの前に、私の犯して来ました、世にも不思議な罪悪を、告白しようとしているのでございます。
 私は数ヶ月の間、全く人間界から姿を隠して、本当に、悪魔の様な生活を続けて参りました。勿論もちろん、広い世界に誰一人、私の所業を知るものはありません。
若もし、何事もなければ、私は、このまま永久に、人間界に立帰ることはなかったかも知れないのでございます。
 ところが、近頃になりまして、私の心にある不思議な変化が起りました。
そして、どうしても、この、私の因果な身の上を、懺悔ざんげしないではいられなくなりました。
ただ、かように申しましたばかりでは、色々御不審ごふしんに思召おぼしめす点もございましょうが、どうか、兎も角も、この手紙を終りまで御読み下さいませ。
そうすれば、何故なぜ、私がそんな気持になったのか。又何故、この告白を、殊更ことさら奥様に聞いて頂かねばならぬのか、それらのことが、悉ことごとく明白になるでございましょう。
 さて、何から書き初めたらいいのか、余りに人間離れのした、奇怪千万な事実なので、こうした、人間世界で使われる、手紙という様な方法では、妙に面おもはゆくて、筆の鈍るのを覚えます。で
でも、迷っていても仕方がございません。兎も角も、事の起りから、順を追って、書いて行くことに致しましょう。
 私は生れつき、世にも醜い容貌の持主でございます。
これをどうか、はっきりと、お覚えなすっていて下さいませ。そうでないと、若し、あなたが、この無躾な願いを容いれて、私にお逢あい下さいました場合、たださえ醜い私の顔が、長い月日の不健康な生活の為ために、二ふた目と見られぬ、
ひどい姿になっているのを、何の予備知識もなしに、あなたに見られるのは、私としては、堪たえ難がたいことでございます。

87 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 00:19:33.93 ID:dXaEeMVq
 佳子よしこは、毎朝、夫の登庁とうちょうを見送って了しまうと、それはいつも十時を過ぎるのだが、やっと自分のからだになって、洋館の方の、夫と共用の書斎へ、
とじ籠こもるのが例になっていた。そこで、彼女は今、K雑誌のこの夏の増大号にのせる為の、長い創作にとりかかっているのだった。
 美しい閨秀けいしゅう作家としての彼女は、此この頃ごろでは、外務省書記官である夫君の影を薄く思わせる程も、有名になっていた。
彼女の所へは、毎日の様に未知の崇拝者達からの手紙が、幾通となくやって来た。
 今朝けさとても、彼女は、書斎の机の前に坐ると、仕事にとりかかる前に、先まず、それらの未知の人々からの手紙に、目を通さねばならなかった。
 それは何いずれも、極きまり切った様に、つまらぬ文句のものばかりであったが、彼女は、女の優しい心遣こころづかいから、どの様な手紙であろうとも、自分に宛あてられたものは、兎とも角かくも、一通りは読んで見ることにしていた。
 簡単なものから先にして、二通の封書と、一葉のはがきとを見て了うと、あとにはかさ高い原稿らしい一通が残った。
別段通知の手紙は貰もらっていないけれど、そうして、突然原稿を送って来る例は、これまでにしても、よくあることだった。
それは、多くの場合、長々しく退屈極る代物であったけれど、彼女は兎も角も、表題丈だけでも見て置こうと、封を切って、中の紙束を取出して見た。
 それは、思った通り、原稿用紙を綴とじたものであった。が、どうしたことか、表題も署名もなく、突然「奥様」という、呼びかけの言葉で始まっているのだった。
ハテナ、では、やっぱり手紙なのかしら、そう思って、何気なく二行三行と目を走らせて行く内に、
彼女は、そこから、何となく異常な、妙に気味悪いものを予感した。そして、持前もちまえの好奇心が、彼女をして、ぐんぐん、先を読ませて行くのであった。

 奥様、
 奥様の方では、少しも御存じのない男から、突然、此様このような無躾ぶしつけな御手紙を、差上げます罪を、幾重いくえにもお許し下さいませ。
 こんなことを申上げますと、奥様は、さぞかしびっくりなさる事で御座いましょうが、私は今、
あなたの前に、私の犯して来ました、世にも不思議な罪悪を、告白しようとしているのでございます。
 私は数ヶ月の間、全く人間界から姿を隠して、本当に、悪魔の様な生活を続けて参りました。勿論もちろん、広い世界に誰一人、私の所業を知るものはありません。
若もし、何事もなければ、私は、このまま永久に、人間界に立帰ることはなかったかも知れないのでございます。
 ところが、近頃になりまして、私の心にある不思議な変化が起りました。
そして、どうしても、この、私の因果な身の上を、懺悔ざんげしないではいられなくなりました。
ただ、かように申しましたばかりでは、色々御不審ごふしんに思召おぼしめす点もございましょうが、どうか、兎も角も、この手紙を終りまで御読み下さいませ。
そうすれば、何故なぜ、私がそんな気持になったのか。又何故、この告白を、殊更ことさら奥様に聞いて頂かねばならぬのか、それらのことが、悉ことごとく明白になるでございましょう。
 さて、何から書き初めたらいいのか、余りに人間離れのした、奇怪千万な事実なので、こうした、人間世界で使われる、手紙という様な方法では、妙に面おもはゆくて、筆の鈍るのを覚えます。で
でも、迷っていても仕方がございません。兎も角も、事の起りから、順を追って、書いて行くことに致しましょう。
 私は生れつき、世にも醜い容貌の持主でございます。
これをどうか、はっきりと、お覚えなすっていて下さいませ。そうでないと、若し、あなたが、この無躾な願いを容いれて、私にお逢あい下さいました場合、たださえ醜い私の顔が、長い月日の不健康な生活の為ために、二ふた目と見られぬ、
ひどい姿になっているのを、何の予備知識もなしに、あなたに見られるのは、私としては、堪たえ難がたいことでございます。

88 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 00:19:52.42 ID:dXaEeMVq
 佳子よしこは、毎朝、夫の登庁とうちょうを見送って了しまうと、それはいつも十時を過ぎるのだが、やっと自分のからだになって、洋館の方の、夫と共用の書斎へ、
とじ籠こもるのが例になっていた。そこで、彼女は今、K雑誌のこの夏の増大号にのせる為の、長い創作にとりかかっているのだった。
 美しい閨秀けいしゅう作家としての彼女は、此この頃ごろでは、外務省書記官である夫君の影を薄く思わせる程も、有名になっていた。
彼女の所へは、毎日の様に未知の崇拝者達からの手紙が、幾通となくやって来た。
 今朝けさとても、彼女は、書斎の机の前に坐ると、仕事にとりかかる前に、先まず、それらの未知の人々からの手紙に、目を通さねばならなかった。
 それは何いずれも、極きまり切った様に、つまらぬ文句のものばかりであったが、彼女は、女の優しい心遣こころづかいから、どの様な手紙であろうとも、自分に宛あてられたものは、兎とも角かくも、一通りは読んで見ることにしていた。
 簡単なものから先にして、二通の封書と、一葉のはがきとを見て了うと、あとにはかさ高い原稿らしい一通が残った。
別段通知の手紙は貰もらっていないけれど、そうして、突然原稿を送って来る例は、これまでにしても、よくあることだった。
それは、多くの場合、長々しく退屈極る代物であったけれど、彼女は兎も角も、表題丈だけでも見て置こうと、封を切って、中の紙束を取出して見た。
 それは、思った通り、原稿用紙を綴とじたものであった。が、どうしたことか、表題も署名もなく、突然「奥様」という、呼びかけの言葉で始まっているのだった。
ハテナ、では、やっぱり手紙なのかしら、そう思って、何気なく二行三行と目を走らせて行く内に、
彼女は、そこから、何となく異常な、妙に気味悪いものを予感した。そして、持前もちまえの好奇心が、彼女をして、ぐんぐん、先を読ませて行くのであった。

 奥様、
 奥様の方では、少しも御存じのない男から、突然、此様このような無躾ぶしつけな御手紙を、差上げます罪を、幾重いくえにもお許し下さいませ。
 こんなことを申上げますと、奥様は、さぞかしびっくりなさる事で御座いましょうが、私は今、
あなたの前に、私の犯して来ました、世にも不思議な罪悪を、告白しようとしているのでございます。
 私は数ヶ月の間、全く人間界から姿を隠して、本当に、悪魔の様な生活を続けて参りました。勿論もちろん、広い世界に誰一人、私の所業を知るものはありません。
若もし、何事もなければ、私は、このまま永久に、人間界に立帰ることはなかったかも知れないのでございます。
 ところが、近頃になりまして、私の心にある不思議な変化が起りました。
そして、どうしても、この、私の因果な身の上を、懺悔ざんげしないではいられなくなりました。
ただ、かように申しましたばかりでは、色々御不審ごふしんに思召おぼしめす点もございましょうが、どうか、兎も角も、この手紙を終りまで御読み下さいませ。
そうすれば、何故なぜ、私がそんな気持になったのか。又何故、この告白を、殊更ことさら奥様に聞いて頂かねばならぬのか、それらのことが、悉ことごとく明白になるでございましょう。
 さて、何から書き初めたらいいのか、余りに人間離れのした、奇怪千万な事実なので、こうした、人間世界で使われる、手紙という様な方法では、妙に面おもはゆくて、筆の鈍るのを覚えます。で
でも、迷っていても仕方がございません。兎も角も、事の起りから、順を追って、書いて行くことに致しましょう。
 私は生れつき、世にも醜い容貌の持主でございます。
これをどうか、はっきりと、お覚えなすっていて下さいませ。そうでないと、若し、あなたが、この無躾な願いを容いれて、私にお逢あい下さいました場合、たださえ醜い私の顔が、長い月日の不健康な生活の為ために、二ふた目と見られぬ、
ひどい姿になっているのを、何の予備知識もなしに、あなたに見られるのは、私としては、堪たえ難がたいことでございます。

89 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 00:20:10.13 ID:dXaEeMVq
 佳子よしこは、毎朝、夫の登庁とうちょうを見送って了しまうと、それはいつも十時を過ぎるのだが、やっと自分のからだになって、洋館の方の、夫と共用の書斎へ、
とじ籠こもるのが例になっていた。そこで、彼女は今、K雑誌のこの夏の増大号にのせる為の、長い創作にとりかかっているのだった。
 美しい閨秀けいしゅう作家としての彼女は、此この頃ごろでは、外務省書記官である夫君の影を薄く思わせる程も、有名になっていた。
彼女の所へは、毎日の様に未知の崇拝者達からの手紙が、幾通となくやって来た。
 今朝けさとても、彼女は、書斎の机の前に坐ると、仕事にとりかかる前に、先まず、それらの未知の人々からの手紙に、目を通さねばならなかった。
 それは何いずれも、極きまり切った様に、つまらぬ文句のものばかりであったが、彼女は、女の優しい心遣こころづかいから、どの様な手紙であろうとも、自分に宛あてられたものは、兎とも角かくも、一通りは読んで見ることにしていた。
 簡単なものから先にして、二通の封書と、一葉のはがきとを見て了うと、あとにはかさ高い原稿らしい一通が残った。
別段通知の手紙は貰もらっていないけれど、そうして、突然原稿を送って来る例は、これまでにしても、よくあることだった。
それは、多くの場合、長々しく退屈極る代物であったけれど、彼女は兎も角も、表題丈だけでも見て置こうと、封を切って、中の紙束を取出して見た。
 それは、思った通り、原稿用紙を綴とじたものであった。が、どうしたことか、表題も署名もなく、突然「奥様」という、呼びかけの言葉で始まっているのだった。
ハテナ、では、やっぱり手紙なのかしら、そう思って、何気なく二行三行と目を走らせて行く内に、
彼女は、そこから、何となく異常な、妙に気味悪いものを予感した。そして、持前もちまえの好奇心が、彼女をして、ぐんぐん、先を読ませて行くのであった。

 奥様、
 奥様の方では、少しも御存じのない男から、突然、此様このような無躾ぶしつけな御手紙を、差上げます罪を、幾重いくえにもお許し下さいませ。
 こんなことを申上げますと、奥様は、さぞかしびっくりなさる事で御座いましょうが、私は今、
あなたの前に、私の犯して来ました、世にも不思議な罪悪を、告白しようとしているのでございます。
 私は数ヶ月の間、全く人間界から姿を隠して、本当に、悪魔の様な生活を続けて参りました。勿論もちろん、広い世界に誰一人、私の所業を知るものはありません。
若もし、何事もなければ、私は、このまま永久に、人間界に立帰ることはなかったかも知れないのでございます。
 ところが、近頃になりまして、私の心にある不思議な変化が起りました。
そして、どうしても、この、私の因果な身の上を、懺悔ざんげしないではいられなくなりました。
ただ、かように申しましたばかりでは、色々御不審ごふしんに思召おぼしめす点もございましょうが、どうか、兎も角も、この手紙を終りまで御読み下さいませ。
そうすれば、何故なぜ、私がそんな気持になったのか。又何故、この告白を、殊更ことさら奥様に聞いて頂かねばならぬのか、それらのことが、悉ことごとく明白になるでございましょう。
 さて、何から書き初めたらいいのか、余りに人間離れのした、奇怪千万な事実なので、こうした、人間世界で使われる、手紙という様な方法では、妙に面おもはゆくて、筆の鈍るのを覚えます。で
でも、迷っていても仕方がございません。兎も角も、事の起りから、順を追って、書いて行くことに致しましょう。
 私は生れつき、世にも醜い容貌の持主でございます。
これをどうか、はっきりと、お覚えなすっていて下さいませ。そうでないと、若し、あなたが、この無躾な願いを容いれて、私にお逢あい下さいました場合、たださえ醜い私の顔が、長い月日の不健康な生活の為ために、二ふた目と見られぬ、
ひどい姿になっているのを、何の予備知識もなしに、あなたに見られるのは、私としては、堪たえ難がたいことでございます。

90 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 00:21:11.08 ID:dXaEeMVq
 佳子よしこは、毎朝、夫の登庁とうちょうを見送って了しまうと、それはいつも十時を過ぎるのだが、やっと自分のからだになって、洋館の方の、夫と共用の書斎へ、
とじ籠こもるのが例になっていた。そこで、彼女は今、K雑誌のこの夏の増大号にのせる為の、長い創作にとりかかっているのだった。
 美しい閨秀けいしゅう作家としての彼女は、此この頃ごろでは、外務省書記官である夫君の影を薄く思わせる程も、有名になっていた。
彼女の所へは、毎日の様に未知の崇拝者達からの手紙が、幾通となくやって来た。
 今朝けさとても、彼女は、書斎の机の前に坐ると、仕事にとりかかる前に、先まず、それらの未知の人々からの手紙に、目を通さねばならなかった。
 それは何いずれも、極きまり切った様に、つまらぬ文句のものばかりであったが、彼女は、女の優しい心遣こころづかいから、どの様な手紙であろうとも、自分に宛あてられたものは、兎とも角かくも、一通りは読んで見ることにしていた。
 簡単なものから先にして、二通の封書と、一葉のはがきとを見て了うと、あとにはかさ高い原稿らしい一通が残った。
別段通知の手紙は貰もらっていないけれど、そうして、突然原稿を送って来る例は、これまでにしても、よくあることだった。
それは、多くの場合、長々しく退屈極る代物であったけれど、彼女は兎も角も、表題丈だけでも見て置こうと、封を切って、中の紙束を取出して見た。
 それは、思った通り、原稿用紙を綴とじたものであった。が、どうしたことか、表題も署名もなく、突然「奥様」という、呼びかけの言葉で始まっているのだった。
ハテナ、では、やっぱり手紙なのかしら、そう思って、何気なく二行三行と目を走らせて行く内に、
彼女は、そこから、何となく異常な、妙に気味悪いものを予感した。そして、持前もちまえの好奇心が、彼女をして、ぐんぐん、先を読ませて行くのであった。

 奥様、
 奥様の方では、少しも御存じのない男から、突然、此様このような無躾ぶしつけな御手紙を、差上げます罪を、幾重いくえにもお許し下さいませ。
 こんなことを申上げますと、奥様は、さぞかしびっくりなさる事で御座いましょうが、私は今、
あなたの前に、私の犯して来ました、世にも不思議な罪悪を、告白しようとしているのでございます。
 私は数ヶ月の間、全く人間界から姿を隠して、本当に、悪魔の様な生活を続けて参りました。勿論もちろん、広い世界に誰一人、私の所業を知るものはありません。
若もし、何事もなければ、私は、このまま永久に、人間界に立帰ることはなかったかも知れないのでございます。
 ところが、近頃になりまして、私の心にある不思議な変化が起りました。
そして、どうしても、この、私の因果な身の上を、懺悔ざんげしないではいられなくなりました。
ただ、かように申しましたばかりでは、色々御不審ごふしんに思召おぼしめす点もございましょうが、どうか、兎も角も、この手紙を終りまで御読み下さいませ。
そうすれば、何故なぜ、私がそんな気持になったのか。又何故、この告白を、殊更ことさら奥様に聞いて頂かねばならぬのか、それらのことが、悉ことごとく明白になるでございましょう。
 さて、何から書き初めたらいいのか、余りに人間離れのした、奇怪千万な事実なので、こうした、人間世界で使われる、手紙という様な方法では、妙に面おもはゆくて、筆の鈍るのを覚えます。で
でも、迷っていても仕方がございません。兎も角も、事の起りから、順を追って、書いて行くことに致しましょう。
 私は生れつき、世にも醜い容貌の持主でございます。
これをどうか、はっきりと、お覚えなすっていて下さいませ。そうでないと、若し、あなたが、この無躾な願いを容いれて、私にお逢あい下さいました場合、たださえ醜い私の顔が、長い月日の不健康な生活の為ために、二ふた目と見られぬ、
ひどい姿になっているのを、何の予備知識もなしに、あなたに見られるのは、私としては、堪たえ難がたいことでございます。

91 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 00:22:28.68 ID:dXaEeMVq
 佳子よしこは、毎朝、夫の登庁とうちょうを見送って了しまうと、それはいつも十時を過ぎるのだが、やっと自分のからだになって、洋館の方の、夫と共用の書斎へ、
とじ籠こもるのが例になっていた。そこで、彼女は今、K雑誌のこの夏の増大号にのせる為の、長い創作にとりかかっているのだった。
 美しい閨秀けいしゅう作家としての彼女は、此この頃ごろでは、外務省書記官である夫君の影を薄く思わせる程も、有名になっていた。
彼女の所へは、毎日の様に未知の崇拝者達からの手紙が、幾通となくやって来た。
 今朝けさとても、彼女は、書斎の机の前に坐ると、仕事にとりかかる前に、先まず、それらの未知の人々からの手紙に、目を通さねばならなかった。
 それは何いずれも、極きまり切った様に、つまらぬ文句のものばかりであったが、彼女は、女の優しい心遣こころづかいから、どの様な手紙であろうとも、自分に宛あてられたものは、兎とも角かくも、一通りは読んで見ることにしていた。
 簡単なものから先にして、二通の封書と、一葉のはがきとを見て了うと、あとにはかさ高い原稿らしい一通が残った。
別段通知の手紙は貰もらっていないけれど、そうして、突然原稿を送って来る例は、これまでにしても、よくあることだった。
それは、多くの場合、長々しく退屈極る代物であったけれど、彼女は兎も角も、表題丈だけでも見て置こうと、封を切って、中の紙束を取出して見た。
 それは、思った通り、原稿用紙を綴とじたものであった。が、どうしたことか、表題も署名もなく、突然「奥様」という、呼びかけの言葉で始まっているのだった。
ハテナ、では、やっぱり手紙なのかしら、そう思って、何気なく二行三行と目を走らせて行く内に、
彼女は、そこから、何となく異常な、妙に気味悪いものを予感した。そして、持前もちまえの好奇心が、彼女をして、ぐんぐん、先を読ませて行くのであった。

 奥様、
 奥様の方では、少しも御存じのない男から、突然、此様このような無躾ぶしつけな御手紙を、差上げます罪を、幾重いくえにもお許し下さいませ。
 こんなことを申上げますと、奥様は、さぞかしびっくりなさる事で御座いましょうが、私は今、
あなたの前に、私の犯して来ました、世にも不思議な罪悪を、告白しようとしているのでございます。
 私は数ヶ月の間、全く人間界から姿を隠して、本当に、悪魔の様な生活を続けて参りました。勿論もちろん、広い世界に誰一人、私の所業を知るものはありません。
若もし、何事もなければ、私は、このまま永久に、人間界に立帰ることはなかったかも知れないのでございます。
 ところが、近頃になりまして、私の心にある不思議な変化が起りました。
そして、どうしても、この、私の因果な身の上を、懺悔ざんげしないではいられなくなりました。
ただ、かように申しましたばかりでは、色々御不審ごふしんに思召おぼしめす点もございましょうが、どうか、兎も角も、この手紙を終りまで御読み下さいませ。
そうすれば、何故なぜ、私がそんな気持になったのか。又何故、この告白を、殊更ことさら奥様に聞いて頂かねばならぬのか、それらのことが、悉ことごとく明白になるでございましょう。
 さて、何から書き初めたらいいのか、余りに人間離れのした、奇怪千万な事実なので、こうした、人間世界で使われる、手紙という様な方法では、妙に面おもはゆくて、筆の鈍るのを覚えます。で
でも、迷っていても仕方がございません。兎も角も、事の起りから、順を追って、書いて行くことに致しましょう。
 私は生れつき、世にも醜い容貌の持主でございます。
これをどうか、はっきりと、お覚えなすっていて下さいませ。そうでないと、若し、あなたが、この無躾な願いを容いれて、私にお逢あい下さいました場合、たださえ醜い私の顔が、長い月日の不健康な生活の為ために、二ふた目と見られぬ、
ひどい姿になっているのを、何の予備知識もなしに、あなたに見られるのは、私としては、堪たえ難がたいことでございます。

92 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 00:29:27.31 ID:dXaEeMVq
 この国でも一夜に数千羽の七面鳥がしめられるという、あるクリスマス・イヴの出来事だ。
 帝都最大の殷賑いんしん地帯、ネオン・ライトの闇夜の虹が、幾万の通行者を五色にそめるG街、その表通りを一歩裏へ入ると、そこにこの都の暗黒街が横たわっている。
 G街の方は、午後十一時ともなれば、夜の人種にとってはまことにあっけなく、しかし帝都の代表街にふさわしい行儀よさで、ほとんど人通りがとだえてしまうのだが、
それと引き違いに、背中合わせの暗黒街がにぎわい始め、午前二時三時頃までも、男女のあくなき享楽児どもが、窓をとざした建物の薄くらがりの中に、ウヨウヨとうごめきつづける。
 今もいうあるクリスマス・イヴの午前一時頃、その暗黒街のとある巨大な建物、外部から見たのではまるで空家のようなまっ暗な建物の中に、けたはずれな、狂気めいた大夜会が、今、最高潮に達していた。
 ナイトクラブの広々としたフロアに、数十人の男女が、或る者は盃をあげてブラボーを叫び、或る者はだんだら染めのの尖とんがり帽子を横っちょにして踊りくるい、
或る者はにげまどう小女をゴリラの恰好かっこうで追いまわし、或る者は泣きわめき、或る者は怒りくるっている上を、五色の粉紙が雪と舞い、五色のテープが滝と落ち、数知れぬ青赤の風船玉が、
むせかえる煙草たばこのけむりの雲の中を、とまどいをしてみだれ飛んでいた。
「やあ、ダーク・エンジェルだ。ダーク・エンジェルだ」
「黒天使の御入来だぞ」
「ブラボー、女王様ばんざい!」
 口々にわめく酔いどれの声々が混乱して、たちまち急霰きゅうさんの拍手が起こった。
 自然に開かれた人垣の中を、浮き浮きとステップをふむようにして、室の中央に進みでる一人の婦人。
まっ黒なイブニング・ドレスに、まっ黒な帽子、まっ黒な手袋、まっ黒な靴下、まっ黒な靴、黒ずくめの中に、かがやくばかりの美貌が、ドキドキと上気して、赤いばらのように咲きほこっている。
「諸君、御機嫌よう。僕はもう酔っぱらってるんです。しかし、飲みましょう。そして、踊りましょう」
 美しい婦人は、右手をヒラヒラと頭上に打ち振りながら、可愛らしい巻舌で叫んだ。
「飲みましょう。そして、踊りましょう。ダーク・エンジェルばんざい!」
「オーイ、ボーイさん、シャンパンだ、シャンパンだ」
 やがて、ポン、ポンと花やかな小銃が鳴りひびいて、コルクの弾丸が五色の風船玉をぬって昇天した。そこにも、ここにも、カチカチとグラスのふれる音、そして、またしても、
「ブラボー、ダーク・エンジェル!」
 の合唱だ。
 暗黒街の女王のこの人気は、一体どこからわいて出たのか。
たとえ彼女の素性は少しもわからなくても、その美貌、そのズバぬけたふるまい、底知れぬ贅沢ぜいたく、おびただしい宝石の装身具、
それらのどの一つを取っても、女王の資格は十分すぎるほどであったが、彼女はさらにもっともっとすばらしい魅力をそなえていた。彼女は大胆不敵なエキジビショニストであったのだ。
「黒天使、いつもの宝石踊りを所望します!」
 だれかが口を切ると、ワーッというドヨメキ、そして一せいの拍手。
 片隅のバンドが音楽を始めた。わいせつなサキソフォンが、異様に人々の耳をくすぐった。
 人々の円陣の中央には、もう宝石踊りが始まっていた。黒天使は今や白天使と変じた。彼女の美しく上気した全肉体をおおうものは、
二筋の大粒な首飾りと、見事な翡翠ひすいの耳飾りと、無数のダイヤモンドをちりばめた左右の腕環と、三箇の指環のほかには、一本の糸、一枚の布切れさえもなかった。
 彼女は今、チカチカと光りかがやく、桃色の一肉塊にすぎなかった。それが肩をゆすり、足をあげて、エジプト宮廷の、なまめかしき舞踊を、たくみにも踊りつづけているのだ。
「オイ、見ろ、黒トカゲが這はい始めたぜ。なんてすばらしいんだろ」
「ウン、ほんとうに、あの小さな虫が、生きて動きだすんだからね」
 意気なタキシードの青年がささやき交わした。
 美しい女の左の腕に、一匹の真黒に見えるトカゲが這っていた。それが彼女の腕のゆらぎにつれて、吸盤のある足をヨタヨタと動かして、這い出したように見えるのだ。
今にもそれが、肩から頸くび、頸から顎あご、そして彼女の真赤なヌメヌメとした、唇までも、這いあがって行きそうに見えながら、いつまでも同じ腕にうごめいている。真にせまった一匹のトカゲの入墨いれずみであった。
 さすがにこの恥知らずの舞踊は四、五分しかつづかなかったが、それが終ると、感激した酔いどれ紳士たちが、ドッと押し寄せて、何か口々に激情の叫びをあげながら、
いきなり裸美人らびじんを胴上げにして、お御輿みこしのかけ声勇ましく、室内をグルグルと廻り歩いた。

93 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 00:31:51.63 ID:AG5ocMSf
 この国でも一夜に数千羽の七面鳥がしめられるという、あるクリスマス・イヴの出来事だ。
 帝都最大の殷賑いんしん地帯、ネオン・ライトの闇夜の虹が、幾万の通行者を五色にそめるG街、その表通りを一歩裏へ入ると、そこにこの都の暗黒街が横たわっている。
 G街の方は、午後十一時ともなれば、夜の人種にとってはまことにあっけなく、しかし帝都の代表街にふさわしい行儀よさで、
ほとんど人通りがとだえてしまうのだが、それと引き違いに、背中合わせの暗黒街がにぎわい始め、午前二時三時頃までも、
男女のあくなき享楽児どもが、窓をとざした建物の薄くらがりの中に、ウヨウヨとうごめきつづける。
 今もいうあるクリスマス・イヴの午前一時頃、その暗黒街のとある巨大な建物、外部から見たのではまるで空家のようなまっ暗な建物の中に、
けたはずれな、狂気めいた大夜会が、今、最高潮に達していた。
 ナイトクラブの広々としたフロアに、数十人の男女が、或る者は盃をあげてブラボーを叫び、或る者はだんだら染めのの尖とんがり帽子を横っちょにして踊りくるい、
或る者はにげまどう小女をゴリラの恰好かっこうで追いまわし、或る者は泣きわめき、或る者は怒りくるっている上を、
五色の粉紙が雪と舞い、五色のテープが滝と落ち、数知れぬ青赤の風船玉が、むせかえる煙草たばこのけむりの雲の中を、とまどいをしてみだれ飛んでいた。
「やあ、ダーク・エンジェルだ。ダーク・エンジェルだ」
「黒天使の御入来だぞ」
「ブラボー、女王様ばんざい!」
 口々にわめく酔いどれの声々が混乱して、たちまち急霰きゅうさんの拍手が起こった。
 自然に開かれた人垣の中を、浮き浮きとステップをふむようにして、室の中央に進みでる一人の婦人。
まっ黒なイブニング・ドレスに、まっ黒な帽子、まっ黒な手袋、まっ黒な靴下、まっ黒な靴、黒ずくめの中に、かがやくばかりの美貌が、ドキドキと上気して、赤いばらのように咲きほこっている。
「諸君、御機嫌よう。僕はもう酔っぱらってるんです。しかし、飲みましょう。そして、踊りましょう」
 美しい婦人は、右手をヒラヒラと頭上に打ち振りながら、可愛らしい巻舌で叫んだ。
「飲みましょう。そして、踊りましょう。ダーク・エンジェルばんざい!」
「オーイ、ボーイさん、シャンパンだ、シャンパンだ」
 やがて、ポン、ポンと花やかな小銃が鳴りひびいて、コルクの弾丸が五色の風船玉をぬって昇天した。そこにも、ここにも、カチカチとグラスのふれる音、そして、またしても、
「ブラボー、ダーク・エンジェル!」
 の合唱だ。
 暗黒街の女王のこの人気は、一体どこからわいて出たのか。たとえ彼女の素性は少しもわからなくても、その美貌、
そのズバぬけたふるまい、底知れぬ贅沢ぜいたく、おびただしい宝石の装身具、それらのどの一つを取っても、女王の資格は十分すぎるほどであったが、
彼女はさらにもっともっとすばらしい魅力をそなえていた。
彼女は大胆不敵なエキジビショニストであったのだ。
「黒天使、いつもの宝石踊りを所望します!」
 だれかが口を切ると、ワーッというドヨメキ、そして一せいの拍手。
 片隅のバンドが音楽を始めた。わいせつなサキソフォンが、異様に人々の耳をくすぐった。
 人々の円陣の中央には、もう宝石踊りが始まっていた。黒天使は今や白天使と変じた。彼女の美しく上気した全肉体をおおうものは、
二筋の大粒な首飾りと、見事な翡翠ひすいの耳飾りと、無数のダイヤモンドをちりばめた左右の腕環と、三箇の指環のほかには、一本の糸、一枚の布切れさえもなかった。
 彼女は今、チカチカと光りかがやく、桃色の一肉塊にすぎなかった。それが肩をゆすり、足をあげて、エジプト宮廷の、なまめかしき舞踊を、たくみにも踊りつづけているのだ。
「オイ、見ろ、黒トカゲが這はい始めたぜ。なんてすばらしいんだろ」
「ウン、ほんとうに、あの小さな虫が、生きて動きだすんだからね」
 意気なタキシードの青年がささやき交わした。
 美しい女の左の腕に、一匹の真黒に見えるトカゲが這っていた。
それが彼女の腕のゆらぎにつれて、吸盤のある足をヨタヨタと動かして、這い出したように見えるのだ。今にもそれが、肩から頸くび、頸から顎あご、
そして彼女の真赤なヌメヌメとした、唇までも、這いあがって行きそうに見えながら、いつまでも同じ腕にうごめいている。
真にせまった一匹のトカゲの入墨いれずみであった。
 さすがにこの恥知らずの舞踊は四、五分しかつづかなかったが、それが終ると、
感激した酔いどれ紳士たちが、ドッと押し寄せて、何か口々に激情の叫びをあげながら、いきなり裸美人らびじんを胴上げにして、お御輿みこしのかけ声勇ましく、室内をグルグルと廻り歩

94 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 00:32:31.64 ID:AG5ocMSf
 この国でも一夜に数千羽の七面鳥がしめられるという、あるクリスマス・イヴの出来事だ。
 帝都最大の殷賑いんしん地帯、ネオン・ライトの闇夜の虹が、幾万の通行者を五色にそめるG街、その表通りを一歩裏へ入ると、そこにこの都の暗黒街が横たわっている。
 G街の方は、午後十一時ともなれば、夜の人種にとってはまことにあっけなく、しかし帝都の代表街にふさわしい行儀よさで、
ほとんど人通りがとだえてしまうのだが、それと引き違いに、背中合わせの暗黒街がにぎわい始め、午前二時三時頃までも、
男女のあくなき享楽児どもが、窓をとざした建物の薄くらがりの中に、ウヨウヨとうごめきつづける。
 今もいうあるクリスマス・イヴの午前一時頃、その暗黒街のとある巨大な建物、外部から見たのではまるで空家のようなまっ暗な建物の中に、
けたはずれな、狂気めいた大夜会が、今、最高潮に達していた。
 ナイトクラブの広々としたフロアに、数十人の男女が、或る者は盃をあげてブラボーを叫び、或る者はだんだら染めのの尖とんがり帽子を横っちょにして踊りくるい、
或る者はにげまどう小女をゴリラの恰好かっこうで追いまわし、或る者は泣きわめき、或る者は怒りくるっている上を、
五色の粉紙が雪と舞い、五色のテープが滝と落ち、数知れぬ青赤の風船玉が、むせかえる煙草たばこのけむりの雲の中を、とまどいをしてみだれ飛んでいた。
「やあ、ダーク・エンジェルだ。ダーク・エンジェルだ」
「黒天使の御入来だぞ」
「ブラボー、女王様ばんざい!」
 口々にわめく酔いどれの声々が混乱して、たちまち急霰きゅうさんの拍手が起こった。
 自然に開かれた人垣の中を、浮き浮きとステップをふむようにして、室の中央に進みでる一人の婦人。
まっ黒なイブニング・ドレスに、まっ黒な帽子、まっ黒な手袋、まっ黒な靴下、まっ黒な靴、黒ずくめの中に、かがやくばかりの美貌が、ドキドキと上気して、赤いばらのように咲きほこっている。
「諸君、御機嫌よう。僕はもう酔っぱらってるんです。しかし、飲みましょう。そして、踊りましょう」
 美しい婦人は、右手をヒラヒラと頭上に打ち振りながら、可愛らしい巻舌で叫んだ。
「飲みましょう。そして、踊りましょう。ダーク・エンジェルばんざい!」
「オーイ、ボーイさん、シャンパンだ、シャンパンだ」
 やがて、ポン、ポンと花やかな小銃が鳴りひびいて、コルクの弾丸が五色の風船玉をぬって昇天した。そこにも、ここにも、カチカチとグラスのふれる音、そして、またしても、
「ブラボー、ダーク・エンジェル!」
 の合唱だ。
 暗黒街の女王のこの人気は、一体どこからわいて出たのか。たとえ彼女の素性は少しもわからなくても、その美貌、
そのズバぬけたふるまい、底知れぬ贅沢ぜいたく、おびただしい宝石の装身具、それらのどの一つを取っても、女王の資格は十分すぎるほどであったが、
彼女はさらにもっともっとすばらしい魅力をそなえていた。
彼女は大胆不敵なエキジビショニストであったのだ。
「黒天使、いつもの宝石踊りを所望します!」
 だれかが口を切ると、ワーッというドヨメキ、そして一せいの拍手。
 片隅のバンドが音楽を始めた。わいせつなサキソフォンが、異様に人々の耳をくすぐった。
 人々の円陣の中央には、もう宝石踊りが始まっていた。黒天使は今や白天使と変じた。彼女の美しく上気した全肉体をおおうものは、
二筋の大粒な首飾りと、見事な翡翠ひすいの耳飾りと、無数のダイヤモンドをちりばめた左右の腕環と、三箇の指環のほかには、一本の糸、一枚の布切れさえもなかった。
 彼女は今、チカチカと光りかがやく、桃色の一肉塊にすぎなかった。それが肩をゆすり、足をあげて、エジプト宮廷の、なまめかしき舞踊を、たくみにも踊りつづけているのだ。
「オイ、見ろ、黒トカゲが這はい始めたぜ。なんてすばらしいんだろ」
「ウン、ほんとうに、あの小さな虫が、生きて動きだすんだからね」
 意気なタキシードの青年がささやき交わした。
 美しい女の左の腕に、一匹の真黒に見えるトカゲが這っていた。
それが彼女の腕のゆらぎにつれて、吸盤のある足をヨタヨタと動かして、這い出したように見えるのだ。今にもそれが、肩から頸くび、頸から顎あご、
そして彼女の真赤なヌメヌメとした、唇までも、這いあがって行きそうに見えながら、いつまでも同じ腕にうごめいている。
真にせまった一匹のトカゲの入墨いれずみであった。
 さすがにこの恥知らずの舞踊は四、五分しかつづかなかったが、それが終ると、
感激した酔いどれ紳士たちが、ドッと押し寄せて、何か口々に激情の叫びをあげながら、いきなり裸美人らびじんを胴上げにして、お御輿みこしのかけ声勇ましく、室内をグルグルと廻り歩

95 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 00:33:04.52 ID:AG5ocMSf
 この国でも一夜に数千羽の七面鳥がしめられるという、あるクリスマス・イヴの出来事だ。
 帝都最大の殷賑いんしん地帯、ネオン・ライトの闇夜の虹が、幾万の通行者を五色にそめるG街、その表通りを一歩裏へ入ると、そこにこの都の暗黒街が横たわっている。
 G街の方は、午後十一時ともなれば、夜の人種にとってはまことにあっけなく、しかし帝都の代表街にふさわしい行儀よさで、
ほとんど人通りがとだえてしまうのだが、それと引き違いに、背中合わせの暗黒街がにぎわい始め、午前二時三時頃までも、
男女のあくなき享楽児どもが、窓をとざした建物の薄くらがりの中に、ウヨウヨとうごめきつづける。
 今もいうあるクリスマス・イヴの午前一時頃、その暗黒街のとある巨大な建物、外部から見たのではまるで空家のようなまっ暗な建物の中に、
けたはずれな、狂気めいた大夜会が、今、最高潮に達していた。
 ナイトクラブの広々としたフロアに、数十人の男女が、或る者は盃をあげてブラボーを叫び、或る者はだんだら染めのの尖とんがり帽子を横っちょにして踊りくるい、
或る者はにげまどう小女をゴリラの恰好かっこうで追いまわし、或る者は泣きわめき、或る者は怒りくるっている上を、
五色の粉紙が雪と舞い、五色のテープが滝と落ち、数知れぬ青赤の風船玉が、むせかえる煙草たばこのけむりの雲の中を、とまどいをしてみだれ飛んでいた。
「やあ、ダーク・エンジェルだ。ダーク・エンジェルだ」
「黒天使の御入来だぞ」
「ブラボー、女王様ばんざい!」
 口々にわめく酔いどれの声々が混乱して、たちまち急霰きゅうさんの拍手が起こった。
 自然に開かれた人垣の中を、浮き浮きとステップをふむようにして、室の中央に進みでる一人の婦人。
まっ黒なイブニング・ドレスに、まっ黒な帽子、まっ黒な手袋、まっ黒な靴下、まっ黒な靴、黒ずくめの中に、かがやくばかりの美貌が、ドキドキと上気して、赤いばらのように咲きほこっている。
「諸君、御機嫌よう。僕はもう酔っぱらってるんです。しかし、飲みましょう。そして、踊りましょう」
 美しい婦人は、右手をヒラヒラと頭上に打ち振りながら、可愛らしい巻舌で叫んだ。
「飲みましょう。そして、踊りましょう。ダーク・エンジェルばんざい!」
「オーイ、ボーイさん、シャンパンだ、シャンパンだ」
 やがて、ポン、ポンと花やかな小銃が鳴りひびいて、コルクの弾丸が五色の風船玉をぬって昇天した。そこにも、ここにも、カチカチとグラスのふれる音、そして、またしても、
「ブラボー、ダーク・エンジェル!」
 の合唱だ。
 暗黒街の女王のこの人気は、一体どこからわいて出たのか。たとえ彼女の素性は少しもわからなくても、その美貌、
そのズバぬけたふるまい、底知れぬ贅沢ぜいたく、おびただしい宝石の装身具、それらのどの一つを取っても、女王の資格は十分すぎるほどであったが、
彼女はさらにもっともっとすばらしい魅力をそなえていた。
彼女は大胆不敵なエキジビショニストであったのだ。
「黒天使、いつもの宝石踊りを所望します!」
 だれかが口を切ると、ワーッというドヨメキ、そして一せいの拍手。
 片隅のバンドが音楽を始めた。わいせつなサキソフォンが、異様に人々の耳をくすぐった。
 人々の円陣の中央には、もう宝石踊りが始まっていた。黒天使は今や白天使と変じた。彼女の美しく上気した全肉体をおおうものは、
二筋の大粒な首飾りと、見事な翡翠ひすいの耳飾りと、無数のダイヤモンドをちりばめた左右の腕環と、三箇の指環のほかには、一本の糸、一枚の布切れさえもなかった。
 彼女は今、チカチカと光りかがやく、桃色の一肉塊にすぎなかった。それが肩をゆすり、足をあげて、エジプト宮廷の、なまめかしき舞踊を、たくみにも踊りつづけているのだ。
「オイ、見ろ、黒トカゲが這はい始めたぜ。なんてすばらしいんだろ」
「ウン、ほんとうに、あの小さな虫が、生きて動きだすんだからね」
 意気なタキシードの青年がささやき交わした。
 美しい女の左の腕に、一匹の真黒に見えるトカゲが這っていた。
それが彼女の腕のゆらぎにつれて、吸盤のある足をヨタヨタと動かして、這い出したように見えるのだ。今にもそれが、肩から頸くび、頸から顎あご、
そして彼女の真赤なヌメヌメとした、唇までも、這いあがって行きそうに見えながら、いつまでも同じ腕にうごめいている。
真にせまった一匹のトカゲの入墨いれずみであった。
 さすがにこの恥知らずの舞踊は四、五分しかつづかなかったが、それが終ると、
感激した酔いどれ紳士たちが、ドッと押し寄せて、何か口々に激情の叫びをあげながら、いきなり裸美人らびじんを胴上げにして、お御輿みこしのかけ声勇ましく、室内をグルグルと廻り歩

96 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 00:33:43.90 ID:AG5ocMSf
 この国でも一夜に数千羽の七面鳥がしめられるという、あるクリスマス・イヴの出来事だ。
 帝都最大の殷賑いんしん地帯、ネオン・ライトの闇夜の虹が、幾万の通行者を五色にそめるG街、その表通りを一歩裏へ入ると、そこにこの都の暗黒街が横たわっている。
 G街の方は、午後十一時ともなれば、夜の人種にとってはまことにあっけなく、しかし帝都の代表街にふさわしい行儀よさで、
ほとんど人通りがとだえてしまうのだが、それと引き違いに、背中合わせの暗黒街がにぎわい始め、午前二時三時頃までも、
男女のあくなき享楽児どもが、窓をとざした建物の薄くらがりの中に、ウヨウヨとうごめきつづける。
 今もいうあるクリスマス・イヴの午前一時頃、その暗黒街のとある巨大な建物、外部から見たのではまるで空家のようなまっ暗な建物の中に、
けたはずれな、狂気めいた大夜会が、今、最高潮に達していた。
 ナイトクラブの広々としたフロアに、数十人の男女が、或る者は盃をあげてブラボーを叫び、或る者はだんだら染めのの尖とんがり帽子を横っちょにして踊りくるい、
或る者はにげまどう小女をゴリラの恰好かっこうで追いまわし、或る者は泣きわめき、或る者は怒りくるっている上を、
五色の粉紙が雪と舞い、五色のテープが滝と落ち、数知れぬ青赤の風船玉が、むせかえる煙草たばこのけむりの雲の中を、とまどいをしてみだれ飛んでいた。
「やあ、ダーク・エンジェルだ。ダーク・エンジェルだ」
「黒天使の御入来だぞ」
「ブラボー、女王様ばんざい!」
 口々にわめく酔いどれの声々が混乱して、たちまち急霰きゅうさんの拍手が起こった。
 自然に開かれた人垣の中を、浮き浮きとステップをふむようにして、室の中央に進みでる一人の婦人。
まっ黒なイブニング・ドレスに、まっ黒な帽子、まっ黒な手袋、まっ黒な靴下、まっ黒な靴、黒ずくめの中に、かがやくばかりの美貌が、ドキドキと上気して、赤いばらのように咲きほこっている。
「諸君、御機嫌よう。僕はもう酔っぱらってるんです。しかし、飲みましょう。そして、踊りましょう」
 美しい婦人は、右手をヒラヒラと頭上に打ち振りながら、可愛らしい巻舌で叫んだ。
「飲みましょう。そして、踊りましょう。ダーク・エンジェルばんざい!」
「オーイ、ボーイさん、シャンパンだ、シャンパンだ」
 やがて、ポン、ポンと花やかな小銃が鳴りひびいて、コルクの弾丸が五色の風船玉をぬって昇天した。そこにも、ここにも、カチカチとグラスのふれる音、そして、またしても、
「ブラボー、ダーク・エンジェル!」
 の合唱だ。
 暗黒街の女王のこの人気は、一体どこからわいて出たのか。たとえ彼女の素性は少しもわからなくても、その美貌、
そのズバぬけたふるまい、底知れぬ贅沢ぜいたく、おびただしい宝石の装身具、それらのどの一つを取っても、女王の資格は十分すぎるほどであったが、
彼女はさらにもっともっとすばらしい魅力をそなえていた。
彼女は大胆不敵なエキジビショニストであったのだ。
「黒天使、いつもの宝石踊りを所望します!」
 だれかが口を切ると、ワーッというドヨメキ、そして一せいの拍手。
 片隅のバンドが音楽を始めた。わいせつなサキソフォンが、異様に人々の耳をくすぐった。
 人々の円陣の中央には、もう宝石踊りが始まっていた。黒天使は今や白天使と変じた。彼女の美しく上気した全肉体をおおうものは、
二筋の大粒な首飾りと、見事な翡翠ひすいの耳飾りと、無数のダイヤモンドをちりばめた左右の腕環と、三箇の指環のほかには、一本の糸、一枚の布切れさえもなかった。
 彼女は今、チカチカと光りかがやく、桃色の一肉塊にすぎなかった。それが肩をゆすり、足をあげて、エジプト宮廷の、なまめかしき舞踊を、たくみにも踊りつづけているのだ。
「オイ、見ろ、黒トカゲが這はい始めたぜ。なんてすばらしいんだろ」
「ウン、ほんとうに、あの小さな虫が、生きて動きだすんだからね」
 意気なタキシードの青年がささやき交わした。
 美しい女の左の腕に、一匹の真黒に見えるトカゲが這っていた。
それが彼女の腕のゆらぎにつれて、吸盤のある足をヨタヨタと動かして、這い出したように見えるのだ。今にもそれが、肩から頸くび、頸から顎あご、
そして彼女の真赤なヌメヌメとした、唇までも、這いあがって行きそうに見えながら、いつまでも同じ腕にうごめいている。
真にせまった一匹のトカゲの入墨いれずみであった。
 さすがにこの恥知らずの舞踊は四、五分しかつづかなかったが、それが終ると、
感激した酔いどれ紳士たちが、ドッと押し寄せて、何か口々に激情の叫びをあげながら、いきなり裸美人らびじんを胴上げにして、お御輿みこしのかけ声勇ましく、室内をグルグルと廻り歩

97 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 00:35:14.15 ID:AG5ocMSf
 この国でも一夜に数千羽の七面鳥がしめられるという、あるクリスマス・イヴの出来事だ。
 帝都最大の殷賑いんしん地帯、ネオン・ライトの闇夜の虹が、幾万の通行者を五色にそめるG街、その表通りを一歩裏へ入ると、そこにこの都の暗黒街が横たわっている。
 G街の方は、午後十一時ともなれば、夜の人種にとってはまことにあっけなく、しかし帝都の代表街にふさわしい行儀よさで、
ほとんど人通りがとだえてしまうのだが、それと引き違いに、背中合わせの暗黒街がにぎわい始め、午前二時三時頃までも、
男女のあくなき享楽児どもが、窓をとざした建物の薄くらがりの中に、ウヨウヨとうごめきつづける。
 今もいうあるクリスマス・イヴの午前一時頃、その暗黒街のとある巨大な建物、外部から見たのではまるで空家のようなまっ暗な建物の中に、
けたはずれな、狂気めいた大夜会が、今、最高潮に達していた。
 ナイトクラブの広々としたフロアに、数十人の男女が、或る者は盃をあげてブラボーを叫び、或る者はだんだら染めのの尖とんがり帽子を横っちょにして踊りくるい、
或る者はにげまどう小女をゴリラの恰好かっこうで追いまわし、或る者は泣きわめき、或る者は怒りくるっている上を、
五色の粉紙が雪と舞い、五色のテープが滝と落ち、数知れぬ青赤の風船玉が、むせかえる煙草たばこのけむりの雲の中を、とまどいをしてみだれ飛んでいた。
「やあ、ダーク・エンジェルだ。ダーク・エンジェルだ」
「黒天使の御入来だぞ」
「ブラボー、女王様ばんざい!」
 口々にわめく酔いどれの声々が混乱して、たちまち急霰きゅうさんの拍手が起こった。
 自然に開かれた人垣の中を、浮き浮きとステップをふむようにして、室の中央に進みでる一人の婦人。
まっ黒なイブニング・ドレスに、まっ黒な帽子、まっ黒な手袋、まっ黒な靴下、まっ黒な靴、黒ずくめの中に、かがやくばかりの美貌が、ドキドキと上気して、赤いばらのように咲きほこっている。
「諸君、御機嫌よう。僕はもう酔っぱらってるんです。しかし、飲みましょう。そして、踊りましょう」
 美しい婦人は、右手をヒラヒラと頭上に打ち振りながら、可愛らしい巻舌で叫んだ。
「飲みましょう。そして、踊りましょう。ダーク・エンジェルばんざい!」
「オーイ、ボーイさん、シャンパンだ、シャンパンだ」
 やがて、ポン、ポンと花やかな小銃が鳴りひびいて、コルクの弾丸が五色の風船玉をぬって昇天した。そこにも、ここにも、カチカチとグラスのふれる音、そして、またしても、
「ブラボー、ダーク・エンジェル!」
 の合唱だ。
 暗黒街の女王のこの人気は、一体どこからわいて出たのか。たとえ彼女の素性は少しもわからなくても、その美貌、
そのズバぬけたふるまい、底知れぬ贅沢ぜいたく、おびただしい宝石の装身具、それらのどの一つを取っても、女王の資格は十分すぎるほどであったが、
彼女はさらにもっともっとすばらしい魅力をそなえていた。
彼女は大胆不敵なエキジビショニストであったのだ。
「黒天使、いつもの宝石踊りを所望します!」
 だれかが口を切ると、ワーッというドヨメキ、そして一せいの拍手。
 片隅のバンドが音楽を始めた。わいせつなサキソフォンが、異様に人々の耳をくすぐった。
 人々の円陣の中央には、もう宝石踊りが始まっていた。黒天使は今や白天使と変じた。彼女の美しく上気した全肉体をおおうものは、
二筋の大粒な首飾りと、見事な翡翠ひすいの耳飾りと、無数のダイヤモンドをちりばめた左右の腕環と、三箇の指環のほかには、一本の糸、一枚の布切れさえもなかった。
 彼女は今、チカチカと光りかがやく、桃色の一肉塊にすぎなかった。それが肩をゆすり、足をあげて、エジプト宮廷の、なまめかしき舞踊を、たくみにも踊りつづけているのだ。
「オイ、見ろ、黒トカゲが這はい始めたぜ。なんてすばらしいんだろ」
「ウン、ほんとうに、あの小さな虫が、生きて動きだすんだからね」
 意気なタキシードの青年がささやき交わした。
 美しい女の左の腕に、一匹の真黒に見えるトカゲが這っていた。
それが彼女の腕のゆらぎにつれて、吸盤のある足をヨタヨタと動かして、這い出したように見えるのだ。今にもそれが、肩から頸くび、頸から顎あご、
そして彼女の真赤なヌメヌメとした、唇までも、這いあがって行きそうに見えながら、いつまでも同じ腕にうごめいている。
真にせまった一匹のトカゲの入墨いれずみであった。
 さすがにこの恥知らずの舞踊は四、五分しかつづかなかったが、それが終ると、
感激した酔いどれ紳士たちが、ドッと押し寄せて、何か口々に激情の叫びをあげながら、いきなり裸美人らびじんを胴上げにして、お御輿みこしのかけ声勇ましく、室内をグルグルと廻り歩

98 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 00:35:59.34 ID:AG5ocMSf
 この国でも一夜に数千羽の七面鳥がしめられるという、あるクリスマス・イヴの出来事だ。
 帝都最大の殷賑いんしん地帯、ネオン・ライトの闇夜の虹が、幾万の通行者を五色にそめるG街、その表通りを一歩裏へ入ると、そこにこの都の暗黒街が横たわっている。
 G街の方は、午後十一時ともなれば、夜の人種にとってはまことにあっけなく、しかし帝都の代表街にふさわしい行儀よさで、
ほとんど人通りがとだえてしまうのだが、それと引き違いに、背中合わせの暗黒街がにぎわい始め、午前二時三時頃までも、
男女のあくなき享楽児どもが、窓をとざした建物の薄くらがりの中に、ウヨウヨとうごめきつづける。
 今もいうあるクリスマス・イヴの午前一時頃、その暗黒街のとある巨大な建物、外部から見たのではまるで空家のようなまっ暗な建物の中に、
けたはずれな、狂気めいた大夜会が、今、最高潮に達していた。
 ナイトクラブの広々としたフロアに、数十人の男女が、或る者は盃をあげてブラボーを叫び、或る者はだんだら染めのの尖とんがり帽子を横っちょにして踊りくるい、
或る者はにげまどう小女をゴリラの恰好かっこうで追いまわし、或る者は泣きわめき、或る者は怒りくるっている上を、
五色の粉紙が雪と舞い、五色のテープが滝と落ち、数知れぬ青赤の風船玉が、むせかえる煙草たばこのけむりの雲の中を、とまどいをしてみだれ飛んでいた。
「やあ、ダーク・エンジェルだ。ダーク・エンジェルだ」
「黒天使の御入来だぞ」
「ブラボー、女王様ばんざい!」
 口々にわめく酔いどれの声々が混乱して、たちまち急霰きゅうさんの拍手が起こった。
 自然に開かれた人垣の中を、浮き浮きとステップをふむようにして、室の中央に進みでる一人の婦人。
まっ黒なイブニング・ドレスに、まっ黒な帽子、まっ黒な手袋、まっ黒な靴下、まっ黒な靴、黒ずくめの中に、かがやくばかりの美貌が、ドキドキと上気して、赤いばらのように咲きほこっている。
「諸君、御機嫌よう。僕はもう酔っぱらってるんです。しかし、飲みましょう。そして、踊りましょう」
 美しい婦人は、右手をヒラヒラと頭上に打ち振りながら、可愛らしい巻舌で叫んだ。
「飲みましょう。そして、踊りましょう。ダーク・エンジェルばんざい!」
「オーイ、ボーイさん、シャンパンだ、シャンパンだ」
 やがて、ポン、ポンと花やかな小銃が鳴りひびいて、コルクの弾丸が五色の風船玉をぬって昇天した。そこにも、ここにも、カチカチとグラスのふれる音、そして、またしても、
「ブラボー、ダーク・エンジェル!」
 の合唱だ。
 暗黒街の女王のこの人気は、一体どこからわいて出たのか。たとえ彼女の素性は少しもわからなくても、その美貌、
そのズバぬけたふるまい、底知れぬ贅沢ぜいたく、おびただしい宝石の装身具、それらのどの一つを取っても、女王の資格は十分すぎるほどであったが、
彼女はさらにもっともっとすばらしい魅力をそなえていた。
彼女は大胆不敵なエキジビショニストであったのだ。
「黒天使、いつもの宝石踊りを所望します!」
 だれかが口を切ると、ワーッというドヨメキ、そして一せいの拍手。
 片隅のバンドが音楽を始めた。わいせつなサキソフォンが、異様に人々の耳をくすぐった。
 人々の円陣の中央には、もう宝石踊りが始まっていた。黒天使は今や白天使と変じた。彼女の美しく上気した全肉体をおおうものは、
二筋の大粒な首飾りと、見事な翡翠ひすいの耳飾りと、無数のダイヤモンドをちりばめた左右の腕環と、三箇の指環のほかには、一本の糸、一枚の布切れさえもなかった。
 彼女は今、チカチカと光りかがやく、桃色の一肉塊にすぎなかった。それが肩をゆすり、足をあげて、エジプト宮廷の、なまめかしき舞踊を、たくみにも踊りつづけているのだ。
「オイ、見ろ、黒トカゲが這はい始めたぜ。なんてすばらしいんだろ」
「ウン、ほんとうに、あの小さな虫が、生きて動きだすんだからね」
 意気なタキシードの青年がささやき交わした。
 美しい女の左の腕に、一匹の真黒に見えるトカゲが這っていた。
それが彼女の腕のゆらぎにつれて、吸盤のある足をヨタヨタと動かして、這い出したように見えるのだ。今にもそれが、肩から頸くび、頸から顎あご、
そして彼女の真赤なヌメヌメとした、唇までも、這いあがって行きそうに見えながら、いつまでも同じ腕にうごめいている。
真にせまった一匹のトカゲの入墨いれずみであった。
 さすがにこの恥知らずの舞踊は四、五分しかつづかなかったが、それが終ると、
感激した酔いどれ紳士たちが、ドッと押し寄せて、何か口々に激情の叫びをあげながら、いきなり裸美人らびじんを胴上げにして、お御輿みこしのかけ声勇ましく、室内をグルグルと廻り歩

99 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 00:36:43.71 ID:G6A209B0
 この国でも一夜に数千羽の七面鳥がしめられるという、あるクリスマス・イヴの出来事だ。
 帝都最大の殷賑いんしん地帯、ネオン・ライトの闇夜の虹が、幾万の通行者を五色にそめるG街、その表通りを一歩裏へ入ると、そこにこの都の暗黒街が横たわっている。
 G街の方は、午後十一時ともなれば、夜の人種にとってはまことにあっけなく、しかし帝都の代表街にふさわしい行儀よさで、
ほとんど人通りがとだえてしまうのだが、それと引き違いに、背中合わせの暗黒街がにぎわい始め、午前二時三時頃までも、
男女のあくなき享楽児どもが、窓をとざした建物の薄くらがりの中に、ウヨウヨとうごめきつづける。
 今もいうあるクリスマス・イヴの午前一時頃、その暗黒街のとある巨大な建物、外部から見たのではまるで空家のようなまっ暗な建物の中に、
けたはずれな、狂気めいた大夜会が、今、最高潮に達していた。
 ナイトクラブの広々としたフロアに、数十人の男女が、或る者は盃をあげてブラボーを叫び、或る者はだんだら染めのの尖とんがり帽子を横っちょにして踊りくるい、
或る者はにげまどう小女をゴリラの恰好かっこうで追いまわし、或る者は泣きわめき、或る者は怒りくるっている上を、
五色の粉紙が雪と舞い、五色のテープが滝と落ち、数知れぬ青赤の風船玉が、むせかえる煙草たばこのけむりの雲の中を、とまどいをしてみだれ飛んでいた。
「やあ、ダーク・エンジェルだ。ダーク・エンジェルだ」
「黒天使の御入来だぞ」
「ブラボー、女王様ばんざい!」
 口々にわめく酔いどれの声々が混乱して、たちまち急霰きゅうさんの拍手が起こった。
 自然に開かれた人垣の中を、浮き浮きとステップをふむようにして、室の中央に進みでる一人の婦人。
まっ黒なイブニング・ドレスに、まっ黒な帽子、まっ黒な手袋、まっ黒な靴下、まっ黒な靴、黒ずくめの中に、かがやくばかりの美貌が、ドキドキと上気して、赤いばらのように咲きほこっている。
「諸君、御機嫌よう。僕はもう酔っぱらってるんです。しかし、飲みましょう。そして、踊りましょう」
 美しい婦人は、右手をヒラヒラと頭上に打ち振りながら、可愛らしい巻舌で叫んだ。
「飲みましょう。そして、踊りましょう。ダーク・エンジェルばんざい!」
「オーイ、ボーイさん、シャンパンだ、シャンパンだ」
 やがて、ポン、ポンと花やかな小銃が鳴りひびいて、コルクの弾丸が五色の風船玉をぬって昇天した。そこにも、ここにも、カチカチとグラスのふれる音、そして、またしても、
「ブラボー、ダーク・エンジェル!」
 の合唱だ。
 暗黒街の女王のこの人気は、一体どこからわいて出たのか。たとえ彼女の素性は少しもわからなくても、その美貌、
そのズバぬけたふるまい、底知れぬ贅沢ぜいたく、おびただしい宝石の装身具、それらのどの一つを取っても、女王の資格は十分すぎるほどであったが、
彼女はさらにもっともっとすばらしい魅力をそなえていた。
彼女は大胆不敵なエキジビショニストであったのだ。
「黒天使、いつもの宝石踊りを所望します!」
 だれかが口を切ると、ワーッというドヨメキ、そして一せいの拍手。
 片隅のバンドが音楽を始めた。わいせつなサキソフォンが、異様に人々の耳をくすぐった。
 人々の円陣の中央には、もう宝石踊りが始まっていた。黒天使は今や白天使と変じた。彼女の美しく上気した全肉体をおおうものは、
二筋の大粒な首飾りと、見事な翡翠ひすいの耳飾りと、無数のダイヤモンドをちりばめた左右の腕環と、三箇の指環のほかには、一本の糸、一枚の布切れさえもなかった。
 彼女は今、チカチカと光りかがやく、桃色の一肉塊にすぎなかった。それが肩をゆすり、足をあげて、エジプト宮廷の、なまめかしき舞踊を、たくみにも踊りつづけているのだ。
「オイ、見ろ、黒トカゲが這はい始めたぜ。なんてすばらしいんだろ」
「ウン、ほんとうに、あの小さな虫が、生きて動きだすんだからね」
 意気なタキシードの青年がささやき交わした。
 美しい女の左の腕に、一匹の真黒に見えるトカゲが這っていた。
それが彼女の腕のゆらぎにつれて、吸盤のある足をヨタヨタと動かして、這い出したように見えるのだ。今にもそれが、肩から頸くび、頸から顎あご、
そして彼女の真赤なヌメヌメとした、唇までも、這いあがって行きそうに見えながら、いつまでも同じ腕にうごめいている。
真にせまった一匹のトカゲの入墨いれずみであった。
 さすがにこの恥知らずの舞踊は四、五分しかつづかなかったが、それが終ると、
感激した酔いどれ紳士たちが、ドッと押し寄せて、何か口々に激情の叫びをあげながら、いきなり裸美人らびじんを胴上げにして、お御輿みこしのかけ声勇ましく、室内をグルグルと廻り歩

100 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 00:37:09.15 ID:G6A209B0
 この国でも一夜に数千羽の七面鳥がしめられるという、あるクリスマス・イヴの出来事だ。
 帝都最大の殷賑いんしん地帯、ネオン・ライトの闇夜の虹が、幾万の通行者を五色にそめるG街、その表通りを一歩裏へ入ると、そこにこの都の暗黒街が横たわっている。
 G街の方は、午後十一時ともなれば、夜の人種にとってはまことにあっけなく、しかし帝都の代表街にふさわしい行儀よさで、
ほとんど人通りがとだえてしまうのだが、それと引き違いに、背中合わせの暗黒街がにぎわい始め、午前二時三時頃までも、
男女のあくなき享楽児どもが、窓をとざした建物の薄くらがりの中に、ウヨウヨとうごめきつづける。
 今もいうあるクリスマス・イヴの午前一時頃、その暗黒街のとある巨大な建物、外部から見たのではまるで空家のようなまっ暗な建物の中に、
けたはずれな、狂気めいた大夜会が、今、最高潮に達していた。
 ナイトクラブの広々としたフロアに、数十人の男女が、或る者は盃をあげてブラボーを叫び、或る者はだんだら染めのの尖とんがり帽子を横っちょにして踊りくるい、
或る者はにげまどう小女をゴリラの恰好かっこうで追いまわし、或る者は泣きわめき、或る者は怒りくるっている上を、
五色の粉紙が雪と舞い、五色のテープが滝と落ち、数知れぬ青赤の風船玉が、むせかえる煙草たばこのけむりの雲の中を、とまどいをしてみだれ飛んでいた。
「やあ、ダーク・エンジェルだ。ダーク・エンジェルだ」
「黒天使の御入来だぞ」
「ブラボー、女王様ばんざい!」
 口々にわめく酔いどれの声々が混乱して、たちまち急霰きゅうさんの拍手が起こった。
 自然に開かれた人垣の中を、浮き浮きとステップをふむようにして、室の中央に進みでる一人の婦人。
まっ黒なイブニング・ドレスに、まっ黒な帽子、まっ黒な手袋、まっ黒な靴下、まっ黒な靴、黒ずくめの中に、かがやくばかりの美貌が、ドキドキと上気して、赤いばらのように咲きほこっている。
「諸君、御機嫌よう。僕はもう酔っぱらってるんです。しかし、飲みましょう。そして、踊りましょう」
 美しい婦人は、右手をヒラヒラと頭上に打ち振りながら、可愛らしい巻舌で叫んだ。
「飲みましょう。そして、踊りましょう。ダーク・エンジェルばんざい!」
「オーイ、ボーイさん、シャンパンだ、シャンパンだ」
 やがて、ポン、ポンと花やかな小銃が鳴りひびいて、コルクの弾丸が五色の風船玉をぬって昇天した。そこにも、ここにも、カチカチとグラスのふれる音、そして、またしても、
「ブラボー、ダーク・エンジェル!」
 の合唱だ。
 暗黒街の女王のこの人気は、一体どこからわいて出たのか。たとえ彼女の素性は少しもわからなくても、その美貌、
そのズバぬけたふるまい、底知れぬ贅沢ぜいたく、おびただしい宝石の装身具、それらのどの一つを取っても、女王の資格は十分すぎるほどであったが、
彼女はさらにもっともっとすばらしい魅力をそなえていた。
彼女は大胆不敵なエキジビショニストであったのだ。
「黒天使、いつもの宝石踊りを所望します!」
 だれかが口を切ると、ワーッというドヨメキ、そして一せいの拍手。
 片隅のバンドが音楽を始めた。わいせつなサキソフォンが、異様に人々の耳をくすぐった。
 人々の円陣の中央には、もう宝石踊りが始まっていた。黒天使は今や白天使と変じた。彼女の美しく上気した全肉体をおおうものは、
二筋の大粒な首飾りと、見事な翡翠ひすいの耳飾りと、無数のダイヤモンドをちりばめた左右の腕環と、三箇の指環のほかには、一本の糸、一枚の布切れさえもなかった。
 彼女は今、チカチカと光りかがやく、桃色の一肉塊にすぎなかった。それが肩をゆすり、足をあげて、エジプト宮廷の、なまめかしき舞踊を、たくみにも踊りつづけているのだ。
「オイ、見ろ、黒トカゲが這はい始めたぜ。なんてすばらしいんだろ」
「ウン、ほんとうに、あの小さな虫が、生きて動きだすんだからね」
 意気なタキシードの青年がささやき交わした。
 美しい女の左の腕に、一匹の真黒に見えるトカゲが這っていた。
それが彼女の腕のゆらぎにつれて、吸盤のある足をヨタヨタと動かして、這い出したように見えるのだ。今にもそれが、肩から頸くび、頸から顎あご、
そして彼女の真赤なヌメヌメとした、唇までも、這いあがって行きそうに見えながら、いつまでも同じ腕にうごめいている。
真にせまった一匹のトカゲの入墨いれずみであった。
 さすがにこの恥知らずの舞踊は四、五分しかつづかなかったが、それが終ると、
感激した酔いどれ紳士たちが、ドッと押し寄せて、何か口々に激情の叫びをあげながら、いきなり裸美人らびじんを胴上げにして、お御輿みこしのかけ声勇ましく、室内をグルグルと廻り歩

101 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 00:37:56.70 ID:G6A209B0
 この国でも一夜に数千羽の七面鳥がしめられるという、あるクリスマス・イヴの出来事だ。
 帝都最大の殷賑いんしん地帯、ネオン・ライトの闇夜の虹が、幾万の通行者を五色にそめるG街、その表通りを一歩裏へ入ると、そこにこの都の暗黒街が横たわっている。
 G街の方は、午後十一時ともなれば、夜の人種にとってはまことにあっけなく、しかし帝都の代表街にふさわしい行儀よさで、
ほとんど人通りがとだえてしまうのだが、それと引き違いに、背中合わせの暗黒街がにぎわい始め、午前二時三時頃までも、
男女のあくなき享楽児どもが、窓をとざした建物の薄くらがりの中に、ウヨウヨとうごめきつづける。
 今もいうあるクリスマス・イヴの午前一時頃、その暗黒街のとある巨大な建物、外部から見たのではまるで空家のようなまっ暗な建物の中に、
けたはずれな、狂気めいた大夜会が、今、最高潮に達していた。
 ナイトクラブの広々としたフロアに、数十人の男女が、或る者は盃をあげてブラボーを叫び、或る者はだんだら染めのの尖とんがり帽子を横っちょにして踊りくるい、
或る者はにげまどう小女をゴリラの恰好かっこうで追いまわし、或る者は泣きわめき、或る者は怒りくるっている上を、
五色の粉紙が雪と舞い、五色のテープが滝と落ち、数知れぬ青赤の風船玉が、むせかえる煙草たばこのけむりの雲の中を、とまどいをしてみだれ飛んでいた。
「やあ、ダーク・エンジェルだ。ダーク・エンジェルだ」
「黒天使の御入来だぞ」
「ブラボー、女王様ばんざい!」
 口々にわめく酔いどれの声々が混乱して、たちまち急霰きゅうさんの拍手が起こった。
 自然に開かれた人垣の中を、浮き浮きとステップをふむようにして、室の中央に進みでる一人の婦人。
まっ黒なイブニング・ドレスに、まっ黒な帽子、まっ黒な手袋、まっ黒な靴下、まっ黒な靴、黒ずくめの中に、かがやくばかりの美貌が、ドキドキと上気して、赤いばらのように咲きほこっている。
「諸君、御機嫌よう。僕はもう酔っぱらってるんです。しかし、飲みましょう。そして、踊りましょう」
 美しい婦人は、右手をヒラヒラと頭上に打ち振りながら、可愛らしい巻舌で叫んだ。
「飲みましょう。そして、踊りましょう。ダーク・エンジェルばんざい!」
「オーイ、ボーイさん、シャンパンだ、シャンパンだ」
 やがて、ポン、ポンと花やかな小銃が鳴りひびいて、コルクの弾丸が五色の風船玉をぬって昇天した。そこにも、ここにも、カチカチとグラスのふれる音、そして、またしても、
「ブラボー、ダーク・エンジェル!」
 の合唱だ。
 暗黒街の女王のこの人気は、一体どこからわいて出たのか。たとえ彼女の素性は少しもわからなくても、その美貌、
そのズバぬけたふるまい、底知れぬ贅沢ぜいたく、おびただしい宝石の装身具、それらのどの一つを取っても、女王の資格は十分すぎるほどであったが、
彼女はさらにもっともっとすばらしい魅力をそなえていた。
彼女は大胆不敵なエキジビショニストであったのだ。
「黒天使、いつもの宝石踊りを所望します!」
 だれかが口を切ると、ワーッというドヨメキ、そして一せいの拍手。
 片隅のバンドが音楽を始めた。わいせつなサキソフォンが、異様に人々の耳をくすぐった。
 人々の円陣の中央には、もう宝石踊りが始まっていた。黒天使は今や白天使と変じた。彼女の美しく上気した全肉体をおおうものは、
二筋の大粒な首飾りと、見事な翡翠ひすいの耳飾りと、無数のダイヤモンドをちりばめた左右の腕環と、三箇の指環のほかには、一本の糸、一枚の布切れさえもなかった。
 彼女は今、チカチカと光りかがやく、桃色の一肉塊にすぎなかった。それが肩をゆすり、足をあげて、エジプト宮廷の、なまめかしき舞踊を、たくみにも踊りつづけているのだ。
「オイ、見ろ、黒トカゲが這はい始めたぜ。なんてすばらしいんだろ」
「ウン、ほんとうに、あの小さな虫が、生きて動きだすんだからね」
 意気なタキシードの青年がささやき交わした。
 美しい女の左の腕に、一匹の真黒に見えるトカゲが這っていた。
それが彼女の腕のゆらぎにつれて、吸盤のある足をヨタヨタと動かして、這い出したように見えるのだ。今にもそれが、肩から頸くび、頸から顎あご、
そして彼女の真赤なヌメヌメとした、唇までも、這いあがって行きそうに見えながら、いつまでも同じ腕にうごめいている。
真にせまった一匹のトカゲの入墨いれずみであった。
 さすがにこの恥知らずの舞踊は四、五分しかつづかなかったが、それが終ると、
感激した酔いどれ紳士たちが、ドッと押し寄せて、何か口々に激情の叫びをあげながら、いきなり裸美人らびじんを胴上げにして、お御輿みこしのかけ声勇ましく、室内をグルグルと廻り歩

102 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 00:38:44.27 ID:G6A209B0
 この国でも一夜に数千羽の七面鳥がしめられるという、あるクリスマス・イヴの出来事だ。
 帝都最大の殷賑いんしん地帯、ネオン・ライトの闇夜の虹が、幾万の通行者を五色にそめるG街、その表通りを一歩裏へ入ると、そこにこの都の暗黒街が横たわっている。
 G街の方は、午後十一時ともなれば、夜の人種にとってはまことにあっけなく、しかし帝都の代表街にふさわしい行儀よさで、
ほとんど人通りがとだえてしまうのだが、それと引き違いに、背中合わせの暗黒街がにぎわい始め、午前二時三時頃までも、
男女のあくなき享楽児どもが、窓をとざした建物の薄くらがりの中に、ウヨウヨとうごめきつづける。
 今もいうあるクリスマス・イヴの午前一時頃、その暗黒街のとある巨大な建物、外部から見たのではまるで空家のようなまっ暗な建物の中に、
けたはずれな、狂気めいた大夜会が、今、最高潮に達していた。
 ナイトクラブの広々としたフロアに、数十人の男女が、或る者は盃をあげてブラボーを叫び、或る者はだんだら染めのの尖とんがり帽子を横っちょにして踊りくるい、
或る者はにげまどう小女をゴリラの恰好かっこうで追いまわし、或る者は泣きわめき、或る者は怒りくるっている上を、
五色の粉紙が雪と舞い、五色のテープが滝と落ち、数知れぬ青赤の風船玉が、むせかえる煙草たばこのけむりの雲の中を、とまどいをしてみだれ飛んでいた。
「やあ、ダーク・エンジェルだ。ダーク・エンジェルだ」
「黒天使の御入来だぞ」
「ブラボー、女王様ばんざい!」
 口々にわめく酔いどれの声々が混乱して、たちまち急霰きゅうさんの拍手が起こった。
 自然に開かれた人垣の中を、浮き浮きとステップをふむようにして、室の中央に進みでる一人の婦人。
まっ黒なイブニング・ドレスに、まっ黒な帽子、まっ黒な手袋、まっ黒な靴下、まっ黒な靴、黒ずくめの中に、かがやくばかりの美貌が、ドキドキと上気して、赤いばらのように咲きほこっている。
「諸君、御機嫌よう。僕はもう酔っぱらってるんです。しかし、飲みましょう。そして、踊りましょう」
 美しい婦人は、右手をヒラヒラと頭上に打ち振りながら、可愛らしい巻舌で叫んだ。
「飲みましょう。そして、踊りましょう。ダーク・エンジェルばんざい!」
「オーイ、ボーイさん、シャンパンだ、シャンパンだ」
 やがて、ポン、ポンと花やかな小銃が鳴りひびいて、コルクの弾丸が五色の風船玉をぬって昇天した。そこにも、ここにも、カチカチとグラスのふれる音、そして、またしても、
「ブラボー、ダーク・エンジェル!」
 の合唱だ。
 暗黒街の女王のこの人気は、一体どこからわいて出たのか。たとえ彼女の素性は少しもわからなくても、その美貌、
そのズバぬけたふるまい、底知れぬ贅沢ぜいたく、おびただしい宝石の装身具、それらのどの一つを取っても、女王の資格は十分すぎるほどであったが、
彼女はさらにもっともっとすばらしい魅力をそなえていた。
彼女は大胆不敵なエキジビショニストであったのだ。
「黒天使、いつもの宝石踊りを所望します!」
 だれかが口を切ると、ワーッというドヨメキ、そして一せいの拍手。
 片隅のバンドが音楽を始めた。わいせつなサキソフォンが、異様に人々の耳をくすぐった。
 人々の円陣の中央には、もう宝石踊りが始まっていた。黒天使は今や白天使と変じた。彼女の美しく上気した全肉体をおおうものは、
二筋の大粒な首飾りと、見事な翡翠ひすいの耳飾りと、無数のダイヤモンドをちりばめた左右の腕環と、三箇の指環のほかには、一本の糸、一枚の布切れさえもなかった。
 彼女は今、チカチカと光りかがやく、桃色の一肉塊にすぎなかった。それが肩をゆすり、足をあげて、エジプト宮廷の、なまめかしき舞踊を、たくみにも踊りつづけているのだ。
「オイ、見ろ、黒トカゲが這はい始めたぜ。なんてすばらしいんだろ」
「ウン、ほんとうに、あの小さな虫が、生きて動きだすんだからね」
 意気なタキシードの青年がささやき交わした。
 美しい女の左の腕に、一匹の真黒に見えるトカゲが這っていた。
それが彼女の腕のゆらぎにつれて、吸盤のある足をヨタヨタと動かして、這い出したように見えるのだ。今にもそれが、肩から頸くび、頸から顎あご、
そして彼女の真赤なヌメヌメとした、唇までも、這いあがって行きそうに見えながら、いつまでも同じ腕にうごめいている。
真にせまった一匹のトカゲの入墨いれずみであった。
 さすがにこの恥知らずの舞踊は四、五分しかつづかなかったが、それが終ると、
感激した酔いどれ紳士たちが、ドッと押し寄せて、何か口々に激情の叫びをあげながら、いきなり裸美人らびじんを胴上げにして、お御輿みこしのかけ声勇ましく、室内をグルグルと廻り歩

103 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 00:39:42.02 ID:G6A209B0
 この国でも一夜に数千羽の七面鳥がしめられるという、あるクリスマス・イヴの出来事だ。
 帝都最大の殷賑いんしん地帯、ネオン・ライトの闇夜の虹が、幾万の通行者を五色にそめるG街、その表通りを一歩裏へ入ると、そこにこの都の暗黒街が横たわっている。
 G街の方は、午後十一時ともなれば、夜の人種にとってはまことにあっけなく、しかし帝都の代表街にふさわしい行儀よさで、
ほとんど人通りがとだえてしまうのだが、それと引き違いに、背中合わせの暗黒街がにぎわい始め、午前二時三時頃までも、
男女のあくなき享楽児どもが、窓をとざした建物の薄くらがりの中に、ウヨウヨとうごめきつづける。
 今もいうあるクリスマス・イヴの午前一時頃、その暗黒街のとある巨大な建物、外部から見たのではまるで空家のようなまっ暗な建物の中に、
けたはずれな、狂気めいた大夜会が、今、最高潮に達していた。
 ナイトクラブの広々としたフロアに、数十人の男女が、或る者は盃をあげてブラボーを叫び、或る者はだんだら染めのの尖とんがり帽子を横っちょにして踊りくるい、
或る者はにげまどう小女をゴリラの恰好かっこうで追いまわし、或る者は泣きわめき、或る者は怒りくるっている上を、
五色の粉紙が雪と舞い、五色のテープが滝と落ち、数知れぬ青赤の風船玉が、むせかえる煙草たばこのけむりの雲の中を、とまどいをしてみだれ飛んでいた。
「やあ、ダーク・エンジェルだ。ダーク・エンジェルだ」
「黒天使の御入来だぞ」
「ブラボー、女王様ばんざい!」
 口々にわめく酔いどれの声々が混乱して、たちまち急霰きゅうさんの拍手が起こった。
 自然に開かれた人垣の中を、浮き浮きとステップをふむようにして、室の中央に進みでる一人の婦人。
まっ黒なイブニング・ドレスに、まっ黒な帽子、まっ黒な手袋、まっ黒な靴下、まっ黒な靴、黒ずくめの中に、かがやくばかりの美貌が、ドキドキと上気して、赤いばらのように咲きほこっている。
「諸君、御機嫌よう。僕はもう酔っぱらってるんです。しかし、飲みましょう。そして、踊りましょう」
 美しい婦人は、右手をヒラヒラと頭上に打ち振りながら、可愛らしい巻舌で叫んだ。
「飲みましょう。そして、踊りましょう。ダーク・エンジェルばんざい!」
「オーイ、ボーイさん、シャンパンだ、シャンパンだ」
 やがて、ポン、ポンと花やかな小銃が鳴りひびいて、コルクの弾丸が五色の風船玉をぬって昇天した。そこにも、ここにも、カチカチとグラスのふれる音、そして、またしても、
「ブラボー、ダーク・エンジェル!」
 の合唱だ。
 暗黒街の女王のこの人気は、一体どこからわいて出たのか。たとえ彼女の素性は少しもわからなくても、その美貌、
そのズバぬけたふるまい、底知れぬ贅沢ぜいたく、おびただしい宝石の装身具、それらのどの一つを取っても、女王の資格は十分すぎるほどであったが、
彼女はさらにもっともっとすばらしい魅力をそなえていた。
彼女は大胆不敵なエキジビショニストであったのだ。
「黒天使、いつもの宝石踊りを所望します!」
 だれかが口を切ると、ワーッというドヨメキ、そして一せいの拍手。
 片隅のバンドが音楽を始めた。わいせつなサキソフォンが、異様に人々の耳をくすぐった。
 人々の円陣の中央には、もう宝石踊りが始まっていた。黒天使は今や白天使と変じた。彼女の美しく上気した全肉体をおおうものは、
二筋の大粒な首飾りと、見事な翡翠ひすいの耳飾りと、無数のダイヤモンドをちりばめた左右の腕環と、三箇の指環のほかには、一本の糸、一枚の布切れさえもなかった。
 彼女は今、チカチカと光りかがやく、桃色の一肉塊にすぎなかった。それが肩をゆすり、足をあげて、エジプト宮廷の、なまめかしき舞踊を、たくみにも踊りつづけているのだ。
「オイ、見ろ、黒トカゲが這はい始めたぜ。なんてすばらしいんだろ」
「ウン、ほんとうに、あの小さな虫が、生きて動きだすんだからね」
 意気なタキシードの青年がささやき交わした。
 美しい女の左の腕に、一匹の真黒に見えるトカゲが這っていた。
それが彼女の腕のゆらぎにつれて、吸盤のある足をヨタヨタと動かして、這い出したように見えるのだ。今にもそれが、肩から頸くび、頸から顎あご、
そして彼女の真赤なヌメヌメとした、唇までも、這いあがって行きそうに見えながら、いつまでも同じ腕にうごめいている。
真にせまった一匹のトカゲの入墨いれずみであった。
 さすがにこの恥知らずの舞踊は四、五分しかつづかなかったが、それが終ると、
感激した酔いどれ紳士たちが、ドッと押し寄せて、何か口々に激情の叫びをあげながら、いきなり裸美人らびじんを胴上げにして、お御輿みこしのかけ声勇ましく、室内をグルグルと廻り歩

104 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 00:47:36.57 ID:G6A209B0
 この国でも一夜に数千羽の七面鳥がしめられるという、あるクリスマス・イヴの出来事だ。
 帝都最大の殷賑いんしん地帯、ネオン・ライトの闇夜の虹が、幾万の通行者を五色にそめるG街、その表通りを一歩裏へ入ると、そこにこの都の暗黒街が横たわっている。
 G街の方は、午後十一時ともなれば、夜の人種にとってはまことにあっけなく、しかし帝都の代表街にふさわしい行儀よさで、
ほとんど人通りがとだえてしまうのだが、それと引き違いに、背中合わせの暗黒街がにぎわい始め、午前二時三時頃までも、
男女のあくなき享楽児どもが、窓をとざした建物の薄くらがりの中に、ウヨウヨとうごめきつづける。
 今もいうあるクリスマス・イヴの午前一時頃、その暗黒街のとある巨大な建物、外部から見たのではまるで空家のようなまっ暗な建物の中に、
けたはずれな、狂気めいた大夜会が、今、最高潮に達していた。
 ナイトクラブの広々としたフロアに、数十人の男女が、或る者は盃をあげてブラボーを叫び、或る者はだんだら染めのの尖とんがり帽子を横っちょにして踊りくるい、
或る者はにげまどう小女をゴリラの恰好かっこうで追いまわし、或る者は泣きわめき、或る者は怒りくるっている上を、
五色の粉紙が雪と舞い、五色のテープが滝と落ち、数知れぬ青赤の風船玉が、むせかえる煙草たばこのけむりの雲の中を、とまどいをしてみだれ飛んでいた。
「やあ、ダーク・エンジェルだ。ダーク・エンジェルだ」
「黒天使の御入来だぞ」
「ブラボー、女王様ばんざい!」
 口々にわめく酔いどれの声々が混乱して、たちまち急霰きゅうさんの拍手が起こった。
 自然に開かれた人垣の中を、浮き浮きとステップをふむようにして、室の中央に進みでる一人の婦人。
まっ黒なイブニング・ドレスに、まっ黒な帽子、まっ黒な手袋、まっ黒な靴下、まっ黒な靴、黒ずくめの中に、かがやくばかりの美貌が、ドキドキと上気して、赤いばらのように咲きほこっている。
「諸君、御機嫌よう。僕はもう酔っぱらってるんです。しかし、飲みましょう。そして、踊りましょう」
 美しい婦人は、右手をヒラヒラと頭上に打ち振りながら、可愛らしい巻舌で叫んだ。
「飲みましょう。そして、踊りましょう。ダーク・エンジェルばんざい!」
「オーイ、ボーイさん、シャンパンだ、シャンパンだ」
 やがて、ポン、ポンと花やかな小銃が鳴りひびいて、コルクの弾丸が五色の風船玉をぬって昇天した。そこにも、ここにも、カチカチとグラスのふれる音、そして、またしても、
「ブラボー、ダーク・エンジェル!」
 の合唱だ。
 暗黒街の女王のこの人気は、一体どこからわいて出たのか。たとえ彼女の素性は少しもわからなくても、その美貌、
そのズバぬけたふるまい、底知れぬ贅沢ぜいたく、おびただしい宝石の装身具、それらのどの一つを取っても、女王の資格は十分すぎるほどであったが、
彼女はさらにもっともっとすばらしい魅力をそなえていた。
彼女は大胆不敵なエキジビショニストであったのだ。
「黒天使、いつもの宝石踊りを所望します!」
 だれかが口を切ると、ワーッというドヨメキ、そして一せいの拍手。
 片隅のバンドが音楽を始めた。わいせつなサキソフォンが、異様に人々の耳をくすぐった。
 人々の円陣の中央には、もう宝石踊りが始まっていた。黒天使は今や白天使と変じた。彼女の美しく上気した全肉体をおおうものは、
二筋の大粒な首飾りと、見事な翡翠ひすいの耳飾りと、無数のダイヤモンドをちりばめた左右の腕環と、三箇の指環のほかには、一本の糸、一枚の布切れさえもなかった。
 彼女は今、チカチカと光りかがやく、桃色の一肉塊にすぎなかった。それが肩をゆすり、足をあげて、エジプト宮廷の、なまめかしき舞踊を、たくみにも踊りつづけているのだ。
「オイ、見ろ、黒トカゲが這はい始めたぜ。なんてすばらしいんだろ」
「ウン、ほんとうに、あの小さな虫が、生きて動きだすんだからね」
 意気なタキシードの青年がささやき交わした。
 美しい女の左の腕に、一匹の真黒に見えるトカゲが這っていた。
それが彼女の腕のゆらぎにつれて、吸盤のある足をヨタヨタと動かして、這い出したように見えるのだ。今にもそれが、肩から頸くび、頸から顎あご、
そして彼女の真赤なヌメヌメとした、唇までも、這いあがって行きそうに見えながら、いつまでも同じ腕にうごめいている。
真にせまった一匹のトカゲの入墨いれずみであった。
 さすがにこの恥知らずの舞踊は四、五分しかつづかなかったが、それが終ると、
感激した酔いどれ紳士たちが、ドッと押し寄せて、何か口々に激情の叫びをあげながら、いきなり裸美人らびじんを胴上げにして、お御輿みこしのかけ声勇ましく、室内をグルグルと廻り歩

105 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 00:48:26.48 ID:G6A209B0
 この国でも一夜に数千羽の七面鳥がしめられるという、あるクリスマス・イヴの出来事だ。
 帝都最大の殷賑いんしん地帯、ネオン・ライトの闇夜の虹が、幾万の通行者を五色にそめるG街、その表通りを一歩裏へ入ると、そこにこの都の暗黒街が横たわっている。
 G街の方は、午後十一時ともなれば、夜の人種にとってはまことにあっけなく、しかし帝都の代表街にふさわしい行儀よさで、
ほとんど人通りがとだえてしまうのだが、それと引き違いに、背中合わせの暗黒街がにぎわい始め、午前二時三時頃までも、
男女のあくなき享楽児どもが、窓をとざした建物の薄くらがりの中に、ウヨウヨとうごめきつづける。
 今もいうあるクリスマス・イヴの午前一時頃、その暗黒街のとある巨大な建物、外部から見たのではまるで空家のようなまっ暗な建物の中に、
けたはずれな、狂気めいた大夜会が、今、最高潮に達していた。
 ナイトクラブの広々としたフロアに、数十人の男女が、或る者は盃をあげてブラボーを叫び、或る者はだんだら染めのの尖とんがり帽子を横っちょにして踊りくるい、
或る者はにげまどう小女をゴリラの恰好かっこうで追いまわし、或る者は泣きわめき、或る者は怒りくるっている上を、
五色の粉紙が雪と舞い、五色のテープが滝と落ち、数知れぬ青赤の風船玉が、むせかえる煙草たばこのけむりの雲の中を、とまどいをしてみだれ飛んでいた。
「やあ、ダーク・エンジェルだ。ダーク・エンジェルだ」
「黒天使の御入来だぞ」
「ブラボー、女王様ばんざい!」
 口々にわめく酔いどれの声々が混乱して、たちまち急霰きゅうさんの拍手が起こった。
 自然に開かれた人垣の中を、浮き浮きとステップをふむようにして、室の中央に進みでる一人の婦人。
まっ黒なイブニング・ドレスに、まっ黒な帽子、まっ黒な手袋、まっ黒な靴下、まっ黒な靴、黒ずくめの中に、かがやくばかりの美貌が、ドキドキと上気して、赤いばらのように咲きほこっている。
「諸君、御機嫌よう。僕はもう酔っぱらってるんです。しかし、飲みましょう。そして、踊りましょう」
 美しい婦人は、右手をヒラヒラと頭上に打ち振りながら、可愛らしい巻舌で叫んだ。
「飲みましょう。そして、踊りましょう。ダーク・エンジェルばんざい!」
「オーイ、ボーイさん、シャンパンだ、シャンパンだ」
 やがて、ポン、ポンと花やかな小銃が鳴りひびいて、コルクの弾丸が五色の風船玉をぬって昇天した。そこにも、ここにも、カチカチとグラスのふれる音、そして、またしても、
「ブラボー、ダーク・エンジェル!」
 の合唱だ。
 暗黒街の女王のこの人気は、一体どこからわいて出たのか。たとえ彼女の素性は少しもわからなくても、その美貌、
そのズバぬけたふるまい、底知れぬ贅沢ぜいたく、おびただしい宝石の装身具、それらのどの一つを取っても、女王の資格は十分すぎるほどであったが、
彼女はさらにもっともっとすばらしい魅力をそなえていた。
彼女は大胆不敵なエキジビショニストであったのだ。
「黒天使、いつもの宝石踊りを所望します!」
 だれかが口を切ると、ワーッというドヨメキ、そして一せいの拍手。
 片隅のバンドが音楽を始めた。わいせつなサキソフォンが、異様に人々の耳をくすぐった。
 人々の円陣の中央には、もう宝石踊りが始まっていた。黒天使は今や白天使と変じた。彼女の美しく上気した全肉体をおおうものは、
二筋の大粒な首飾りと、見事な翡翠ひすいの耳飾りと、無数のダイヤモンドをちりばめた左右の腕環と、三箇の指環のほかには、一本の糸、一枚の布切れさえもなかった。
 彼女は今、チカチカと光りかがやく、桃色の一肉塊にすぎなかった。それが肩をゆすり、足をあげて、エジプト宮廷の、なまめかしき舞踊を、たくみにも踊りつづけているのだ。
「オイ、見ろ、黒トカゲが這はい始めたぜ。なんてすばらしいんだろ」
「ウン、ほんとうに、あの小さな虫が、生きて動きだすんだからね」
 意気なタキシードの青年がささやき交わした。
 美しい女の左の腕に、一匹の真黒に見えるトカゲが這っていた。
それが彼女の腕のゆらぎにつれて、吸盤のある足をヨタヨタと動かして、這い出したように見えるのだ。今にもそれが、肩から頸くび、頸から顎あご、
そして彼女の真赤なヌメヌメとした、唇までも、這いあがって行きそうに見えながら、いつまでも同じ腕にうごめいている。
真にせまった一匹のトカゲの入墨いれずみであった。
 さすがにこの恥知らずの舞踊は四、五分しかつづかなかったが、それが終ると、
感激した酔いどれ紳士たちが、ドッと押し寄せて、何か口々に激情の叫びをあげながら、いきなり裸美人らびじんを胴上げにして、お御輿みこしのかけ声勇ましく、室内をグルグルと廻り歩

106 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 01:04:20.15 ID:G6A209B0
 この国でも一夜に数千羽の七面鳥がしめられるという、あるクリスマス・イヴの出来事だ。
 帝都最大の殷賑いんしん地帯、ネオン・ライトの闇夜の虹が、幾万の通行者を五色にそめるG街、その表通りを一歩裏へ入ると、そこにこの都の暗黒街が横たわっている。
 G街の方は、午後十一時ともなれば、夜の人種にとってはまことにあっけなく、しかし帝都の代表街にふさわしい行儀よさで、
ほとんど人通りがとだえてしまうのだが、それと引き違いに、背中合わせの暗黒街がにぎわい始め、午前二時三時頃までも、
男女のあくなき享楽児どもが、窓をとざした建物の薄くらがりの中に、ウヨウヨとうごめきつづける。
 今もいうあるクリスマス・イヴの午前一時頃、その暗黒街のとある巨大な建物、外部から見たのではまるで空家のようなまっ暗な建物の中に、
けたはずれな、狂気めいた大夜会が、今、最高潮に達していた。
 ナイトクラブの広々としたフロアに、数十人の男女が、或る者は盃をあげてブラボーを叫び、或る者はだんだら染めのの尖とんがり帽子を横っちょにして踊りくるい、
或る者はにげまどう小女をゴリラの恰好かっこうで追いまわし、或る者は泣きわめき、或る者は怒りくるっている上を、
五色の粉紙が雪と舞い、五色のテープが滝と落ち、数知れぬ青赤の風船玉が、むせかえる煙草たばこのけむりの雲の中を、とまどいをしてみだれ飛んでいた。
「やあ、ダーク・エンジェルだ。ダーク・エンジェルだ」
「黒天使の御入来だぞ」
「ブラボー、女王様ばんざい!」
 口々にわめく酔いどれの声々が混乱して、たちまち急霰きゅうさんの拍手が起こった。
 自然に開かれた人垣の中を、浮き浮きとステップをふむようにして、室の中央に進みでる一人の婦人。
まっ黒なイブニング・ドレスに、まっ黒な帽子、まっ黒な手袋、まっ黒な靴下、まっ黒な靴、黒ずくめの中に、かがやくばかりの美貌が、ドキドキと上気して、赤いばらのように咲きほこっている。
「諸君、御機嫌よう。僕はもう酔っぱらってるんです。しかし、飲みましょう。そして、踊りましょう」
 美しい婦人は、右手をヒラヒラと頭上に打ち振りながら、可愛らしい巻舌で叫んだ。
「飲みましょう。そして、踊りましょう。ダーク・エンジェルばんざい!」
「オーイ、ボーイさん、シャンパンだ、シャンパンだ」
 やがて、ポン、ポンと花やかな小銃が鳴りひびいて、コルクの弾丸が五色の風船玉をぬって昇天した。そこにも、ここにも、カチカチとグラスのふれる音、そして、またしても、
「ブラボー、ダーク・エンジェル!」
 の合唱だ。
 暗黒街の女王のこの人気は、一体どこからわいて出たのか。たとえ彼女の素性は少しもわからなくても、その美貌、
そのズバぬけたふるまい、底知れぬ贅沢ぜいたく、おびただしい宝石の装身具、それらのどの一つを取っても、女王の資格は十分すぎるほどであったが、
彼女はさらにもっともっとすばらしい魅力をそなえていた。
彼女は大胆不敵なエキジビショニストであったのだ。
「黒天使、いつもの宝石踊りを所望します!」
 だれかが口を切ると、ワーッというドヨメキ、そして一せいの拍手。
 片隅のバンドが音楽を始めた。わいせつなサキソフォンが、異様に人々の耳をくすぐった。
 人々の円陣の中央には、もう宝石踊りが始まっていた。黒天使は今や白天使と変じた。彼女の美しく上気した全肉体をおおうものは、
二筋の大粒な首飾りと、見事な翡翠ひすいの耳飾りと、無数のダイヤモンドをちりばめた左右の腕環と、三箇の指環のほかには、一本の糸、一枚の布切れさえもなかった。
 彼女は今、チカチカと光りかがやく、桃色の一肉塊にすぎなかった。それが肩をゆすり、足をあげて、エジプト宮廷の、なまめかしき舞踊を、たくみにも踊りつづけているのだ。
「オイ、見ろ、黒トカゲが這はい始めたぜ。なんてすばらしいんだろ」
「ウン、ほんとうに、あの小さな虫が、生きて動きだすんだからね」
 意気なタキシードの青年がささやき交わした。
 美しい女の左の腕に、一匹の真黒に見えるトカゲが這っていた。
それが彼女の腕のゆらぎにつれて、吸盤のある足をヨタヨタと動かして、這い出したように見えるのだ。今にもそれが、肩から頸くび、頸から顎あご、
そして彼女の真赤なヌメヌメとした、唇までも、這いあがって行きそうに見えながら、いつまでも同じ腕にうごめいている。
真にせまった一匹のトカゲの入墨いれずみであった。
 さすがにこの恥知らずの舞踊は四、五分しかつづかなかったが、それが終ると、
感激した酔いどれ紳士たちが、ドッと押し寄せて、何か口々に激情の叫びをあげながら、いきなり裸美人らびじんを胴上げにして、お御輿みこしのかけ声勇ましく、室内をグルグルと廻り歩

107 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 01:06:47.89 ID:G6A209B0
 この国でも一夜に数千羽の七面鳥がしめられるという、あるクリスマス・イヴの出来事だ。
 帝都最大の殷賑いんしん地帯、ネオン・ライトの闇夜の虹が、幾万の通行者を五色にそめるG街、その表通りを一歩裏へ入ると、そこにこの都の暗黒街が横たわっている。
 G街の方は、午後十一時ともなれば、夜の人種にとってはまことにあっけなく、しかし帝都の代表街にふさわしい行儀よさで、
ほとんど人通りがとだえてしまうのだが、それと引き違いに、背中合わせの暗黒街がにぎわい始め、午前二時三時頃までも、
男女のあくなき享楽児どもが、窓をとざした建物の薄くらがりの中に、ウヨウヨとうごめきつづける。
 今もいうあるクリスマス・イヴの午前一時頃、その暗黒街のとある巨大な建物、外部から見たのではまるで空家のようなまっ暗な建物の中に、
けたはずれな、狂気めいた大夜会が、今、最高潮に達していた。
 ナイトクラブの広々としたフロアに、数十人の男女が、或る者は盃をあげてブラボーを叫び、或る者はだんだら染めのの尖とんがり帽子を横っちょにして踊りくるい、
或る者はにげまどう小女をゴリラの恰好かっこうで追いまわし、或る者は泣きわめき、或る者は怒りくるっている上を、
五色の粉紙が雪と舞い、五色のテープが滝と落ち、数知れぬ青赤の風船玉が、むせかえる煙草たばこのけむりの雲の中を、とまどいをしてみだれ飛んでいた。
「やあ、ダーク・エンジェルだ。ダーク・エンジェルだ」
「黒天使の御入来だぞ」
「ブラボー、女王様ばんざい!」
 口々にわめく酔いどれの声々が混乱して、たちまち急霰きゅうさんの拍手が起こった。
 自然に開かれた人垣の中を、浮き浮きとステップをふむようにして、室の中央に進みでる一人の婦人。
まっ黒なイブニング・ドレスに、まっ黒な帽子、まっ黒な手袋、まっ黒な靴下、まっ黒な靴、黒ずくめの中に、かがやくばかりの美貌が、ドキドキと上気して、赤いばらのように咲きほこっている。
「諸君、御機嫌よう。僕はもう酔っぱらってるんです。しかし、飲みましょう。そして、踊りましょう」
 美しい婦人は、右手をヒラヒラと頭上に打ち振りながら、可愛らしい巻舌で叫んだ。
「飲みましょう。そして、踊りましょう。ダーク・エンジェルばんざい!」
「オーイ、ボーイさん、シャンパンだ、シャンパンだ」
 やがて、ポン、ポンと花やかな小銃が鳴りひびいて、コルクの弾丸が五色の風船玉をぬって昇天した。そこにも、ここにも、カチカチとグラスのふれる音、そして、またしても、
「ブラボー、ダーク・エンジェル!」
 の合唱だ。
 暗黒街の女王のこの人気は、一体どこからわいて出たのか。たとえ彼女の素性は少しもわからなくても、その美貌、
そのズバぬけたふるまい、底知れぬ贅沢ぜいたく、おびただしい宝石の装身具、それらのどの一つを取っても、女王の資格は十分すぎるほどであったが、
彼女はさらにもっともっとすばらしい魅力をそなえていた。
彼女は大胆不敵なエキジビショニストであったのだ。
「黒天使、いつもの宝石踊りを所望します!」
 だれかが口を切ると、ワーッというドヨメキ、そして一せいの拍手。
 片隅のバンドが音楽を始めた。わいせつなサキソフォンが、異様に人々の耳をくすぐった。
 人々の円陣の中央には、もう宝石踊りが始まっていた。黒天使は今や白天使と変じた。彼女の美しく上気した全肉体をおおうものは、
二筋の大粒な首飾りと、見事な翡翠ひすいの耳飾りと、無数のダイヤモンドをちりばめた左右の腕環と、三箇の指環のほかには、一本の糸、一枚の布切れさえもなかった。
 彼女は今、チカチカと光りかがやく、桃色の一肉塊にすぎなかった。それが肩をゆすり、足をあげて、エジプト宮廷の、なまめかしき舞踊を、たくみにも踊りつづけているのだ。
「オイ、見ろ、黒トカゲが這はい始めたぜ。なんてすばらしいんだろ」
「ウン、ほんとうに、あの小さな虫が、生きて動きだすんだからね」
 意気なタキシードの青年がささやき交わした。
 美しい女の左の腕に、一匹の真黒に見えるトカゲが這っていた。
それが彼女の腕のゆらぎにつれて、吸盤のある足をヨタヨタと動かして、這い出したように見えるのだ。今にもそれが、肩から頸くび、頸から顎あご、
そして彼女の真赤なヌメヌメとした、唇までも、這いあがって行きそうに見えながら、いつまでも同じ腕にうごめいている。
真にせまった一匹のトカゲの入墨いれずみであった。
 さすがにこの恥知らずの舞踊は四、五分しかつづかなかったが、それが終ると、
感激した酔いどれ紳士たちが、ドッと押し寄せて、何か口々に激情の叫びをあげながら、いきなり裸美人らびじんを胴上げにして、お御輿みこしのかけ声勇ましく、室内をグルグルと廻り歩

108 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 01:08:32.47 ID:G6A209B0
 この国でも一夜に数千羽の七面鳥がしめられるという、あるクリスマス・イヴの出来事だ。
 帝都最大の殷賑いんしん地帯、ネオン・ライトの闇夜の虹が、幾万の通行者を五色にそめるG街、その表通りを一歩裏へ入ると、そこにこの都の暗黒街が横たわっている。
 G街の方は、午後十一時ともなれば、夜の人種にとってはまことにあっけなく、しかし帝都の代表街にふさわしい行儀よさで、
ほとんど人通りがとだえてしまうのだが、それと引き違いに、背中合わせの暗黒街がにぎわい始め、午前二時三時頃までも、
男女のあくなき享楽児どもが、窓をとざした建物の薄くらがりの中に、ウヨウヨとうごめきつづける。
 今もいうあるクリスマス・イヴの午前一時頃、その暗黒街のとある巨大な建物、外部から見たのではまるで空家のようなまっ暗な建物の中に、
けたはずれな、狂気めいた大夜会が、今、最高潮に達していた。
 ナイトクラブの広々としたフロアに、数十人の男女が、或る者は盃をあげてブラボーを叫び、或る者はだんだら染めのの尖とんがり帽子を横っちょにして踊りくるい、
或る者はにげまどう小女をゴリラの恰好かっこうで追いまわし、或る者は泣きわめき、或る者は怒りくるっている上を、
五色の粉紙が雪と舞い、五色のテープが滝と落ち、数知れぬ青赤の風船玉が、むせかえる煙草たばこのけむりの雲の中を、とまどいをしてみだれ飛んでいた。
「やあ、ダーク・エンジェルだ。ダーク・エンジェルだ」
「黒天使の御入来だぞ」
「ブラボー、女王様ばんざい!」
 口々にわめく酔いどれの声々が混乱して、たちまち急霰きゅうさんの拍手が起こった。
 自然に開かれた人垣の中を、浮き浮きとステップをふむようにして、室の中央に進みでる一人の婦人。
まっ黒なイブニング・ドレスに、まっ黒な帽子、まっ黒な手袋、まっ黒な靴下、まっ黒な靴、黒ずくめの中に、かがやくばかりの美貌が、ドキドキと上気して、赤いばらのように咲きほこっている。
「諸君、御機嫌よう。僕はもう酔っぱらってるんです。しかし、飲みましょう。そして、踊りましょう」
 美しい婦人は、右手をヒラヒラと頭上に打ち振りながら、可愛らしい巻舌で叫んだ。
「飲みましょう。そして、踊りましょう。ダーク・エンジェルばんざい!」
「オーイ、ボーイさん、シャンパンだ、シャンパンだ」
 やがて、ポン、ポンと花やかな小銃が鳴りひびいて、コルクの弾丸が五色の風船玉をぬって昇天した。そこにも、ここにも、カチカチとグラスのふれる音、そして、またしても、
「ブラボー、ダーク・エンジェル!」
 の合唱だ。
 暗黒街の女王のこの人気は、一体どこからわいて出たのか。たとえ彼女の素性は少しもわからなくても、その美貌、
そのズバぬけたふるまい、底知れぬ贅沢ぜいたく、おびただしい宝石の装身具、それらのどの一つを取っても、女王の資格は十分すぎるほどであったが、
彼女はさらにもっともっとすばらしい魅力をそなえていた。
彼女は大胆不敵なエキジビショニストであったのだ。
「黒天使、いつもの宝石踊りを所望します!」
 だれかが口を切ると、ワーッというドヨメキ、そして一せいの拍手。
 片隅のバンドが音楽を始めた。わいせつなサキソフォンが、異様に人々の耳をくすぐった。
 人々の円陣の中央には、もう宝石踊りが始まっていた。黒天使は今や白天使と変じた。彼女の美しく上気した全肉体をおおうものは、
二筋の大粒な首飾りと、見事な翡翠ひすいの耳飾りと、無数のダイヤモンドをちりばめた左右の腕環と、三箇の指環のほかには、一本の糸、一枚の布切れさえもなかった。
 彼女は今、チカチカと光りかがやく、桃色の一肉塊にすぎなかった。それが肩をゆすり、足をあげて、エジプト宮廷の、なまめかしき舞踊を、たくみにも踊りつづけているのだ。
「オイ、見ろ、黒トカゲが這はい始めたぜ。なんてすばらしいんだろ」
「ウン、ほんとうに、あの小さな虫が、生きて動きだすんだからね」
 意気なタキシードの青年がささやき交わした。
 美しい女の左の腕に、一匹の真黒に見えるトカゲが這っていた。
それが彼女の腕のゆらぎにつれて、吸盤のある足をヨタヨタと動かして、這い出したように見えるのだ。今にもそれが、肩から頸くび、頸から顎あご、
そして彼女の真赤なヌメヌメとした、唇までも、這いあがって行きそうに見えながら、いつまでも同じ腕にうごめいている。
真にせまった一匹のトカゲの入墨いれずみであった。
 さすがにこの恥知らずの舞踊は四、五分しかつづかなかったが、それが終ると、
感激した酔いどれ紳士たちが、ドッと押し寄せて、何か口々に激情の叫びをあげながら、いきなり裸美人らびじんを胴上げにして、お御輿みこしのかけ声勇ましく、室内をグルグルと廻り歩

109 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 01:10:52.29 ID:EvaDWnP9
 この国でも一夜に数千羽の七面鳥がしめられるという、あるクリスマス・イヴの出来事だ。
 帝都最大の殷賑いんしん地帯、ネオン・ライトの闇夜の虹が、幾万の通行者を五色にそめるG街、その表通りを一歩裏へ入ると、そこにこの都の暗黒街が横たわっている。
 G街の方は、午後十一時ともなれば、夜の人種にとってはまことにあっけなく、しかし帝都の代表街にふさわしい行儀よさで、
ほとんど人通りがとだえてしまうのだが、それと引き違いに、背中合わせの暗黒街がにぎわい始め、午前二時三時頃までも、
男女のあくなき享楽児どもが、窓をとざした建物の薄くらがりの中に、ウヨウヨとうごめきつづける。
 今もいうあるクリスマス・イヴの午前一時頃、その暗黒街のとある巨大な建物、外部から見たのではまるで空家のようなまっ暗な建物の中に、
けたはずれな、狂気めいた大夜会が、今、最高潮に達していた。
 ナイトクラブの広々としたフロアに、数十人の男女が、或る者は盃をあげてブラボーを叫び、或る者はだんだら染めのの尖とんがり帽子を横っちょにして踊りくるい、
或る者はにげまどう小女をゴリラの恰好かっこうで追いまわし、或る者は泣きわめき、或る者は怒りくるっている上を、
五色の粉紙が雪と舞い、五色のテープが滝と落ち、数知れぬ青赤の風船玉が、むせかえる煙草たばこのけむりの雲の中を、とまどいをしてみだれ飛んでいた。
「やあ、ダーク・エンジェルだ。ダーク・エンジェルだ」
「黒天使の御入来だぞ」
「ブラボー、女王様ばんざい!」
 口々にわめく酔いどれの声々が混乱して、たちまち急霰きゅうさんの拍手が起こった。
 自然に開かれた人垣の中を、浮き浮きとステップをふむようにして、室の中央に進みでる一人の婦人。
まっ黒なイブニング・ドレスに、まっ黒な帽子、まっ黒な手袋、まっ黒な靴下、まっ黒な靴、黒ずくめの中に、かがやくばかりの美貌が、ドキドキと上気して、赤いばらのように咲きほこっている。
「諸君、御機嫌よう。僕はもう酔っぱらってるんです。しかし、飲みましょう。そして、踊りましょう」
 美しい婦人は、右手をヒラヒラと頭上に打ち振りながら、可愛らしい巻舌で叫んだ。
「飲みましょう。そして、踊りましょう。ダーク・エンジェルばんざい!」
「オーイ、ボーイさん、シャンパンだ、シャンパンだ」
 やがて、ポン、ポンと花やかな小銃が鳴りひびいて、コルクの弾丸が五色の風船玉をぬって昇天した。そこにも、ここにも、カチカチとグラスのふれる音、そして、またしても、
「ブラボー、ダーク・エンジェル!」
 の合唱だ。
 暗黒街の女王のこの人気は、一体どこからわいて出たのか。たとえ彼女の素性は少しもわからなくても、その美貌、
そのズバぬけたふるまい、底知れぬ贅沢ぜいたく、おびただしい宝石の装身具、それらのどの一つを取っても、女王の資格は十分すぎるほどであったが、
彼女はさらにもっともっとすばらしい魅力をそなえていた。
彼女は大胆不敵なエキジビショニストであったのだ。
「黒天使、いつもの宝石踊りを所望します!」
 だれかが口を切ると、ワーッというドヨメキ、そして一せいの拍手。
 片隅のバンドが音楽を始めた。わいせつなサキソフォンが、異様に人々の耳をくすぐった。
 人々の円陣の中央には、もう宝石踊りが始まっていた。黒天使は今や白天使と変じた。彼女の美しく上気した全肉体をおおうものは、
二筋の大粒な首飾りと、見事な翡翠ひすいの耳飾りと、無数のダイヤモンドをちりばめた左右の腕環と、三箇の指環のほかには、一本の糸、一枚の布切れさえもなかった。
 彼女は今、チカチカと光りかがやく、桃色の一肉塊にすぎなかった。それが肩をゆすり、足をあげて、エジプト宮廷の、なまめかしき舞踊を、たくみにも踊りつづけているのだ。
「オイ、見ろ、黒トカゲが這はい始めたぜ。なんてすばらしいんだろ」
「ウン、ほんとうに、あの小さな虫が、生きて動きだすんだからね」
 意気なタキシードの青年がささやき交わした。
 美しい女の左の腕に、一匹の真黒に見えるトカゲが這っていた。
それが彼女の腕のゆらぎにつれて、吸盤のある足をヨタヨタと動かして、這い出したように見えるのだ。今にもそれが、肩から頸くび、頸から顎あご、
そして彼女の真赤なヌメヌメとした、唇までも、這いあがって行きそうに見えながら、いつまでも同じ腕にうごめいている。
真にせまった一匹のトカゲの入墨いれずみであった。
 さすがにこの恥知らずの舞踊は四、五分しかつづかなかったが、それが終ると、
感激した酔いどれ紳士たちが、ドッと押し寄せて、何か口々に激情の叫びをあげながら、いきなり裸美人らびじんを胴上げにして、お御輿みこしのかけ声勇ましく、室内をグルグルと廻り歩

110 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 01:13:55.23 ID:EvaDWnP9
 この国でも一夜に数千羽の七面鳥がしめられるという、あるクリスマス・イヴの出来事だ。
 帝都最大の殷賑いんしん地帯、ネオン・ライトの闇夜の虹が、幾万の通行者を五色にそめるG街、その表通りを一歩裏へ入ると、そこにこの都の暗黒街が横たわっている。
 G街の方は、午後十一時ともなれば、夜の人種にとってはまことにあっけなく、しかし帝都の代表街にふさわしい行儀よさで、
ほとんど人通りがとだえてしまうのだが、それと引き違いに、背中合わせの暗黒街がにぎわい始め、午前二時三時頃までも、
男女のあくなき享楽児どもが、窓をとざした建物の薄くらがりの中に、ウヨウヨとうごめきつづける。
 今もいうあるクリスマス・イヴの午前一時頃、その暗黒街のとある巨大な建物、外部から見たのではまるで空家のようなまっ暗な建物の中に、
けたはずれな、狂気めいた大夜会が、今、最高潮に達していた。
 ナイトクラブの広々としたフロアに、数十人の男女が、或る者は盃をあげてブラボーを叫び、或る者はだんだら染めのの尖とんがり帽子を横っちょにして踊りくるい、
或る者はにげまどう小女をゴリラの恰好かっこうで追いまわし、或る者は泣きわめき、或る者は怒りくるっている上を、
五色の粉紙が雪と舞い、五色のテープが滝と落ち、数知れぬ青赤の風船玉が、むせかえる煙草たばこのけむりの雲の中を、とまどいをしてみだれ飛んでいた。
「やあ、ダーク・エンジェルだ。ダーク・エンジェルだ」
「黒天使の御入来だぞ」
「ブラボー、女王様ばんざい!」
 口々にわめく酔いどれの声々が混乱して、たちまち急霰きゅうさんの拍手が起こった。
 自然に開かれた人垣の中を、浮き浮きとステップをふむようにして、室の中央に進みでる一人の婦人。
まっ黒なイブニング・ドレスに、まっ黒な帽子、まっ黒な手袋、まっ黒な靴下、まっ黒な靴、黒ずくめの中に、かがやくばかりの美貌が、ドキドキと上気して、赤いばらのように咲きほこっている。
「諸君、御機嫌よう。僕はもう酔っぱらってるんです。しかし、飲みましょう。そして、踊りましょう」
 美しい婦人は、右手をヒラヒラと頭上に打ち振りながら、可愛らしい巻舌で叫んだ。
「飲みましょう。そして、踊りましょう。ダーク・エンジェルばんざい!」
「オーイ、ボーイさん、シャンパンだ、シャンパンだ」
 やがて、ポン、ポンと花やかな小銃が鳴りひびいて、コルクの弾丸が五色の風船玉をぬって昇天した。そこにも、ここにも、カチカチとグラスのふれる音、そして、またしても、
「ブラボー、ダーク・エンジェル!」
 の合唱だ。
 暗黒街の女王のこの人気は、一体どこからわいて出たのか。たとえ彼女の素性は少しもわからなくても、その美貌、
そのズバぬけたふるまい、底知れぬ贅沢ぜいたく、おびただしい宝石の装身具、それらのどの一つを取っても、女王の資格は十分すぎるほどであったが、
彼女はさらにもっともっとすばらしい魅力をそなえていた。
彼女は大胆不敵なエキジビショニストであったのだ。
「黒天使、いつもの宝石踊りを所望します!」
 だれかが口を切ると、ワーッというドヨメキ、そして一せいの拍手。
 片隅のバンドが音楽を始めた。わいせつなサキソフォンが、異様に人々の耳をくすぐった。
 人々の円陣の中央には、もう宝石踊りが始まっていた。黒天使は今や白天使と変じた。彼女の美しく上気した全肉体をおおうものは、
二筋の大粒な首飾りと、見事な翡翠ひすいの耳飾りと、無数のダイヤモンドをちりばめた左右の腕環と、三箇の指環のほかには、一本の糸、一枚の布切れさえもなかった。
 彼女は今、チカチカと光りかがやく、桃色の一肉塊にすぎなかった。それが肩をゆすり、足をあげて、エジプト宮廷の、なまめかしき舞踊を、たくみにも踊りつづけているのだ。
「オイ、見ろ、黒トカゲが這はい始めたぜ。なんてすばらしいんだろ」
「ウン、ほんとうに、あの小さな虫が、生きて動きだすんだからね」
 意気なタキシードの青年がささやき交わした。
 美しい女の左の腕に、一匹の真黒に見えるトカゲが這っていた。
それが彼女の腕のゆらぎにつれて、吸盤のある足をヨタヨタと動かして、這い出したように見えるのだ。今にもそれが、肩から頸くび、頸から顎あご、
そして彼女の真赤なヌメヌメとした、唇までも、這いあがって行きそうに見えながら、いつまでも同じ腕にうごめいている。
真にせまった一匹のトカゲの入墨いれずみであった。
 さすがにこの恥知らずの舞踊は四、五分しかつづかなかったが、それが終ると、
感激した酔いどれ紳士たちが、ドッと押し寄せて、何か口々に激情の叫びをあげながら、いきなり裸美人らびじんを胴上げにして、お御輿みこしのかけ声勇ましく、室内をグルグルと廻り歩

111 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 01:14:10.39 ID:EvaDWnP9
 この国でも一夜に数千羽の七面鳥がしめられるという、あるクリスマス・イヴの出来事だ。
 帝都最大の殷賑いんしん地帯、ネオン・ライトの闇夜の虹が、幾万の通行者を五色にそめるG街、その表通りを一歩裏へ入ると、そこにこの都の暗黒街が横たわっている。
 G街の方は、午後十一時ともなれば、夜の人種にとってはまことにあっけなく、しかし帝都の代表街にふさわしい行儀よさで、
ほとんど人通りがとだえてしまうのだが、それと引き違いに、背中合わせの暗黒街がにぎわい始め、午前二時三時頃までも、
男女のあくなき享楽児どもが、窓をとざした建物の薄くらがりの中に、ウヨウヨとうごめきつづける。
 今もいうあるクリスマス・イヴの午前一時頃、その暗黒街のとある巨大な建物、外部から見たのではまるで空家のようなまっ暗な建物の中に、
けたはずれな、狂気めいた大夜会が、今、最高潮に達していた。
 ナイトクラブの広々としたフロアに、数十人の男女が、或る者は盃をあげてブラボーを叫び、或る者はだんだら染めのの尖とんがり帽子を横っちょにして踊りくるい、
或る者はにげまどう小女をゴリラの恰好かっこうで追いまわし、或る者は泣きわめき、或る者は怒りくるっている上を、
五色の粉紙が雪と舞い、五色のテープが滝と落ち、数知れぬ青赤の風船玉が、むせかえる煙草たばこのけむりの雲の中を、とまどいをしてみだれ飛んでいた。
「やあ、ダーク・エンジェルだ。ダーク・エンジェルだ」
「黒天使の御入来だぞ」
「ブラボー、女王様ばんざい!」
 口々にわめく酔いどれの声々が混乱して、たちまち急霰きゅうさんの拍手が起こった。
 自然に開かれた人垣の中を、浮き浮きとステップをふむようにして、室の中央に進みでる一人の婦人。
まっ黒なイブニング・ドレスに、まっ黒な帽子、まっ黒な手袋、まっ黒な靴下、まっ黒な靴、黒ずくめの中に、かがやくばかりの美貌が、ドキドキと上気して、赤いばらのように咲きほこっている。
「諸君、御機嫌よう。僕はもう酔っぱらってるんです。しかし、飲みましょう。そして、踊りましょう」
 美しい婦人は、右手をヒラヒラと頭上に打ち振りながら、可愛らしい巻舌で叫んだ。
「飲みましょう。そして、踊りましょう。ダーク・エンジェルばんざい!」
「オーイ、ボーイさん、シャンパンだ、シャンパンだ」
 やがて、ポン、ポンと花やかな小銃が鳴りひびいて、コルクの弾丸が五色の風船玉をぬって昇天した。そこにも、ここにも、カチカチとグラスのふれる音、そして、またしても、
「ブラボー、ダーク・エンジェル!」
 の合唱だ。
 暗黒街の女王のこの人気は、一体どこからわいて出たのか。たとえ彼女の素性は少しもわからなくても、その美貌、
そのズバぬけたふるまい、底知れぬ贅沢ぜいたく、おびただしい宝石の装身具、それらのどの一つを取っても、女王の資格は十分すぎるほどであったが、
彼女はさらにもっともっとすばらしい魅力をそなえていた。
彼女は大胆不敵なエキジビショニストであったのだ。
「黒天使、いつもの宝石踊りを所望します!」
 だれかが口を切ると、ワーッというドヨメキ、そして一せいの拍手。
 片隅のバンドが音楽を始めた。わいせつなサキソフォンが、異様に人々の耳をくすぐった。
 人々の円陣の中央には、もう宝石踊りが始まっていた。黒天使は今や白天使と変じた。彼女の美しく上気した全肉体をおおうものは、
二筋の大粒な首飾りと、見事な翡翠ひすいの耳飾りと、無数のダイヤモンドをちりばめた左右の腕環と、三箇の指環のほかには、一本の糸、一枚の布切れさえもなかった。
 彼女は今、チカチカと光りかがやく、桃色の一肉塊にすぎなかった。それが肩をゆすり、足をあげて、エジプト宮廷の、なまめかしき舞踊を、たくみにも踊りつづけているのだ。
「オイ、見ろ、黒トカゲが這はい始めたぜ。なんてすばらしいんだろ」
「ウン、ほんとうに、あの小さな虫が、生きて動きだすんだからね」
 意気なタキシードの青年がささやき交わした。
 美しい女の左の腕に、一匹の真黒に見えるトカゲが這っていた。
それが彼女の腕のゆらぎにつれて、吸盤のある足をヨタヨタと動かして、這い出したように見えるのだ。今にもそれが、肩から頸くび、頸から顎あご、
そして彼女の真赤なヌメヌメとした、唇までも、這いあがって行きそうに見えながら、いつまでも同じ腕にうごめいている。
真にせまった一匹のトカゲの入墨いれずみであった。
 さすがにこの恥知らずの舞踊は四、五分しかつづかなかったが、それが終ると、
感激した酔いどれ紳士たちが、ドッと押し寄せて、何か口々に激情の叫びをあげながら、いきなり裸美人らびじんを胴上げにして、お御輿みこしのかけ声勇ましく、室内をグルグルと廻り歩

112 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 01:16:15.94 ID:EvaDWnP9
 この国でも一夜に数千羽の七面鳥がしめられるという、あるクリスマス・イヴの出来事だ。
 帝都最大の殷賑いんしん地帯、ネオン・ライトの闇夜の虹が、幾万の通行者を五色にそめるG街、その表通りを一歩裏へ入ると、そこにこの都の暗黒街が横たわっている。
 G街の方は、午後十一時ともなれば、夜の人種にとってはまことにあっけなく、しかし帝都の代表街にふさわしい行儀よさで、
ほとんど人通りがとだえてしまうのだが、それと引き違いに、背中合わせの暗黒街がにぎわい始め、午前二時三時頃までも、
男女のあくなき享楽児どもが、窓をとざした建物の薄くらがりの中に、ウヨウヨとうごめきつづける。
 今もいうあるクリスマス・イヴの午前一時頃、その暗黒街のとある巨大な建物、外部から見たのではまるで空家のようなまっ暗な建物の中に、
けたはずれな、狂気めいた大夜会が、今、最高潮に達していた。
 ナイトクラブの広々としたフロアに、数十人の男女が、或る者は盃をあげてブラボーを叫び、或る者はだんだら染めのの尖とんがり帽子を横っちょにして踊りくるい、
或る者はにげまどう小女をゴリラの恰好かっこうで追いまわし、或る者は泣きわめき、或る者は怒りくるっている上を、
五色の粉紙が雪と舞い、五色のテープが滝と落ち、数知れぬ青赤の風船玉が、むせかえる煙草たばこのけむりの雲の中を、とまどいをしてみだれ飛んでいた。
「やあ、ダーク・エンジェルだ。ダーク・エンジェルだ」
「黒天使の御入来だぞ」
「ブラボー、女王様ばんざい!」
 口々にわめく酔いどれの声々が混乱して、たちまち急霰きゅうさんの拍手が起こった。
 自然に開かれた人垣の中を、浮き浮きとステップをふむようにして、室の中央に進みでる一人の婦人。
まっ黒なイブニング・ドレスに、まっ黒な帽子、まっ黒な手袋、まっ黒な靴下、まっ黒な靴、黒ずくめの中に、かがやくばかりの美貌が、ドキドキと上気して、赤いばらのように咲きほこっている。
「諸君、御機嫌よう。僕はもう酔っぱらってるんです。しかし、飲みましょう。そして、踊りましょう」
 美しい婦人は、右手をヒラヒラと頭上に打ち振りながら、可愛らしい巻舌で叫んだ。
「飲みましょう。そして、踊りましょう。ダーク・エンジェルばんざい!」
「オーイ、ボーイさん、シャンパンだ、シャンパンだ」
 やがて、ポン、ポンと花やかな小銃が鳴りひびいて、コルクの弾丸が五色の風船玉をぬって昇天した。そこにも、ここにも、カチカチとグラスのふれる音、そして、またしても、
「ブラボー、ダーク・エンジェル!」
 の合唱だ。
 暗黒街の女王のこの人気は、一体どこからわいて出たのか。たとえ彼女の素性は少しもわからなくても、その美貌、
そのズバぬけたふるまい、底知れぬ贅沢ぜいたく、おびただしい宝石の装身具、それらのどの一つを取っても、女王の資格は十分すぎるほどであったが、
彼女はさらにもっともっとすばらしい魅力をそなえていた。
彼女は大胆不敵なエキジビショニストであったのだ。
「黒天使、いつもの宝石踊りを所望します!」
 だれかが口を切ると、ワーッというドヨメキ、そして一せいの拍手。
 片隅のバンドが音楽を始めた。わいせつなサキソフォンが、異様に人々の耳をくすぐった。
 人々の円陣の中央には、もう宝石踊りが始まっていた。黒天使は今や白天使と変じた。彼女の美しく上気した全肉体をおおうものは、
二筋の大粒な首飾りと、見事な翡翠ひすいの耳飾りと、無数のダイヤモンドをちりばめた左右の腕環と、三箇の指環のほかには、一本の糸、一枚の布切れさえもなかった。
 彼女は今、チカチカと光りかがやく、桃色の一肉塊にすぎなかった。それが肩をゆすり、足をあげて、エジプト宮廷の、なまめかしき舞踊を、たくみにも踊りつづけているのだ。
「オイ、見ろ、黒トカゲが這はい始めたぜ。なんてすばらしいんだろ」
「ウン、ほんとうに、あの小さな虫が、生きて動きだすんだからね」
 意気なタキシードの青年がささやき交わした。
 美しい女の左の腕に、一匹の真黒に見えるトカゲが這っていた。
それが彼女の腕のゆらぎにつれて、吸盤のある足をヨタヨタと動かして、這い出したように見えるのだ。今にもそれが、肩から頸くび、頸から顎あご、
そして彼女の真赤なヌメヌメとした、唇までも、這いあがって行きそうに見えながら、いつまでも同じ腕にうごめいている。
真にせまった一匹のトカゲの入墨いれずみであった。
 さすがにこの恥知らずの舞踊は四、五分しかつづかなかったが、それが終ると、
感激した酔いどれ紳士たちが、ドッと押し寄せて、何か口々に激情の叫びをあげながら、いきなり裸美人らびじんを胴上げにして、お御輿みこしのかけ声勇ましく、室内をグルグルと廻り歩

113 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 01:19:39.22 ID:EvaDWnP9
 この国でも一夜に数千羽の七面鳥がしめられるという、あるクリスマス・イヴの出来事だ。
 帝都最大の殷賑いんしん地帯、ネオン・ライトの闇夜の虹が、幾万の通行者を五色にそめるG街、その表通りを一歩裏へ入ると、そこにこの都の暗黒街が横たわっている。
 G街の方は、午後十一時ともなれば、夜の人種にとってはまことにあっけなく、しかし帝都の代表街にふさわしい行儀よさで、
ほとんど人通りがとだえてしまうのだが、それと引き違いに、背中合わせの暗黒街がにぎわい始め、午前二時三時頃までも、
男女のあくなき享楽児どもが、窓をとざした建物の薄くらがりの中に、ウヨウヨとうごめきつづける。
 今もいうあるクリスマス・イヴの午前一時頃、その暗黒街のとある巨大な建物、外部から見たのではまるで空家のようなまっ暗な建物の中に、
けたはずれな、狂気めいた大夜会が、今、最高潮に達していた。
 ナイトクラブの広々としたフロアに、数十人の男女が、或る者は盃をあげてブラボーを叫び、或る者はだんだら染めのの尖とんがり帽子を横っちょにして踊りくるい、
或る者はにげまどう小女をゴリラの恰好かっこうで追いまわし、或る者は泣きわめき、或る者は怒りくるっている上を、
五色の粉紙が雪と舞い、五色のテープが滝と落ち、数知れぬ青赤の風船玉が、むせかえる煙草たばこのけむりの雲の中を、とまどいをしてみだれ飛んでいた。
「やあ、ダーク・エンジェルだ。ダーク・エンジェルだ」
「黒天使の御入来だぞ」
「ブラボー、女王様ばんざい!」
 口々にわめく酔いどれの声々が混乱して、たちまち急霰きゅうさんの拍手が起こった。
 自然に開かれた人垣の中を、浮き浮きとステップをふむようにして、室の中央に進みでる一人の婦人。
まっ黒なイブニング・ドレスに、まっ黒な帽子、まっ黒な手袋、まっ黒な靴下、まっ黒な靴、黒ずくめの中に、かがやくばかりの美貌が、ドキドキと上気して、赤いばらのように咲きほこっている。
「諸君、御機嫌よう。僕はもう酔っぱらってるんです。しかし、飲みましょう。そして、踊りましょう」
 美しい婦人は、右手をヒラヒラと頭上に打ち振りながら、可愛らしい巻舌で叫んだ。
「飲みましょう。そして、踊りましょう。ダーク・エンジェルばんざい!」
「オーイ、ボーイさん、シャンパンだ、シャンパンだ」
 やがて、ポン、ポンと花やかな小銃が鳴りひびいて、コルクの弾丸が五色の風船玉をぬって昇天した。そこにも、ここにも、カチカチとグラスのふれる音、そして、またしても、
「ブラボー、ダーク・エンジェル!」
 の合唱だ。
 暗黒街の女王のこの人気は、一体どこからわいて出たのか。たとえ彼女の素性は少しもわからなくても、その美貌、
そのズバぬけたふるまい、底知れぬ贅沢ぜいたく、おびただしい宝石の装身具、それらのどの一つを取っても、女王の資格は十分すぎるほどであったが、
彼女はさらにもっともっとすばらしい魅力をそなえていた。
彼女は大胆不敵なエキジビショニストであったのだ。
「黒天使、いつもの宝石踊りを所望します!」
 だれかが口を切ると、ワーッというドヨメキ、そして一せいの拍手。
 片隅のバンドが音楽を始めた。わいせつなサキソフォンが、異様に人々の耳をくすぐった。
 人々の円陣の中央には、もう宝石踊りが始まっていた。黒天使は今や白天使と変じた。彼女の美しく上気した全肉体をおおうものは、
二筋の大粒な首飾りと、見事な翡翠ひすいの耳飾りと、無数のダイヤモンドをちりばめた左右の腕環と、三箇の指環のほかには、一本の糸、一枚の布切れさえもなかった。
 彼女は今、チカチカと光りかがやく、桃色の一肉塊にすぎなかった。それが肩をゆすり、足をあげて、エジプト宮廷の、なまめかしき舞踊を、たくみにも踊りつづけているのだ。
「オイ、見ろ、黒トカゲが這はい始めたぜ。なんてすばらしいんだろ」
「ウン、ほんとうに、あの小さな虫が、生きて動きだすんだからね」
 意気なタキシードの青年がささやき交わした。
 美しい女の左の腕に、一匹の真黒に見えるトカゲが這っていた。
それが彼女の腕のゆらぎにつれて、吸盤のある足をヨタヨタと動かして、這い出したように見えるのだ。今にもそれが、肩から頸くび、頸から顎あご、
そして彼女の真赤なヌメヌメとした、唇までも、這いあがって行きそうに見えながら、いつまでも同じ腕にうごめいている。
真にせまった一匹のトカゲの入墨いれずみであった。
 さすがにこの恥知らずの舞踊は四、五分しかつづかなかったが、それが終ると、
感激した酔いどれ紳士たちが、ドッと押し寄せて、何か口々に激情の叫びをあげながら、いきなり裸美人らびじんを胴上げにして、お御輿みこしのかけ声勇ましく、室内をグルグルと廻り歩

114 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 01:25:09.85 ID:EvaDWnP9
 この国でも一夜に数千羽の七面鳥がしめられるという、あるクリスマス・イヴの出来事だ。
 帝都最大の殷賑いんしん地帯、ネオン・ライトの闇夜の虹が、幾万の通行者を五色にそめるG街、その表通りを一歩裏へ入ると、そこにこの都の暗黒街が横たわっている。
 G街の方は、午後十一時ともなれば、夜の人種にとってはまことにあっけなく、しかし帝都の代表街にふさわしい行儀よさで、
ほとんど人通りがとだえてしまうのだが、それと引き違いに、背中合わせの暗黒街がにぎわい始め、午前二時三時頃までも、
男女のあくなき享楽児どもが、窓をとざした建物の薄くらがりの中に、ウヨウヨとうごめきつづける。
 今もいうあるクリスマス・イヴの午前一時頃、その暗黒街のとある巨大な建物、外部から見たのではまるで空家のようなまっ暗な建物の中に、
けたはずれな、狂気めいた大夜会が、今、最高潮に達していた。
 ナイトクラブの広々としたフロアに、数十人の男女が、或る者は盃をあげてブラボーを叫び、或る者はだんだら染めのの尖とんがり帽子を横っちょにして踊りくるい、
或る者はにげまどう小女をゴリラの恰好かっこうで追いまわし、或る者は泣きわめき、或る者は怒りくるっている上を、
五色の粉紙が雪と舞い、五色のテープが滝と落ち、数知れぬ青赤の風船玉が、むせかえる煙草たばこのけむりの雲の中を、とまどいをしてみだれ飛んでいた。
「やあ、ダーク・エンジェルだ。ダーク・エンジェルだ」
「黒天使の御入来だぞ」
「ブラボー、女王様ばんざい!」
 口々にわめく酔いどれの声々が混乱して、たちまち急霰きゅうさんの拍手が起こった。
 自然に開かれた人垣の中を、浮き浮きとステップをふむようにして、室の中央に進みでる一人の婦人。
まっ黒なイブニング・ドレスに、まっ黒な帽子、まっ黒な手袋、まっ黒な靴下、まっ黒な靴、黒ずくめの中に、かがやくばかりの美貌が、ドキドキと上気して、赤いばらのように咲きほこっている。
「諸君、御機嫌よう。僕はもう酔っぱらってるんです。しかし、飲みましょう。そして、踊りましょう」
 美しい婦人は、右手をヒラヒラと頭上に打ち振りながら、可愛らしい巻舌で叫んだ。
「飲みましょう。そして、踊りましょう。ダーク・エンジェルばんざい!」
「オーイ、ボーイさん、シャンパンだ、シャンパンだ」
 やがて、ポン、ポンと花やかな小銃が鳴りひびいて、コルクの弾丸が五色の風船玉をぬって昇天した。そこにも、ここにも、カチカチとグラスのふれる音、そして、またしても、
「ブラボー、ダーク・エンジェル!」
 の合唱だ。
 暗黒街の女王のこの人気は、一体どこからわいて出たのか。たとえ彼女の素性は少しもわからなくても、その美貌、
そのズバぬけたふるまい、底知れぬ贅沢ぜいたく、おびただしい宝石の装身具、それらのどの一つを取っても、女王の資格は十分すぎるほどであったが、
彼女はさらにもっともっとすばらしい魅力をそなえていた。
彼女は大胆不敵なエキジビショニストであったのだ。
「黒天使、いつもの宝石踊りを所望します!」
 だれかが口を切ると、ワーッというドヨメキ、そして一せいの拍手。
 片隅のバンドが音楽を始めた。わいせつなサキソフォンが、異様に人々の耳をくすぐった。
 人々の円陣の中央には、もう宝石踊りが始まっていた。黒天使は今や白天使と変じた。彼女の美しく上気した全肉体をおおうものは、
二筋の大粒な首飾りと、見事な翡翠ひすいの耳飾りと、無数のダイヤモンドをちりばめた左右の腕環と、三箇の指環のほかには、一本の糸、一枚の布切れさえもなかった。
 彼女は今、チカチカと光りかがやく、桃色の一肉塊にすぎなかった。それが肩をゆすり、足をあげて、エジプト宮廷の、なまめかしき舞踊を、たくみにも踊りつづけているのだ。
「オイ、見ろ、黒トカゲが這はい始めたぜ。なんてすばらしいんだろ」
「ウン、ほんとうに、あの小さな虫が、生きて動きだすんだからね」
 意気なタキシードの青年がささやき交わした。
 美しい女の左の腕に、一匹の真黒に見えるトカゲが這っていた。
それが彼女の腕のゆらぎにつれて、吸盤のある足をヨタヨタと動かして、這い出したように見えるのだ。今にもそれが、肩から頸くび、頸から顎あご、
そして彼女の真赤なヌメヌメとした、唇までも、這いあがって行きそうに見えながら、いつまでも同じ腕にうごめいている。
真にせまった一匹のトカゲの入墨いれずみであった。
 さすがにこの恥知らずの舞踊は四、五分しかつづかなかったが、それが終ると、
感激した酔いどれ紳士たちが、ドッと押し寄せて、何か口々に激情の叫びをあげながら、いきなり裸美人らびじんを胴上げにして、お御輿みこしのかけ声勇ましく、室内をグルグルと廻り歩

115 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 01:25:39.09 ID:EvaDWnP9
 この国でも一夜に数千羽の七面鳥がしめられるという、あるクリスマス・イヴの出来事だ。
 帝都最大の殷賑いんしん地帯、ネオン・ライトの闇夜の虹が、幾万の通行者を五色にそめるG街、その表通りを一歩裏へ入ると、そこにこの都の暗黒街が横たわっている。
 G街の方は、午後十一時ともなれば、夜の人種にとってはまことにあっけなく、しかし帝都の代表街にふさわしい行儀よさで、
ほとんど人通りがとだえてしまうのだが、それと引き違いに、背中合わせの暗黒街がにぎわい始め、午前二時三時頃までも、
男女のあくなき享楽児どもが、窓をとざした建物の薄くらがりの中に、ウヨウヨとうごめきつづける。
 今もいうあるクリスマス・イヴの午前一時頃、その暗黒街のとある巨大な建物、外部から見たのではまるで空家のようなまっ暗な建物の中に、
けたはずれな、狂気めいた大夜会が、今、最高潮に達していた。
 ナイトクラブの広々としたフロアに、数十人の男女が、或る者は盃をあげてブラボーを叫び、或る者はだんだら染めのの尖とんがり帽子を横っちょにして踊りくるい、
或る者はにげまどう小女をゴリラの恰好かっこうで追いまわし、或る者は泣きわめき、或る者は怒りくるっている上を、
五色の粉紙が雪と舞い、五色のテープが滝と落ち、数知れぬ青赤の風船玉が、むせかえる煙草たばこのけむりの雲の中を、とまどいをしてみだれ飛んでいた。
「やあ、ダーク・エンジェルだ。ダーク・エンジェルだ」
「黒天使の御入来だぞ」
「ブラボー、女王様ばんざい!」
 口々にわめく酔いどれの声々が混乱して、たちまち急霰きゅうさんの拍手が起こった。
 自然に開かれた人垣の中を、浮き浮きとステップをふむようにして、室の中央に進みでる一人の婦人。
まっ黒なイブニング・ドレスに、まっ黒な帽子、まっ黒な手袋、まっ黒な靴下、まっ黒な靴、黒ずくめの中に、かがやくばかりの美貌が、ドキドキと上気して、赤いばらのように咲きほこっている。
「諸君、御機嫌よう。僕はもう酔っぱらってるんです。しかし、飲みましょう。そして、踊りましょう」
 美しい婦人は、右手をヒラヒラと頭上に打ち振りながら、可愛らしい巻舌で叫んだ。
「飲みましょう。そして、踊りましょう。ダーク・エンジェルばんざい!」
「オーイ、ボーイさん、シャンパンだ、シャンパンだ」
 やがて、ポン、ポンと花やかな小銃が鳴りひびいて、コルクの弾丸が五色の風船玉をぬって昇天した。そこにも、ここにも、カチカチとグラスのふれる音、そして、またしても、
「ブラボー、ダーク・エンジェル!」
 の合唱だ。
 暗黒街の女王のこの人気は、一体どこからわいて出たのか。たとえ彼女の素性は少しもわからなくても、その美貌、
そのズバぬけたふるまい、底知れぬ贅沢ぜいたく、おびただしい宝石の装身具、それらのどの一つを取っても、女王の資格は十分すぎるほどであったが、
彼女はさらにもっともっとすばらしい魅力をそなえていた。
彼女は大胆不敵なエキジビショニストであったのだ。
「黒天使、いつもの宝石踊りを所望します!」
 だれかが口を切ると、ワーッというドヨメキ、そして一せいの拍手。
 片隅のバンドが音楽を始めた。わいせつなサキソフォンが、異様に人々の耳をくすぐった。
 人々の円陣の中央には、もう宝石踊りが始まっていた。黒天使は今や白天使と変じた。彼女の美しく上気した全肉体をおおうものは、
二筋の大粒な首飾りと、見事な翡翠ひすいの耳飾りと、無数のダイヤモンドをちりばめた左右の腕環と、三箇の指環のほかには、一本の糸、一枚の布切れさえもなかった。
 彼女は今、チカチカと光りかがやく、桃色の一肉塊にすぎなかった。それが肩をゆすり、足をあげて、エジプト宮廷の、なまめかしき舞踊を、たくみにも踊りつづけているのだ。
「オイ、見ろ、黒トカゲが這はい始めたぜ。なんてすばらしいんだろ」
「ウン、ほんとうに、あの小さな虫が、生きて動きだすんだからね」
 意気なタキシードの青年がささやき交わした。
 美しい女の左の腕に、一匹の真黒に見えるトカゲが這っていた。
それが彼女の腕のゆらぎにつれて、吸盤のある足をヨタヨタと動かして、這い出したように見えるのだ。今にもそれが、肩から頸くび、頸から顎あご、
そして彼女の真赤なヌメヌメとした、唇までも、這いあがって行きそうに見えながら、いつまでも同じ腕にうごめいている。
真にせまった一匹のトカゲの入墨いれずみであった。
 さすがにこの恥知らずの舞踊は四、五分しかつづかなかったが、それが終ると、
感激した酔いどれ紳士たちが、ドッと押し寄せて、何か口々に激情の叫びをあげながら、いきなり裸美人らびじんを胴上げにして、お御輿みこしのかけ声勇ましく、室内をグルグルと廻り歩

116 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 01:29:27.29 ID:EvaDWnP9
 この国でも一夜に数千羽の七面鳥がしめられるという、あるクリスマス・イヴの出来事だ。
 帝都最大の殷賑いんしん地帯、ネオン・ライトの闇夜の虹が、幾万の通行者を五色にそめるG街、その表通りを一歩裏へ入ると、そこにこの都の暗黒街が横たわっている。
 G街の方は、午後十一時ともなれば、夜の人種にとってはまことにあっけなく、しかし帝都の代表街にふさわしい行儀よさで、
ほとんど人通りがとだえてしまうのだが、それと引き違いに、背中合わせの暗黒街がにぎわい始め、午前二時三時頃までも、
男女のあくなき享楽児どもが、窓をとざした建物の薄くらがりの中に、ウヨウヨとうごめきつづける。
 今もいうあるクリスマス・イヴの午前一時頃、その暗黒街のとある巨大な建物、外部から見たのではまるで空家のようなまっ暗な建物の中に、
けたはずれな、狂気めいた大夜会が、今、最高潮に達していた。
 ナイトクラブの広々としたフロアに、数十人の男女が、或る者は盃をあげてブラボーを叫び、或る者はだんだら染めのの尖とんがり帽子を横っちょにして踊りくるい、
或る者はにげまどう小女をゴリラの恰好かっこうで追いまわし、或る者は泣きわめき、或る者は怒りくるっている上を、
五色の粉紙が雪と舞い、五色のテープが滝と落ち、数知れぬ青赤の風船玉が、むせかえる煙草たばこのけむりの雲の中を、とまどいをしてみだれ飛んでいた。
「やあ、ダーク・エンジェルだ。ダーク・エンジェルだ」
「黒天使の御入来だぞ」
「ブラボー、女王様ばんざい!」
 口々にわめく酔いどれの声々が混乱して、たちまち急霰きゅうさんの拍手が起こった。
 自然に開かれた人垣の中を、浮き浮きとステップをふむようにして、室の中央に進みでる一人の婦人。
まっ黒なイブニング・ドレスに、まっ黒な帽子、まっ黒な手袋、まっ黒な靴下、まっ黒な靴、黒ずくめの中に、かがやくばかりの美貌が、ドキドキと上気して、赤いばらのように咲きほこっている。
「諸君、御機嫌よう。僕はもう酔っぱらってるんです。しかし、飲みましょう。そして、踊りましょう」
 美しい婦人は、右手をヒラヒラと頭上に打ち振りながら、可愛らしい巻舌で叫んだ。
「飲みましょう。そして、踊りましょう。ダーク・エンジェルばんざい!」
「オーイ、ボーイさん、シャンパンだ、シャンパンだ」
 やがて、ポン、ポンと花やかな小銃が鳴りひびいて、コルクの弾丸が五色の風船玉をぬって昇天した。そこにも、ここにも、カチカチとグラスのふれる音、そして、またしても、
「ブラボー、ダーク・エンジェル!」
 の合唱だ。
 暗黒街の女王のこの人気は、一体どこからわいて出たのか。たとえ彼女の素性は少しもわからなくても、その美貌、
そのズバぬけたふるまい、底知れぬ贅沢ぜいたく、おびただしい宝石の装身具、それらのどの一つを取っても、女王の資格は十分すぎるほどであったが、
彼女はさらにもっともっとすばらしい魅力をそなえていた。
彼女は大胆不敵なエキジビショニストであったのだ。
「黒天使、いつもの宝石踊りを所望します!」
 だれかが口を切ると、ワーッというドヨメキ、そして一せいの拍手。
 片隅のバンドが音楽を始めた。わいせつなサキソフォンが、異様に人々の耳をくすぐった。
 人々の円陣の中央には、もう宝石踊りが始まっていた。黒天使は今や白天使と変じた。彼女の美しく上気した全肉体をおおうものは、
二筋の大粒な首飾りと、見事な翡翠ひすいの耳飾りと、無数のダイヤモンドをちりばめた左右の腕環と、三箇の指環のほかには、一本の糸、一枚の布切れさえもなかった。
 彼女は今、チカチカと光りかがやく、桃色の一肉塊にすぎなかった。それが肩をゆすり、足をあげて、エジプト宮廷の、なまめかしき舞踊を、たくみにも踊りつづけているのだ。
「オイ、見ろ、黒トカゲが這はい始めたぜ。なんてすばらしいんだろ」
「ウン、ほんとうに、あの小さな虫が、生きて動きだすんだからね」
 意気なタキシードの青年がささやき交わした。
 美しい女の左の腕に、一匹の真黒に見えるトカゲが這っていた。
それが彼女の腕のゆらぎにつれて、吸盤のある足をヨタヨタと動かして、這い出したように見えるのだ。今にもそれが、肩から頸くび、頸から顎あご、
そして彼女の真赤なヌメヌメとした、唇までも、這いあがって行きそうに見えながら、いつまでも同じ腕にうごめいている。
真にせまった一匹のトカゲの入墨いれずみであった。
 さすがにこの恥知らずの舞踊は四、五分しかつづかなかったが、それが終ると、
感激した酔いどれ紳士たちが、ドッと押し寄せて、何か口々に激情の叫びをあげながら、いきなり裸美人らびじんを胴上げにして、お御輿みこしのかけ声勇ましく、室内をグルグルと廻り歩

117 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 01:32:50.49 ID:EvaDWnP9
 この国でも一夜に数千羽の七面鳥がしめられるという、あるクリスマス・イヴの出来事だ。
 帝都最大の殷賑いんしん地帯、ネオン・ライトの闇夜の虹が、幾万の通行者を五色にそめるG街、その表通りを一歩裏へ入ると、そこにこの都の暗黒街が横たわっている。
 G街の方は、午後十一時ともなれば、夜の人種にとってはまことにあっけなく、しかし帝都の代表街にふさわしい行儀よさで、
ほとんど人通りがとだえてしまうのだが、それと引き違いに、背中合わせの暗黒街がにぎわい始め、午前二時三時頃までも、
男女のあくなき享楽児どもが、窓をとざした建物の薄くらがりの中に、ウヨウヨとうごめきつづける。
 今もいうあるクリスマス・イヴの午前一時頃、その暗黒街のとある巨大な建物、外部から見たのではまるで空家のようなまっ暗な建物の中に、
けたはずれな、狂気めいた大夜会が、今、最高潮に達していた。
 ナイトクラブの広々としたフロアに、数十人の男女が、或る者は盃をあげてブラボーを叫び、或る者はだんだら染めのの尖とんがり帽子を横っちょにして踊りくるい、
或る者はにげまどう小女をゴリラの恰好かっこうで追いまわし、或る者は泣きわめき、或る者は怒りくるっている上を、
五色の粉紙が雪と舞い、五色のテープが滝と落ち、数知れぬ青赤の風船玉が、むせかえる煙草たばこのけむりの雲の中を、とまどいをしてみだれ飛んでいた。
「やあ、ダーク・エンジェルだ。ダーク・エンジェルだ」
「黒天使の御入来だぞ」
「ブラボー、女王様ばんざい!」
 口々にわめく酔いどれの声々が混乱して、たちまち急霰きゅうさんの拍手が起こった。
 自然に開かれた人垣の中を、浮き浮きとステップをふむようにして、室の中央に進みでる一人の婦人。
まっ黒なイブニング・ドレスに、まっ黒な帽子、まっ黒な手袋、まっ黒な靴下、まっ黒な靴、黒ずくめの中に、かがやくばかりの美貌が、ドキドキと上気して、赤いばらのように咲きほこっている。
「諸君、御機嫌よう。僕はもう酔っぱらってるんです。しかし、飲みましょう。そして、踊りましょう」
 美しい婦人は、右手をヒラヒラと頭上に打ち振りながら、可愛らしい巻舌で叫んだ。
「飲みましょう。そして、踊りましょう。ダーク・エンジェルばんざい!」
「オーイ、ボーイさん、シャンパンだ、シャンパンだ」
 やがて、ポン、ポンと花やかな小銃が鳴りひびいて、コルクの弾丸が五色の風船玉をぬって昇天した。そこにも、ここにも、カチカチとグラスのふれる音、そして、またしても、
「ブラボー、ダーク・エンジェル!」
 の合唱だ。
 暗黒街の女王のこの人気は、一体どこからわいて出たのか。たとえ彼女の素性は少しもわからなくても、その美貌、
そのズバぬけたふるまい、底知れぬ贅沢ぜいたく、おびただしい宝石の装身具、それらのどの一つを取っても、女王の資格は十分すぎるほどであったが、
彼女はさらにもっともっとすばらしい魅力をそなえていた。
彼女は大胆不敵なエキジビショニストであったのだ。
「黒天使、いつもの宝石踊りを所望します!」
 だれかが口を切ると、ワーッというドヨメキ、そして一せいの拍手。
 片隅のバンドが音楽を始めた。わいせつなサキソフォンが、異様に人々の耳をくすぐった。
 人々の円陣の中央には、もう宝石踊りが始まっていた。黒天使は今や白天使と変じた。彼女の美しく上気した全肉体をおおうものは、
二筋の大粒な首飾りと、見事な翡翠ひすいの耳飾りと、無数のダイヤモンドをちりばめた左右の腕環と、三箇の指環のほかには、一本の糸、一枚の布切れさえもなかった。
 彼女は今、チカチカと光りかがやく、桃色の一肉塊にすぎなかった。それが肩をゆすり、足をあげて、エジプト宮廷の、なまめかしき舞踊を、たくみにも踊りつづけているのだ。
「オイ、見ろ、黒トカゲが這はい始めたぜ。なんてすばらしいんだろ」
「ウン、ほんとうに、あの小さな虫が、生きて動きだすんだからね」
 意気なタキシードの青年がささやき交わした。
 美しい女の左の腕に、一匹の真黒に見えるトカゲが這っていた。
それが彼女の腕のゆらぎにつれて、吸盤のある足をヨタヨタと動かして、這い出したように見えるのだ。今にもそれが、肩から頸くび、頸から顎あご、
そして彼女の真赤なヌメヌメとした、唇までも、這いあがって行きそうに見えながら、いつまでも同じ腕にうごめいている。
真にせまった一匹のトカゲの入墨いれずみであった。
 さすがにこの恥知らずの舞踊は四、五分しかつづかなかったが、それが終ると、
感激した酔いどれ紳士たちが、ドッと押し寄せて、何か口々に激情の叫びをあげながら、いきなり裸美人らびじんを胴上げにして、お御輿みこしのかけ声勇ましく、室内をグルグルと廻り歩

118 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 01:33:19.60 ID:EvaDWnP9
 この国でも一夜に数千羽の七面鳥がしめられるという、あるクリスマス・イヴの出来事だ。
 帝都最大の殷賑いんしん地帯、ネオン・ライトの闇夜の虹が、幾万の通行者を五色にそめるG街、その表通りを一歩裏へ入ると、そこにこの都の暗黒街が横たわっている。
 G街の方は、午後十一時ともなれば、夜の人種にとってはまことにあっけなく、しかし帝都の代表街にふさわしい行儀よさで、
ほとんど人通りがとだえてしまうのだが、それと引き違いに、背中合わせの暗黒街がにぎわい始め、午前二時三時頃までも、
男女のあくなき享楽児どもが、窓をとざした建物の薄くらがりの中に、ウヨウヨとうごめきつづける。
 今もいうあるクリスマス・イヴの午前一時頃、その暗黒街のとある巨大な建物、外部から見たのではまるで空家のようなまっ暗な建物の中に、
けたはずれな、狂気めいた大夜会が、今、最高潮に達していた。
 ナイトクラブの広々としたフロアに、数十人の男女が、或る者は盃をあげてブラボーを叫び、或る者はだんだら染めのの尖とんがり帽子を横っちょにして踊りくるい、
或る者はにげまどう小女をゴリラの恰好かっこうで追いまわし、或る者は泣きわめき、或る者は怒りくるっている上を、
五色の粉紙が雪と舞い、五色のテープが滝と落ち、数知れぬ青赤の風船玉が、むせかえる煙草たばこのけむりの雲の中を、とまどいをしてみだれ飛んでいた。
「やあ、ダーク・エンジェルだ。ダーク・エンジェルだ」
「黒天使の御入来だぞ」
「ブラボー、女王様ばんざい!」
 口々にわめく酔いどれの声々が混乱して、たちまち急霰きゅうさんの拍手が起こった。
 自然に開かれた人垣の中を、浮き浮きとステップをふむようにして、室の中央に進みでる一人の婦人。
まっ黒なイブニング・ドレスに、まっ黒な帽子、まっ黒な手袋、まっ黒な靴下、まっ黒な靴、黒ずくめの中に、かがやくばかりの美貌が、ドキドキと上気して、赤いばらのように咲きほこっている。
「諸君、御機嫌よう。僕はもう酔っぱらってるんです。しかし、飲みましょう。そして、踊りましょう」
 美しい婦人は、右手をヒラヒラと頭上に打ち振りながら、可愛らしい巻舌で叫んだ。
「飲みましょう。そして、踊りましょう。ダーク・エンジェルばんざい!」
「オーイ、ボーイさん、シャンパンだ、シャンパンだ」
 やがて、ポン、ポンと花やかな小銃が鳴りひびいて、コルクの弾丸が五色の風船玉をぬって昇天した。そこにも、ここにも、カチカチとグラスのふれる音、そして、またしても、
「ブラボー、ダーク・エンジェル!」
 の合唱だ。
 暗黒街の女王のこの人気は、一体どこからわいて出たのか。たとえ彼女の素性は少しもわからなくても、その美貌、
そのズバぬけたふるまい、底知れぬ贅沢ぜいたく、おびただしい宝石の装身具、それらのどの一つを取っても、女王の資格は十分すぎるほどであったが、
彼女はさらにもっともっとすばらしい魅力をそなえていた。
彼女は大胆不敵なエキジビショニストであったのだ。
「黒天使、いつもの宝石踊りを所望します!」
 だれかが口を切ると、ワーッというドヨメキ、そして一せいの拍手。
 片隅のバンドが音楽を始めた。わいせつなサキソフォンが、異様に人々の耳をくすぐった。
 人々の円陣の中央には、もう宝石踊りが始まっていた。黒天使は今や白天使と変じた。彼女の美しく上気した全肉体をおおうものは、
二筋の大粒な首飾りと、見事な翡翠ひすいの耳飾りと、無数のダイヤモンドをちりばめた左右の腕環と、三箇の指環のほかには、一本の糸、一枚の布切れさえもなかった。
 彼女は今、チカチカと光りかがやく、桃色の一肉塊にすぎなかった。それが肩をゆすり、足をあげて、エジプト宮廷の、なまめかしき舞踊を、たくみにも踊りつづけているのだ。
「オイ、見ろ、黒トカゲが這はい始めたぜ。なんてすばらしいんだろ」
「ウン、ほんとうに、あの小さな虫が、生きて動きだすんだからね」
 意気なタキシードの青年がささやき交わした。
 美しい女の左の腕に、一匹の真黒に見えるトカゲが這っていた。
それが彼女の腕のゆらぎにつれて、吸盤のある足をヨタヨタと動かして、這い出したように見えるのだ。今にもそれが、肩から頸くび、頸から顎あご、
そして彼女の真赤なヌメヌメとした、唇までも、這いあがって行きそうに見えながら、いつまでも同じ腕にうごめいている。
真にせまった一匹のトカゲの入墨いれずみであった。
 さすがにこの恥知らずの舞踊は四、五分しかつづかなかったが、それが終ると、
感激した酔いどれ紳士たちが、ドッと押し寄せて、何か口々に激情の叫びをあげながら、いきなり裸美人らびじんを胴上げにして、お御輿みこしのかけ声勇ましく、室内をグルグルと廻り歩

119 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 01:36:10.95 ID:8tRVjw0m
 この国でも一夜に数千羽の七面鳥がしめられるという、あるクリスマス・イヴの出来事だ。
 帝都最大の殷賑いんしん地帯、ネオン・ライトの闇夜の虹が、幾万の通行者を五色にそめるG街、その表通りを一歩裏へ入ると、そこにこの都の暗黒街が横たわっている。
 G街の方は、午後十一時ともなれば、夜の人種にとってはまことにあっけなく、しかし帝都の代表街にふさわしい行儀よさで、
ほとんど人通りがとだえてしまうのだが、それと引き違いに、背中合わせの暗黒街がにぎわい始め、午前二時三時頃までも、
男女のあくなき享楽児どもが、窓をとざした建物の薄くらがりの中に、ウヨウヨとうごめきつづける。
 今もいうあるクリスマス・イヴの午前一時頃、その暗黒街のとある巨大な建物、外部から見たのではまるで空家のようなまっ暗な建物の中に、
けたはずれな、狂気めいた大夜会が、今、最高潮に達していた。
 ナイトクラブの広々としたフロアに、数十人の男女が、或る者は盃をあげてブラボーを叫び、或る者はだんだら染めのの尖とんがり帽子を横っちょにして踊りくるい、
或る者はにげまどう小女をゴリラの恰好かっこうで追いまわし、或る者は泣きわめき、或る者は怒りくるっている上を、
五色の粉紙が雪と舞い、五色のテープが滝と落ち、数知れぬ青赤の風船玉が、むせかえる煙草たばこのけむりの雲の中を、とまどいをしてみだれ飛んでいた。
「やあ、ダーク・エンジェルだ。ダーク・エンジェルだ」
「黒天使の御入来だぞ」
「ブラボー、女王様ばんざい!」
 口々にわめく酔いどれの声々が混乱して、たちまち急霰きゅうさんの拍手が起こった。
 自然に開かれた人垣の中を、浮き浮きとステップをふむようにして、室の中央に進みでる一人の婦人。
まっ黒なイブニング・ドレスに、まっ黒な帽子、まっ黒な手袋、まっ黒な靴下、まっ黒な靴、黒ずくめの中に、かがやくばかりの美貌が、ドキドキと上気して、赤いばらのように咲きほこっている。
「諸君、御機嫌よう。僕はもう酔っぱらってるんです。しかし、飲みましょう。そして、踊りましょう」
 美しい婦人は、右手をヒラヒラと頭上に打ち振りながら、可愛らしい巻舌で叫んだ。
「飲みましょう。そして、踊りましょう。ダーク・エンジェルばんざい!」
「オーイ、ボーイさん、シャンパンだ、シャンパンだ」
 やがて、ポン、ポンと花やかな小銃が鳴りひびいて、コルクの弾丸が五色の風船玉をぬって昇天した。そこにも、ここにも、カチカチとグラスのふれる音、そして、またしても、
「ブラボー、ダーク・エンジェル!」
 の合唱だ。
 暗黒街の女王のこの人気は、一体どこからわいて出たのか。たとえ彼女の素性は少しもわからなくても、その美貌、
そのズバぬけたふるまい、底知れぬ贅沢ぜいたく、おびただしい宝石の装身具、それらのどの一つを取っても、女王の資格は十分すぎるほどであったが、
彼女はさらにもっともっとすばらしい魅力をそなえていた。
彼女は大胆不敵なエキジビショニストであったのだ。
「黒天使、いつもの宝石踊りを所望します!」
 だれかが口を切ると、ワーッというドヨメキ、そして一せいの拍手。
 片隅のバンドが音楽を始めた。わいせつなサキソフォンが、異様に人々の耳をくすぐった。
 人々の円陣の中央には、もう宝石踊りが始まっていた。黒天使は今や白天使と変じた。彼女の美しく上気した全肉体をおおうものは、
二筋の大粒な首飾りと、見事な翡翠ひすいの耳飾りと、無数のダイヤモンドをちりばめた左右の腕環と、三箇の指環のほかには、一本の糸、一枚の布切れさえもなかった。
 彼女は今、チカチカと光りかがやく、桃色の一肉塊にすぎなかった。それが肩をゆすり、足をあげて、エジプト宮廷の、なまめかしき舞踊を、たくみにも踊りつづけているのだ。
「オイ、見ろ、黒トカゲが這はい始めたぜ。なんてすばらしいんだろ」
「ウン、ほんとうに、あの小さな虫が、生きて動きだすんだからね」
 意気なタキシードの青年がささやき交わした。
 美しい女の左の腕に、一匹の真黒に見えるトカゲが這っていた。
それが彼女の腕のゆらぎにつれて、吸盤のある足をヨタヨタと動かして、這い出したように見えるのだ。今にもそれが、肩から頸くび、頸から顎あご、
そして彼女の真赤なヌメヌメとした、唇までも、這いあがって行きそうに見えながら、いつまでも同じ腕にうごめいている。
真にせまった一匹のトカゲの入墨いれずみであった。
 さすがにこの恥知らずの舞踊は四、五分しかつづかなかったが、それが終ると、
感激した酔いどれ紳士たちが、ドッと押し寄せて、何か口々に激情の叫びをあげながら、いきなり裸美人らびじんを胴上げにして、お御輿みこしのかけ声勇ましく、室内をグルグルと廻り歩

120 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 01:43:25.23 ID:fq5wlp7y
 この国でも一夜に数千羽の七面鳥がしめられるという、あるクリスマス・イヴの出来事だ。
 帝都最大の殷賑いんしん地帯、ネオン・ライトの闇夜の虹が、幾万の通行者を五色にそめるG街、その表通りを一歩裏へ入ると、そこにこの都の暗黒街が横たわっている。
 G街の方は、午後十一時ともなれば、夜の人種にとってはまことにあっけなく、しかし帝都の代表街にふさわしい行儀よさで、
ほとんど人通りがとだえてしまうのだが、それと引き違いに、背中合わせの暗黒街がにぎわい始め、午前二時三時頃までも、
男女のあくなき享楽児どもが、窓をとざした建物の薄くらがりの中に、ウヨウヨとうごめきつづける。
 今もいうあるクリスマス・イヴの午前一時頃、その暗黒街のとある巨大な建物、外部から見たのではまるで空家のようなまっ暗な建物の中に、
けたはずれな、狂気めいた大夜会が、今、最高潮に達していた。
 ナイトクラブの広々としたフロアに、数十人の男女が、或る者は盃をあげてブラボーを叫び、或る者はだんだら染めのの尖とんがり帽子を横っちょにして踊りくるい、
或る者はにげまどう小女をゴリラの恰好かっこうで追いまわし、或る者は泣きわめき、或る者は怒りくるっている上を、
五色の粉紙が雪と舞い、五色のテープが滝と落ち、数知れぬ青赤の風船玉が、むせかえる煙草たばこのけむりの雲の中を、とまどいをしてみだれ飛んでいた。
「やあ、ダーク・エンジェルだ。ダーク・エンジェルだ」
「黒天使の御入来だぞ」
「ブラボー、女王様ばんざい!」
 口々にわめく酔いどれの声々が混乱して、たちまち急霰きゅうさんの拍手が起こった。
 自然に開かれた人垣の中を、浮き浮きとステップをふむようにして、室の中央に進みでる一人の婦人。
まっ黒なイブニング・ドレスに、まっ黒な帽子、まっ黒な手袋、まっ黒な靴下、まっ黒な靴、黒ずくめの中に、かがやくばかりの美貌が、ドキドキと上気して、赤いばらのように咲きほこっている。
「諸君、御機嫌よう。僕はもう酔っぱらってるんです。しかし、飲みましょう。そして、踊りましょう」
 美しい婦人は、右手をヒラヒラと頭上に打ち振りながら、可愛らしい巻舌で叫んだ。
「飲みましょう。そして、踊りましょう。ダーク・エンジェルばんざい!」
「オーイ、ボーイさん、シャンパンだ、シャンパンだ」
 やがて、ポン、ポンと花やかな小銃が鳴りひびいて、コルクの弾丸が五色の風船玉をぬって昇天した。そこにも、ここにも、カチカチとグラスのふれる音、そして、またしても、
「ブラボー、ダーク・エンジェル!」
 の合唱だ。
 暗黒街の女王のこの人気は、一体どこからわいて出たのか。たとえ彼女の素性は少しもわからなくても、その美貌、
そのズバぬけたふるまい、底知れぬ贅沢ぜいたく、おびただしい宝石の装身具、それらのどの一つを取っても、女王の資格は十分すぎるほどであったが、
彼女はさらにもっともっとすばらしい魅力をそなえていた。
彼女は大胆不敵なエキジビショニストであったのだ。
「黒天使、いつもの宝石踊りを所望します!」
 だれかが口を切ると、ワーッというドヨメキ、そして一せいの拍手。
 片隅のバンドが音楽を始めた。わいせつなサキソフォンが、異様に人々の耳をくすぐった。
 人々の円陣の中央には、もう宝石踊りが始まっていた。黒天使は今や白天使と変じた。彼女の美しく上気した全肉体をおおうものは、
二筋の大粒な首飾りと、見事な翡翠ひすいの耳飾りと、無数のダイヤモンドをちりばめた左右の腕環と、三箇の指環のほかには、一本の糸、一枚の布切れさえもなかった。
 彼女は今、チカチカと光りかがやく、桃色の一肉塊にすぎなかった。それが肩をゆすり、足をあげて、エジプト宮廷の、なまめかしき舞踊を、たくみにも踊りつづけているのだ。
「オイ、見ろ、黒トカゲが這はい始めたぜ。なんてすばらしいんだろ」
「ウン、ほんとうに、あの小さな虫が、生きて動きだすんだからね」
 意気なタキシードの青年がささやき交わした。
 美しい女の左の腕に、一匹の真黒に見えるトカゲが這っていた。
それが彼女の腕のゆらぎにつれて、吸盤のある足をヨタヨタと動かして、這い出したように見えるのだ。今にもそれが、肩から頸くび、頸から顎あご、
そして彼女の真赤なヌメヌメとした、唇までも、這いあがって行きそうに見えながら、いつまでも同じ腕にうごめいている。
真にせまった一匹のトカゲの入墨いれずみであった。
 さすがにこの恥知らずの舞踊は四、五分しかつづかなかったが、それが終ると、
感激した酔いどれ紳士たちが、ドッと押し寄せて、何か口々に激情の叫びをあげながら、いきなり裸美人らびじんを胴上げにして、お御輿みこしのかけ声勇ましく、室内をグルグルと廻り歩

121 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 01:43:47.35 ID:fq5wlp7y
 この国でも一夜に数千羽の七面鳥がしめられるという、あるクリスマス・イヴの出来事だ。
 帝都最大の殷賑いんしん地帯、ネオン・ライトの闇夜の虹が、幾万の通行者を五色にそめるG街、その表通りを一歩裏へ入ると、そこにこの都の暗黒街が横たわっている。
 G街の方は、午後十一時ともなれば、夜の人種にとってはまことにあっけなく、しかし帝都の代表街にふさわしい行儀よさで、
ほとんど人通りがとだえてしまうのだが、それと引き違いに、背中合わせの暗黒街がにぎわい始め、午前二時三時頃までも、
男女のあくなき享楽児どもが、窓をとざした建物の薄くらがりの中に、ウヨウヨとうごめきつづける。
 今もいうあるクリスマス・イヴの午前一時頃、その暗黒街のとある巨大な建物、外部から見たのではまるで空家のようなまっ暗な建物の中に、
けたはずれな、狂気めいた大夜会が、今、最高潮に達していた。
 ナイトクラブの広々としたフロアに、数十人の男女が、或る者は盃をあげてブラボーを叫び、或る者はだんだら染めのの尖とんがり帽子を横っちょにして踊りくるい、
或る者はにげまどう小女をゴリラの恰好かっこうで追いまわし、或る者は泣きわめき、或る者は怒りくるっている上を、
五色の粉紙が雪と舞い、五色のテープが滝と落ち、数知れぬ青赤の風船玉が、むせかえる煙草たばこのけむりの雲の中を、とまどいをしてみだれ飛んでいた。
「やあ、ダーク・エンジェルだ。ダーク・エンジェルだ」
「黒天使の御入来だぞ」
「ブラボー、女王様ばんざい!」
 口々にわめく酔いどれの声々が混乱して、たちまち急霰きゅうさんの拍手が起こった。
 自然に開かれた人垣の中を、浮き浮きとステップをふむようにして、室の中央に進みでる一人の婦人。
まっ黒なイブニング・ドレスに、まっ黒な帽子、まっ黒な手袋、まっ黒な靴下、まっ黒な靴、黒ずくめの中に、かがやくばかりの美貌が、ドキドキと上気して、赤いばらのように咲きほこっている。
「諸君、御機嫌よう。僕はもう酔っぱらってるんです。しかし、飲みましょう。そして、踊りましょう」
 美しい婦人は、右手をヒラヒラと頭上に打ち振りながら、可愛らしい巻舌で叫んだ。
「飲みましょう。そして、踊りましょう。ダーク・エンジェルばんざい!」
「オーイ、ボーイさん、シャンパンだ、シャンパンだ」
 やがて、ポン、ポンと花やかな小銃が鳴りひびいて、コルクの弾丸が五色の風船玉をぬって昇天した。そこにも、ここにも、カチカチとグラスのふれる音、そして、またしても、
「ブラボー、ダーク・エンジェル!」
 の合唱だ。
 暗黒街の女王のこの人気は、一体どこからわいて出たのか。たとえ彼女の素性は少しもわからなくても、その美貌、
そのズバぬけたふるまい、底知れぬ贅沢ぜいたく、おびただしい宝石の装身具、それらのどの一つを取っても、女王の資格は十分すぎるほどであったが、
彼女はさらにもっともっとすばらしい魅力をそなえていた。
彼女は大胆不敵なエキジビショニストであったのだ。
「黒天使、いつもの宝石踊りを所望します!」
 だれかが口を切ると、ワーッというドヨメキ、そして一せいの拍手。
 片隅のバンドが音楽を始めた。わいせつなサキソフォンが、異様に人々の耳をくすぐった。
 人々の円陣の中央には、もう宝石踊りが始まっていた。黒天使は今や白天使と変じた。彼女の美しく上気した全肉体をおおうものは、
二筋の大粒な首飾りと、見事な翡翠ひすいの耳飾りと、無数のダイヤモンドをちりばめた左右の腕環と、三箇の指環のほかには、一本の糸、一枚の布切れさえもなかった。
 彼女は今、チカチカと光りかがやく、桃色の一肉塊にすぎなかった。それが肩をゆすり、足をあげて、エジプト宮廷の、なまめかしき舞踊を、たくみにも踊りつづけているのだ。
「オイ、見ろ、黒トカゲが這はい始めたぜ。なんてすばらしいんだろ」
「ウン、ほんとうに、あの小さな虫が、生きて動きだすんだからね」
 意気なタキシードの青年がささやき交わした。
 美しい女の左の腕に、一匹の真黒に見えるトカゲが這っていた。
それが彼女の腕のゆらぎにつれて、吸盤のある足をヨタヨタと動かして、這い出したように見えるのだ。今にもそれが、肩から頸くび、頸から顎あご、
そして彼女の真赤なヌメヌメとした、唇までも、這いあがって行きそうに見えながら、いつまでも同じ腕にうごめいている。
真にせまった一匹のトカゲの入墨いれずみであった。
 さすがにこの恥知らずの舞踊は四、五分しかつづかなかったが、それが終ると、
感激した酔いどれ紳士たちが、ドッと押し寄せて、何か口々に激情の叫びをあげながら、いきなり裸美人らびじんを胴上げにして、お御輿みこしのかけ声勇ましく、室内をグルグルと廻り歩

122 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 01:45:19.54 ID:fq5wlp7y
 この国でも一夜に数千羽の七面鳥がしめられるという、あるクリスマス・イヴの出来事だ。
 帝都最大の殷賑いんしん地帯、ネオン・ライトの闇夜の虹が、幾万の通行者を五色にそめるG街、その表通りを一歩裏へ入ると、そこにこの都の暗黒街が横たわっている。
 G街の方は、午後十一時ともなれば、夜の人種にとってはまことにあっけなく、しかし帝都の代表街にふさわしい行儀よさで、
ほとんど人通りがとだえてしまうのだが、それと引き違いに、背中合わせの暗黒街がにぎわい始め、午前二時三時頃までも、
男女のあくなき享楽児どもが、窓をとざした建物の薄くらがりの中に、ウヨウヨとうごめきつづける。
 今もいうあるクリスマス・イヴの午前一時頃、その暗黒街のとある巨大な建物、外部から見たのではまるで空家のようなまっ暗な建物の中に、
けたはずれな、狂気めいた大夜会が、今、最高潮に達していた。
 ナイトクラブの広々としたフロアに、数十人の男女が、或る者は盃をあげてブラボーを叫び、或る者はだんだら染めのの尖とんがり帽子を横っちょにして踊りくるい、
或る者はにげまどう小女をゴリラの恰好かっこうで追いまわし、或る者は泣きわめき、或る者は怒りくるっている上を、
五色の粉紙が雪と舞い、五色のテープが滝と落ち、数知れぬ青赤の風船玉が、むせかえる煙草たばこのけむりの雲の中を、とまどいをしてみだれ飛んでいた。
「やあ、ダーク・エンジェルだ。ダーク・エンジェルだ」
「黒天使の御入来だぞ」
「ブラボー、女王様ばんざい!」
 口々にわめく酔いどれの声々が混乱して、たちまち急霰きゅうさんの拍手が起こった。
 自然に開かれた人垣の中を、浮き浮きとステップをふむようにして、室の中央に進みでる一人の婦人。
まっ黒なイブニング・ドレスに、まっ黒な帽子、まっ黒な手袋、まっ黒な靴下、まっ黒な靴、黒ずくめの中に、かがやくばかりの美貌が、ドキドキと上気して、赤いばらのように咲きほこっている。
「諸君、御機嫌よう。僕はもう酔っぱらってるんです。しかし、飲みましょう。そして、踊りましょう」
 美しい婦人は、右手をヒラヒラと頭上に打ち振りながら、可愛らしい巻舌で叫んだ。
「飲みましょう。そして、踊りましょう。ダーク・エンジェルばんざい!」
「オーイ、ボーイさん、シャンパンだ、シャンパンだ」
 やがて、ポン、ポンと花やかな小銃が鳴りひびいて、コルクの弾丸が五色の風船玉をぬって昇天した。そこにも、ここにも、カチカチとグラスのふれる音、そして、またしても、
「ブラボー、ダーク・エンジェル!」
 の合唱だ。
 暗黒街の女王のこの人気は、一体どこからわいて出たのか。たとえ彼女の素性は少しもわからなくても、その美貌、
そのズバぬけたふるまい、底知れぬ贅沢ぜいたく、おびただしい宝石の装身具、それらのどの一つを取っても、女王の資格は十分すぎるほどであったが、
彼女はさらにもっともっとすばらしい魅力をそなえていた。
彼女は大胆不敵なエキジビショニストであったのだ。
「黒天使、いつもの宝石踊りを所望します!」
 だれかが口を切ると、ワーッというドヨメキ、そして一せいの拍手。
 片隅のバンドが音楽を始めた。わいせつなサキソフォンが、異様に人々の耳をくすぐった。
 人々の円陣の中央には、もう宝石踊りが始まっていた。黒天使は今や白天使と変じた。彼女の美しく上気した全肉体をおおうものは、
二筋の大粒な首飾りと、見事な翡翠ひすいの耳飾りと、無数のダイヤモンドをちりばめた左右の腕環と、三箇の指環のほかには、一本の糸、一枚の布切れさえもなかった。
 彼女は今、チカチカと光りかがやく、桃色の一肉塊にすぎなかった。それが肩をゆすり、足をあげて、エジプト宮廷の、なまめかしき舞踊を、たくみにも踊りつづけているのだ。
「オイ、見ろ、黒トカゲが這はい始めたぜ。なんてすばらしいんだろ」
「ウン、ほんとうに、あの小さな虫が、生きて動きだすんだからね」
 意気なタキシードの青年がささやき交わした。
 美しい女の左の腕に、一匹の真黒に見えるトカゲが這っていた。
それが彼女の腕のゆらぎにつれて、吸盤のある足をヨタヨタと動かして、這い出したように見えるのだ。今にもそれが、肩から頸くび、頸から顎あご、
そして彼女の真赤なヌメヌメとした、唇までも、這いあがって行きそうに見えながら、いつまでも同じ腕にうごめいている。
真にせまった一匹のトカゲの入墨いれずみであった。
 さすがにこの恥知らずの舞踊は四、五分しかつづかなかったが、それが終ると、
感激した酔いどれ紳士たちが、ドッと押し寄せて、何か口々に激情の叫びをあげながら、いきなり裸美人らびじんを胴上げにして、お御輿みこしのかけ声勇ましく、室内をグルグルと廻り歩

123 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 01:47:28.28 ID:fq5wlp7y
 この国でも一夜に数千羽の七面鳥がしめられるという、あるクリスマス・イヴの出来事だ。
 帝都最大の殷賑いんしん地帯、ネオン・ライトの闇夜の虹が、幾万の通行者を五色にそめるG街、その表通りを一歩裏へ入ると、そこにこの都の暗黒街が横たわっている。
 G街の方は、午後十一時ともなれば、夜の人種にとってはまことにあっけなく、しかし帝都の代表街にふさわしい行儀よさで、
ほとんど人通りがとだえてしまうのだが、それと引き違いに、背中合わせの暗黒街がにぎわい始め、午前二時三時頃までも、
男女のあくなき享楽児どもが、窓をとざした建物の薄くらがりの中に、ウヨウヨとうごめきつづける。
 今もいうあるクリスマス・イヴの午前一時頃、その暗黒街のとある巨大な建物、外部から見たのではまるで空家のようなまっ暗な建物の中に、
けたはずれな、狂気めいた大夜会が、今、最高潮に達していた。
 ナイトクラブの広々としたフロアに、数十人の男女が、或る者は盃をあげてブラボーを叫び、或る者はだんだら染めのの尖とんがり帽子を横っちょにして踊りくるい、
或る者はにげまどう小女をゴリラの恰好かっこうで追いまわし、或る者は泣きわめき、或る者は怒りくるっている上を、
五色の粉紙が雪と舞い、五色のテープが滝と落ち、数知れぬ青赤の風船玉が、むせかえる煙草たばこのけむりの雲の中を、とまどいをしてみだれ飛んでいた。
「やあ、ダーク・エンジェルだ。ダーク・エンジェルだ」
「黒天使の御入来だぞ」
「ブラボー、女王様ばんざい!」
 口々にわめく酔いどれの声々が混乱して、たちまち急霰きゅうさんの拍手が起こった。
 自然に開かれた人垣の中を、浮き浮きとステップをふむようにして、室の中央に進みでる一人の婦人。
まっ黒なイブニング・ドレスに、まっ黒な帽子、まっ黒な手袋、まっ黒な靴下、まっ黒な靴、黒ずくめの中に、かがやくばかりの美貌が、ドキドキと上気して、赤いばらのように咲きほこっている。
「諸君、御機嫌よう。僕はもう酔っぱらってるんです。しかし、飲みましょう。そして、踊りましょう」
 美しい婦人は、右手をヒラヒラと頭上に打ち振りながら、可愛らしい巻舌で叫んだ。
「飲みましょう。そして、踊りましょう。ダーク・エンジェルばんざい!」
「オーイ、ボーイさん、シャンパンだ、シャンパンだ」
 やがて、ポン、ポンと花やかな小銃が鳴りひびいて、コルクの弾丸が五色の風船玉をぬって昇天した。そこにも、ここにも、カチカチとグラスのふれる音、そして、またしても、
「ブラボー、ダーク・エンジェル!」
 の合唱だ。
 暗黒街の女王のこの人気は、一体どこからわいて出たのか。たとえ彼女の素性は少しもわからなくても、その美貌、
そのズバぬけたふるまい、底知れぬ贅沢ぜいたく、おびただしい宝石の装身具、それらのどの一つを取っても、女王の資格は十分すぎるほどであったが、
彼女はさらにもっともっとすばらしい魅力をそなえていた。
彼女は大胆不敵なエキジビショニストであったのだ。
「黒天使、いつもの宝石踊りを所望します!」
 だれかが口を切ると、ワーッというドヨメキ、そして一せいの拍手。
 片隅のバンドが音楽を始めた。わいせつなサキソフォンが、異様に人々の耳をくすぐった。
 人々の円陣の中央には、もう宝石踊りが始まっていた。黒天使は今や白天使と変じた。彼女の美しく上気した全肉体をおおうものは、
二筋の大粒な首飾りと、見事な翡翠ひすいの耳飾りと、無数のダイヤモンドをちりばめた左右の腕環と、三箇の指環のほかには、一本の糸、一枚の布切れさえもなかった。
 彼女は今、チカチカと光りかがやく、桃色の一肉塊にすぎなかった。それが肩をゆすり、足をあげて、エジプト宮廷の、なまめかしき舞踊を、たくみにも踊りつづけているのだ。
「オイ、見ろ、黒トカゲが這はい始めたぜ。なんてすばらしいんだろ」
「ウン、ほんとうに、あの小さな虫が、生きて動きだすんだからね」
 意気なタキシードの青年がささやき交わした。
 美しい女の左の腕に、一匹の真黒に見えるトカゲが這っていた。
それが彼女の腕のゆらぎにつれて、吸盤のある足をヨタヨタと動かして、這い出したように見えるのだ。今にもそれが、肩から頸くび、頸から顎あご、
そして彼女の真赤なヌメヌメとした、唇までも、這いあがって行きそうに見えながら、いつまでも同じ腕にうごめいている。
真にせまった一匹のトカゲの入墨いれずみであった。
 さすがにこの恥知らずの舞踊は四、五分しかつづかなかったが、それが終ると、
感激した酔いどれ紳士たちが、ドッと押し寄せて、何か口々に激情の叫びをあげながら、いきなり裸美人らびじんを胴上げにして、お御輿みこしのかけ声勇ましく、室内をグルグルと廻り歩

124 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 01:48:26.17 ID:yI2wCnUw
 この国でも一夜に数千羽の七面鳥がしめられるという、あるクリスマス・イヴの出来事だ。
 帝都最大の殷賑いんしん地帯、ネオン・ライトの闇夜の虹が、幾万の通行者を五色にそめるG街、その表通りを一歩裏へ入ると、そこにこの都の暗黒街が横たわっている。
 G街の方は、午後十一時ともなれば、夜の人種にとってはまことにあっけなく、しかし帝都の代表街にふさわしい行儀よさで、
ほとんど人通りがとだえてしまうのだが、それと引き違いに、背中合わせの暗黒街がにぎわい始め、午前二時三時頃までも、
男女のあくなき享楽児どもが、窓をとざした建物の薄くらがりの中に、ウヨウヨとうごめきつづける。
 今もいうあるクリスマス・イヴの午前一時頃、その暗黒街のとある巨大な建物、外部から見たのではまるで空家のようなまっ暗な建物の中に、
けたはずれな、狂気めいた大夜会が、今、最高潮に達していた。
 ナイトクラブの広々としたフロアに、数十人の男女が、或る者は盃をあげてブラボーを叫び、或る者はだんだら染めのの尖とんがり帽子を横っちょにして踊りくるい、
或る者はにげまどう小女をゴリラの恰好かっこうで追いまわし、或る者は泣きわめき、或る者は怒りくるっている上を、
五色の粉紙が雪と舞い、五色のテープが滝と落ち、数知れぬ青赤の風船玉が、むせかえる煙草たばこのけむりの雲の中を、とまどいをしてみだれ飛んでいた。
「やあ、ダーク・エンジェルだ。ダーク・エンジェルだ」
「黒天使の御入来だぞ」
「ブラボー、女王様ばんざい!」
 口々にわめく酔いどれの声々が混乱して、たちまち急霰きゅうさんの拍手が起こった。
 自然に開かれた人垣の中を、浮き浮きとステップをふむようにして、室の中央に進みでる一人の婦人。
まっ黒なイブニング・ドレスに、まっ黒な帽子、まっ黒な手袋、まっ黒な靴下、まっ黒な靴、黒ずくめの中に、かがやくばかりの美貌が、ドキドキと上気して、赤いばらのように咲きほこっている。
「諸君、御機嫌よう。僕はもう酔っぱらってるんです。しかし、飲みましょう。そして、踊りましょう」
 美しい婦人は、右手をヒラヒラと頭上に打ち振りながら、可愛らしい巻舌で叫んだ。
「飲みましょう。そして、踊りましょう。ダーク・エンジェルばんざい!」
「オーイ、ボーイさん、シャンパンだ、シャンパンだ」
 やがて、ポン、ポンと花やかな小銃が鳴りひびいて、コルクの弾丸が五色の風船玉をぬって昇天した。そこにも、ここにも、カチカチとグラスのふれる音、そして、またしても、
「ブラボー、ダーク・エンジェル!」
 の合唱だ。
 暗黒街の女王のこの人気は、一体どこからわいて出たのか。たとえ彼女の素性は少しもわからなくても、その美貌、
そのズバぬけたふるまい、底知れぬ贅沢ぜいたく、おびただしい宝石の装身具、それらのどの一つを取っても、女王の資格は十分すぎるほどであったが、
彼女はさらにもっともっとすばらしい魅力をそなえていた。
彼女は大胆不敵なエキジビショニストであったのだ。
「黒天使、いつもの宝石踊りを所望します!」
 だれかが口を切ると、ワーッというドヨメキ、そして一せいの拍手。
 片隅のバンドが音楽を始めた。わいせつなサキソフォンが、異様に人々の耳をくすぐった。
 人々の円陣の中央には、もう宝石踊りが始まっていた。黒天使は今や白天使と変じた。彼女の美しく上気した全肉体をおおうものは、
二筋の大粒な首飾りと、見事な翡翠ひすいの耳飾りと、無数のダイヤモンドをちりばめた左右の腕環と、三箇の指環のほかには、一本の糸、一枚の布切れさえもなかった。
 彼女は今、チカチカと光りかがやく、桃色の一肉塊にすぎなかった。それが肩をゆすり、足をあげて、エジプト宮廷の、なまめかしき舞踊を、たくみにも踊りつづけているのだ。
「オイ、見ろ、黒トカゲが這はい始めたぜ。なんてすばらしいんだろ」
「ウン、ほんとうに、あの小さな虫が、生きて動きだすんだからね」
 意気なタキシードの青年がささやき交わした。
 美しい女の左の腕に、一匹の真黒に見えるトカゲが這っていた。
それが彼女の腕のゆらぎにつれて、吸盤のある足をヨタヨタと動かして、這い出したように見えるのだ。今にもそれが、肩から頸くび、頸から顎あご、
そして彼女の真赤なヌメヌメとした、唇までも、這いあがって行きそうに見えながら、いつまでも同じ腕にうごめいている。
真にせまった一匹のトカゲの入墨いれずみであった。
 さすがにこの恥知らずの舞踊は四、五分しかつづかなかったが、それが終ると、
感激した酔いどれ紳士たちが、ドッと押し寄せて、何か口々に激情の叫びをあげながら、いきなり裸美人らびじんを胴上げにして、お御輿みこしのかけ声勇ましく、室内をグルグルと廻り歩

125 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 01:50:29.32 ID:yI2wCnUw
 この国でも一夜に数千羽の七面鳥がしめられるという、あるクリスマス・イヴの出来事だ。
 帝都最大の殷賑いんしん地帯、ネオン・ライトの闇夜の虹が、幾万の通行者を五色にそめるG街、その表通りを一歩裏へ入ると、そこにこの都の暗黒街が横たわっている。
 G街の方は、午後十一時ともなれば、夜の人種にとってはまことにあっけなく、しかし帝都の代表街にふさわしい行儀よさで、
ほとんど人通りがとだえてしまうのだが、それと引き違いに、背中合わせの暗黒街がにぎわい始め、午前二時三時頃までも、
男女のあくなき享楽児どもが、窓をとざした建物の薄くらがりの中に、ウヨウヨとうごめきつづける。
 今もいうあるクリスマス・イヴの午前一時頃、その暗黒街のとある巨大な建物、外部から見たのではまるで空家のようなまっ暗な建物の中に、
けたはずれな、狂気めいた大夜会が、今、最高潮に達していた。
 ナイトクラブの広々としたフロアに、数十人の男女が、或る者は盃をあげてブラボーを叫び、或る者はだんだら染めのの尖とんがり帽子を横っちょにして踊りくるい、
或る者はにげまどう小女をゴリラの恰好かっこうで追いまわし、或る者は泣きわめき、或る者は怒りくるっている上を、
五色の粉紙が雪と舞い、五色のテープが滝と落ち、数知れぬ青赤の風船玉が、むせかえる煙草たばこのけむりの雲の中を、とまどいをしてみだれ飛んでいた。
「やあ、ダーク・エンジェルだ。ダーク・エンジェルだ」
「黒天使の御入来だぞ」
「ブラボー、女王様ばんざい!」
 口々にわめく酔いどれの声々が混乱して、たちまち急霰きゅうさんの拍手が起こった。
 自然に開かれた人垣の中を、浮き浮きとステップをふむようにして、室の中央に進みでる一人の婦人。
まっ黒なイブニング・ドレスに、まっ黒な帽子、まっ黒な手袋、まっ黒な靴下、まっ黒な靴、黒ずくめの中に、かがやくばかりの美貌が、ドキドキと上気して、赤いばらのように咲きほこっている。
「諸君、御機嫌よう。僕はもう酔っぱらってるんです。しかし、飲みましょう。そして、踊りましょう」
 美しい婦人は、右手をヒラヒラと頭上に打ち振りながら、可愛らしい巻舌で叫んだ。
「飲みましょう。そして、踊りましょう。ダーク・エンジェルばんざい!」
「オーイ、ボーイさん、シャンパンだ、シャンパンだ」
 やがて、ポン、ポンと花やかな小銃が鳴りひびいて、コルクの弾丸が五色の風船玉をぬって昇天した。そこにも、ここにも、カチカチとグラスのふれる音、そして、またしても、
「ブラボー、ダーク・エンジェル!」
 の合唱だ。
 暗黒街の女王のこの人気は、一体どこからわいて出たのか。たとえ彼女の素性は少しもわからなくても、その美貌、
そのズバぬけたふるまい、底知れぬ贅沢ぜいたく、おびただしい宝石の装身具、それらのどの一つを取っても、女王の資格は十分すぎるほどであったが、
彼女はさらにもっともっとすばらしい魅力をそなえていた。
彼女は大胆不敵なエキジビショニストであったのだ。
「黒天使、いつもの宝石踊りを所望します!」
 だれかが口を切ると、ワーッというドヨメキ、そして一せいの拍手。
 片隅のバンドが音楽を始めた。わいせつなサキソフォンが、異様に人々の耳をくすぐった。
 人々の円陣の中央には、もう宝石踊りが始まっていた。黒天使は今や白天使と変じた。彼女の美しく上気した全肉体をおおうものは、
二筋の大粒な首飾りと、見事な翡翠ひすいの耳飾りと、無数のダイヤモンドをちりばめた左右の腕環と、三箇の指環のほかには、一本の糸、一枚の布切れさえもなかった。
 彼女は今、チカチカと光りかがやく、桃色の一肉塊にすぎなかった。それが肩をゆすり、足をあげて、エジプト宮廷の、なまめかしき舞踊を、たくみにも踊りつづけているのだ。
「オイ、見ろ、黒トカゲが這はい始めたぜ。なんてすばらしいんだろ」
「ウン、ほんとうに、あの小さな虫が、生きて動きだすんだからね」
 意気なタキシードの青年がささやき交わした。
 美しい女の左の腕に、一匹の真黒に見えるトカゲが這っていた。
それが彼女の腕のゆらぎにつれて、吸盤のある足をヨタヨタと動かして、這い出したように見えるのだ。今にもそれが、肩から頸くび、頸から顎あご、
そして彼女の真赤なヌメヌメとした、唇までも、這いあがって行きそうに見えながら、いつまでも同じ腕にうごめいている。
真にせまった一匹のトカゲの入墨いれずみであった。
 さすがにこの恥知らずの舞踊は四、五分しかつづかなかったが、それが終ると、
感激した酔いどれ紳士たちが、ドッと押し寄せて、何か口々に激情の叫びをあげながら、いきなり裸美人らびじんを胴上げにして、お御輿みこしのかけ声勇ましく、室内をグルグルと廻り歩

126 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 01:51:34.33 ID:yI2wCnUw
 この国でも一夜に数千羽の七面鳥がしめられるという、あるクリスマス・イヴの出来事だ。
 帝都最大の殷賑いんしん地帯、ネオン・ライトの闇夜の虹が、幾万の通行者を五色にそめるG街、その表通りを一歩裏へ入ると、そこにこの都の暗黒街が横たわっている。
 G街の方は、午後十一時ともなれば、夜の人種にとってはまことにあっけなく、しかし帝都の代表街にふさわしい行儀よさで、
ほとんど人通りがとだえてしまうのだが、それと引き違いに、背中合わせの暗黒街がにぎわい始め、午前二時三時頃までも、
男女のあくなき享楽児どもが、窓をとざした建物の薄くらがりの中に、ウヨウヨとうごめきつづける。
 今もいうあるクリスマス・イヴの午前一時頃、その暗黒街のとある巨大な建物、外部から見たのではまるで空家のようなまっ暗な建物の中に、
けたはずれな、狂気めいた大夜会が、今、最高潮に達していた。
 ナイトクラブの広々としたフロアに、数十人の男女が、或る者は盃をあげてブラボーを叫び、或る者はだんだら染めのの尖とんがり帽子を横っちょにして踊りくるい、
或る者はにげまどう小女をゴリラの恰好かっこうで追いまわし、或る者は泣きわめき、或る者は怒りくるっている上を、
五色の粉紙が雪と舞い、五色のテープが滝と落ち、数知れぬ青赤の風船玉が、むせかえる煙草たばこのけむりの雲の中を、とまどいをしてみだれ飛んでいた。
「やあ、ダーク・エンジェルだ。ダーク・エンジェルだ」
「黒天使の御入来だぞ」
「ブラボー、女王様ばんざい!」
 口々にわめく酔いどれの声々が混乱して、たちまち急霰きゅうさんの拍手が起こった。
 自然に開かれた人垣の中を、浮き浮きとステップをふむようにして、室の中央に進みでる一人の婦人。
まっ黒なイブニング・ドレスに、まっ黒な帽子、まっ黒な手袋、まっ黒な靴下、まっ黒な靴、黒ずくめの中に、かがやくばかりの美貌が、ドキドキと上気して、赤いばらのように咲きほこっている。
「諸君、御機嫌よう。僕はもう酔っぱらってるんです。しかし、飲みましょう。そして、踊りましょう」
 美しい婦人は、右手をヒラヒラと頭上に打ち振りながら、可愛らしい巻舌で叫んだ。
「飲みましょう。そして、踊りましょう。ダーク・エンジェルばんざい!」
「オーイ、ボーイさん、シャンパンだ、シャンパンだ」
 やがて、ポン、ポンと花やかな小銃が鳴りひびいて、コルクの弾丸が五色の風船玉をぬって昇天した。そこにも、ここにも、カチカチとグラスのふれる音、そして、またしても、
「ブラボー、ダーク・エンジェル!」
 の合唱だ。
 暗黒街の女王のこの人気は、一体どこからわいて出たのか。たとえ彼女の素性は少しもわからなくても、その美貌、
そのズバぬけたふるまい、底知れぬ贅沢ぜいたく、おびただしい宝石の装身具、それらのどの一つを取っても、女王の資格は十分すぎるほどであったが、
彼女はさらにもっともっとすばらしい魅力をそなえていた。
彼女は大胆不敵なエキジビショニストであったのだ。
「黒天使、いつもの宝石踊りを所望します!」
 だれかが口を切ると、ワーッというドヨメキ、そして一せいの拍手。
 片隅のバンドが音楽を始めた。わいせつなサキソフォンが、異様に人々の耳をくすぐった。
 人々の円陣の中央には、もう宝石踊りが始まっていた。黒天使は今や白天使と変じた。彼女の美しく上気した全肉体をおおうものは、
二筋の大粒な首飾りと、見事な翡翠ひすいの耳飾りと、無数のダイヤモンドをちりばめた左右の腕環と、三箇の指環のほかには、一本の糸、一枚の布切れさえもなかった。
 彼女は今、チカチカと光りかがやく、桃色の一肉塊にすぎなかった。それが肩をゆすり、足をあげて、エジプト宮廷の、なまめかしき舞踊を、たくみにも踊りつづけているのだ。
「オイ、見ろ、黒トカゲが這はい始めたぜ。なんてすばらしいんだろ」
「ウン、ほんとうに、あの小さな虫が、生きて動きだすんだからね」
 意気なタキシードの青年がささやき交わした。
 美しい女の左の腕に、一匹の真黒に見えるトカゲが這っていた。
それが彼女の腕のゆらぎにつれて、吸盤のある足をヨタヨタと動かして、這い出したように見えるのだ。今にもそれが、肩から頸くび、頸から顎あご、
そして彼女の真赤なヌメヌメとした、唇までも、這いあがって行きそうに見えながら、いつまでも同じ腕にうごめいている。
真にせまった一匹のトカゲの入墨いれずみであった。
 さすがにこの恥知らずの舞踊は四、五分しかつづかなかったが、それが終ると、
感激した酔いどれ紳士たちが、ドッと押し寄せて、何か口々に激情の叫びをあげながら、いきなり裸美人らびじんを胴上げにして、お御輿みこしのかけ声勇ましく、室内をグルグルと廻り歩

127 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 01:52:39.76 ID:yI2wCnUw
 この国でも一夜に数千羽の七面鳥がしめられるという、あるクリスマス・イヴの出来事だ。
 帝都最大の殷賑いんしん地帯、ネオン・ライトの闇夜の虹が、幾万の通行者を五色にそめるG街、その表通りを一歩裏へ入ると、そこにこの都の暗黒街が横たわっている。
 G街の方は、午後十一時ともなれば、夜の人種にとってはまことにあっけなく、しかし帝都の代表街にふさわしい行儀よさで、
ほとんど人通りがとだえてしまうのだが、それと引き違いに、背中合わせの暗黒街がにぎわい始め、午前二時三時頃までも、
男女のあくなき享楽児どもが、窓をとざした建物の薄くらがりの中に、ウヨウヨとうごめきつづける。
 今もいうあるクリスマス・イヴの午前一時頃、その暗黒街のとある巨大な建物、外部から見たのではまるで空家のようなまっ暗な建物の中に、
けたはずれな、狂気めいた大夜会が、今、最高潮に達していた。
 ナイトクラブの広々としたフロアに、数十人の男女が、或る者は盃をあげてブラボーを叫び、或る者はだんだら染めのの尖とんがり帽子を横っちょにして踊りくるい、
或る者はにげまどう小女をゴリラの恰好かっこうで追いまわし、或る者は泣きわめき、或る者は怒りくるっている上を、
五色の粉紙が雪と舞い、五色のテープが滝と落ち、数知れぬ青赤の風船玉が、むせかえる煙草たばこのけむりの雲の中を、とまどいをしてみだれ飛んでいた。
「やあ、ダーク・エンジェルだ。ダーク・エンジェルだ」
「黒天使の御入来だぞ」
「ブラボー、女王様ばんざい!」
 口々にわめく酔いどれの声々が混乱して、たちまち急霰きゅうさんの拍手が起こった。
 自然に開かれた人垣の中を、浮き浮きとステップをふむようにして、室の中央に進みでる一人の婦人。
まっ黒なイブニング・ドレスに、まっ黒な帽子、まっ黒な手袋、まっ黒な靴下、まっ黒な靴、黒ずくめの中に、かがやくばかりの美貌が、ドキドキと上気して、赤いばらのように咲きほこっている。
「諸君、御機嫌よう。僕はもう酔っぱらってるんです。しかし、飲みましょう。そして、踊りましょう」
 美しい婦人は、右手をヒラヒラと頭上に打ち振りながら、可愛らしい巻舌で叫んだ。
「飲みましょう。そして、踊りましょう。ダーク・エンジェルばんざい!」
「オーイ、ボーイさん、シャンパンだ、シャンパンだ」
 やがて、ポン、ポンと花やかな小銃が鳴りひびいて、コルクの弾丸が五色の風船玉をぬって昇天した。そこにも、ここにも、カチカチとグラスのふれる音、そして、またしても、
「ブラボー、ダーク・エンジェル!」
 の合唱だ。
 暗黒街の女王のこの人気は、一体どこからわいて出たのか。たとえ彼女の素性は少しもわからなくても、その美貌、
そのズバぬけたふるまい、底知れぬ贅沢ぜいたく、おびただしい宝石の装身具、それらのどの一つを取っても、女王の資格は十分すぎるほどであったが、
彼女はさらにもっともっとすばらしい魅力をそなえていた。
彼女は大胆不敵なエキジビショニストであったのだ。
「黒天使、いつもの宝石踊りを所望します!」
 だれかが口を切ると、ワーッというドヨメキ、そして一せいの拍手。
 片隅のバンドが音楽を始めた。わいせつなサキソフォンが、異様に人々の耳をくすぐった。
 人々の円陣の中央には、もう宝石踊りが始まっていた。黒天使は今や白天使と変じた。彼女の美しく上気した全肉体をおおうものは、
二筋の大粒な首飾りと、見事な翡翠ひすいの耳飾りと、無数のダイヤモンドをちりばめた左右の腕環と、三箇の指環のほかには、一本の糸、一枚の布切れさえもなかった。
 彼女は今、チカチカと光りかがやく、桃色の一肉塊にすぎなかった。それが肩をゆすり、足をあげて、エジプト宮廷の、なまめかしき舞踊を、たくみにも踊りつづけているのだ。
「オイ、見ろ、黒トカゲが這はい始めたぜ。なんてすばらしいんだろ」
「ウン、ほんとうに、あの小さな虫が、生きて動きだすんだからね」
 意気なタキシードの青年がささやき交わした。
 美しい女の左の腕に、一匹の真黒に見えるトカゲが這っていた。
それが彼女の腕のゆらぎにつれて、吸盤のある足をヨタヨタと動かして、這い出したように見えるのだ。今にもそれが、肩から頸くび、頸から顎あご、
そして彼女の真赤なヌメヌメとした、唇までも、這いあがって行きそうに見えながら、いつまでも同じ腕にうごめいている。
真にせまった一匹のトカゲの入墨いれずみであった。
 さすがにこの恥知らずの舞踊は四、五分しかつづかなかったが、それが終ると、
感激した酔いどれ紳士たちが、ドッと押し寄せて、何か口々に激情の叫びをあげながら、いきなり裸美人らびじんを胴上げにして、お御輿みこしのかけ声勇ましく、室内をグルグルと廻り歩

128 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 01:54:00.60 ID:yI2wCnUw
 この国でも一夜に数千羽の七面鳥がしめられるという、あるクリスマス・イヴの出来事だ。
 帝都最大の殷賑いんしん地帯、ネオン・ライトの闇夜の虹が、幾万の通行者を五色にそめるG街、その表通りを一歩裏へ入ると、そこにこの都の暗黒街が横たわっている。
 G街の方は、午後十一時ともなれば、夜の人種にとってはまことにあっけなく、しかし帝都の代表街にふさわしい行儀よさで、
ほとんど人通りがとだえてしまうのだが、それと引き違いに、背中合わせの暗黒街がにぎわい始め、午前二時三時頃までも、
男女のあくなき享楽児どもが、窓をとざした建物の薄くらがりの中に、ウヨウヨとうごめきつづける。
 今もいうあるクリスマス・イヴの午前一時頃、その暗黒街のとある巨大な建物、外部から見たのではまるで空家のようなまっ暗な建物の中に、
けたはずれな、狂気めいた大夜会が、今、最高潮に達していた。
 ナイトクラブの広々としたフロアに、数十人の男女が、或る者は盃をあげてブラボーを叫び、或る者はだんだら染めのの尖とんがり帽子を横っちょにして踊りくるい、
或る者はにげまどう小女をゴリラの恰好かっこうで追いまわし、或る者は泣きわめき、或る者は怒りくるっている上を、
五色の粉紙が雪と舞い、五色のテープが滝と落ち、数知れぬ青赤の風船玉が、むせかえる煙草たばこのけむりの雲の中を、とまどいをしてみだれ飛んでいた。
「やあ、ダーク・エンジェルだ。ダーク・エンジェルだ」
「黒天使の御入来だぞ」
「ブラボー、女王様ばんざい!」
 口々にわめく酔いどれの声々が混乱して、たちまち急霰きゅうさんの拍手が起こった。
 自然に開かれた人垣の中を、浮き浮きとステップをふむようにして、室の中央に進みでる一人の婦人。
まっ黒なイブニング・ドレスに、まっ黒な帽子、まっ黒な手袋、まっ黒な靴下、まっ黒な靴、黒ずくめの中に、かがやくばかりの美貌が、ドキドキと上気して、赤いばらのように咲きほこっている。
「諸君、御機嫌よう。僕はもう酔っぱらってるんです。しかし、飲みましょう。そして、踊りましょう」
 美しい婦人は、右手をヒラヒラと頭上に打ち振りながら、可愛らしい巻舌で叫んだ。
「飲みましょう。そして、踊りましょう。ダーク・エンジェルばんざい!」
「オーイ、ボーイさん、シャンパンだ、シャンパンだ」
 やがて、ポン、ポンと花やかな小銃が鳴りひびいて、コルクの弾丸が五色の風船玉をぬって昇天した。そこにも、ここにも、カチカチとグラスのふれる音、そして、またしても、
「ブラボー、ダーク・エンジェル!」
 の合唱だ。
 暗黒街の女王のこの人気は、一体どこからわいて出たのか。たとえ彼女の素性は少しもわからなくても、その美貌、
そのズバぬけたふるまい、底知れぬ贅沢ぜいたく、おびただしい宝石の装身具、それらのどの一つを取っても、女王の資格は十分すぎるほどであったが、
彼女はさらにもっともっとすばらしい魅力をそなえていた。
彼女は大胆不敵なエキジビショニストであったのだ。
「黒天使、いつもの宝石踊りを所望します!」
 だれかが口を切ると、ワーッというドヨメキ、そして一せいの拍手。
 片隅のバンドが音楽を始めた。わいせつなサキソフォンが、異様に人々の耳をくすぐった。
 人々の円陣の中央には、もう宝石踊りが始まっていた。黒天使は今や白天使と変じた。彼女の美しく上気した全肉体をおおうものは、
二筋の大粒な首飾りと、見事な翡翠ひすいの耳飾りと、無数のダイヤモンドをちりばめた左右の腕環と、三箇の指環のほかには、一本の糸、一枚の布切れさえもなかった。
 彼女は今、チカチカと光りかがやく、桃色の一肉塊にすぎなかった。それが肩をゆすり、足をあげて、エジプト宮廷の、なまめかしき舞踊を、たくみにも踊りつづけているのだ。
「オイ、見ろ、黒トカゲが這はい始めたぜ。なんてすばらしいんだろ」
「ウン、ほんとうに、あの小さな虫が、生きて動きだすんだからね」
 意気なタキシードの青年がささやき交わした。
 美しい女の左の腕に、一匹の真黒に見えるトカゲが這っていた。
それが彼女の腕のゆらぎにつれて、吸盤のある足をヨタヨタと動かして、這い出したように見えるのだ。今にもそれが、肩から頸くび、頸から顎あご、
そして彼女の真赤なヌメヌメとした、唇までも、這いあがって行きそうに見えながら、いつまでも同じ腕にうごめいている。
真にせまった一匹のトカゲの入墨いれずみであった。
 さすがにこの恥知らずの舞踊は四、五分しかつづかなかったが、それが終ると、
感激した酔いどれ紳士たちが、ドッと押し寄せて、何か口々に激情の叫びをあげながら、いきなり裸美人らびじんを胴上げにして、お御輿みこしのかけ声勇ましく、室内をグルグルと廻り歩

129 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 01:54:19.84 ID:yI2wCnUw
 この国でも一夜に数千羽の七面鳥がしめられるという、あるクリスマス・イヴの出来事だ。
 帝都最大の殷賑いんしん地帯、ネオン・ライトの闇夜の虹が、幾万の通行者を五色にそめるG街、その表通りを一歩裏へ入ると、そこにこの都の暗黒街が横たわっている。
 G街の方は、午後十一時ともなれば、夜の人種にとってはまことにあっけなく、しかし帝都の代表街にふさわしい行儀よさで、
ほとんど人通りがとだえてしまうのだが、それと引き違いに、背中合わせの暗黒街がにぎわい始め、午前二時三時頃までも、
男女のあくなき享楽児どもが、窓をとざした建物の薄くらがりの中に、ウヨウヨとうごめきつづける。
 今もいうあるクリスマス・イヴの午前一時頃、その暗黒街のとある巨大な建物、外部から見たのではまるで空家のようなまっ暗な建物の中に、
けたはずれな、狂気めいた大夜会が、今、最高潮に達していた。
 ナイトクラブの広々としたフロアに、数十人の男女が、或る者は盃をあげてブラボーを叫び、或る者はだんだら染めのの尖とんがり帽子を横っちょにして踊りくるい、
或る者はにげまどう小女をゴリラの恰好かっこうで追いまわし、或る者は泣きわめき、或る者は怒りくるっている上を、
五色の粉紙が雪と舞い、五色のテープが滝と落ち、数知れぬ青赤の風船玉が、むせかえる煙草たばこのけむりの雲の中を、とまどいをしてみだれ飛んでいた。
「やあ、ダーク・エンジェルだ。ダーク・エンジェルだ」
「黒天使の御入来だぞ」
「ブラボー、女王様ばんざい!」
 口々にわめく酔いどれの声々が混乱して、たちまち急霰きゅうさんの拍手が起こった。
 自然に開かれた人垣の中を、浮き浮きとステップをふむようにして、室の中央に進みでる一人の婦人。
まっ黒なイブニング・ドレスに、まっ黒な帽子、まっ黒な手袋、まっ黒な靴下、まっ黒な靴、黒ずくめの中に、かがやくばかりの美貌が、ドキドキと上気して、赤いばらのように咲きほこっている。
「諸君、御機嫌よう。僕はもう酔っぱらってるんです。しかし、飲みましょう。そして、踊りましょう」
 美しい婦人は、右手をヒラヒラと頭上に打ち振りながら、可愛らしい巻舌で叫んだ。
「飲みましょう。そして、踊りましょう。ダーク・エンジェルばんざい!」
「オーイ、ボーイさん、シャンパンだ、シャンパンだ」
 やがて、ポン、ポンと花やかな小銃が鳴りひびいて、コルクの弾丸が五色の風船玉をぬって昇天した。そこにも、ここにも、カチカチとグラスのふれる音、そして、またしても、
「ブラボー、ダーク・エンジェル!」
 の合唱だ。
 暗黒街の女王のこの人気は、一体どこからわいて出たのか。たとえ彼女の素性は少しもわからなくても、その美貌、
そのズバぬけたふるまい、底知れぬ贅沢ぜいたく、おびただしい宝石の装身具、それらのどの一つを取っても、女王の資格は十分すぎるほどであったが、
彼女はさらにもっともっとすばらしい魅力をそなえていた。
彼女は大胆不敵なエキジビショニストであったのだ。
「黒天使、いつもの宝石踊りを所望します!」
 だれかが口を切ると、ワーッというドヨメキ、そして一せいの拍手。
 片隅のバンドが音楽を始めた。わいせつなサキソフォンが、異様に人々の耳をくすぐった。
 人々の円陣の中央には、もう宝石踊りが始まっていた。黒天使は今や白天使と変じた。彼女の美しく上気した全肉体をおおうものは、
二筋の大粒な首飾りと、見事な翡翠ひすいの耳飾りと、無数のダイヤモンドをちりばめた左右の腕環と、三箇の指環のほかには、一本の糸、一枚の布切れさえもなかった。
 彼女は今、チカチカと光りかがやく、桃色の一肉塊にすぎなかった。それが肩をゆすり、足をあげて、エジプト宮廷の、なまめかしき舞踊を、たくみにも踊りつづけているのだ。
「オイ、見ろ、黒トカゲが這はい始めたぜ。なんてすばらしいんだろ」
「ウン、ほんとうに、あの小さな虫が、生きて動きだすんだからね」
 意気なタキシードの青年がささやき交わした。
 美しい女の左の腕に、一匹の真黒に見えるトカゲが這っていた。
それが彼女の腕のゆらぎにつれて、吸盤のある足をヨタヨタと動かして、這い出したように見えるのだ。今にもそれが、肩から頸くび、頸から顎あご、
そして彼女の真赤なヌメヌメとした、唇までも、這いあがって行きそうに見えながら、いつまでも同じ腕にうごめいている。
真にせまった一匹のトカゲの入墨いれずみであった。
 さすがにこの恥知らずの舞踊は四、五分しかつづかなかったが、それが終ると、
感激した酔いどれ紳士たちが、ドッと押し寄せて、何か口々に激情の叫びをあげながら、いきなり裸美人らびじんを胴上げにして、お御輿みこしのかけ声勇ましく、室内をグルグルと廻り歩

130 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 01:54:49.55 ID:yI2wCnUw
 この国でも一夜に数千羽の七面鳥がしめられるという、あるクリスマス・イヴの出来事だ。
 帝都最大の殷賑いんしん地帯、ネオン・ライトの闇夜の虹が、幾万の通行者を五色にそめるG街、その表通りを一歩裏へ入ると、そこにこの都の暗黒街が横たわっている。
 G街の方は、午後十一時ともなれば、夜の人種にとってはまことにあっけなく、しかし帝都の代表街にふさわしい行儀よさで、
ほとんど人通りがとだえてしまうのだが、それと引き違いに、背中合わせの暗黒街がにぎわい始め、午前二時三時頃までも、
男女のあくなき享楽児どもが、窓をとざした建物の薄くらがりの中に、ウヨウヨとうごめきつづける。
 今もいうあるクリスマス・イヴの午前一時頃、その暗黒街のとある巨大な建物、外部から見たのではまるで空家のようなまっ暗な建物の中に、
けたはずれな、狂気めいた大夜会が、今、最高潮に達していた。
 ナイトクラブの広々としたフロアに、数十人の男女が、或る者は盃をあげてブラボーを叫び、或る者はだんだら染めのの尖とんがり帽子を横っちょにして踊りくるい、
或る者はにげまどう小女をゴリラの恰好かっこうで追いまわし、或る者は泣きわめき、或る者は怒りくるっている上を、
五色の粉紙が雪と舞い、五色のテープが滝と落ち、数知れぬ青赤の風船玉が、むせかえる煙草たばこのけむりの雲の中を、とまどいをしてみだれ飛んでいた。
「やあ、ダーク・エンジェルだ。ダーク・エンジェルだ」
「黒天使の御入来だぞ」
「ブラボー、女王様ばんざい!」
 口々にわめく酔いどれの声々が混乱して、たちまち急霰きゅうさんの拍手が起こった。
 自然に開かれた人垣の中を、浮き浮きとステップをふむようにして、室の中央に進みでる一人の婦人。
まっ黒なイブニング・ドレスに、まっ黒な帽子、まっ黒な手袋、まっ黒な靴下、まっ黒な靴、黒ずくめの中に、かがやくばかりの美貌が、ドキドキと上気して、赤いばらのように咲きほこっている。
「諸君、御機嫌よう。僕はもう酔っぱらってるんです。しかし、飲みましょう。そして、踊りましょう」
 美しい婦人は、右手をヒラヒラと頭上に打ち振りながら、可愛らしい巻舌で叫んだ。
「飲みましょう。そして、踊りましょう。ダーク・エンジェルばんざい!」
「オーイ、ボーイさん、シャンパンだ、シャンパンだ」
 やがて、ポン、ポンと花やかな小銃が鳴りひびいて、コルクの弾丸が五色の風船玉をぬって昇天した。そこにも、ここにも、カチカチとグラスのふれる音、そして、またしても、
「ブラボー、ダーク・エンジェル!」
 の合唱だ。
 暗黒街の女王のこの人気は、一体どこからわいて出たのか。たとえ彼女の素性は少しもわからなくても、その美貌、
そのズバぬけたふるまい、底知れぬ贅沢ぜいたく、おびただしい宝石の装身具、それらのどの一つを取っても、女王の資格は十分すぎるほどであったが、
彼女はさらにもっともっとすばらしい魅力をそなえていた。
彼女は大胆不敵なエキジビショニストであったのだ。
「黒天使、いつもの宝石踊りを所望します!」
 だれかが口を切ると、ワーッというドヨメキ、そして一せいの拍手。
 片隅のバンドが音楽を始めた。わいせつなサキソフォンが、異様に人々の耳をくすぐった。
 人々の円陣の中央には、もう宝石踊りが始まっていた。黒天使は今や白天使と変じた。彼女の美しく上気した全肉体をおおうものは、
二筋の大粒な首飾りと、見事な翡翠ひすいの耳飾りと、無数のダイヤモンドをちりばめた左右の腕環と、三箇の指環のほかには、一本の糸、一枚の布切れさえもなかった。
 彼女は今、チカチカと光りかがやく、桃色の一肉塊にすぎなかった。それが肩をゆすり、足をあげて、エジプト宮廷の、なまめかしき舞踊を、たくみにも踊りつづけているのだ。
「オイ、見ろ、黒トカゲが這はい始めたぜ。なんてすばらしいんだろ」
「ウン、ほんとうに、あの小さな虫が、生きて動きだすんだからね」
 意気なタキシードの青年がささやき交わした。
 美しい女の左の腕に、一匹の真黒に見えるトカゲが這っていた。
それが彼女の腕のゆらぎにつれて、吸盤のある足をヨタヨタと動かして、這い出したように見えるのだ。今にもそれが、肩から頸くび、頸から顎あご、
そして彼女の真赤なヌメヌメとした、唇までも、這いあがって行きそうに見えながら、いつまでも同じ腕にうごめいている。
真にせまった一匹のトカゲの入墨いれずみであった。
 さすがにこの恥知らずの舞踊は四、五分しかつづかなかったが、それが終ると、
感激した酔いどれ紳士たちが、ドッと押し寄せて、何か口々に激情の叫びをあげながら、いきなり裸美人らびじんを胴上げにして、お御輿みこしのかけ声勇ましく、室内をグルグルと廻り歩

131 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 01:55:23.17 ID:yI2wCnUw
 この国でも一夜に数千羽の七面鳥がしめられるという、あるクリスマス・イヴの出来事だ。
 帝都最大の殷賑いんしん地帯、ネオン・ライトの闇夜の虹が、幾万の通行者を五色にそめるG街、その表通りを一歩裏へ入ると、そこにこの都の暗黒街が横たわっている。
 G街の方は、午後十一時ともなれば、夜の人種にとってはまことにあっけなく、しかし帝都の代表街にふさわしい行儀よさで、
ほとんど人通りがとだえてしまうのだが、それと引き違いに、背中合わせの暗黒街がにぎわい始め、午前二時三時頃までも、
男女のあくなき享楽児どもが、窓をとざした建物の薄くらがりの中に、ウヨウヨとうごめきつづける。
 今もいうあるクリスマス・イヴの午前一時頃、その暗黒街のとある巨大な建物、外部から見たのではまるで空家のようなまっ暗な建物の中に、
けたはずれな、狂気めいた大夜会が、今、最高潮に達していた。
 ナイトクラブの広々としたフロアに、数十人の男女が、或る者は盃をあげてブラボーを叫び、或る者はだんだら染めのの尖とんがり帽子を横っちょにして踊りくるい、
或る者はにげまどう小女をゴリラの恰好かっこうで追いまわし、或る者は泣きわめき、或る者は怒りくるっている上を、
五色の粉紙が雪と舞い、五色のテープが滝と落ち、数知れぬ青赤の風船玉が、むせかえる煙草たばこのけむりの雲の中を、とまどいをしてみだれ飛んでいた。
「やあ、ダーク・エンジェルだ。ダーク・エンジェルだ」
「黒天使の御入来だぞ」
「ブラボー、女王様ばんざい!」
 口々にわめく酔いどれの声々が混乱して、たちまち急霰きゅうさんの拍手が起こった。
 自然に開かれた人垣の中を、浮き浮きとステップをふむようにして、室の中央に進みでる一人の婦人。
まっ黒なイブニング・ドレスに、まっ黒な帽子、まっ黒な手袋、まっ黒な靴下、まっ黒な靴、黒ずくめの中に、かがやくばかりの美貌が、ドキドキと上気して、赤いばらのように咲きほこっている。
「諸君、御機嫌よう。僕はもう酔っぱらってるんです。しかし、飲みましょう。そして、踊りましょう」
 美しい婦人は、右手をヒラヒラと頭上に打ち振りながら、可愛らしい巻舌で叫んだ。
「飲みましょう。そして、踊りましょう。ダーク・エンジェルばんざい!」
「オーイ、ボーイさん、シャンパンだ、シャンパンだ」
 やがて、ポン、ポンと花やかな小銃が鳴りひびいて、コルクの弾丸が五色の風船玉をぬって昇天した。そこにも、ここにも、カチカチとグラスのふれる音、そして、またしても、
「ブラボー、ダーク・エンジェル!」
 の合唱だ。
 暗黒街の女王のこの人気は、一体どこからわいて出たのか。たとえ彼女の素性は少しもわからなくても、その美貌、
そのズバぬけたふるまい、底知れぬ贅沢ぜいたく、おびただしい宝石の装身具、それらのどの一つを取っても、女王の資格は十分すぎるほどであったが、
彼女はさらにもっともっとすばらしい魅力をそなえていた。
彼女は大胆不敵なエキジビショニストであったのだ。
「黒天使、いつもの宝石踊りを所望します!」
 だれかが口を切ると、ワーッというドヨメキ、そして一せいの拍手。
 片隅のバンドが音楽を始めた。わいせつなサキソフォンが、異様に人々の耳をくすぐった。
 人々の円陣の中央には、もう宝石踊りが始まっていた。黒天使は今や白天使と変じた。彼女の美しく上気した全肉体をおおうものは、
二筋の大粒な首飾りと、見事な翡翠ひすいの耳飾りと、無数のダイヤモンドをちりばめた左右の腕環と、三箇の指環のほかには、一本の糸、一枚の布切れさえもなかった。
 彼女は今、チカチカと光りかがやく、桃色の一肉塊にすぎなかった。それが肩をゆすり、足をあげて、エジプト宮廷の、なまめかしき舞踊を、たくみにも踊りつづけているのだ。
「オイ、見ろ、黒トカゲが這はい始めたぜ。なんてすばらしいんだろ」
「ウン、ほんとうに、あの小さな虫が、生きて動きだすんだからね」
 意気なタキシードの青年がささやき交わした。
 美しい女の左の腕に、一匹の真黒に見えるトカゲが這っていた。
それが彼女の腕のゆらぎにつれて、吸盤のある足をヨタヨタと動かして、這い出したように見えるのだ。今にもそれが、肩から頸くび、頸から顎あご、
そして彼女の真赤なヌメヌメとした、唇までも、這いあがって行きそうに見えながら、いつまでも同じ腕にうごめいている。
真にせまった一匹のトカゲの入墨いれずみであった。
 さすがにこの恥知らずの舞踊は四、五分しかつづかなかったが、それが終ると、
感激した酔いどれ紳士たちが、ドッと押し寄せて、何か口々に激情の叫びをあげながら、いきなり裸美人らびじんを胴上げにして、お御輿みこしのかけ声勇ましく、室内をグルグルと廻り歩

132 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 01:56:19.40 ID:yI2wCnUw
 この国でも一夜に数千羽の七面鳥がしめられるという、あるクリスマス・イヴの出来事だ。
 帝都最大の殷賑いんしん地帯、ネオン・ライトの闇夜の虹が、幾万の通行者を五色にそめるG街、その表通りを一歩裏へ入ると、そこにこの都の暗黒街が横たわっている。
 G街の方は、午後十一時ともなれば、夜の人種にとってはまことにあっけなく、しかし帝都の代表街にふさわしい行儀よさで、
ほとんど人通りがとだえてしまうのだが、それと引き違いに、背中合わせの暗黒街がにぎわい始め、午前二時三時頃までも、
男女のあくなき享楽児どもが、窓をとざした建物の薄くらがりの中に、ウヨウヨとうごめきつづける。
 今もいうあるクリスマス・イヴの午前一時頃、その暗黒街のとある巨大な建物、外部から見たのではまるで空家のようなまっ暗な建物の中に、
けたはずれな、狂気めいた大夜会が、今、最高潮に達していた。
 ナイトクラブの広々としたフロアに、数十人の男女が、或る者は盃をあげてブラボーを叫び、或る者はだんだら染めのの尖とんがり帽子を横っちょにして踊りくるい、
或る者はにげまどう小女をゴリラの恰好かっこうで追いまわし、或る者は泣きわめき、或る者は怒りくるっている上を、
五色の粉紙が雪と舞い、五色のテープが滝と落ち、数知れぬ青赤の風船玉が、むせかえる煙草たばこのけむりの雲の中を、とまどいをしてみだれ飛んでいた。
「やあ、ダーク・エンジェルだ。ダーク・エンジェルだ」
「黒天使の御入来だぞ」
「ブラボー、女王様ばんざい!」
 口々にわめく酔いどれの声々が混乱して、たちまち急霰きゅうさんの拍手が起こった。
 自然に開かれた人垣の中を、浮き浮きとステップをふむようにして、室の中央に進みでる一人の婦人。
まっ黒なイブニング・ドレスに、まっ黒な帽子、まっ黒な手袋、まっ黒な靴下、まっ黒な靴、黒ずくめの中に、かがやくばかりの美貌が、ドキドキと上気して、赤いばらのように咲きほこっている。
「諸君、御機嫌よう。僕はもう酔っぱらってるんです。しかし、飲みましょう。そして、踊りましょう」
 美しい婦人は、右手をヒラヒラと頭上に打ち振りながら、可愛らしい巻舌で叫んだ。
「飲みましょう。そして、踊りましょう。ダーク・エンジェルばんざい!」
「オーイ、ボーイさん、シャンパンだ、シャンパンだ」
 やがて、ポン、ポンと花やかな小銃が鳴りひびいて、コルクの弾丸が五色の風船玉をぬって昇天した。そこにも、ここにも、カチカチとグラスのふれる音、そして、またしても、
「ブラボー、ダーク・エンジェル!」
 の合唱だ。
 暗黒街の女王のこの人気は、一体どこからわいて出たのか。たとえ彼女の素性は少しもわからなくても、その美貌、
そのズバぬけたふるまい、底知れぬ贅沢ぜいたく、おびただしい宝石の装身具、それらのどの一つを取っても、女王の資格は十分すぎるほどであったが、
彼女はさらにもっともっとすばらしい魅力をそなえていた。
彼女は大胆不敵なエキジビショニストであったのだ。
「黒天使、いつもの宝石踊りを所望します!」
 だれかが口を切ると、ワーッというドヨメキ、そして一せいの拍手。
 片隅のバンドが音楽を始めた。わいせつなサキソフォンが、異様に人々の耳をくすぐった。
 人々の円陣の中央には、もう宝石踊りが始まっていた。黒天使は今や白天使と変じた。彼女の美しく上気した全肉体をおおうものは、
二筋の大粒な首飾りと、見事な翡翠ひすいの耳飾りと、無数のダイヤモンドをちりばめた左右の腕環と、三箇の指環のほかには、一本の糸、一枚の布切れさえもなかった。
 彼女は今、チカチカと光りかがやく、桃色の一肉塊にすぎなかった。それが肩をゆすり、足をあげて、エジプト宮廷の、なまめかしき舞踊を、たくみにも踊りつづけているのだ。
「オイ、見ろ、黒トカゲが這はい始めたぜ。なんてすばらしいんだろ」
「ウン、ほんとうに、あの小さな虫が、生きて動きだすんだからね」
 意気なタキシードの青年がささやき交わした。
 美しい女の左の腕に、一匹の真黒に見えるトカゲが這っていた。
それが彼女の腕のゆらぎにつれて、吸盤のある足をヨタヨタと動かして、這い出したように見えるのだ。今にもそれが、肩から頸くび、頸から顎あご、
そして彼女の真赤なヌメヌメとした、唇までも、這いあがって行きそうに見えながら、いつまでも同じ腕にうごめいている。
真にせまった一匹のトカゲの入墨いれずみであった。
 さすがにこの恥知らずの舞踊は四、五分しかつづかなかったが、それが終ると、
感激した酔いどれ紳士たちが、ドッと押し寄せて、何か口々に激情の叫びをあげながら、いきなり裸美人らびじんを胴上げにして、お御輿みこしのかけ声勇ましく、室内をグルグルと廻り歩

133 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 01:57:17.81 ID:yI2wCnUw
 この国でも一夜に数千羽の七面鳥がしめられるという、あるクリスマス・イヴの出来事だ。
 帝都最大の殷賑いんしん地帯、ネオン・ライトの闇夜の虹が、幾万の通行者を五色にそめるG街、その表通りを一歩裏へ入ると、そこにこの都の暗黒街が横たわっている。
 G街の方は、午後十一時ともなれば、夜の人種にとってはまことにあっけなく、しかし帝都の代表街にふさわしい行儀よさで、
ほとんど人通りがとだえてしまうのだが、それと引き違いに、背中合わせの暗黒街がにぎわい始め、午前二時三時頃までも、
男女のあくなき享楽児どもが、窓をとざした建物の薄くらがりの中に、ウヨウヨとうごめきつづける。
 今もいうあるクリスマス・イヴの午前一時頃、その暗黒街のとある巨大な建物、外部から見たのではまるで空家のようなまっ暗な建物の中に、
けたはずれな、狂気めいた大夜会が、今、最高潮に達していた。
 ナイトクラブの広々としたフロアに、数十人の男女が、或る者は盃をあげてブラボーを叫び、或る者はだんだら染めのの尖とんがり帽子を横っちょにして踊りくるい、
或る者はにげまどう小女をゴリラの恰好かっこうで追いまわし、或る者は泣きわめき、或る者は怒りくるっている上を、
五色の粉紙が雪と舞い、五色のテープが滝と落ち、数知れぬ青赤の風船玉が、むせかえる煙草たばこのけむりの雲の中を、とまどいをしてみだれ飛んでいた。
「やあ、ダーク・エンジェルだ。ダーク・エンジェルだ」
「黒天使の御入来だぞ」
「ブラボー、女王様ばんざい!」
 口々にわめく酔いどれの声々が混乱して、たちまち急霰きゅうさんの拍手が起こった。
 自然に開かれた人垣の中を、浮き浮きとステップをふむようにして、室の中央に進みでる一人の婦人。
まっ黒なイブニング・ドレスに、まっ黒な帽子、まっ黒な手袋、まっ黒な靴下、まっ黒な靴、黒ずくめの中に、かがやくばかりの美貌が、ドキドキと上気して、赤いばらのように咲きほこっている。
「諸君、御機嫌よう。僕はもう酔っぱらってるんです。しかし、飲みましょう。そして、踊りましょう」
 美しい婦人は、右手をヒラヒラと頭上に打ち振りながら、可愛らしい巻舌で叫んだ。
「飲みましょう。そして、踊りましょう。ダーク・エンジェルばんざい!」
「オーイ、ボーイさん、シャンパンだ、シャンパンだ」
 やがて、ポン、ポンと花やかな小銃が鳴りひびいて、コルクの弾丸が五色の風船玉をぬって昇天した。そこにも、ここにも、カチカチとグラスのふれる音、そして、またしても、
「ブラボー、ダーク・エンジェル!」
 の合唱だ。
 暗黒街の女王のこの人気は、一体どこからわいて出たのか。たとえ彼女の素性は少しもわからなくても、その美貌、
そのズバぬけたふるまい、底知れぬ贅沢ぜいたく、おびただしい宝石の装身具、それらのどの一つを取っても、女王の資格は十分すぎるほどであったが、
彼女はさらにもっともっとすばらしい魅力をそなえていた。
彼女は大胆不敵なエキジビショニストであったのだ。
「黒天使、いつもの宝石踊りを所望します!」
 だれかが口を切ると、ワーッというドヨメキ、そして一せいの拍手。
 片隅のバンドが音楽を始めた。わいせつなサキソフォンが、異様に人々の耳をくすぐった。
 人々の円陣の中央には、もう宝石踊りが始まっていた。黒天使は今や白天使と変じた。彼女の美しく上気した全肉体をおおうものは、
二筋の大粒な首飾りと、見事な翡翠ひすいの耳飾りと、無数のダイヤモンドをちりばめた左右の腕環と、三箇の指環のほかには、一本の糸、一枚の布切れさえもなかった。
 彼女は今、チカチカと光りかがやく、桃色の一肉塊にすぎなかった。それが肩をゆすり、足をあげて、エジプト宮廷の、なまめかしき舞踊を、たくみにも踊りつづけているのだ。
「オイ、見ろ、黒トカゲが這はい始めたぜ。なんてすばらしいんだろ」
「ウン、ほんとうに、あの小さな虫が、生きて動きだすんだからね」
 意気なタキシードの青年がささやき交わした。
 美しい女の左の腕に、一匹の真黒に見えるトカゲが這っていた。
それが彼女の腕のゆらぎにつれて、吸盤のある足をヨタヨタと動かして、這い出したように見えるのだ。今にもそれが、肩から頸くび、頸から顎あご、
そして彼女の真赤なヌメヌメとした、唇までも、這いあがって行きそうに見えながら、いつまでも同じ腕にうごめいている。
真にせまった一匹のトカゲの入墨いれずみであった。
 さすがにこの恥知らずの舞踊は四、五分しかつづかなかったが、それが終ると、
感激した酔いどれ紳士たちが、ドッと押し寄せて、何か口々に激情の叫びをあげながら、いきなり裸美人らびじんを胴上げにして、お御輿みこしのかけ声勇ましく、室内をグルグルと廻り歩

134 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 02:00:35.77 ID:Dvg/VymB
 この国でも一夜に数千羽の七面鳥がしめられるという、あるクリスマス・イヴの出来事だ。
 帝都最大の殷賑いんしん地帯、ネオン・ライトの闇夜の虹が、幾万の通行者を五色にそめるG街、その表通りを一歩裏へ入ると、そこにこの都の暗黒街が横たわっている。
 G街の方は、午後十一時ともなれば、夜の人種にとってはまことにあっけなく、しかし帝都の代表街にふさわしい行儀よさで、
ほとんど人通りがとだえてしまうのだが、それと引き違いに、背中合わせの暗黒街がにぎわい始め、午前二時三時頃までも、
男女のあくなき享楽児どもが、窓をとざした建物の薄くらがりの中に、ウヨウヨとうごめきつづける。
 今もいうあるクリスマス・イヴの午前一時頃、その暗黒街のとある巨大な建物、外部から見たのではまるで空家のようなまっ暗な建物の中に、
けたはずれな、狂気めいた大夜会が、今、最高潮に達していた。
 ナイトクラブの広々としたフロアに、数十人の男女が、或る者は盃をあげてブラボーを叫び、或る者はだんだら染めのの尖とんがり帽子を横っちょにして踊りくるい、
或る者はにげまどう小女をゴリラの恰好かっこうで追いまわし、或る者は泣きわめき、或る者は怒りくるっている上を、
五色の粉紙が雪と舞い、五色のテープが滝と落ち、数知れぬ青赤の風船玉が、むせかえる煙草たばこのけむりの雲の中を、とまどいをしてみだれ飛んでいた。
「やあ、ダーク・エンジェルだ。ダーク・エンジェルだ」
「黒天使の御入来だぞ」
「ブラボー、女王様ばんざい!」
 口々にわめく酔いどれの声々が混乱して、たちまち急霰きゅうさんの拍手が起こった。
 自然に開かれた人垣の中を、浮き浮きとステップをふむようにして、室の中央に進みでる一人の婦人。
まっ黒なイブニング・ドレスに、まっ黒な帽子、まっ黒な手袋、まっ黒な靴下、まっ黒な靴、黒ずくめの中に、かがやくばかりの美貌が、ドキドキと上気して、赤いばらのように咲きほこっている。
「諸君、御機嫌よう。僕はもう酔っぱらってるんです。しかし、飲みましょう。そして、踊りましょう」
 美しい婦人は、右手をヒラヒラと頭上に打ち振りながら、可愛らしい巻舌で叫んだ。
「飲みましょう。そして、踊りましょう。ダーク・エンジェルばんざい!」
「オーイ、ボーイさん、シャンパンだ、シャンパンだ」
 やがて、ポン、ポンと花やかな小銃が鳴りひびいて、コルクの弾丸が五色の風船玉をぬって昇天した。そこにも、ここにも、カチカチとグラスのふれる音、そして、またしても、
「ブラボー、ダーク・エンジェル!」
 の合唱だ。
 暗黒街の女王のこの人気は、一体どこからわいて出たのか。たとえ彼女の素性は少しもわからなくても、その美貌、
そのズバぬけたふるまい、底知れぬ贅沢ぜいたく、おびただしい宝石の装身具、それらのどの一つを取っても、女王の資格は十分すぎるほどであったが、
彼女はさらにもっともっとすばらしい魅力をそなえていた。
彼女は大胆不敵なエキジビショニストであったのだ。
「黒天使、いつもの宝石踊りを所望します!」
 だれかが口を切ると、ワーッというドヨメキ、そして一せいの拍手。
 片隅のバンドが音楽を始めた。わいせつなサキソフォンが、異様に人々の耳をくすぐった。
 人々の円陣の中央には、もう宝石踊りが始まっていた。黒天使は今や白天使と変じた。彼女の美しく上気した全肉体をおおうものは、
二筋の大粒な首飾りと、見事な翡翠ひすいの耳飾りと、無数のダイヤモンドをちりばめた左右の腕環と、三箇の指環のほかには、一本の糸、一枚の布切れさえもなかった。
 彼女は今、チカチカと光りかがやく、桃色の一肉塊にすぎなかった。それが肩をゆすり、足をあげて、エジプト宮廷の、なまめかしき舞踊を、たくみにも踊りつづけているのだ。
「オイ、見ろ、黒トカゲが這はい始めたぜ。なんてすばらしいんだろ」
「ウン、ほんとうに、あの小さな虫が、生きて動きだすんだからね」
 意気なタキシードの青年がささやき交わした。
 美しい女の左の腕に、一匹の真黒に見えるトカゲが這っていた。
それが彼女の腕のゆらぎにつれて、吸盤のある足をヨタヨタと動かして、這い出したように見えるのだ。今にもそれが、肩から頸くび、頸から顎あご、
そして彼女の真赤なヌメヌメとした、唇までも、這いあがって行きそうに見えながら、いつまでも同じ腕にうごめいている。
真にせまった一匹のトカゲの入墨いれずみであった。
 さすがにこの恥知らずの舞踊は四、五分しかつづかなかったが、それが終ると、
感激した酔いどれ紳士たちが、ドッと押し寄せて、何か口々に激情の叫びをあげながら、いきなり裸美人らびじんを胴上げにして、お御輿みこしのかけ声勇ましく、室内をグルグルと廻り歩

135 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 02:01:05.02 ID:Dvg/VymB
 この国でも一夜に数千羽の七面鳥がしめられるという、あるクリスマス・イヴの出来事だ。
 帝都最大の殷賑いんしん地帯、ネオン・ライトの闇夜の虹が、幾万の通行者を五色にそめるG街、その表通りを一歩裏へ入ると、そこにこの都の暗黒街が横たわっている。
 G街の方は、午後十一時ともなれば、夜の人種にとってはまことにあっけなく、しかし帝都の代表街にふさわしい行儀よさで、
ほとんど人通りがとだえてしまうのだが、それと引き違いに、背中合わせの暗黒街がにぎわい始め、午前二時三時頃までも、
男女のあくなき享楽児どもが、窓をとざした建物の薄くらがりの中に、ウヨウヨとうごめきつづける。
 今もいうあるクリスマス・イヴの午前一時頃、その暗黒街のとある巨大な建物、外部から見たのではまるで空家のようなまっ暗な建物の中に、
けたはずれな、狂気めいた大夜会が、今、最高潮に達していた。
 ナイトクラブの広々としたフロアに、数十人の男女が、或る者は盃をあげてブラボーを叫び、或る者はだんだら染めのの尖とんがり帽子を横っちょにして踊りくるい、
或る者はにげまどう小女をゴリラの恰好かっこうで追いまわし、或る者は泣きわめき、或る者は怒りくるっている上を、
五色の粉紙が雪と舞い、五色のテープが滝と落ち、数知れぬ青赤の風船玉が、むせかえる煙草たばこのけむりの雲の中を、とまどいをしてみだれ飛んでいた。
「やあ、ダーク・エンジェルだ。ダーク・エンジェルだ」
「黒天使の御入来だぞ」
「ブラボー、女王様ばんざい!」
 口々にわめく酔いどれの声々が混乱して、たちまち急霰きゅうさんの拍手が起こった。
 自然に開かれた人垣の中を、浮き浮きとステップをふむようにして、室の中央に進みでる一人の婦人。
まっ黒なイブニング・ドレスに、まっ黒な帽子、まっ黒な手袋、まっ黒な靴下、まっ黒な靴、黒ずくめの中に、かがやくばかりの美貌が、ドキドキと上気して、赤いばらのように咲きほこっている。
「諸君、御機嫌よう。僕はもう酔っぱらってるんです。しかし、飲みましょう。そして、踊りましょう」
 美しい婦人は、右手をヒラヒラと頭上に打ち振りながら、可愛らしい巻舌で叫んだ。
「飲みましょう。そして、踊りましょう。ダーク・エンジェルばんざい!」
「オーイ、ボーイさん、シャンパンだ、シャンパンだ」
 やがて、ポン、ポンと花やかな小銃が鳴りひびいて、コルクの弾丸が五色の風船玉をぬって昇天した。そこにも、ここにも、カチカチとグラスのふれる音、そして、またしても、
「ブラボー、ダーク・エンジェル!」
 の合唱だ。
 暗黒街の女王のこの人気は、一体どこからわいて出たのか。たとえ彼女の素性は少しもわからなくても、その美貌、
そのズバぬけたふるまい、底知れぬ贅沢ぜいたく、おびただしい宝石の装身具、それらのどの一つを取っても、女王の資格は十分すぎるほどであったが、
彼女はさらにもっともっとすばらしい魅力をそなえていた。
彼女は大胆不敵なエキジビショニストであったのだ。
「黒天使、いつもの宝石踊りを所望します!」
 だれかが口を切ると、ワーッというドヨメキ、そして一せいの拍手。
 片隅のバンドが音楽を始めた。わいせつなサキソフォンが、異様に人々の耳をくすぐった。
 人々の円陣の中央には、もう宝石踊りが始まっていた。黒天使は今や白天使と変じた。彼女の美しく上気した全肉体をおおうものは、
二筋の大粒な首飾りと、見事な翡翠ひすいの耳飾りと、無数のダイヤモンドをちりばめた左右の腕環と、三箇の指環のほかには、一本の糸、一枚の布切れさえもなかった。
 彼女は今、チカチカと光りかがやく、桃色の一肉塊にすぎなかった。それが肩をゆすり、足をあげて、エジプト宮廷の、なまめかしき舞踊を、たくみにも踊りつづけているのだ。
「オイ、見ろ、黒トカゲが這はい始めたぜ。なんてすばらしいんだろ」
「ウン、ほんとうに、あの小さな虫が、生きて動きだすんだからね」
 意気なタキシードの青年がささやき交わした。
 美しい女の左の腕に、一匹の真黒に見えるトカゲが這っていた。
それが彼女の腕のゆらぎにつれて、吸盤のある足をヨタヨタと動かして、這い出したように見えるのだ。今にもそれが、肩から頸くび、頸から顎あご、
そして彼女の真赤なヌメヌメとした、唇までも、這いあがって行きそうに見えながら、いつまでも同じ腕にうごめいている。
真にせまった一匹のトカゲの入墨いれずみであった。
 さすがにこの恥知らずの舞踊は四、五分しかつづかなかったが、それが終ると、
感激した酔いどれ紳士たちが、ドッと押し寄せて、何か口々に激情の叫びをあげながら、いきなり裸美人らびじんを胴上げにして、お御輿みこしのかけ声勇ましく、室内をグルグルと廻り歩

136 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 02:01:47.47 ID:Dvg/VymB
 この国でも一夜に数千羽の七面鳥がしめられるという、あるクリスマス・イヴの出来事だ。
 帝都最大の殷賑いんしん地帯、ネオン・ライトの闇夜の虹が、幾万の通行者を五色にそめるG街、その表通りを一歩裏へ入ると、そこにこの都の暗黒街が横たわっている。
 G街の方は、午後十一時ともなれば、夜の人種にとってはまことにあっけなく、しかし帝都の代表街にふさわしい行儀よさで、
ほとんど人通りがとだえてしまうのだが、それと引き違いに、背中合わせの暗黒街がにぎわい始め、午前二時三時頃までも、
男女のあくなき享楽児どもが、窓をとざした建物の薄くらがりの中に、ウヨウヨとうごめきつづける。
 今もいうあるクリスマス・イヴの午前一時頃、その暗黒街のとある巨大な建物、外部から見たのではまるで空家のようなまっ暗な建物の中に、
けたはずれな、狂気めいた大夜会が、今、最高潮に達していた。
 ナイトクラブの広々としたフロアに、数十人の男女が、或る者は盃をあげてブラボーを叫び、或る者はだんだら染めのの尖とんがり帽子を横っちょにして踊りくるい、
或る者はにげまどう小女をゴリラの恰好かっこうで追いまわし、或る者は泣きわめき、或る者は怒りくるっている上を、
五色の粉紙が雪と舞い、五色のテープが滝と落ち、数知れぬ青赤の風船玉が、むせかえる煙草たばこのけむりの雲の中を、とまどいをしてみだれ飛んでいた。
「やあ、ダーク・エンジェルだ。ダーク・エンジェルだ」
「黒天使の御入来だぞ」
「ブラボー、女王様ばんざい!」
 口々にわめく酔いどれの声々が混乱して、たちまち急霰きゅうさんの拍手が起こった。
 自然に開かれた人垣の中を、浮き浮きとステップをふむようにして、室の中央に進みでる一人の婦人。
まっ黒なイブニング・ドレスに、まっ黒な帽子、まっ黒な手袋、まっ黒な靴下、まっ黒な靴、黒ずくめの中に、かがやくばかりの美貌が、ドキドキと上気して、赤いばらのように咲きほこっている。
「諸君、御機嫌よう。僕はもう酔っぱらってるんです。しかし、飲みましょう。そして、踊りましょう」
 美しい婦人は、右手をヒラヒラと頭上に打ち振りながら、可愛らしい巻舌で叫んだ。
「飲みましょう。そして、踊りましょう。ダーク・エンジェルばんざい!」
「オーイ、ボーイさん、シャンパンだ、シャンパンだ」
 やがて、ポン、ポンと花やかな小銃が鳴りひびいて、コルクの弾丸が五色の風船玉をぬって昇天した。そこにも、ここにも、カチカチとグラスのふれる音、そして、またしても、
「ブラボー、ダーク・エンジェル!」
 の合唱だ。
 暗黒街の女王のこの人気は、一体どこからわいて出たのか。たとえ彼女の素性は少しもわからなくても、その美貌、
そのズバぬけたふるまい、底知れぬ贅沢ぜいたく、おびただしい宝石の装身具、それらのどの一つを取っても、女王の資格は十分すぎるほどであったが、
彼女はさらにもっともっとすばらしい魅力をそなえていた。
彼女は大胆不敵なエキジビショニストであったのだ。
「黒天使、いつもの宝石踊りを所望します!」
 だれかが口を切ると、ワーッというドヨメキ、そして一せいの拍手。
 片隅のバンドが音楽を始めた。わいせつなサキソフォンが、異様に人々の耳をくすぐった。
 人々の円陣の中央には、もう宝石踊りが始まっていた。黒天使は今や白天使と変じた。彼女の美しく上気した全肉体をおおうものは、
二筋の大粒な首飾りと、見事な翡翠ひすいの耳飾りと、無数のダイヤモンドをちりばめた左右の腕環と、三箇の指環のほかには、一本の糸、一枚の布切れさえもなかった。
 彼女は今、チカチカと光りかがやく、桃色の一肉塊にすぎなかった。それが肩をゆすり、足をあげて、エジプト宮廷の、なまめかしき舞踊を、たくみにも踊りつづけているのだ。
「オイ、見ろ、黒トカゲが這はい始めたぜ。なんてすばらしいんだろ」
「ウン、ほんとうに、あの小さな虫が、生きて動きだすんだからね」
 意気なタキシードの青年がささやき交わした。
 美しい女の左の腕に、一匹の真黒に見えるトカゲが這っていた。
それが彼女の腕のゆらぎにつれて、吸盤のある足をヨタヨタと動かして、這い出したように見えるのだ。今にもそれが、肩から頸くび、頸から顎あご、
そして彼女の真赤なヌメヌメとした、唇までも、這いあがって行きそうに見えながら、いつまでも同じ腕にうごめいている。
真にせまった一匹のトカゲの入墨いれずみであった。
 さすがにこの恥知らずの舞踊は四、五分しかつづかなかったが、それが終ると、
感激した酔いどれ紳士たちが、ドッと押し寄せて、何か口々に激情の叫びをあげながら、いきなり裸美人らびじんを胴上げにして、お御輿みこしのかけ声勇ましく、室内をグルグルと廻り歩

137 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 02:02:02.10 ID:Dvg/VymB
 この国でも一夜に数千羽の七面鳥がしめられるという、あるクリスマス・イヴの出来事だ。
 帝都最大の殷賑いんしん地帯、ネオン・ライトの闇夜の虹が、幾万の通行者を五色にそめるG街、その表通りを一歩裏へ入ると、そこにこの都の暗黒街が横たわっている。
 G街の方は、午後十一時ともなれば、夜の人種にとってはまことにあっけなく、しかし帝都の代表街にふさわしい行儀よさで、
ほとんど人通りがとだえてしまうのだが、それと引き違いに、背中合わせの暗黒街がにぎわい始め、午前二時三時頃までも、
男女のあくなき享楽児どもが、窓をとざした建物の薄くらがりの中に、ウヨウヨとうごめきつづける。
 今もいうあるクリスマス・イヴの午前一時頃、その暗黒街のとある巨大な建物、外部から見たのではまるで空家のようなまっ暗な建物の中に、
けたはずれな、狂気めいた大夜会が、今、最高潮に達していた。
 ナイトクラブの広々としたフロアに、数十人の男女が、或る者は盃をあげてブラボーを叫び、或る者はだんだら染めのの尖とんがり帽子を横っちょにして踊りくるい、
或る者はにげまどう小女をゴリラの恰好かっこうで追いまわし、或る者は泣きわめき、或る者は怒りくるっている上を、
五色の粉紙が雪と舞い、五色のテープが滝と落ち、数知れぬ青赤の風船玉が、むせかえる煙草たばこのけむりの雲の中を、とまどいをしてみだれ飛んでいた。
「やあ、ダーク・エンジェルだ。ダーク・エンジェルだ」
「黒天使の御入来だぞ」
「ブラボー、女王様ばんざい!」
 口々にわめく酔いどれの声々が混乱して、たちまち急霰きゅうさんの拍手が起こった。
 自然に開かれた人垣の中を、浮き浮きとステップをふむようにして、室の中央に進みでる一人の婦人。
まっ黒なイブニング・ドレスに、まっ黒な帽子、まっ黒な手袋、まっ黒な靴下、まっ黒な靴、黒ずくめの中に、かがやくばかりの美貌が、ドキドキと上気して、赤いばらのように咲きほこっている。
「諸君、御機嫌よう。僕はもう酔っぱらってるんです。しかし、飲みましょう。そして、踊りましょう」
 美しい婦人は、右手をヒラヒラと頭上に打ち振りながら、可愛らしい巻舌で叫んだ。
「飲みましょう。そして、踊りましょう。ダーク・エンジェルばんざい!」
「オーイ、ボーイさん、シャンパンだ、シャンパンだ」
 やがて、ポン、ポンと花やかな小銃が鳴りひびいて、コルクの弾丸が五色の風船玉をぬって昇天した。そこにも、ここにも、カチカチとグラスのふれる音、そして、またしても、
「ブラボー、ダーク・エンジェル!」
 の合唱だ。
 暗黒街の女王のこの人気は、一体どこからわいて出たのか。たとえ彼女の素性は少しもわからなくても、その美貌、
そのズバぬけたふるまい、底知れぬ贅沢ぜいたく、おびただしい宝石の装身具、それらのどの一つを取っても、女王の資格は十分すぎるほどであったが、
彼女はさらにもっともっとすばらしい魅力をそなえていた。
彼女は大胆不敵なエキジビショニストであったのだ。
「黒天使、いつもの宝石踊りを所望します!」
 だれかが口を切ると、ワーッというドヨメキ、そして一せいの拍手。
 片隅のバンドが音楽を始めた。わいせつなサキソフォンが、異様に人々の耳をくすぐった。
 人々の円陣の中央には、もう宝石踊りが始まっていた。黒天使は今や白天使と変じた。彼女の美しく上気した全肉体をおおうものは、
二筋の大粒な首飾りと、見事な翡翠ひすいの耳飾りと、無数のダイヤモンドをちりばめた左右の腕環と、三箇の指環のほかには、一本の糸、一枚の布切れさえもなかった。
 彼女は今、チカチカと光りかがやく、桃色の一肉塊にすぎなかった。それが肩をゆすり、足をあげて、エジプト宮廷の、なまめかしき舞踊を、たくみにも踊りつづけているのだ。
「オイ、見ろ、黒トカゲが這はい始めたぜ。なんてすばらしいんだろ」
「ウン、ほんとうに、あの小さな虫が、生きて動きだすんだからね」
 意気なタキシードの青年がささやき交わした。
 美しい女の左の腕に、一匹の真黒に見えるトカゲが這っていた。
それが彼女の腕のゆらぎにつれて、吸盤のある足をヨタヨタと動かして、這い出したように見えるのだ。今にもそれが、肩から頸くび、頸から顎あご、
そして彼女の真赤なヌメヌメとした、唇までも、這いあがって行きそうに見えながら、いつまでも同じ腕にうごめいている。
真にせまった一匹のトカゲの入墨いれずみであった。
 さすがにこの恥知らずの舞踊は四、五分しかつづかなかったが、それが終ると、
感激した酔いどれ紳士たちが、ドッと押し寄せて、何か口々に激情の叫びをあげながら、いきなり裸美人らびじんを胴上げにして、お御輿みこしのかけ声勇ましく、室内をグルグルと廻り歩

138 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 02:03:32.37 ID:Dvg/VymB
 この国でも一夜に数千羽の七面鳥がしめられるという、あるクリスマス・イヴの出来事だ。
 帝都最大の殷賑いんしん地帯、ネオン・ライトの闇夜の虹が、幾万の通行者を五色にそめるG街、その表通りを一歩裏へ入ると、そこにこの都の暗黒街が横たわっている。
 G街の方は、午後十一時ともなれば、夜の人種にとってはまことにあっけなく、しかし帝都の代表街にふさわしい行儀よさで、
ほとんど人通りがとだえてしまうのだが、それと引き違いに、背中合わせの暗黒街がにぎわい始め、午前二時三時頃までも、
男女のあくなき享楽児どもが、窓をとざした建物の薄くらがりの中に、ウヨウヨとうごめきつづける。
 今もいうあるクリスマス・イヴの午前一時頃、その暗黒街のとある巨大な建物、外部から見たのではまるで空家のようなまっ暗な建物の中に、
けたはずれな、狂気めいた大夜会が、今、最高潮に達していた。
 ナイトクラブの広々としたフロアに、数十人の男女が、或る者は盃をあげてブラボーを叫び、或る者はだんだら染めのの尖とんがり帽子を横っちょにして踊りくるい、
或る者はにげまどう小女をゴリラの恰好かっこうで追いまわし、或る者は泣きわめき、或る者は怒りくるっている上を、
五色の粉紙が雪と舞い、五色のテープが滝と落ち、数知れぬ青赤の風船玉が、むせかえる煙草たばこのけむりの雲の中を、とまどいをしてみだれ飛んでいた。
「やあ、ダーク・エンジェルだ。ダーク・エンジェルだ」
「黒天使の御入来だぞ」
「ブラボー、女王様ばんざい!」
 口々にわめく酔いどれの声々が混乱して、たちまち急霰きゅうさんの拍手が起こった。
 自然に開かれた人垣の中を、浮き浮きとステップをふむようにして、室の中央に進みでる一人の婦人。
まっ黒なイブニング・ドレスに、まっ黒な帽子、まっ黒な手袋、まっ黒な靴下、まっ黒な靴、黒ずくめの中に、かがやくばかりの美貌が、ドキドキと上気して、赤いばらのように咲きほこっている。
「諸君、御機嫌よう。僕はもう酔っぱらってるんです。しかし、飲みましょう。そして、踊りましょう」
 美しい婦人は、右手をヒラヒラと頭上に打ち振りながら、可愛らしい巻舌で叫んだ。
「飲みましょう。そして、踊りましょう。ダーク・エンジェルばんざい!」
「オーイ、ボーイさん、シャンパンだ、シャンパンだ」
 やがて、ポン、ポンと花やかな小銃が鳴りひびいて、コルクの弾丸が五色の風船玉をぬって昇天した。そこにも、ここにも、カチカチとグラスのふれる音、そして、またしても、
「ブラボー、ダーク・エンジェル!」
 の合唱だ。
 暗黒街の女王のこの人気は、一体どこからわいて出たのか。たとえ彼女の素性は少しもわからなくても、その美貌、
そのズバぬけたふるまい、底知れぬ贅沢ぜいたく、おびただしい宝石の装身具、それらのどの一つを取っても、女王の資格は十分すぎるほどであったが、
彼女はさらにもっともっとすばらしい魅力をそなえていた。
彼女は大胆不敵なエキジビショニストであったのだ。
「黒天使、いつもの宝石踊りを所望します!」
 だれかが口を切ると、ワーッというドヨメキ、そして一せいの拍手。
 片隅のバンドが音楽を始めた。わいせつなサキソフォンが、異様に人々の耳をくすぐった。
 人々の円陣の中央には、もう宝石踊りが始まっていた。黒天使は今や白天使と変じた。彼女の美しく上気した全肉体をおおうものは、
二筋の大粒な首飾りと、見事な翡翠ひすいの耳飾りと、無数のダイヤモンドをちりばめた左右の腕環と、三箇の指環のほかには、一本の糸、一枚の布切れさえもなかった。
 彼女は今、チカチカと光りかがやく、桃色の一肉塊にすぎなかった。それが肩をゆすり、足をあげて、エジプト宮廷の、なまめかしき舞踊を、たくみにも踊りつづけているのだ。
「オイ、見ろ、黒トカゲが這はい始めたぜ。なんてすばらしいんだろ」
「ウン、ほんとうに、あの小さな虫が、生きて動きだすんだからね」
 意気なタキシードの青年がささやき交わした。
 美しい女の左の腕に、一匹の真黒に見えるトカゲが這っていた。
それが彼女の腕のゆらぎにつれて、吸盤のある足をヨタヨタと動かして、這い出したように見えるのだ。今にもそれが、肩から頸くび、頸から顎あご、
そして彼女の真赤なヌメヌメとした、唇までも、這いあがって行きそうに見えながら、いつまでも同じ腕にうごめいている。
真にせまった一匹のトカゲの入墨いれずみであった。
 さすがにこの恥知らずの舞踊は四、五分しかつづかなかったが、それが終ると、
感激した酔いどれ紳士たちが、ドッと押し寄せて、何か口々に激情の叫びをあげながら、いきなり裸美人らびじんを胴上げにして、お御輿みこしのかけ声勇ましく、室内をグルグルと廻り歩

139 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 02:04:33.17 ID:Dvg/VymB
 この国でも一夜に数千羽の七面鳥がしめられるという、あるクリスマス・イヴの出来事だ。
 帝都最大の殷賑いんしん地帯、ネオン・ライトの闇夜の虹が、幾万の通行者を五色にそめるG街、その表通りを一歩裏へ入ると、そこにこの都の暗黒街が横たわっている。
 G街の方は、午後十一時ともなれば、夜の人種にとってはまことにあっけなく、しかし帝都の代表街にふさわしい行儀よさで、
ほとんど人通りがとだえてしまうのだが、それと引き違いに、背中合わせの暗黒街がにぎわい始め、午前二時三時頃までも、
男女のあくなき享楽児どもが、窓をとざした建物の薄くらがりの中に、ウヨウヨとうごめきつづける。
 今もいうあるクリスマス・イヴの午前一時頃、その暗黒街のとある巨大な建物、外部から見たのではまるで空家のようなまっ暗な建物の中に、
けたはずれな、狂気めいた大夜会が、今、最高潮に達していた。
 ナイトクラブの広々としたフロアに、数十人の男女が、或る者は盃をあげてブラボーを叫び、或る者はだんだら染めのの尖とんがり帽子を横っちょにして踊りくるい、
或る者はにげまどう小女をゴリラの恰好かっこうで追いまわし、或る者は泣きわめき、或る者は怒りくるっている上を、
五色の粉紙が雪と舞い、五色のテープが滝と落ち、数知れぬ青赤の風船玉が、むせかえる煙草たばこのけむりの雲の中を、とまどいをしてみだれ飛んでいた。
「やあ、ダーク・エンジェルだ。ダーク・エンジェルだ」
「黒天使の御入来だぞ」
「ブラボー、女王様ばんざい!」
 口々にわめく酔いどれの声々が混乱して、たちまち急霰きゅうさんの拍手が起こった。
 自然に開かれた人垣の中を、浮き浮きとステップをふむようにして、室の中央に進みでる一人の婦人。
まっ黒なイブニング・ドレスに、まっ黒な帽子、まっ黒な手袋、まっ黒な靴下、まっ黒な靴、黒ずくめの中に、かがやくばかりの美貌が、ドキドキと上気して、赤いばらのように咲きほこっている。
「諸君、御機嫌よう。僕はもう酔っぱらってるんです。しかし、飲みましょう。そして、踊りましょう」
 美しい婦人は、右手をヒラヒラと頭上に打ち振りながら、可愛らしい巻舌で叫んだ。
「飲みましょう。そして、踊りましょう。ダーク・エンジェルばんざい!」
「オーイ、ボーイさん、シャンパンだ、シャンパンだ」
 やがて、ポン、ポンと花やかな小銃が鳴りひびいて、コルクの弾丸が五色の風船玉をぬって昇天した。そこにも、ここにも、カチカチとグラスのふれる音、そして、またしても、
「ブラボー、ダーク・エンジェル!」
 の合唱だ。
 暗黒街の女王のこの人気は、一体どこからわいて出たのか。たとえ彼女の素性は少しもわからなくても、その美貌、
そのズバぬけたふるまい、底知れぬ贅沢ぜいたく、おびただしい宝石の装身具、それらのどの一つを取っても、女王の資格は十分すぎるほどであったが、
彼女はさらにもっともっとすばらしい魅力をそなえていた。
彼女は大胆不敵なエキジビショニストであったのだ。
「黒天使、いつもの宝石踊りを所望します!」
 だれかが口を切ると、ワーッというドヨメキ、そして一せいの拍手。
 片隅のバンドが音楽を始めた。わいせつなサキソフォンが、異様に人々の耳をくすぐった。
 人々の円陣の中央には、もう宝石踊りが始まっていた。黒天使は今や白天使と変じた。彼女の美しく上気した全肉体をおおうものは、
二筋の大粒な首飾りと、見事な翡翠ひすいの耳飾りと、無数のダイヤモンドをちりばめた左右の腕環と、三箇の指環のほかには、一本の糸、一枚の布切れさえもなかった。
 彼女は今、チカチカと光りかがやく、桃色の一肉塊にすぎなかった。それが肩をゆすり、足をあげて、エジプト宮廷の、なまめかしき舞踊を、たくみにも踊りつづけているのだ。
「オイ、見ろ、黒トカゲが這はい始めたぜ。なんてすばらしいんだろ」
「ウン、ほんとうに、あの小さな虫が、生きて動きだすんだからね」
 意気なタキシードの青年がささやき交わした。
 美しい女の左の腕に、一匹の真黒に見えるトカゲが這っていた。
それが彼女の腕のゆらぎにつれて、吸盤のある足をヨタヨタと動かして、這い出したように見えるのだ。今にもそれが、肩から頸くび、頸から顎あご、
そして彼女の真赤なヌメヌメとした、唇までも、這いあがって行きそうに見えながら、いつまでも同じ腕にうごめいている。
真にせまった一匹のトカゲの入墨いれずみであった。
 さすがにこの恥知らずの舞踊は四、五分しかつづかなかったが、それが終ると、
感激した酔いどれ紳士たちが、ドッと押し寄せて、何か口々に激情の叫びをあげながら、いきなり裸美人らびじんを胴上げにして、お御輿みこしのかけ声勇ましく、室内をグルグルと廻り歩

140 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 02:05:15.41 ID:Dvg/VymB
 この国でも一夜に数千羽の七面鳥がしめられるという、あるクリスマス・イヴの出来事だ。
 帝都最大の殷賑いんしん地帯、ネオン・ライトの闇夜の虹が、幾万の通行者を五色にそめるG街、その表通りを一歩裏へ入ると、そこにこの都の暗黒街が横たわっている。
 G街の方は、午後十一時ともなれば、夜の人種にとってはまことにあっけなく、しかし帝都の代表街にふさわしい行儀よさで、
ほとんど人通りがとだえてしまうのだが、それと引き違いに、背中合わせの暗黒街がにぎわい始め、午前二時三時頃までも、
男女のあくなき享楽児どもが、窓をとざした建物の薄くらがりの中に、ウヨウヨとうごめきつづける。
 今もいうあるクリスマス・イヴの午前一時頃、その暗黒街のとある巨大な建物、外部から見たのではまるで空家のようなまっ暗な建物の中に、
けたはずれな、狂気めいた大夜会が、今、最高潮に達していた。
 ナイトクラブの広々としたフロアに、数十人の男女が、或る者は盃をあげてブラボーを叫び、或る者はだんだら染めのの尖とんがり帽子を横っちょにして踊りくるい、
或る者はにげまどう小女をゴリラの恰好かっこうで追いまわし、或る者は泣きわめき、或る者は怒りくるっている上を、
五色の粉紙が雪と舞い、五色のテープが滝と落ち、数知れぬ青赤の風船玉が、むせかえる煙草たばこのけむりの雲の中を、とまどいをしてみだれ飛んでいた。
「やあ、ダーク・エンジェルだ。ダーク・エンジェルだ」
「黒天使の御入来だぞ」
「ブラボー、女王様ばんざい!」
 口々にわめく酔いどれの声々が混乱して、たちまち急霰きゅうさんの拍手が起こった。
 自然に開かれた人垣の中を、浮き浮きとステップをふむようにして、室の中央に進みでる一人の婦人。
まっ黒なイブニング・ドレスに、まっ黒な帽子、まっ黒な手袋、まっ黒な靴下、まっ黒な靴、黒ずくめの中に、かがやくばかりの美貌が、ドキドキと上気して、赤いばらのように咲きほこっている。
「諸君、御機嫌よう。僕はもう酔っぱらってるんです。しかし、飲みましょう。そして、踊りましょう」
 美しい婦人は、右手をヒラヒラと頭上に打ち振りながら、可愛らしい巻舌で叫んだ。
「飲みましょう。そして、踊りましょう。ダーク・エンジェルばんざい!」
「オーイ、ボーイさん、シャンパンだ、シャンパンだ」
 やがて、ポン、ポンと花やかな小銃が鳴りひびいて、コルクの弾丸が五色の風船玉をぬって昇天した。そこにも、ここにも、カチカチとグラスのふれる音、そして、またしても、
「ブラボー、ダーク・エンジェル!」
 の合唱だ。
 暗黒街の女王のこの人気は、一体どこからわいて出たのか。たとえ彼女の素性は少しもわからなくても、その美貌、
そのズバぬけたふるまい、底知れぬ贅沢ぜいたく、おびただしい宝石の装身具、それらのどの一つを取っても、女王の資格は十分すぎるほどであったが、
彼女はさらにもっともっとすばらしい魅力をそなえていた。
彼女は大胆不敵なエキジビショニストであったのだ。
「黒天使、いつもの宝石踊りを所望します!」
 だれかが口を切ると、ワーッというドヨメキ、そして一せいの拍手。
 片隅のバンドが音楽を始めた。わいせつなサキソフォンが、異様に人々の耳をくすぐった。
 人々の円陣の中央には、もう宝石踊りが始まっていた。黒天使は今や白天使と変じた。彼女の美しく上気した全肉体をおおうものは、
二筋の大粒な首飾りと、見事な翡翠ひすいの耳飾りと、無数のダイヤモンドをちりばめた左右の腕環と、三箇の指環のほかには、一本の糸、一枚の布切れさえもなかった。
 彼女は今、チカチカと光りかがやく、桃色の一肉塊にすぎなかった。それが肩をゆすり、足をあげて、エジプト宮廷の、なまめかしき舞踊を、たくみにも踊りつづけているのだ。
「オイ、見ろ、黒トカゲが這はい始めたぜ。なんてすばらしいんだろ」
「ウン、ほんとうに、あの小さな虫が、生きて動きだすんだからね」
 意気なタキシードの青年がささやき交わした。
 美しい女の左の腕に、一匹の真黒に見えるトカゲが這っていた。
それが彼女の腕のゆらぎにつれて、吸盤のある足をヨタヨタと動かして、這い出したように見えるのだ。今にもそれが、肩から頸くび、頸から顎あご、
そして彼女の真赤なヌメヌメとした、唇までも、這いあがって行きそうに見えながら、いつまでも同じ腕にうごめいている。
真にせまった一匹のトカゲの入墨いれずみであった。
 さすがにこの恥知らずの舞踊は四、五分しかつづかなかったが、それが終ると、
感激した酔いどれ紳士たちが、ドッと押し寄せて、何か口々に激情の叫びをあげながら、いきなり裸美人らびじんを胴上げにして、お御輿みこしのかけ声勇ましく、室内をグルグルと廻り歩

141 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 02:05:42.06 ID:Dvg/VymB
 この国でも一夜に数千羽の七面鳥がしめられるという、あるクリスマス・イヴの出来事だ。
 帝都最大の殷賑いんしん地帯、ネオン・ライトの闇夜の虹が、幾万の通行者を五色にそめるG街、その表通りを一歩裏へ入ると、そこにこの都の暗黒街が横たわっている。
 G街の方は、午後十一時ともなれば、夜の人種にとってはまことにあっけなく、しかし帝都の代表街にふさわしい行儀よさで、
ほとんど人通りがとだえてしまうのだが、それと引き違いに、背中合わせの暗黒街がにぎわい始め、午前二時三時頃までも、
男女のあくなき享楽児どもが、窓をとざした建物の薄くらがりの中に、ウヨウヨとうごめきつづける。
 今もいうあるクリスマス・イヴの午前一時頃、その暗黒街のとある巨大な建物、外部から見たのではまるで空家のようなまっ暗な建物の中に、
けたはずれな、狂気めいた大夜会が、今、最高潮に達していた。
 ナイトクラブの広々としたフロアに、数十人の男女が、或る者は盃をあげてブラボーを叫び、或る者はだんだら染めのの尖とんがり帽子を横っちょにして踊りくるい、
或る者はにげまどう小女をゴリラの恰好かっこうで追いまわし、或る者は泣きわめき、或る者は怒りくるっている上を、
五色の粉紙が雪と舞い、五色のテープが滝と落ち、数知れぬ青赤の風船玉が、むせかえる煙草たばこのけむりの雲の中を、とまどいをしてみだれ飛んでいた。
「やあ、ダーク・エンジェルだ。ダーク・エンジェルだ」
「黒天使の御入来だぞ」
「ブラボー、女王様ばんざい!」
 口々にわめく酔いどれの声々が混乱して、たちまち急霰きゅうさんの拍手が起こった。
 自然に開かれた人垣の中を、浮き浮きとステップをふむようにして、室の中央に進みでる一人の婦人。
まっ黒なイブニング・ドレスに、まっ黒な帽子、まっ黒な手袋、まっ黒な靴下、まっ黒な靴、黒ずくめの中に、かがやくばかりの美貌が、ドキドキと上気して、赤いばらのように咲きほこっている。
「諸君、御機嫌よう。僕はもう酔っぱらってるんです。しかし、飲みましょう。そして、踊りましょう」
 美しい婦人は、右手をヒラヒラと頭上に打ち振りながら、可愛らしい巻舌で叫んだ。
「飲みましょう。そして、踊りましょう。ダーク・エンジェルばんざい!」
「オーイ、ボーイさん、シャンパンだ、シャンパンだ」
 やがて、ポン、ポンと花やかな小銃が鳴りひびいて、コルクの弾丸が五色の風船玉をぬって昇天した。そこにも、ここにも、カチカチとグラスのふれる音、そして、またしても、
「ブラボー、ダーク・エンジェル!」
 の合唱だ。
 暗黒街の女王のこの人気は、一体どこからわいて出たのか。たとえ彼女の素性は少しもわからなくても、その美貌、
そのズバぬけたふるまい、底知れぬ贅沢ぜいたく、おびただしい宝石の装身具、それらのどの一つを取っても、女王の資格は十分すぎるほどであったが、
彼女はさらにもっともっとすばらしい魅力をそなえていた。
彼女は大胆不敵なエキジビショニストであったのだ。
「黒天使、いつもの宝石踊りを所望します!」
 だれかが口を切ると、ワーッというドヨメキ、そして一せいの拍手。
 片隅のバンドが音楽を始めた。わいせつなサキソフォンが、異様に人々の耳をくすぐった。
 人々の円陣の中央には、もう宝石踊りが始まっていた。黒天使は今や白天使と変じた。彼女の美しく上気した全肉体をおおうものは、
二筋の大粒な首飾りと、見事な翡翠ひすいの耳飾りと、無数のダイヤモンドをちりばめた左右の腕環と、三箇の指環のほかには、一本の糸、一枚の布切れさえもなかった。
 彼女は今、チカチカと光りかがやく、桃色の一肉塊にすぎなかった。それが肩をゆすり、足をあげて、エジプト宮廷の、なまめかしき舞踊を、たくみにも踊りつづけているのだ。
「オイ、見ろ、黒トカゲが這はい始めたぜ。なんてすばらしいんだろ」
「ウン、ほんとうに、あの小さな虫が、生きて動きだすんだからね」
 意気なタキシードの青年がささやき交わした。
 美しい女の左の腕に、一匹の真黒に見えるトカゲが這っていた。
それが彼女の腕のゆらぎにつれて、吸盤のある足をヨタヨタと動かして、這い出したように見えるのだ。今にもそれが、肩から頸くび、頸から顎あご、
そして彼女の真赤なヌメヌメとした、唇までも、這いあがって行きそうに見えながら、いつまでも同じ腕にうごめいている。
真にせまった一匹のトカゲの入墨いれずみであった。
 さすがにこの恥知らずの舞踊は四、五分しかつづかなかったが、それが終ると、
感激した酔いどれ紳士たちが、ドッと押し寄せて、何か口々に激情の叫びをあげながら、いきなり裸美人らびじんを胴上げにして、お御輿みこしのかけ声勇ましく、室内をグルグルと廻り歩

142 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 02:06:15.85 ID:Dvg/VymB
 この国でも一夜に数千羽の七面鳥がしめられるという、あるクリスマス・イヴの出来事だ。
 帝都最大の殷賑いんしん地帯、ネオン・ライトの闇夜の虹が、幾万の通行者を五色にそめるG街、その表通りを一歩裏へ入ると、そこにこの都の暗黒街が横たわっている。
 G街の方は、午後十一時ともなれば、夜の人種にとってはまことにあっけなく、しかし帝都の代表街にふさわしい行儀よさで、
ほとんど人通りがとだえてしまうのだが、それと引き違いに、背中合わせの暗黒街がにぎわい始め、午前二時三時頃までも、
男女のあくなき享楽児どもが、窓をとざした建物の薄くらがりの中に、ウヨウヨとうごめきつづける。
 今もいうあるクリスマス・イヴの午前一時頃、その暗黒街のとある巨大な建物、外部から見たのではまるで空家のようなまっ暗な建物の中に、
けたはずれな、狂気めいた大夜会が、今、最高潮に達していた。
 ナイトクラブの広々としたフロアに、数十人の男女が、或る者は盃をあげてブラボーを叫び、或る者はだんだら染めのの尖とんがり帽子を横っちょにして踊りくるい、
或る者はにげまどう小女をゴリラの恰好かっこうで追いまわし、或る者は泣きわめき、或る者は怒りくるっている上を、
五色の粉紙が雪と舞い、五色のテープが滝と落ち、数知れぬ青赤の風船玉が、むせかえる煙草たばこのけむりの雲の中を、とまどいをしてみだれ飛んでいた。
「やあ、ダーク・エンジェルだ。ダーク・エンジェルだ」
「黒天使の御入来だぞ」
「ブラボー、女王様ばんざい!」
 口々にわめく酔いどれの声々が混乱して、たちまち急霰きゅうさんの拍手が起こった。
 自然に開かれた人垣の中を、浮き浮きとステップをふむようにして、室の中央に進みでる一人の婦人。
まっ黒なイブニング・ドレスに、まっ黒な帽子、まっ黒な手袋、まっ黒な靴下、まっ黒な靴、黒ずくめの中に、かがやくばかりの美貌が、ドキドキと上気して、赤いばらのように咲きほこっている。
「諸君、御機嫌よう。僕はもう酔っぱらってるんです。しかし、飲みましょう。そして、踊りましょう」
 美しい婦人は、右手をヒラヒラと頭上に打ち振りながら、可愛らしい巻舌で叫んだ。
「飲みましょう。そして、踊りましょう。ダーク・エンジェルばんざい!」
「オーイ、ボーイさん、シャンパンだ、シャンパンだ」
 やがて、ポン、ポンと花やかな小銃が鳴りひびいて、コルクの弾丸が五色の風船玉をぬって昇天した。そこにも、ここにも、カチカチとグラスのふれる音、そして、またしても、
「ブラボー、ダーク・エンジェル!」
 の合唱だ。
 暗黒街の女王のこの人気は、一体どこからわいて出たのか。たとえ彼女の素性は少しもわからなくても、その美貌、
そのズバぬけたふるまい、底知れぬ贅沢ぜいたく、おびただしい宝石の装身具、それらのどの一つを取っても、女王の資格は十分すぎるほどであったが、
彼女はさらにもっともっとすばらしい魅力をそなえていた。
彼女は大胆不敵なエキジビショニストであったのだ。
「黒天使、いつもの宝石踊りを所望します!」
 だれかが口を切ると、ワーッというドヨメキ、そして一せいの拍手。
 片隅のバンドが音楽を始めた。わいせつなサキソフォンが、異様に人々の耳をくすぐった。
 人々の円陣の中央には、もう宝石踊りが始まっていた。黒天使は今や白天使と変じた。彼女の美しく上気した全肉体をおおうものは、
二筋の大粒な首飾りと、見事な翡翠ひすいの耳飾りと、無数のダイヤモンドをちりばめた左右の腕環と、三箇の指環のほかには、一本の糸、一枚の布切れさえもなかった。
 彼女は今、チカチカと光りかがやく、桃色の一肉塊にすぎなかった。それが肩をゆすり、足をあげて、エジプト宮廷の、なまめかしき舞踊を、たくみにも踊りつづけているのだ。
「オイ、見ろ、黒トカゲが這はい始めたぜ。なんてすばらしいんだろ」
「ウン、ほんとうに、あの小さな虫が、生きて動きだすんだからね」
 意気なタキシードの青年がささやき交わした。
 美しい女の左の腕に、一匹の真黒に見えるトカゲが這っていた。
それが彼女の腕のゆらぎにつれて、吸盤のある足をヨタヨタと動かして、這い出したように見えるのだ。今にもそれが、肩から頸くび、頸から顎あご、
そして彼女の真赤なヌメヌメとした、唇までも、這いあがって行きそうに見えながら、いつまでも同じ腕にうごめいている。
真にせまった一匹のトカゲの入墨いれずみであった。
 さすがにこの恥知らずの舞踊は四、五分しかつづかなかったが、それが終ると、
感激した酔いどれ紳士たちが、ドッと押し寄せて、何か口々に激情の叫びをあげながら、いきなり裸美人らびじんを胴上げにして、お御輿みこしのかけ声勇ましく、室内をグルグルと廻り歩

143 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 02:06:39.52 ID:Dvg/VymB
 この国でも一夜に数千羽の七面鳥がしめられるという、あるクリスマス・イヴの出来事だ。
 帝都最大の殷賑いんしん地帯、ネオン・ライトの闇夜の虹が、幾万の通行者を五色にそめるG街、その表通りを一歩裏へ入ると、そこにこの都の暗黒街が横たわっている。
 G街の方は、午後十一時ともなれば、夜の人種にとってはまことにあっけなく、しかし帝都の代表街にふさわしい行儀よさで、
ほとんど人通りがとだえてしまうのだが、それと引き違いに、背中合わせの暗黒街がにぎわい始め、午前二時三時頃までも、
男女のあくなき享楽児どもが、窓をとざした建物の薄くらがりの中に、ウヨウヨとうごめきつづける。
 今もいうあるクリスマス・イヴの午前一時頃、その暗黒街のとある巨大な建物、外部から見たのではまるで空家のようなまっ暗な建物の中に、
けたはずれな、狂気めいた大夜会が、今、最高潮に達していた。
 ナイトクラブの広々としたフロアに、数十人の男女が、或る者は盃をあげてブラボーを叫び、或る者はだんだら染めのの尖とんがり帽子を横っちょにして踊りくるい、
或る者はにげまどう小女をゴリラの恰好かっこうで追いまわし、或る者は泣きわめき、或る者は怒りくるっている上を、
五色の粉紙が雪と舞い、五色のテープが滝と落ち、数知れぬ青赤の風船玉が、むせかえる煙草たばこのけむりの雲の中を、とまどいをしてみだれ飛んでいた。
「やあ、ダーク・エンジェルだ。ダーク・エンジェルだ」
「黒天使の御入来だぞ」
「ブラボー、女王様ばんざい!」
 口々にわめく酔いどれの声々が混乱して、たちまち急霰きゅうさんの拍手が起こった。
 自然に開かれた人垣の中を、浮き浮きとステップをふむようにして、室の中央に進みでる一人の婦人。
まっ黒なイブニング・ドレスに、まっ黒な帽子、まっ黒な手袋、まっ黒な靴下、まっ黒な靴、黒ずくめの中に、かがやくばかりの美貌が、ドキドキと上気して、赤いばらのように咲きほこっている。
「諸君、御機嫌よう。僕はもう酔っぱらってるんです。しかし、飲みましょう。そして、踊りましょう」
 美しい婦人は、右手をヒラヒラと頭上に打ち振りながら、可愛らしい巻舌で叫んだ。
「飲みましょう。そして、踊りましょう。ダーク・エンジェルばんざい!」
「オーイ、ボーイさん、シャンパンだ、シャンパンだ」
 やがて、ポン、ポンと花やかな小銃が鳴りひびいて、コルクの弾丸が五色の風船玉をぬって昇天した。そこにも、ここにも、カチカチとグラスのふれる音、そして、またしても、
「ブラボー、ダーク・エンジェル!」
 の合唱だ。
 暗黒街の女王のこの人気は、一体どこからわいて出たのか。たとえ彼女の素性は少しもわからなくても、その美貌、
そのズバぬけたふるまい、底知れぬ贅沢ぜいたく、おびただしい宝石の装身具、それらのどの一つを取っても、女王の資格は十分すぎるほどであったが、
彼女はさらにもっともっとすばらしい魅力をそなえていた。
彼女は大胆不敵なエキジビショニストであったのだ。
「黒天使、いつもの宝石踊りを所望します!」
 だれかが口を切ると、ワーッというドヨメキ、そして一せいの拍手。
 片隅のバンドが音楽を始めた。わいせつなサキソフォンが、異様に人々の耳をくすぐった。
 人々の円陣の中央には、もう宝石踊りが始まっていた。黒天使は今や白天使と変じた。彼女の美しく上気した全肉体をおおうものは、
二筋の大粒な首飾りと、見事な翡翠ひすいの耳飾りと、無数のダイヤモンドをちりばめた左右の腕環と、三箇の指環のほかには、一本の糸、一枚の布切れさえもなかった。
 彼女は今、チカチカと光りかがやく、桃色の一肉塊にすぎなかった。それが肩をゆすり、足をあげて、エジプト宮廷の、なまめかしき舞踊を、たくみにも踊りつづけているのだ。
「オイ、見ろ、黒トカゲが這はい始めたぜ。なんてすばらしいんだろ」
「ウン、ほんとうに、あの小さな虫が、生きて動きだすんだからね」
 意気なタキシードの青年がささやき交わした。
 美しい女の左の腕に、一匹の真黒に見えるトカゲが這っていた。
それが彼女の腕のゆらぎにつれて、吸盤のある足をヨタヨタと動かして、這い出したように見えるのだ。今にもそれが、肩から頸くび、頸から顎あご、
そして彼女の真赤なヌメヌメとした、唇までも、這いあがって行きそうに見えながら、いつまでも同じ腕にうごめいている。
真にせまった一匹のトカゲの入墨いれずみであった。
 さすがにこの恥知らずの舞踊は四、五分しかつづかなかったが、それが終ると、
感激した酔いどれ紳士たちが、ドッと押し寄せて、何か口々に激情の叫びをあげながら、いきなり裸美人らびじんを胴上げにして、お御輿みこしのかけ声勇ましく、室内をグルグルと廻り歩

144 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 02:07:39.50 ID:tFpMuZAP
 この国でも一夜に数千羽の七面鳥がしめられるという、あるクリスマス・イヴの出来事だ。
 帝都最大の殷賑いんしん地帯、ネオン・ライトの闇夜の虹が、幾万の通行者を五色にそめるG街、その表通りを一歩裏へ入ると、そこにこの都の暗黒街が横たわっている。
 G街の方は、午後十一時ともなれば、夜の人種にとってはまことにあっけなく、しかし帝都の代表街にふさわしい行儀よさで、
ほとんど人通りがとだえてしまうのだが、それと引き違いに、背中合わせの暗黒街がにぎわい始め、午前二時三時頃までも、
男女のあくなき享楽児どもが、窓をとざした建物の薄くらがりの中に、ウヨウヨとうごめきつづける。
 今もいうあるクリスマス・イヴの午前一時頃、その暗黒街のとある巨大な建物、外部から見たのではまるで空家のようなまっ暗な建物の中に、
けたはずれな、狂気めいた大夜会が、今、最高潮に達していた。
 ナイトクラブの広々としたフロアに、数十人の男女が、或る者は盃をあげてブラボーを叫び、或る者はだんだら染めのの尖とんがり帽子を横っちょにして踊りくるい、
或る者はにげまどう小女をゴリラの恰好かっこうで追いまわし、或る者は泣きわめき、或る者は怒りくるっている上を、
五色の粉紙が雪と舞い、五色のテープが滝と落ち、数知れぬ青赤の風船玉が、むせかえる煙草たばこのけむりの雲の中を、とまどいをしてみだれ飛んでいた。
「やあ、ダーク・エンジェルだ。ダーク・エンジェルだ」
「黒天使の御入来だぞ」
「ブラボー、女王様ばんざい!」
 口々にわめく酔いどれの声々が混乱して、たちまち急霰きゅうさんの拍手が起こった。
 自然に開かれた人垣の中を、浮き浮きとステップをふむようにして、室の中央に進みでる一人の婦人。
まっ黒なイブニング・ドレスに、まっ黒な帽子、まっ黒な手袋、まっ黒な靴下、まっ黒な靴、黒ずくめの中に、かがやくばかりの美貌が、ドキドキと上気して、赤いばらのように咲きほこっている。
「諸君、御機嫌よう。僕はもう酔っぱらってるんです。しかし、飲みましょう。そして、踊りましょう」
 美しい婦人は、右手をヒラヒラと頭上に打ち振りながら、可愛らしい巻舌で叫んだ。
「飲みましょう。そして、踊りましょう。ダーク・エンジェルばんざい!」
「オーイ、ボーイさん、シャンパンだ、シャンパンだ」
 やがて、ポン、ポンと花やかな小銃が鳴りひびいて、コルクの弾丸が五色の風船玉をぬって昇天した。そこにも、ここにも、カチカチとグラスのふれる音、そして、またしても、
「ブラボー、ダーク・エンジェル!」
 の合唱だ。
 暗黒街の女王のこの人気は、一体どこからわいて出たのか。たとえ彼女の素性は少しもわからなくても、その美貌、
そのズバぬけたふるまい、底知れぬ贅沢ぜいたく、おびただしい宝石の装身具、それらのどの一つを取っても、女王の資格は十分すぎるほどであったが、
彼女はさらにもっともっとすばらしい魅力をそなえていた。
彼女は大胆不敵なエキジビショニストであったのだ。
「黒天使、いつもの宝石踊りを所望します!」
 だれかが口を切ると、ワーッというドヨメキ、そして一せいの拍手。
 片隅のバンドが音楽を始めた。わいせつなサキソフォンが、異様に人々の耳をくすぐった。
 人々の円陣の中央には、もう宝石踊りが始まっていた。黒天使は今や白天使と変じた。彼女の美しく上気した全肉体をおおうものは、
二筋の大粒な首飾りと、見事な翡翠ひすいの耳飾りと、無数のダイヤモンドをちりばめた左右の腕環と、三箇の指環のほかには、一本の糸、一枚の布切れさえもなかった。
 彼女は今、チカチカと光りかがやく、桃色の一肉塊にすぎなかった。それが肩をゆすり、足をあげて、エジプト宮廷の、なまめかしき舞踊を、たくみにも踊りつづけているのだ。
「オイ、見ろ、黒トカゲが這はい始めたぜ。なんてすばらしいんだろ」
「ウン、ほんとうに、あの小さな虫が、生きて動きだすんだからね」
 意気なタキシードの青年がささやき交わした。
 美しい女の左の腕に、一匹の真黒に見えるトカゲが這っていた。
それが彼女の腕のゆらぎにつれて、吸盤のある足をヨタヨタと動かして、這い出したように見えるのだ。今にもそれが、肩から頸くび、頸から顎あご、
そして彼女の真赤なヌメヌメとした、唇までも、這いあがって行きそうに見えながら、いつまでも同じ腕にうごめいている。
真にせまった一匹のトカゲの入墨いれずみであった。
 さすがにこの恥知らずの舞踊は四、五分しかつづかなかったが、それが終ると、
感激した酔いどれ紳士たちが、ドッと押し寄せて、何か口々に激情の叫びをあげながら、いきなり裸美人らびじんを胴上げにして、お御輿みこしのかけ声勇ましく、室内をグルグルと廻り歩

145 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 02:08:22.16 ID:tFpMuZAP
 この国でも一夜に数千羽の七面鳥がしめられるという、あるクリスマス・イヴの出来事だ。
 帝都最大の殷賑いんしん地帯、ネオン・ライトの闇夜の虹が、幾万の通行者を五色にそめるG街、その表通りを一歩裏へ入ると、そこにこの都の暗黒街が横たわっている。
 G街の方は、午後十一時ともなれば、夜の人種にとってはまことにあっけなく、しかし帝都の代表街にふさわしい行儀よさで、
ほとんど人通りがとだえてしまうのだが、それと引き違いに、背中合わせの暗黒街がにぎわい始め、午前二時三時頃までも、
男女のあくなき享楽児どもが、窓をとざした建物の薄くらがりの中に、ウヨウヨとうごめきつづける。
 今もいうあるクリスマス・イヴの午前一時頃、その暗黒街のとある巨大な建物、外部から見たのではまるで空家のようなまっ暗な建物の中に、
けたはずれな、狂気めいた大夜会が、今、最高潮に達していた。
 ナイトクラブの広々としたフロアに、数十人の男女が、或る者は盃をあげてブラボーを叫び、或る者はだんだら染めのの尖とんがり帽子を横っちょにして踊りくるい、
或る者はにげまどう小女をゴリラの恰好かっこうで追いまわし、或る者は泣きわめき、或る者は怒りくるっている上を、
五色の粉紙が雪と舞い、五色のテープが滝と落ち、数知れぬ青赤の風船玉が、むせかえる煙草たばこのけむりの雲の中を、とまどいをしてみだれ飛んでいた。
「やあ、ダーク・エンジェルだ。ダーク・エンジェルだ」
「黒天使の御入来だぞ」
「ブラボー、女王様ばんざい!」
 口々にわめく酔いどれの声々が混乱して、たちまち急霰きゅうさんの拍手が起こった。
 自然に開かれた人垣の中を、浮き浮きとステップをふむようにして、室の中央に進みでる一人の婦人。
まっ黒なイブニング・ドレスに、まっ黒な帽子、まっ黒な手袋、まっ黒な靴下、まっ黒な靴、黒ずくめの中に、かがやくばかりの美貌が、ドキドキと上気して、赤いばらのように咲きほこっている。
「諸君、御機嫌よう。僕はもう酔っぱらってるんです。しかし、飲みましょう。そして、踊りましょう」
 美しい婦人は、右手をヒラヒラと頭上に打ち振りながら、可愛らしい巻舌で叫んだ。
「飲みましょう。そして、踊りましょう。ダーク・エンジェルばんざい!」
「オーイ、ボーイさん、シャンパンだ、シャンパンだ」
 やがて、ポン、ポンと花やかな小銃が鳴りひびいて、コルクの弾丸が五色の風船玉をぬって昇天した。そこにも、ここにも、カチカチとグラスのふれる音、そして、またしても、
「ブラボー、ダーク・エンジェル!」
 の合唱だ。
 暗黒街の女王のこの人気は、一体どこからわいて出たのか。たとえ彼女の素性は少しもわからなくても、その美貌、
そのズバぬけたふるまい、底知れぬ贅沢ぜいたく、おびただしい宝石の装身具、それらのどの一つを取っても、女王の資格は十分すぎるほどであったが、
彼女はさらにもっともっとすばらしい魅力をそなえていた。
彼女は大胆不敵なエキジビショニストであったのだ。
「黒天使、いつもの宝石踊りを所望します!」
 だれかが口を切ると、ワーッというドヨメキ、そして一せいの拍手。
 片隅のバンドが音楽を始めた。わいせつなサキソフォンが、異様に人々の耳をくすぐった。
 人々の円陣の中央には、もう宝石踊りが始まっていた。黒天使は今や白天使と変じた。彼女の美しく上気した全肉体をおおうものは、
二筋の大粒な首飾りと、見事な翡翠ひすいの耳飾りと、無数のダイヤモンドをちりばめた左右の腕環と、三箇の指環のほかには、一本の糸、一枚の布切れさえもなかった。
 彼女は今、チカチカと光りかがやく、桃色の一肉塊にすぎなかった。それが肩をゆすり、足をあげて、エジプト宮廷の、なまめかしき舞踊を、たくみにも踊りつづけているのだ。
「オイ、見ろ、黒トカゲが這はい始めたぜ。なんてすばらしいんだろ」
「ウン、ほんとうに、あの小さな虫が、生きて動きだすんだからね」
 意気なタキシードの青年がささやき交わした。
 美しい女の左の腕に、一匹の真黒に見えるトカゲが這っていた。
それが彼女の腕のゆらぎにつれて、吸盤のある足をヨタヨタと動かして、這い出したように見えるのだ。今にもそれが、肩から頸くび、頸から顎あご、
そして彼女の真赤なヌメヌメとした、唇までも、這いあがって行きそうに見えながら、いつまでも同じ腕にうごめいている。
真にせまった一匹のトカゲの入墨いれずみであった。
 さすがにこの恥知らずの舞踊は四、五分しかつづかなかったが、それが終ると、
感激した酔いどれ紳士たちが、ドッと押し寄せて、何か口々に激情の叫びをあげながら、いきなり裸美人らびじんを胴上げにして、お御輿みこしのかけ声勇ましく、室内をグルグルと廻り歩

146 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 02:08:54.19 ID:tFpMuZAP
 この国でも一夜に数千羽の七面鳥がしめられるという、あるクリスマス・イヴの出来事だ。
 帝都最大の殷賑いんしん地帯、ネオン・ライトの闇夜の虹が、幾万の通行者を五色にそめるG街、その表通りを一歩裏へ入ると、そこにこの都の暗黒街が横たわっている。
 G街の方は、午後十一時ともなれば、夜の人種にとってはまことにあっけなく、しかし帝都の代表街にふさわしい行儀よさで、
ほとんど人通りがとだえてしまうのだが、それと引き違いに、背中合わせの暗黒街がにぎわい始め、午前二時三時頃までも、
男女のあくなき享楽児どもが、窓をとざした建物の薄くらがりの中に、ウヨウヨとうごめきつづける。
 今もいうあるクリスマス・イヴの午前一時頃、その暗黒街のとある巨大な建物、外部から見たのではまるで空家のようなまっ暗な建物の中に、
けたはずれな、狂気めいた大夜会が、今、最高潮に達していた。
 ナイトクラブの広々としたフロアに、数十人の男女が、或る者は盃をあげてブラボーを叫び、或る者はだんだら染めのの尖とんがり帽子を横っちょにして踊りくるい、
或る者はにげまどう小女をゴリラの恰好かっこうで追いまわし、或る者は泣きわめき、或る者は怒りくるっている上を、
五色の粉紙が雪と舞い、五色のテープが滝と落ち、数知れぬ青赤の風船玉が、むせかえる煙草たばこのけむりの雲の中を、とまどいをしてみだれ飛んでいた。
「やあ、ダーク・エンジェルだ。ダーク・エンジェルだ」
「黒天使の御入来だぞ」
「ブラボー、女王様ばんざい!」
 口々にわめく酔いどれの声々が混乱して、たちまち急霰きゅうさんの拍手が起こった。
 自然に開かれた人垣の中を、浮き浮きとステップをふむようにして、室の中央に進みでる一人の婦人。
まっ黒なイブニング・ドレスに、まっ黒な帽子、まっ黒な手袋、まっ黒な靴下、まっ黒な靴、黒ずくめの中に、かがやくばかりの美貌が、ドキドキと上気して、赤いばらのように咲きほこっている。
「諸君、御機嫌よう。僕はもう酔っぱらってるんです。しかし、飲みましょう。そして、踊りましょう」
 美しい婦人は、右手をヒラヒラと頭上に打ち振りながら、可愛らしい巻舌で叫んだ。
「飲みましょう。そして、踊りましょう。ダーク・エンジェルばんざい!」
「オーイ、ボーイさん、シャンパンだ、シャンパンだ」
 やがて、ポン、ポンと花やかな小銃が鳴りひびいて、コルクの弾丸が五色の風船玉をぬって昇天した。そこにも、ここにも、カチカチとグラスのふれる音、そして、またしても、
「ブラボー、ダーク・エンジェル!」
 の合唱だ。
 暗黒街の女王のこの人気は、一体どこからわいて出たのか。たとえ彼女の素性は少しもわからなくても、その美貌、
そのズバぬけたふるまい、底知れぬ贅沢ぜいたく、おびただしい宝石の装身具、それらのどの一つを取っても、女王の資格は十分すぎるほどであったが、
彼女はさらにもっともっとすばらしい魅力をそなえていた。
彼女は大胆不敵なエキジビショニストであったのだ。
「黒天使、いつもの宝石踊りを所望します!」
 だれかが口を切ると、ワーッというドヨメキ、そして一せいの拍手。
 片隅のバンドが音楽を始めた。わいせつなサキソフォンが、異様に人々の耳をくすぐった。
 人々の円陣の中央には、もう宝石踊りが始まっていた。黒天使は今や白天使と変じた。彼女の美しく上気した全肉体をおおうものは、
二筋の大粒な首飾りと、見事な翡翠ひすいの耳飾りと、無数のダイヤモンドをちりばめた左右の腕環と、三箇の指環のほかには、一本の糸、一枚の布切れさえもなかった。
 彼女は今、チカチカと光りかがやく、桃色の一肉塊にすぎなかった。それが肩をゆすり、足をあげて、エジプト宮廷の、なまめかしき舞踊を、たくみにも踊りつづけているのだ。
「オイ、見ろ、黒トカゲが這はい始めたぜ。なんてすばらしいんだろ」
「ウン、ほんとうに、あの小さな虫が、生きて動きだすんだからね」
 意気なタキシードの青年がささやき交わした。
 美しい女の左の腕に、一匹の真黒に見えるトカゲが這っていた。
それが彼女の腕のゆらぎにつれて、吸盤のある足をヨタヨタと動かして、這い出したように見えるのだ。今にもそれが、肩から頸くび、頸から顎あご、
そして彼女の真赤なヌメヌメとした、唇までも、這いあがって行きそうに見えながら、いつまでも同じ腕にうごめいている。
真にせまった一匹のトカゲの入墨いれずみであった。
 さすがにこの恥知らずの舞踊は四、五分しかつづかなかったが、それが終ると、
感激した酔いどれ紳士たちが、ドッと押し寄せて、何か口々に激情の叫びをあげながら、いきなり裸美人らびじんを胴上げにして、お御輿みこしのかけ声勇ましく、室内をグルグルと廻り歩

147 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 02:09:25.80 ID:tFpMuZAP
 この国でも一夜に数千羽の七面鳥がしめられるという、あるクリスマス・イヴの出来事だ。
 帝都最大の殷賑いんしん地帯、ネオン・ライトの闇夜の虹が、幾万の通行者を五色にそめるG街、その表通りを一歩裏へ入ると、そこにこの都の暗黒街が横たわっている。
 G街の方は、午後十一時ともなれば、夜の人種にとってはまことにあっけなく、しかし帝都の代表街にふさわしい行儀よさで、
ほとんど人通りがとだえてしまうのだが、それと引き違いに、背中合わせの暗黒街がにぎわい始め、午前二時三時頃までも、
男女のあくなき享楽児どもが、窓をとざした建物の薄くらがりの中に、ウヨウヨとうごめきつづける。
 今もいうあるクリスマス・イヴの午前一時頃、その暗黒街のとある巨大な建物、外部から見たのではまるで空家のようなまっ暗な建物の中に、
けたはずれな、狂気めいた大夜会が、今、最高潮に達していた。
 ナイトクラブの広々としたフロアに、数十人の男女が、或る者は盃をあげてブラボーを叫び、或る者はだんだら染めのの尖とんがり帽子を横っちょにして踊りくるい、
或る者はにげまどう小女をゴリラの恰好かっこうで追いまわし、或る者は泣きわめき、或る者は怒りくるっている上を、
五色の粉紙が雪と舞い、五色のテープが滝と落ち、数知れぬ青赤の風船玉が、むせかえる煙草たばこのけむりの雲の中を、とまどいをしてみだれ飛んでいた。
「やあ、ダーク・エンジェルだ。ダーク・エンジェルだ」
「黒天使の御入来だぞ」
「ブラボー、女王様ばんざい!」
 口々にわめく酔いどれの声々が混乱して、たちまち急霰きゅうさんの拍手が起こった。
 自然に開かれた人垣の中を、浮き浮きとステップをふむようにして、室の中央に進みでる一人の婦人。
まっ黒なイブニング・ドレスに、まっ黒な帽子、まっ黒な手袋、まっ黒な靴下、まっ黒な靴、黒ずくめの中に、かがやくばかりの美貌が、ドキドキと上気して、赤いばらのように咲きほこっている。
「諸君、御機嫌よう。僕はもう酔っぱらってるんです。しかし、飲みましょう。そして、踊りましょう」
 美しい婦人は、右手をヒラヒラと頭上に打ち振りながら、可愛らしい巻舌で叫んだ。
「飲みましょう。そして、踊りましょう。ダーク・エンジェルばんざい!」
「オーイ、ボーイさん、シャンパンだ、シャンパンだ」
 やがて、ポン、ポンと花やかな小銃が鳴りひびいて、コルクの弾丸が五色の風船玉をぬって昇天した。そこにも、ここにも、カチカチとグラスのふれる音、そして、またしても、
「ブラボー、ダーク・エンジェル!」
 の合唱だ。
 暗黒街の女王のこの人気は、一体どこからわいて出たのか。たとえ彼女の素性は少しもわからなくても、その美貌、
そのズバぬけたふるまい、底知れぬ贅沢ぜいたく、おびただしい宝石の装身具、それらのどの一つを取っても、女王の資格は十分すぎるほどであったが、
彼女はさらにもっともっとすばらしい魅力をそなえていた。
彼女は大胆不敵なエキジビショニストであったのだ。
「黒天使、いつもの宝石踊りを所望します!」
 だれかが口を切ると、ワーッというドヨメキ、そして一せいの拍手。
 片隅のバンドが音楽を始めた。わいせつなサキソフォンが、異様に人々の耳をくすぐった。
 人々の円陣の中央には、もう宝石踊りが始まっていた。黒天使は今や白天使と変じた。彼女の美しく上気した全肉体をおおうものは、
二筋の大粒な首飾りと、見事な翡翠ひすいの耳飾りと、無数のダイヤモンドをちりばめた左右の腕環と、三箇の指環のほかには、一本の糸、一枚の布切れさえもなかった。
 彼女は今、チカチカと光りかがやく、桃色の一肉塊にすぎなかった。それが肩をゆすり、足をあげて、エジプト宮廷の、なまめかしき舞踊を、たくみにも踊りつづけているのだ。
「オイ、見ろ、黒トカゲが這はい始めたぜ。なんてすばらしいんだろ」
「ウン、ほんとうに、あの小さな虫が、生きて動きだすんだからね」
 意気なタキシードの青年がささやき交わした。
 美しい女の左の腕に、一匹の真黒に見えるトカゲが這っていた。
それが彼女の腕のゆらぎにつれて、吸盤のある足をヨタヨタと動かして、這い出したように見えるのだ。今にもそれが、肩から頸くび、頸から顎あご、
そして彼女の真赤なヌメヌメとした、唇までも、這いあがって行きそうに見えながら、いつまでも同じ腕にうごめいている。
真にせまった一匹のトカゲの入墨いれずみであった。
 さすがにこの恥知らずの舞踊は四、五分しかつづかなかったが、それが終ると、
感激した酔いどれ紳士たちが、ドッと押し寄せて、何か口々に激情の叫びをあげながら、いきなり裸美人らびじんを胴上げにして、お御輿みこしのかけ声勇ましく、室内をグルグルと廻り歩

148 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 02:10:54.29 ID:tFpMuZAP
 この国でも一夜に数千羽の七面鳥がしめられるという、あるクリスマス・イヴの出来事だ。
 帝都最大の殷賑いんしん地帯、ネオン・ライトの闇夜の虹が、幾万の通行者を五色にそめるG街、その表通りを一歩裏へ入ると、そこにこの都の暗黒街が横たわっている。
 G街の方は、午後十一時ともなれば、夜の人種にとってはまことにあっけなく、しかし帝都の代表街にふさわしい行儀よさで、
ほとんど人通りがとだえてしまうのだが、それと引き違いに、背中合わせの暗黒街がにぎわい始め、午前二時三時頃までも、
男女のあくなき享楽児どもが、窓をとざした建物の薄くらがりの中に、ウヨウヨとうごめきつづける。
 今もいうあるクリスマス・イヴの午前一時頃、その暗黒街のとある巨大な建物、外部から見たのではまるで空家のようなまっ暗な建物の中に、
けたはずれな、狂気めいた大夜会が、今、最高潮に達していた。
 ナイトクラブの広々としたフロアに、数十人の男女が、或る者は盃をあげてブラボーを叫び、或る者はだんだら染めのの尖とんがり帽子を横っちょにして踊りくるい、
或る者はにげまどう小女をゴリラの恰好かっこうで追いまわし、或る者は泣きわめき、或る者は怒りくるっている上を、
五色の粉紙が雪と舞い、五色のテープが滝と落ち、数知れぬ青赤の風船玉が、むせかえる煙草たばこのけむりの雲の中を、とまどいをしてみだれ飛んでいた。
「やあ、ダーク・エンジェルだ。ダーク・エンジェルだ」
「黒天使の御入来だぞ」
「ブラボー、女王様ばんざい!」
 口々にわめく酔いどれの声々が混乱して、たちまち急霰きゅうさんの拍手が起こった。
 自然に開かれた人垣の中を、浮き浮きとステップをふむようにして、室の中央に進みでる一人の婦人。
まっ黒なイブニング・ドレスに、まっ黒な帽子、まっ黒な手袋、まっ黒な靴下、まっ黒な靴、黒ずくめの中に、かがやくばかりの美貌が、ドキドキと上気して、赤いばらのように咲きほこっている。
「諸君、御機嫌よう。僕はもう酔っぱらってるんです。しかし、飲みましょう。そして、踊りましょう」
 美しい婦人は、右手をヒラヒラと頭上に打ち振りながら、可愛らしい巻舌で叫んだ。
「飲みましょう。そして、踊りましょう。ダーク・エンジェルばんざい!」
「オーイ、ボーイさん、シャンパンだ、シャンパンだ」
 やがて、ポン、ポンと花やかな小銃が鳴りひびいて、コルクの弾丸が五色の風船玉をぬって昇天した。そこにも、ここにも、カチカチとグラスのふれる音、そして、またしても、
「ブラボー、ダーク・エンジェル!」
 の合唱だ。
 暗黒街の女王のこの人気は、一体どこからわいて出たのか。たとえ彼女の素性は少しもわからなくても、その美貌、
そのズバぬけたふるまい、底知れぬ贅沢ぜいたく、おびただしい宝石の装身具、それらのどの一つを取っても、女王の資格は十分すぎるほどであったが、
彼女はさらにもっともっとすばらしい魅力をそなえていた。
彼女は大胆不敵なエキジビショニストであったのだ。
「黒天使、いつもの宝石踊りを所望します!」
 だれかが口を切ると、ワーッというドヨメキ、そして一せいの拍手。
 片隅のバンドが音楽を始めた。わいせつなサキソフォンが、異様に人々の耳をくすぐった。
 人々の円陣の中央には、もう宝石踊りが始まっていた。黒天使は今や白天使と変じた。彼女の美しく上気した全肉体をおおうものは、
二筋の大粒な首飾りと、見事な翡翠ひすいの耳飾りと、無数のダイヤモンドをちりばめた左右の腕環と、三箇の指環のほかには、一本の糸、一枚の布切れさえもなかった。
 彼女は今、チカチカと光りかがやく、桃色の一肉塊にすぎなかった。それが肩をゆすり、足をあげて、エジプト宮廷の、なまめかしき舞踊を、たくみにも踊りつづけているのだ。
「オイ、見ろ、黒トカゲが這はい始めたぜ。なんてすばらしいんだろ」
「ウン、ほんとうに、あの小さな虫が、生きて動きだすんだからね」
 意気なタキシードの青年がささやき交わした。
 美しい女の左の腕に、一匹の真黒に見えるトカゲが這っていた。
それが彼女の腕のゆらぎにつれて、吸盤のある足をヨタヨタと動かして、這い出したように見えるのだ。今にもそれが、肩から頸くび、頸から顎あご、
そして彼女の真赤なヌメヌメとした、唇までも、這いあがって行きそうに見えながら、いつまでも同じ腕にうごめいている。
真にせまった一匹のトカゲの入墨いれずみであった。
 さすがにこの恥知らずの舞踊は四、五分しかつづかなかったが、それが終ると、
感激した酔いどれ紳士たちが、ドッと押し寄せて、何か口々に激情の叫びをあげながら、いきなり裸美人らびじんを胴上げにして、お御輿みこしのかけ声勇ましく、室内をグルグルと廻り歩

149 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 02:11:29.39 ID:tFpMuZAP
 この国でも一夜に数千羽の七面鳥がしめられるという、あるクリスマス・イヴの出来事だ。
 帝都最大の殷賑いんしん地帯、ネオン・ライトの闇夜の虹が、幾万の通行者を五色にそめるG街、その表通りを一歩裏へ入ると、そこにこの都の暗黒街が横たわっている。
 G街の方は、午後十一時ともなれば、夜の人種にとってはまことにあっけなく、しかし帝都の代表街にふさわしい行儀よさで、
ほとんど人通りがとだえてしまうのだが、それと引き違いに、背中合わせの暗黒街がにぎわい始め、午前二時三時頃までも、
男女のあくなき享楽児どもが、窓をとざした建物の薄くらがりの中に、ウヨウヨとうごめきつづける。
 今もいうあるクリスマス・イヴの午前一時頃、その暗黒街のとある巨大な建物、外部から見たのではまるで空家のようなまっ暗な建物の中に、
けたはずれな、狂気めいた大夜会が、今、最高潮に達していた。
 ナイトクラブの広々としたフロアに、数十人の男女が、或る者は盃をあげてブラボーを叫び、或る者はだんだら染めのの尖とんがり帽子を横っちょにして踊りくるい、
或る者はにげまどう小女をゴリラの恰好かっこうで追いまわし、或る者は泣きわめき、或る者は怒りくるっている上を、
五色の粉紙が雪と舞い、五色のテープが滝と落ち、数知れぬ青赤の風船玉が、むせかえる煙草たばこのけむりの雲の中を、とまどいをしてみだれ飛んでいた。
「やあ、ダーク・エンジェルだ。ダーク・エンジェルだ」
「黒天使の御入来だぞ」
「ブラボー、女王様ばんざい!」
 口々にわめく酔いどれの声々が混乱して、たちまち急霰きゅうさんの拍手が起こった。
 自然に開かれた人垣の中を、浮き浮きとステップをふむようにして、室の中央に進みでる一人の婦人。
まっ黒なイブニング・ドレスに、まっ黒な帽子、まっ黒な手袋、まっ黒な靴下、まっ黒な靴、黒ずくめの中に、かがやくばかりの美貌が、ドキドキと上気して、赤いばらのように咲きほこっている。
「諸君、御機嫌よう。僕はもう酔っぱらってるんです。しかし、飲みましょう。そして、踊りましょう」
 美しい婦人は、右手をヒラヒラと頭上に打ち振りながら、可愛らしい巻舌で叫んだ。
「飲みましょう。そして、踊りましょう。ダーク・エンジェルばんざい!」
「オーイ、ボーイさん、シャンパンだ、シャンパンだ」
 やがて、ポン、ポンと花やかな小銃が鳴りひびいて、コルクの弾丸が五色の風船玉をぬって昇天した。そこにも、ここにも、カチカチとグラスのふれる音、そして、またしても、
「ブラボー、ダーク・エンジェル!」
 の合唱だ。
 暗黒街の女王のこの人気は、一体どこからわいて出たのか。たとえ彼女の素性は少しもわからなくても、その美貌、
そのズバぬけたふるまい、底知れぬ贅沢ぜいたく、おびただしい宝石の装身具、それらのどの一つを取っても、女王の資格は十分すぎるほどであったが、
彼女はさらにもっともっとすばらしい魅力をそなえていた。
彼女は大胆不敵なエキジビショニストであったのだ。
「黒天使、いつもの宝石踊りを所望します!」
 だれかが口を切ると、ワーッというドヨメキ、そして一せいの拍手。
 片隅のバンドが音楽を始めた。わいせつなサキソフォンが、異様に人々の耳をくすぐった。
 人々の円陣の中央には、もう宝石踊りが始まっていた。黒天使は今や白天使と変じた。彼女の美しく上気した全肉体をおおうものは、
二筋の大粒な首飾りと、見事な翡翠ひすいの耳飾りと、無数のダイヤモンドをちりばめた左右の腕環と、三箇の指環のほかには、一本の糸、一枚の布切れさえもなかった。
 彼女は今、チカチカと光りかがやく、桃色の一肉塊にすぎなかった。それが肩をゆすり、足をあげて、エジプト宮廷の、なまめかしき舞踊を、たくみにも踊りつづけているのだ。
「オイ、見ろ、黒トカゲが這はい始めたぜ。なんてすばらしいんだろ」
「ウン、ほんとうに、あの小さな虫が、生きて動きだすんだからね」
 意気なタキシードの青年がささやき交わした。
 美しい女の左の腕に、一匹の真黒に見えるトカゲが這っていた。
それが彼女の腕のゆらぎにつれて、吸盤のある足をヨタヨタと動かして、這い出したように見えるのだ。今にもそれが、肩から頸くび、頸から顎あご、
そして彼女の真赤なヌメヌメとした、唇までも、這いあがって行きそうに見えながら、いつまでも同じ腕にうごめいている。
真にせまった一匹のトカゲの入墨いれずみであった。
 さすがにこの恥知らずの舞踊は四、五分しかつづかなかったが、それが終ると、
感激した酔いどれ紳士たちが、ドッと押し寄せて、何か口々に激情の叫びをあげながら、いきなり裸美人らびじんを胴上げにして、お御輿みこしのかけ声勇ましく、室内をグルグルと廻り歩

150 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 03:34:20.58 ID:dBXdJt3o
       / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
        (  2ゲットだね・・・
   。o ○\____________/
  .∧∧ヘヘ      / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
  (  ノ  ) 。o○(  うん・・・
  ./  |  \   \_________/
 (___ノ(___ノ
/       \

151 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 17:17:24.90 ID:W1ke1gp9
>>13
結局お前もこのスレ荒らしているじゃんか?

152 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 18:48:25.15 ID:OJ9iEFAg
前々から連投で埋め立てをしてたのもそいつでしょw

153 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 22:34:00.44 ID:ydo9MkaN
で、このスレを使うの?(´・ω・`)

154 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 22:49:18.64 ID:NgzplxP4
IPさらすと荒らせねーってか
ハゲw
2ちゃん荒らすのだけが生きがいのギョウ虫死ね

155 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/05(日) 23:59:11.24 ID:PxH1pMSe
ここが伸びてるからここが本スレだね

156 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/06(月) 00:00:02.67 ID:vdwOVcFv
本スレage

157 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/06(月) 00:03:24.32 ID:EmL4J3hP
この長文だれや!

頭悪い奴が面白がるだけだな

内容のないつまらんコピペするやつは死ね

158 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/06(月) 11:07:30.25 ID:Wpv76Pp5
荒らしは無視して先に立ったこちらを使いましょう
ルール無視すると立てられなくなる
http://karma.2ch.net/test/read.cgi/idol/1483958323/
削除依頼お願いします

159 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/07(火) 00:08:49.99 ID:X+aq8ek6
いよいよ新曲が聴ける
菫路線からGemini方向へ戻ってくること希望する

160 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/07(火) 00:14:42.74 ID:AKAwAy0i
あさっての方向に行くんじゃないかと思うよ

161 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/07(火) 00:32:14.76 ID:yxbnjGuh
重複スレですので移動してください

【北海道札幌出身】WHY@DOLL Part8【ほわどる】 http://karma.2ch.net/test/read.cgi/idol/1483958323/

162 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/07(火) 01:05:00.24 ID:X+aq8ek6
そうなったら益々足が遠のくことになるな

163 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/07(火) 01:27:16.82 ID:iMghU88l
ここは重複スレ

【北海道札幌出身】WHY@DOLL Part8【ほわどる】 http://karma.2ch.net/test/read.cgi/idol/1483958323/

164 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/07(火) 18:34:05.49 ID:B7WDGCxg
エソラ池袋って狭いですか?
ギリギリに行っても見られますかね?

165 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/07(火) 22:21:41.52 ID:kJ9NIibn
今日は人多かったねえ
特典会残らず帰った人も多かったけど

166 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/08(水) 23:04:47.98 ID:k2q5FdCA
正直言ってガッカリだ

167 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/09(木) 08:39:52.54 ID:MmW2VXqi
楽曲派は手厳しいですな

168 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/10(金) 00:08:12.02 ID:tUFR0FzZ
WHY@DOLL新曲MV完成、テーマは「恋人に会うまで」 - 音楽ナタリー
http://natalie.mu/music/news/220168

169 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/10(金) 01:49:46.54 ID:GlSX0/rW
WHY@DOLL「キミはSteady」MV

https://www.youtube.com/watch?v=wd8gc6ZvYHU

170 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/10(金) 15:51:16.35 ID:hTfyXyPW
>>169
竹内電気、イイ仕事してるなw

171 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/11(土) 00:46:49.25 ID:jxW6dI8o
Victor時代の路線には戻らないって解釈していいのかな

172 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/11(土) 12:29:15.87 ID:VrSCM6lc
無理でしょ

173 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/11(土) 12:35:03.38 ID:veyRzior
君はsteadyはこれまでにない曲調だが
何をもってビクター路線って言ってるのか意味不明
前作のアイオライトはdiscoテイストで継続性あったし
カップリングのあなただけ〜も曖昧に続くスティービーワンダーオマージュだっただろ

174 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/12(日) 14:37:07.29 ID:xlhXWfTj
http://echo.2ch.net/test/read.cgi/musicjg/1480600114/915

175 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/16(木) 21:41:21.95 ID:zwdcRdLc
今日も多く見積もって40人程度か

176 :ファンクラブ会員番号774:2017/02/26(日) 00:26:28.50 ID:Xg/3ddP1
ツアー衣装いいね

177 :ファンクラブ会員番号774:2017/03/01(水) 00:04:13.53 ID:Dmgren/g
月末だったけど渋谷Gladは人集まった?

178 :ファンクラブ会員番号774:2017/03/08(水) 20:33:07.04 ID:x2/GjkNY
4 19,686 フェアリーズ
5 19,345 SILENT SIREN
9 10,480 HR
11 7,464 エラバレシ
12 7,056 エルフロート
16 3,752 J☆Dee'Z
22 2,891 東京女子流
29 2,577 G☆Girls
43 1,902 WHY☆DOLL
68 967 A応P

179 :ファンクラブ会員番号774:2017/03/18(土) 12:05:22.35 ID:hiq8JrDI
ポカリンとは? (o・e・)

・機種関係無し安売り情報スレに2008年頃から住み着いているアイドル女優ヲタ
・ほぼ毎日同じ時間帯に現れレスをしている (お昼〜午後11時)
・オットセイと他の住人全てに嫌われている禿げ
・恋愛経験皆無のパチンコに依存している童貞
・安売りスレが機能しなくなった元凶
・年齢は40代中盤

11/03(火)
http://hissi.org/read.php/famicom/20151103/N1JCdFluYi8.html
11/04(水)
http://hissi.org/read.php/famicom/20151104/NzRWOUJoWm0.html
11/05(木)
http://hissi.org/read.php/famicom/20151105/VGRhWHlJQmE.html
11/06(金)
http://hissi.org/read.php/famicom/20151106/M2grdmp3eFA.html
2016/05/17(火) ポカリンの敗北
http://hissi.org/read.php/famicom/20160517/a1l6U0pBRXU.html

プレミア12での日韓戦での在日発言
http://hissi.org/read.php/famicom/20151119/Mm40TWJqL2Q.html

180 :ファンクラブ会員番号774:2017/03/18(土) 12:05:38.25 ID:hiq8JrDI
ポカリンとは? (o・e・)

・機種関係無し安売り情報スレに2008年頃から住み着いているアイドル女優ヲタ
・ほぼ毎日同じ時間帯に現れレスをしている (お昼〜午後11時)
・オットセイと他の住人全てに嫌われている禿げ
・恋愛経験皆無のパチンコに依存している童貞
・安売りスレが機能しなくなった元凶
・年齢は40代中盤

11/03(火)
http://hissi.org/read.php/famicom/20151103/N1JCdFluYi8.html
11/04(水)
http://hissi.org/read.php/famicom/20151104/NzRWOUJoWm0.html
11/05(木)
http://hissi.org/read.php/famicom/20151105/VGRhWHlJQmE.html
11/06(金)
http://hissi.org/read.php/famicom/20151106/M2grdmp3eFA.html
2016/05/17(火) ポカリンの敗北
http://hissi.org/read.php/famicom/20160517/a1l6U0pBRXU.html

プレミア12での日韓戦での在日発言
http://hissi.org/read.php/famicom/20151119/Mm40TWJqL2Q.html

181 :ファンクラブ会員番号774:2017/03/30(木) 14:15:14.43 ID:kAPiCB4k
このタイミングで繋がりキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!

182 :ファンクラブ会員番号774:2017/04/27(木) 22:34:22.43 ID:l0BF+mjt
5月20日(土) 開催決定!! 『 IDOL CONTENT EXPO @ イオンモール幕張新都心
お知らせ
『 IDOL CONTENT EXPO @ イオンモール幕張新都心 supported by ダイキサウンド
〜初夏の大無銭祭〜』
【日程】 2017年5月20日(土)
【題名】 『 IDOL CONTENT EXPO @ イオンモール幕張新都心 supported by ダイキサウンド 〜初夏の大無銭祭〜』
【時間】 開演11:00 終演20:30(予定)
【価格】  無銭 (入場無料)
【会場】 千葉・イオンモール幕張新都心 グランドモール 1階グランドスクエア
【出演】 PASSPO☆ / predia /
放課後プリンセス / アフィリア・サーガ / 仮面女子:アリス十番 / 仮面女子:アーマーガールズ / 愛乙女☆DOLL / エラバレシ /
マジカル・パンチライン /
アイドルカレッジTeamD /
アイドルカレッジTeamC / FES☆TIVE /
Chu-Z / 桜エビ〜ず / palet / つりビット / drop / ワンダーウィード / 閃光ロードショー / ぷちぱすぽ☆ / La PomPon / SiAM&POPTUNe / パンダみっく /
東京CuteCute / イケてるハーツ / じぇるの! / カプ式会社ハイパーモチベーション
/ CoverGirls / 上野優華 / ベボガ!
(虹のコンキスタドール黄組)/
きゃわふるTORNAD / Dolly Kiss /
夏芽優李 / SHiNY SHiNY ...etc
■公式サイト:http://www.daiki-sound.jp/news/md-detail/id-145
■公式Twitter:http://twitter.com/ic_expo
■主催:IDOL CONTENT EXPO / ダイキサウンド株式会社
■協力:イオンモール幕張新都心 / ヴィレッジヴァンガードイオンモール幕張新都心店

183 :ファンクラブ会員番号774:2017/04/29(土) 13:49:46.12 ID:mUF3UtKo
天晴れ!原宿、READY TO KISS、エルフロート、KATA☆CHU、notall、SAY-LA、
さきどり発信局、仮面ライダーGIRLS、dela(名古屋)、P.IDL、ダイヤモンドルフィー、CoverGirls、mi-na、
上月せれな、ユメオイ少女、花言葉はイノセンス、KAMOがネギをしょってくるッ!!!、うりゃおい!JAPAN、
Jewel*Mariee、Purpure☆(京都)、エモクルスコップ、永遠少女症候群 ゆゆ、病んでる私とヤまない雨、
ぷれ☆すく、サムライ×オトメ、FOR-Z/爆団マーメイド、AMAZONIGHT、CLUSTAR.、BANQUET

184 :ファンクラブ会員番号774:2017/04/29(土) 13:51:56.57 ID:mUF3UtKo
アフィリア・サーガ/愛乙女☆DOLL/Chu-Z/READY TO KISS/ベボガ!(虹のコンキスタ ドール)/SAY-LA/ぷちぱすぽ☆/イケてるハーツ/KNU/アイドル諜報機関 LEVEL7/Chu☆Oh!Dolly/原宿物語/東京 CuteCute/仮面ライダー GIRLS...and more

185 :ファンクラブ会員番号774:2017/04/29(土) 17:43:41.32 ID:mibOWClx
ここは重複スレ 移動願います

【北海道札幌出身】WHY@DOLL Part8【ほわどる】 http://karma.2ch.net/test/read.cgi/idol/1483958323/

186 :ファンクラブ会員番号774:2017/04/29(土) 21:31:10.45 ID:F5cHwpqe
チャオ ベッラ チンクエッティ/Chu-Z/FES☆TIVE/マジカル・パンチライン/ぷちぱすぽ☆/イケてるハーツ/Pimm’s/天晴れ!原宿/東京CuteCute/WenDee

187 :ファンクラブ会員番号774:2017/04/29(土) 21:31:43.01 ID:F5cHwpqe
愛乙女☆DOLL/アフィリア・サーカ?/Chu-Z/READY TO KISS/ヘ?ホ?カ?!(虹のコンキスタ ト?ール)/SAY-LA/ふ?ちは?すほ?☆/イケてるハーツ/KNU/アイト?ル諜報機関 LEVEL7/Chu☆Oh!Dolly/原宿物語/東京CuteCute/仮面ライタ?ー GIRLS/WenDee

188 :ファンクラブ会員番号774:2017/04/29(土) 23:41:37.64 ID:NqAGZSEz
はーちゃんで妄想AV

189 :ファンクラブ会員番号774:2017/05/01(月) 17:23:24.76 ID:xBl+ZkHO
新星堂サンシャインシティアルタ店。’17 @ssd_alta
【Road to 噴水広場】
当店でイベント開催のアイドル様を、噴水広場へご招待!
インストアイベントにて月間売上No.1となったアイドル様へ、翌月のiPopMonthlyFes出演権をプレゼント!
エントリーは随時受付中!
#roadto噴水広場


ほわどるに恥かかせたらお前らヲタ失格な

190 :ファンクラブ会員番号774:2017/05/01(月) 17:45:31.33 ID:DgKApWqX
>>189

ここは重複スレ 移動願います

【北海道札幌出身】WHY@DOLL Part8【ほわどる】 http://karma.2ch.net/test/read.cgi/idol/1483958323/

191 :ファンクラブ会員番号774:2017/05/02(火) 00:02:53.60 ID:6P7tZcN5
https://pbs.twimg.com/media/C-vjq2UVwAAi7TR.jpg
https://pbs.twimg.com/media/C-vjs3XUQAAQ5Xa.jpg

192 :ファンクラブ会員番号774:2017/05/02(火) 11:18:14.29 ID:9b4+I/e6
児嶋ージュw

193 :ファンクラブ会員番号774:2017/05/02(火) 11:24:25.48 ID:9b4+I/e6
児嶋ージュw

194 :ファンクラブ会員番号774:2017/05/02(火) 11:27:53.10 ID:9b4+I/e6
児嶋ージュw

195 :ファンクラブ会員番号774:2017/05/02(火) 11:32:36.97 ID:9b4+I/e6
児嶋ージュw

196 :ファンクラブ会員番号774:2017/05/02(火) 11:41:45.89 ID:9b4+I/e6
児嶋ージュw

197 :ファンクラブ会員番号774:2017/05/02(火) 11:51:06.95 ID:9b4+I/e6
児嶋ージュw

198 :ファンクラブ会員番号774:2017/05/02(火) 12:01:22.49 ID:9b4+I/e6
児嶋ージュw

199 :ファンクラブ会員番号774:2017/05/02(火) 12:04:57.79 ID:9b4+I/e6
児嶋ージュw

200 :ファンクラブ会員番号774:2017/05/02(火) 12:06:57.78 ID:9b4+I/e6
阻止っとこw

201 :ファンクラブ会員番号774:2017/05/03(水) 03:59:50.14 ID:0ZhI6mgU
[GIRLS]
チャオベッラチンクエッティ / Chu-Z / FES☆TIVE / マジカル・パンチライン / ぷちぱすぽ☆ / イケてるハーツ / Pimm's / 全力少女R / 天晴れ!原宿 / 東京CuteCute / 閃光ロードショー / Checkmate / WenDee / さきどり配信局

202 :ファンクラブ会員番号774:2017/05/05(金) 02:49:52.22 ID:cGlG81QJ
https://pbs.twimg.com/media/C-_c0tUUwAAZdDt.jpg

https://pbs.twimg.com/media/C-_c0tVU0AAD3VR.jpg

203 :ファンクラブ会員番号774:2017/05/06(土) 02:36:30.92 ID:Gbc7gAZv
TIF2017出演者 第4弾発表!
天晴れ!原宿
amiinA
Ange☆Reve
上野優華
エラバレシ
さんみゅ〜
SiAM&POPTUNe
Task have Fun
東京パフォーマンスドール
DREAMING MONSTER
Party Rockets GT
バクステ外神田一丁目
はっちゃけ隊 from PASSPO☆
ばってん少女隊
原宿物語
パンダみっく
放課後プリンセス
WHY@DOLL
RIOT BABY
La PomPon
(五十音順)

204 :ファンクラブ会員番号774:2017/05/06(土) 23:37:00.92 ID:XZiN6Fsr
児嶋ッチョw

205 :ファンクラブ会員番号774:2017/05/06(土) 23:39:52.80 ID:XZiN6Fsr
児嶋ッチョw

206 :ファンクラブ会員番号774:2017/05/06(土) 23:42:27.85 ID:XZiN6Fsr
児嶋ッチョw

207 :ファンクラブ会員番号774:2017/05/06(土) 23:45:08.24 ID:XZiN6Fsr
児嶋ッチョw

208 :ファンクラブ会員番号774:2017/05/06(土) 23:48:58.45 ID:XZiN6Fsr
児嶋ッチョw

209 :ファンクラブ会員番号774:2017/05/06(土) 23:52:05.59 ID:XZiN6Fsr
児嶋ッチョw

210 :ファンクラブ会員番号774:2017/05/06(土) 23:55:16.42 ID:XZiN6Fsr
児嶋ッチョw

211 :ファンクラブ会員番号774:2017/05/07(日) 05:07:44.00 ID:nCD+YBrf
児嶋ッチョw

212 :ファンクラブ会員番号774:2017/05/07(日) 05:11:40.45 ID:nCD+YBrf
児嶋ッチョw

213 :ファンクラブ会員番号774:2017/05/07(日) 05:15:45.23 ID:nCD+YBrf
児嶋ッチョw

214 :ファンクラブ会員番号774:2017/05/07(日) 05:20:15.28 ID:nCD+YBrf
児嶋ッチョw

215 :ファンクラブ会員番号774:2017/05/07(日) 05:24:23.01 ID:nCD+YBrf
児嶋ッチョw

216 :ファンクラブ会員番号774:2017/05/08(月) 23:42:50.09 ID:d6bV2Y6M
『 IDOL CONTENT EXPO @ イオンモール幕張新都心 supported by ダイキサウンド
〜初夏の大無銭祭〜』
【日程】 2017年5月20日(土)
【題名】 『 IDOL CONTENT EXPO @ イオンモール幕張新都心 supported by ダイキサウンド 〜初夏の大無銭祭〜』
【時間】 開演11:00 終演20:30(予定)
【価格】  無銭 (入場無料)
【会場】 千葉・イオンモール幕張新都心 グランドモール 1階グランドスクエア
【出演】 PASSPO☆ / predia /
放課後プリンセス / アフィリア・サーガ / 仮面女子:アリス十番 / 仮面女子:アーマーガールズ / 愛乙女☆DOLL / エラバレシ /
マジカル・パンチライン /
アイドルカレッジTeamD /
アイドルカレッジTeamC / FES☆TIVE /
Chu-Z / 桜エビ〜ず / palet / つりビット / drop / ワンダーウィード / 閃光ロードショー / ぷちぱすぽ☆ / La PomPon / SiAM&POPTUNe / パンダみっく /
東京CuteCute / イケてるハーツ / じぇるの! / カプ式会社ハイパーモチベーション
/ CoverGirls / 上野優華 / ベボガ!
(虹のコンキスタドール黄組)/
きゃわふるTORNAD / Dolly Kiss /
夏芽優李 / SHiNY SHiNY ...etc
■公式サイト:http://www.daiki-sound.jp/news/md-detail/id-145
■公式Twitter:http://twitter.com/ic_expo
■主催:IDOL CONTENT EXPO / ダイキサウンド株式会社
■協力:イオンモール幕張新都心 / ヴィレッジヴァンガードイオンモール幕張新都心店

217 :ファンクラブ会員番号774:2017/05/09(火) 11:47:00.98 ID:bykHB4iC
児嶋〜にゃ!

218 :ファンクラブ会員番号774:2017/05/09(火) 12:08:07.73 ID:bykHB4iC
児嶋〜にゃ!

219 :ファンクラブ会員番号774:2017/05/09(火) 12:11:57.13 ID:bykHB4iC
児嶋〜にゃ!

220 :ファンクラブ会員番号774:2017/05/09(火) 12:13:38.27 ID:a/Rc6Y9B
『 IDOL CONTENT EXPO @ イオンモール幕張新都心 supported by ダイキサウンド
〜初夏の大無銭祭〜』
【日程】 2017年5月20日(土)
【題名】 『 IDOL CONTENT EXPO @ イオンモール幕張新都心 supported by ダイキサウンド 〜初夏の大無銭祭〜』
【時間】 開演11:00 終演20:30(予定)
【価格】  無銭 (入場無料)
【会場】 千葉・イオンモール幕張新都心 グランドモール 1階グランドスクエア
【出演】 PASSPO☆ / predia /
放課後プリンセス / アフィリア・サーガ / 仮面女子:アリス十番 / 仮面女子:アーマーガールズ / 愛乙女☆DOLL / エラバレシ /
マジカル・パンチライン /
アイドルカレッジTeamD /
アイドルカレッジTeamC / FES☆TIVE /
Chu-Z / 桜エビ〜ず / palet / つりビット / drop / ワンダーウィード / 閃光ロードショー / ぷちぱすぽ☆ / La PomPon / SiAM&POPTUNe / パンダみっく /
東京CuteCute / イケてるハーツ / じぇるの! / カプ式会社ハイパーモチベーション
/ CoverGirls / 上野優華 / ベボガ!
(虹のコンキスタドール黄組)/
きゃわふるTORNAD / Dolly Kiss /
夏芽優李 / SHiNY SHiNY ...etc
■公式サイト:http://www.daiki-sound.jp/news/md-detail/id-145
■公式Twitter:http://twitter.com/ic_expo
■主催:IDOL CONTENT EXPO / ダイキサウンド株式会社
■協力:イオンモール幕張新都心 / ヴィレッジヴァンガードイオンモール幕張新都心店

221 :ファンクラブ会員番号774:2017/05/09(火) 12:14:06.70 ID:KcZuzEtq
『 IDOL CONTENT EXPO @ イオンモール幕張新都心 supported by ダイキサウンド
〜初夏の大無銭祭〜』
【日程】 2017年5月20日(土)
【題名】 『 IDOL CONTENT EXPO @ イオンモール幕張新都心 supported by ダイキサウンド 〜初夏の大無銭祭〜』
【時間】 開演11:00 終演20:30(予定)
【価格】  無銭 (入場無料)
【会場】 千葉・イオンモール幕張新都心 グランドモール 1階グランドスクエア
【出演】 PASSPO☆ / predia /
放課後プリンセス / アフィリア・サーガ / 仮面女子:アリス十番 / 仮面女子:アーマーガールズ / 愛乙女☆DOLL / エラバレシ /
マジカル・パンチライン /
アイドルカレッジTeamD /
アイドルカレッジTeamC / FES☆TIVE /
Chu-Z / 桜エビ〜ず / palet / つりビット / drop / ワンダーウィード / 閃光ロードショー / ぷちぱすぽ☆ / La PomPon / SiAM&POPTUNe / パンダみっく /
東京CuteCute / イケてるハーツ / じぇるの! / カプ式会社ハイパーモチベーション
/ CoverGirls / 上野優華 / ベボガ!
(虹のコンキスタドール黄組)/
きゃわふるTORNAD / Dolly Kiss /
夏芽優李 / SHiNY SHiNY ...etc
■公式サイト:http://www.daiki-sound.jp/news/md-detail/id-145
■公式Twitter:http://twitter.com/ic_expo
■主催:IDOL CONTENT EXPO / ダイキサウンド株式会社
■協力:イオンモール幕張新都心 / ヴィレッジヴァンガードイオンモール幕張新都心店

222 :ファンクラブ会員番号774:2017/05/09(火) 12:14:19.50 ID:r32w55Vf
『 IDOL CONTENT EXPO @ イオンモール幕張新都心 supported by ダイキサウンド
〜初夏の大無銭祭〜』
【日程】 2017年5月20日(土)
【題名】 『 IDOL CONTENT EXPO @ イオンモール幕張新都心 supported by ダイキサウンド 〜初夏の大無銭祭〜』
【時間】 開演11:00 終演20:30(予定)
【価格】  無銭 (入場無料)
【会場】 千葉・イオンモール幕張新都心 グランドモール 1階グランドスクエア
【出演】 PASSPO☆ / predia /
放課後プリンセス / アフィリア・サーガ / 仮面女子:アリス十番 / 仮面女子:アーマーガールズ / 愛乙女☆DOLL / エラバレシ /
マジカル・パンチライン /
アイドルカレッジTeamD /
アイドルカレッジTeamC / FES☆TIVE /
Chu-Z / 桜エビ〜ず / palet / つりビット / drop / ワンダーウィード / 閃光ロードショー / ぷちぱすぽ☆ / La PomPon / SiAM&POPTUNe / パンダみっく /
東京CuteCute / イケてるハーツ / じぇるの! / カプ式会社ハイパーモチベーション
/ CoverGirls / 上野優華 / ベボガ!
(虹のコンキスタドール黄組)/
きゃわふるTORNAD / Dolly Kiss /
夏芽優李 / SHiNY SHiNY ...etc
■公式サイト:http://www.daiki-sound.jp/news/md-detail/id-145
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■主催:IDOL CONTENT EXPO / ダイキサウンド株式会社
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223 :ファンクラブ会員番号774:2017/05/30(火) 23:59:15.97 ID:3RDfwPEP
2人してCHEERZのイベントに参加って意味が分からない
1人で出ても厳しいこと予想されるのに

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